反日感情が強い中国で、トヨタ自動車、ホンダ、日産自動車といった日本3大手の自動車販売台数が絶好調。
- 2020年の中国の新車販売台数は2531万1000台。前年比は1.9%減。これは3年連続で前年実績を下回る数字。
- 日系1位のトヨタが前年比10.9%増の179万7500台を販売し、過去最高。
- 日系2位のホンダも、前年比は4.7%増の162万6972台を販売。過去最高の販売台数。
- 日系3位の日産は、145万6738台を販売。前年比は5.8%減。
中国の自動車市場は2018年頃から成長が鈍化しており、さらにコロナの影響で消費が低迷した中、特にトヨタやホンダが力強い成績を出している。日産だけ前年比で減少しているが、コロナを考慮すれば大健闘だと言える。
中国での日本車シェア
年度 | トヨタ/販売台数 [中国シェア(%)] |
ホンダ/販売台数 [中国シェア(%)] |
日産/販売台数 [中国シェア(%)] |
---|---|---|---|
2015年 | 112万台 [4.6%] |
101万台 [4.1%] |
125万台 [5.1%] |
2016年 | 121万台 [4.3%] |
124万台 [4.4%] |
135万台 [4.8%] |
2017年 | 129万台 [4.5%] |
145万台 [5.0%] |
152万台 [5.3%] |
2018年 | 147万台 [5.2%] |
146万台 [5.2%] |
156万台 [5.6%] |
2019年 | 169万台 [6.6%] |
144万台 [5.6%] |
154万台 [6.0%] |
2020年 | 179万台 [7.1%] |
162万台 [6.4%] |
145万台 [5.7%] |
- トヨタは順調に販売台数を伸ばす。特にハイブリッド車の人気が増している模様。
- ホンダも、トヨタと同様に売上台数が上昇傾向。
- 日産は2018年にカルロスゴーンが逮捕された事で、台数を追う経営から方向転換。それにより、世界販売台数が減少中だが、中国においてもやや足踏み中。
- 中国では全体的に日本車は故障しないイメージや燃費が良いイメージがある。そして、中古市場でも価格が下がりにくい。そういった理由から反日感情が強い中でも販売台数が安定している。
メーカー・ブランド別の販売台数
順位 | 自動車メーカー | 国 | 中国販売台数 |
---|---|---|---|
1位 | フォルクスワーゲン | ドイツ | 301万7824台 |
2位 | ホンダ | 日本 | 146万6411台 |
3位 | Geely(吉利汽車) | 中国 | 136万5865台 |
4位 | トヨタ | 日本 | 122万8824台 |
5位 | 日産 | 日本 | 116万4156台 |
6位 | Buick(ビュイック) | アメリカ | 106万6629台 |
7位 | Baojun | 中国 | 87万522台 |
8位 | Hyundai | 韓国 | 78万8326台 |
9位 | SGMW | 中国 | 77万2458台 |
10位 | Haval | 中国 | 76万5045台 |
11位 | Changan(長安汽車) | 中国 | 66万333台 |
12位 | シボレー | アメリカ | 64万1320台 |
13位 | Audi | ドイツ | 59万24台 |
14位 | GAC Trumpchi | 中国 | 51万8573台 |
15位 | BYD | 中国 | 48万9524台 |
16位 | メルセデスベンツ | ドイツ | 48万7413台 |
17位 | Roewe | 中国 | 47万92台 |
18位 | Chery(奇瑞汽車) | 中国 | 43万9132台 |
19位 | BMW | ドイツ | 42万7660台 |
20位 | フォード | アメリカ | 38万7072台 |
21位 | 起亜自動車 | 韓国 | 37万3209台 |
22位 | Skoda | チェコ | 34万2571台 |
23位 | マツダ | 日本 | 29万0449台 |
24位 | Zotye(衆泰汽車) | 中国 | 23万2926台 |
25位 | MorrisGarages | イギリス | 23万1093台 |
26位 | キャデラック | アメリカ | 22万8043台 |
27位 | DongfengFengguang | 中国 | 21万8998台 |
28位 | Changan Auchan | 中国 | 18万1250台 |
29位 | JAC(安徽江淮汽車) | 中国 | 17万687台 |
30位 | Huansu | 中国 | 15万8083台 |
- トヨタ、ホンダ、日産は、中国市場で上位シェアをキープ。
- トヨタの成長が高いが、近い将来、フォルクスワーゲンの販売台数を抜く可能性あり。
- 他の日本勢は、マツダの2020年度のグローバル販売台数は128万台で、そのうち中国市場の販売台数が約22.8万台。全体の約18%を中国で売上。
- スズキは販売不振により中国から生産撤退している。これは急拡大するインド市場にリソースを注ぐための「選択と集中」という事。なお、スズキはインドのシェアがとてつもなく高く、2020年度はインドで48.9%のシェアを獲得。
- スバルの2020年の中国市場販売台数は、2.4万台で中国シェア0.09%。
スポンサーリンク
なぜ日系の自動車が中国で売れるのか?
中国は過去の戦争の影響で反日感情が強い。韓国と同じ世界観で見るのならば常に不買運動が起こってもおかしくないが、それでも中国で日本車が売れているのには理由がある。
- トヨタ、ホンダ、日産といった日系自動車メーカーは燃費性能が良い事や、故障率が低い事が中国で認識されている。
- 車には消耗品があるが、日本車は部品の流通量が良く、商品も安い。中国では日本車は維持費が安いと認識されている。故障/消耗する部品といえば、ウォーターポンプ、オルタネーター、セルモーター、エアコンのコンプレッサー、ファンベルト、ブレーキパッドなどあるが、日本車の部品は比較的に安い。
- 日本メーカーはアフターサービスも徹底。日本の「おもてなし」の接客を中国に導入し、販売を伸ばしている。
- 中国では新車購入時の下取り価格として日本車はわりと高値がつくのだという。日本車は中古でも価格が安定。
- 中国人は国内メーカーを信用しておらず、海外ブランド志向が強い。それが、日本車が売れる理由かもしれない。
- 中国人は反日感情があるとはいえ、韓国のように恨み深い国民性ではない。そのため、日系の商品でもそこまで抵抗感が無い模様。
ドイツ車を買う人が日本車に流れてる
中国ではフォルクスワーゲンの市場シェアが高い。そのVWは、燃費や耐久性があると考えられていたが、実際は燃費は悪く、故障率はそこそこ高い。しかも、故障時の必要な部品が高いという問題がある。簡単にいえば維持費が高い。
そういった人たちが日本車に流れている可能性がある。ここ近年の統計においてもドイツ車のシェアが下がっている一方で、日本車のシェアが上がっている事は、その証明かもしれない。
ヒョンデ購入層が流れているかも
韓国ヒョンデ・キアは年々、中国での販売台数やシェアを落とし続けている。面子を保つ中国人にはコリアブランドは避けられるのだという。
中国人が言うには、韓国と言うと「中国から逃げるために、北朝鮮を防波堤として利用している国」といったイメージがあり、韓国に対してブランド力のような概念はないのだという。ひょっとすると、そういった層が日本車に流れているのではないか。
スポンサーリンク
関連記事