General Motorsの連結決算:通年の売上推移
年度 | 売上高・収益 [自動車販売台数] | 営業利益 [営業利益率(%)] | 純利益・最終損益 [純利益率(%)] |
---|---|---|---|
2000年 | 1846.32億ドル [875万台] | 71.64億ドル [3.9%] | 44.52億ドル [2.4%] |
2001年 | 1772.60億ドル [807万台] | 12.22億ドル [0.7%] | 6.01億ドル [0.3%] |
2002年 | 1867.63億ドル [841万台] | 19.75億ドル [1.1%] | 17.36億ドル [0.9%] |
2003年 | 1855.24億ドル [810万台] | 28.62億ドル [1.5%] | 38.22億ドル [2.1%] |
2004年 | 1935.17億ドル [824万台] | 11.86億ドル [0.6%] | 28.04億ドル [1.4%] |
2005年 | 1946.55億ドル [838万台] | -178.06億ドル [-9.1%] | -104.17億ドル [-5.4%] |
2006年 | 2033.67億ドル [909万台] | -21.55億ドル [-1.1%] | -20.34億ドル [-1.0%] |
2007年 | 1799.84億ドル [936万台] | -426.85億ドル [-23.7%] | -385.42億ドル [-21.4%] |
2008年 | 1489.79億ドル [835万台] | -310.51億ドル [-20.8%] | -309.43億ドル [-20.8%] |
2009年 | 1045.88億ドル [748万台] | -210.23億ドル [-20.1%] | 1046.90億ドル [100.1%] |
2010年 | 1355.87億ドル [838万台] | 51.08億ドル [3.8%] | 46.68億ドル [3.4%] |
2011年 | 1502.75億ドル [902万台] | 56.56億ドル [3.8%] | 75.85億ドル [5.0%] |
2012年 | 1522.56億ドル [929万台] | -303.63億ドル [-19.9%] | 48.59億ドル [3.2%] |
2013年 | 1552.30億ドル [971万台] | 51.31億ドル [3.3%] | 37.70億ドル [2.4%] |
2014年 | 1559.28億ドル [992万台] | 15.30億ドル [0.9%] | 28.04億ドル [1.8%] |
2015年 | 1523.55億ドル [984万台] | 55.38億ドル [3.6%] | 96.87億ドル [6.4%] |
2016年 | 1663.79億ドル [996万台] | 86.86億ドル [5.2%] | 94.27億ドル [5.7%] |
2017年 | 1455.88億ドル [960万台] | 86.61億ドル [5.9%] | -38.80億ドル [-2.7%] |
2018年 | 1470.49億ドル [838万台] | 44.45億ドル [3.0%] | 79.16億ドル [5.4%] |
2019年 | 1372.37億ドル [771万台] | 54.81億ドル [4.0%] | 65.81億ドル [4.8%] |
2020年 | 1224.85億ドル [682万台] | 66.34億ドル [5.4%] | 62.47億ドル [5.1%] |
2021年 | 1270.04億ドル [629万台] | 93.24億ドル [7.3%] | 98.37億ドル [7.7%] |
2022年 | 1567.35億ドル [594万台] | 103.14億ドル [6.6%] | 89.15億ドル [5.7%] |
2023年 | 1718.42億ドル [619万台] | 92.98億ドル [5.4%] | 100.22億ドル [5.8%] |
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平均利益率
GMの2001年から2022年までの営業利益率の平均が-0.6%。比較として、フォードの2003年から2022年までの営業利益率の平均が2.5%。トヨタの1998年から2022年までの営業利益率の平均が7.0%。
会社の動向
- GM/ゼネラルモーターズの設立は1908年。本社はデトロイト。
- 2008年のアメリカ金融危機(リーマンショック)の以前から赤字が続き、同時に財務も急激に悪化。そして火に油を注ぐように金融危機が発生。資金ショートを起こし、2009年に経営破綻へ。クライスラーも2009年に倒産。フォードは自己再建。
- アメリカ政府はGMに公的資金を投入し再建へ。そして、公的資金を完済した2010年以降は、安定的な利益を出すように。
- 2017年度の最終赤字は、オペル/ボクスホール売却などの欧州撤退に関する費用計上。
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ゼネラルモーターズの財政・経営状況
年度 | 総資産 [現金・手元資金] |
負債総額 [有利子負債] |
自己資本・純資産 [自己資本比率(%)] |
---|---|---|---|
2002年 | 3690.53億ドル [203.20億ドル] |
3622.39億ドル [2001.68億ドル] |
68.14億ドル [1.8%] |
2003年 | 4485.07億ドル [325.54億ドル] |
4232.39億ドル [2717.56億ドル] |
252.68億ドル [5.6%] |
2004年 | 4796.03億ドル [359.93億ドル] |
4518.77億ドル [3002.79億ドル] |
277.26億ドル [5.8%] |
2005年 | 4741.56億ドル [151.87億ドル] |
4584.56億ドル [2877.15億ドル] |
146.53億ドル [3.1%] |
2006年 | 1863.04億ドル [237.74億ドル] |
1919.56億ドル [425.05億ドル] |
-56.52億ドル(債務超過) [-3.0%] |
2007年 | 1488.83億ドル [245.49億ドル] |
1859.77億ドル [443.39億ドル] |
-370.94億ドル(債務超過) [-24.9%] |
2008年 | 1894.76億ドル [151.51億ドル] |
1676.22億ドル [1263.21億ドル] |
218.54億ドル [11.5%] |
2009年 | 1723.06億ドル [147.88億ドル] |
1514.67億ドル [983.13億ドル] |
208.39億ドル [12.1%] |
2010年 | 1388.98億ドル [278.56億ドル] |
1017.39億ドル [104.67億ドル] |
371.59億ドル [26.7%] |
2015年 | 1943.38億ドル [234.01億ドル] |
1540.15億ドル [435.49億ドル] |
403.23億ドル [20.7%] |
2020年 | 2351.94億ドル [290.38億ドル] |
1855.17億ドル [729.81億ドル] |
496.77億ドル [21.1%] |
2021年 | 2447.18億ドル [286.76億ドル] |
1789.03億ドル [756.59億ドル] |
658.15億ドル [26.9%] |
2022年 | 2640.37億ドル [313.03億ドル] |
1921.10億ドル [759.21億ドル] |
719.27億ドル [27.2%] |
2023年 | 2730.64億ドル [264.66億ドル] |
2048.75億ドル [827.73億ドル] |
681.89億ドル [25.0%] |
- GMは、2009年に米連邦破産法を申請し経営破綻。その後は、実質国有化のもとで財務強化に努め復活へ。
- 再び経営破綻する事は今のところ考えにくい。
年度 | 従業員数(連結) | 平均年収 | 設備投資費 | 研究開発費 |
---|---|---|---|---|
2010年 | 20万2000人 | – | – | – |
2015年 | 21万5000人 | – | 90億ドル | – |
2020年 | 15万5000人 | – | – | 120.00億ドル |
2023年 | 16万3000人 | 11万3000ドル | – | 169.30億ドル |
- 欧州市場を中心として不採算市場からの撤退が続いているため、かつてよりも従業員数が少なくなっている。
保有ブランド
- シボレー(大衆車だが世界基準でいえば車体は大きめ)
- GMC(ピックアップトラックやSUVに特化したブランド)
- ビュイック(中大型の乗用車ブランド)
- キャデラック(高級車ブランド)
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GMの収益構造:売上の内訳
年度 | 自動車部門/売上高 [全体比率(%)] |
金融サービス/売上高 [全体比率(%)] |
---|---|---|
2019年 | 1226.97億ドル [89.4%] |
145.40億ドル [10.6%] |
2020年 | 1086.73億ドル [88.7%] |
138.12億ドル [11.3%] |
2021年 | 1135.90億ドル [89.4%] |
134.14億ドル [10.6%] |
2022年 | 1439.74億ドル [91.9%] |
127.66億ドル [8.1%] |
- GMが2009年に経営破綻した理由は、販売台数を増やすためにゼロ金利レベルの自動車ローンを拡大した事が要因の一つ。つまり、過度な金融サービスで経営が悪化。
- 現在の金融部門は全体売上の10%前後で、ヨーロッパの自動車メーカーを基準に言えば、GMの金融サービス部門の依存度はかなり低い。
- 過去の失敗を教訓にして「金融部門は全体の10%前後」というような社内規律が存在しているのかもしれない。
国内と海外の売上の推移
年度 | アメリカ/売上高 [全体比率(%)] |
アメリカ以外/売上高 [全体比率(%)] |
---|---|---|
2019年 | 978.87億ドル [79.8%] |
248.10億ドル [20.2%] |
2020年 | 892.04億ドル [82.1%] |
194.69億ドル [17.9%] |
2021年 | 927.71億ドル [81.7%] |
208.19億ドル [18.3%] |
2022年 | 1167.98億ドル [81.1%] |
271.77億ドル [18.9%] |
- GMは、海外展開を縮小しているため、相対的に地元アメリカ市場への依存度が非常に高くなっている。言い換えると「選択と集中」。
- 数量を追う経営から一転し、利益率を追及する経営へ。結果として世界販売台数が縮小しているが、アメリカのような巨大市場でしっかりと合理的な生産と販売台数を確保していけば問題なし。むしろその方が安定的。
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GMの3大市場の成績
年度 | アメリカ/販売台数 [米国シェア(%)] |
中国/販売台数 [中国シェア(%)] |
欧州/販売台数 [欧州シェア(%)] |
---|---|---|---|
2015年 | 308万台 [17.3%] |
373万台 [14.9%] |
109万台 [6.3%] |
2016年 | 304万台 [17.0%] |
391万台 [13.8%] |
116万台 [6.2%] |
2017年 | 300万台 [17.1%] |
404万台 [14.3%] |
68.5万台 [3.6%] |
2018年 | 295万台 [16.7%] |
364万台 [12.9%] |
3673台 [0.02%] |
2019年 | 281万台 [16.5%] |
309万台 [12.2%] |
3590台 [0.02%] |
2020年 | 254万台 [17.2%] |
290万台 [11.6%] |
1000台 [-] |
2021年 | 221万台 [14.4%] |
289万台 [11.2%] |
2000台 [-] |
2022年 | 227万台 [16.0%] |
230万台 [9.8%] |
2000台 [-] |
- アメリカでは、コロナや半導体不足で販売台数を落としているが、基本的に安定的な売上台数を確保。
- 中国市場では、米中対立が本格化した2017年からGMの販売台数が大きく落ち込んでいく。
- 2017年、GMはイギリスEU離脱をきっかけにグループ内のオペル(ドイツ)とボクスホール(英国)をPSAグループに売却し、赤字続きだった欧州から撤退。以降はヨーロッパ市場で大幅に販売台数が減少。
- GMの欧州市場での損失は、過去17年間で総額224億ドルとされる。
- 現在のGMは、アメリカと中国の2つの巨大市場への依存度がかなり高くなっている。
GMの日本市場の成績
ゼネラルモーターズ・ジャパンの日本市場における販売台数はかなり少ない。2021年度では、シボレーもキャデラックも共に登録台数が1000台未満。GMの業績において無視できるレベル。
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なぜGMは経営破綻したのか
2009年6月、ゼネラルモーターズは連邦倒産法申請し、経営破綻している。主な理由は以下。
- ストライキによる人件費の高騰。GMの賃金(約73ドル/時間)は米国製造業の平均賃金(約31ドル/時間)の約2倍だった。
- 従業員の医療費や企業年金などの福利厚生費の高騰。
- 販売台数を増やすためのゼロ金利融資(自動車ローン)の無理な拡大。その後の不良債権化。
- 2008年のアメリカ金融危機が重なる不運により、2009年に経営破綻。負債総額は1728億ドル。
再建プロセス
- アメリカ政府が60%、カナダ政府が12%の株式を保有し、実質的な国有企業として再建。
- アメリカ工場の従業員を6万2000人から4万人へ。
- ディーラー数を6200店から3600店に削減。
- 販促目的の金融サービス部門の厳格化。
- 資本提携先の株式売却(資本提携の解消)。サーブ(スウェーデン)、スズキ(2008年解消)、富士重工業(現スバル:2005年解消)、いすゞ自動車(2006年解消)などの株式売却。
そして、2010年に米国政府からの公的資金を完済。さらに2013年12月にアメリカ政府保有のGM株式全ての売却が完了。つまり、GMの国有化が解消。
車載バッテリーとEV投資について
- 2025年までのEV投資は350億ドルを予定。
- ホンダと提携し、大衆車クラスの電気自動車の共同開発。
- バッテリーサプライヤーは韓国LGエナジー。
電気自動車の中核部品は車載電池。バッテリーはEVの安全性とメーカーの信頼につながってくるが、すでにサプライヤーである韓国LGエナジーのバッテリー発火が多発している問題を抱えている。
まだ販売台数が少ないため、そこまで大きな問題とはなっていないが、売上台数が増えたところでバッテリー問題が多発し、大規模リコールとなれば、再び経営が不安定になる可能性あり。韓国企業と関わって名門GMが陥落するような事があってはならない。
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