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日産カルロスゴーンへの内部告発は単に業績不振が原因だったのかもしれない

自動車

カルロスゴーン
森進一さんのモノマネしてるように見える上記の写真は2018年11月に金融商品取引法違反の容疑で逮捕されたカルロス・ゴーンその人だ。

逮捕から2年以上経過し、これまでに日産の経営方針に多くの変化があったことでゴーン氏が内部告発される原因が見えてきたように思う。

逮捕されるずいぶん前からゴーン氏が報酬の過少申告不正をしていることを役員は認識していたようだが、なぜ2018年になって内部告発されたのか?

一般的に言われている理由として、ルノーが提案する経営統合への抵抗だといわれていた。

  • ルノーとの資本関係を続けながら最低でも今まで通りの資本関係で経営を続けたい。
  • もしくは日産のほうが会社の規模も利益も高いので、資本関係を見直したい

ルノーと日産の経営統合を希望するフランス政府に対抗するために、西川氏を中心とした日本人役員があのタイミングで内部告発をし、ゴーン氏や側近を退陣させ、日本人経営者に戻そうと企んだのではないか、といわれている。

しかし、ここ最近の日産の経営不振が明らかになるほど、拡大路線を信じていたカルロスゴーンの経営判断を変えるために内部告発をしたのではないか?と個人的には思うようになった。

ゴーンが信じたスケールメリット

ゴーン氏は日産の急成長を信じており、2017年9月にルノー、日産、三菱のアライアンスで2022年までに世界販売台数を1400万台にすると公約した過去がある。

その公約を掲げた2017年度でも3社合計1060万台の実績なので事実上不可能な数字だといえるが、成長を続けていた当時はそう思うことができたのだろう。

普通の経営者ならば利益を追求するものだが、カルロスゴーンは販売台数やシェアを追求していた。それはなぜか。

自動車産業はとてつもなく大きな市場なので、生産やコスト競争においても規模が大きくなるほどメリットがある。以下の画像は世界の自動車メーカーの販売台数と利益率の関係。
世界の自動車メーカーの利益率とスケールメリット
トヨタやフォルクスワーゲングループが業界の中で利益率が特に高い理由も生産台数規模が大きいためなのだが、カルロスゴーンもルノー日産グループで力強いスケールメリットを確立しようと考えていたようだ。

規模が大きくなれば、生産性向上やコストが抑えられ、おのずと利益率も上がるし、ライバルの成長が抑えられたりする。だから販売台数にこだわっていった。

そもそもカルロスゴーンはプライドが高いため、ルノー日産を世界ナンバーワンの自動車グループにしたいという結果にこだわっていたかもしれない。

そして、その販売増加の多くを日産の成長によって成し遂げようとしていたのだが、そのやり方がいろいろ無茶だったというわけ。

薄利多売戦略

ゴーン社長はアメリカ市場でシェア10%を目標に掲げ、販売数を増やしていった。それによって2011年の108万台から2016年度には158万台まで販売台数を伸ばしている。また、中国でも販売台数を伸ばしてきた。

この販売台数を伸ばしてきた戦略が薄利多売だった。ディーラーには、たくさん車を売るほどインセンティブ(販売奨励金)が与えられる仕組みを作り、ディーラーは1台1台の利益よりも数を多く売るために安く売るようになっていった。

東洋経済の記事にアメリカの日産ディーラーの実情がのっていた。引用。

ある日産ディーラーの店長がその具体例を明かす。
「日産車を前月に50台売ったとすると、今月は20%増の60台を売れば販売奨励金として1台あたり600ドルもらえる。でも20%減だったら、最低限の200ドルしかもらえない。だから期限が近づくと、無理してでも大幅値引きして売っていたよ」。
出所:https://premium.toyokeizai.net/articles/-/22814

「利益が出ない価格で売っても、数を多く売るほどディーラーの利益になる」、という状態だったというわけ。

アメリカの自動車市場がずっと成長を続けていれば問題ないかもしれないが、2016年ごろからアメリカ市場の自動車市場が鈍化。比例して日産の業績も悪化。

日産の販売台数の推移

カルロスゴーンはプライドが高いので、自身の判断を否定することができなかった。そして、他の経営陣もカルロスゴーンのプライドの高さを理解していた。

そのため、2018年11月にゴーン氏を排除する目的で内部告発があり、逮捕に至ったのではないだろうか。

経営がうまくいっているのならば、少しの不正も「見て見ぬフリ」されたりするが、同時に経営判断が悪い方向に行っていた事が内部告発につながってしまったような気がする。

ブランド力低下

販売台数を伸ばすため、安売りしてきたので「日産は安い車」というイメージがついてしまっているようだ。これはアメリカだけではなく中国でもそういうイメージをもっている人が多くいるという。

そのカルロスゴーン時代の日産イメージを変えられるかが今後の経営者に委ねられることになる。そのイメージを変えるには長い期間かかると思う。

慣性的な力はすぐには変えられないのが難しいところ。いじめられっ子が急にキャラ変するのが難しいのと似てる。

ヒット商品の低下

ここ近年の日産はヒット商品に恵まれていない。デイズ、ノート、セレナ、エクストレイルなど人気商品があるが、やはり競争が激しいコンシューマービジネスは強烈なキラー商品がほしいところ。

トヨタはRAV4を年間100万台近く販売しているが、そういった商品が急がれる。

結果、どうなったか

日産の2015年から巨額赤字に陥った2019年までの売上、純利益、販売台数を確認。

日産の2015年~2019年までの業績
年度 売上高 純利益 販売台数
2015年 12兆1895億円 5238億円 542万台
2016年 11兆7200億円 6634億円 555万台
2017年 11兆9511億円 7468億円 581万台
2018年 11兆5742億円 3191億円 565万台
2019年 9兆8788億円 -6712億円(赤字) 517万台

2017年から2018年にかけて売上高はあまり減ってないのに利益が急減しているが、これがゴーン氏の拡大路線の影響なのだという。

そして、2019年から巨額赤字となっているが、これはカルロスゴーン逮捕のイメージ悪化が日産車の販売を落とした要因の一つ。また、2019年度は世界的に自動車販売台数が低下した年でもあった。

アメリカメーカーも縮小路線

なお、日産だけではなくアメリカ自動車メーカーのGM(ゼネラルモーターズ)やフォードといったメーカーも2018年ごろから販売台数を大きく落としている。推移を確認。

年度 GMの販売台数 フォードの販売台数
2016年 996万台 665万台
2017年 960万台 660万台
2018年 838万台 600万台
2019年 771万台 550万台

GMは2016年から2019年まで220万台以上も販売台数を減らし、フォードもGMと同じように大幅減少で、2016年から2019年まで115万台も新車販売を減らしている。日産と同じように構造改革が求められている。

このためアメリカも自国メーカーの衰退が最近問題視されるようになってきていて、「日本メーカーのせい」みたいな世論もちらほらある模様。しかし、日本企業としては淡々とビジネスを続けたいところ。

韓国メーカーよりも売れてるのはポジティブ

このブログは「日本をポジティブ転換したい」でポジテン。ならば日産の状況をなんとしてでもポジティブに考えたい。

やはり注目は、中国やアメリカといった巨大市場で日産は韓国ヒュンダイよりも確実に売れているということだろう。

2018年度の中国市場の販売台数でいえば、日産は116万台、ヒュンダイは78万台。

2019年度のアメリカ市場でいえば、日産が134万台でシェア7.9%。一方、韓国ヒュンダイは71万台でシェア4.2%だ。

中国やアメリカはとてつもなく巨大市場なので、自動車メーカーにとってあまりにも重要なのだが、そこで日産は韓国勢よりも確実な地位をもっているということを確認させてもらいたい。

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