BMWグループの決算(通年)の売上推移
年度 | 売上高・収益 [自動車販売台数] | 営業利益 [営業利益率(%)] | 純利益・最終損益 [純利益率(%)] |
---|---|---|---|
2004年 | 443.35億ユーロ (5兆7635億円) [120万台] | 37.74億ユーロ (4906億円) [8.5%] | 22.22億ユーロ (2888億円) [5.0%] |
2005年 | 466.56億ユーロ [132万台] | 37.93億ユーロ [8.1%] | 22.39億ユーロ [4.8%] |
2006年 | 489.99億ユーロ [137万台] | 43.61億ユーロ [8.9%] | 28.74億ユーロ [5.9%] |
2007年 | 560.18億ユーロ [150万台] | 38.73億ユーロ [6.9%] | 31.34億ユーロ [5.6%] |
2008年 | 531.97億ユーロ [143万台] | 3.51億ユーロ [0.6%] | 3.30億ユーロ [0.6%] |
2009年 | 506.81億ユーロ [128万台] | 4.13億ユーロ [0.8%] | 2.10億ユーロ [0.4%] |
2010年 | 604.77億ユーロ [146万台] | 48.36億ユーロ [8.0%] | 32.24億ユーロ [5.3%] |
2011年 | 688.21億ユーロ [166万台] | 80.18億ユーロ [11.6%] | 49.07億ユーロ [7.1%] |
2012年 | 768.47億ユーロ [184万台] | 83.00億ユーロ [10.8%] | 50.95億ユーロ [6.6%] |
2013年 | 760.59億ユーロ [196万台] | 79.78億ユーロ [10.5%] | 53.40億ユーロ [7.0%] |
2014年 | 804.01億ユーロ [211万台] | 91.18億ユーロ [11.3%] | 58.16億ユーロ [7.2%] |
2015年 | 921.75億ユーロ [224万台] | 95.93億ユーロ [10.4%] | 63.68億ユーロ [6.9%] |
2016年 | 941.63億ユーロ [236万台] | 93.86億ユーロ [9.9%] | 68.62億ユーロ [7.3%] |
2017年 | 982.82億ユーロ [246万台] | 98.99億ユーロ [10.0%] | 86.75億ユーロ [8.8%] |
2018年 | 968.55億ユーロ [248万台] | 89.33億ユーロ [9.2%] | 72.07億ユーロ [7.4%] |
2019年 | 1042.09億ユーロ [253万台] | 74.11億ユーロ [7.1%] | 49.15億ユーロ [4.7%] |
2020年 | 989.90億ユーロ [232万台] | 48.30億ユーロ [4.8%] | 37.75億ユーロ [3.8%] |
2021年 | 1112.39億ユーロ (14兆4610億円) [252万台] | 134.00億ユーロ (1兆7420億円) [12.0%] | 124.63億ユーロ (1兆6201億円) [11.2%] |
出所:BMW Group。1ユーロ=130円で換算。EBIT=営業利益に相当としたデータ。データはBMWグループすべての業績。
- 営業利益率が8%~10%。自動車メーカーの中でもトップクラス。比較として、トヨタやメルセデス・ベンツは営業利益率8%前後、フォルクスワーゲンが6%前後。
- リーマンショックやギリシア危機(ユーロ危機)の時期でも赤字知らず。
- 販売台数の伸びは、中国市場での販売台数が増えている事が大きい。
- 2021年度のBMWの販売台数が252万台。ベンツが242万台なので、BMWとベンツの生産規模は同じレベル。
経営と財政
年度 | 総資産 | 負債総額 | 自己資本・純資産 [自己資本比率(%)] |
---|---|---|---|
2010年 | 1088.67億ユーロ | 857.67億ユーロ | 231.00億ユーロ [21.2%] |
2015年 | 1721.74億ユーロ | 1294.41億ユーロ | 427.64億ユーロ [24.8%] |
2020年 | 2166.58億ユーロ | 1551.38億ユーロ | 615.20億ユーロ [28.4%] |
2021年 | 2295.27億ユーロ (29兆8385億円) |
1543.98億ユーロ (20兆717億円) |
751.32億ユーロ (9兆7671億円) [32.7%] |
- 2010年と2020年を比較すると財務は安定に向かっている。
- 現在のBMWの財務は自動車メーカーの中でも安定している方に入る。
自動車部門のみの業績推移
年度 | 売上高・収益 [自動車販売台数] |
営業利益 [営業利益率(%)] |
---|---|---|
2017年 | 857.42億ユーロ (11兆1463億円) [246万台] |
78.88億ユーロ (1兆254億円) [9.1%] |
2018年 | 858.46億ユーロ [248万台] |
61.82億ユーロ [7.2%] |
2019年 | 916.82億ユーロ [253万台] |
44.99億ユーロ [4.9%] |
2020年 | 808.53億ユーロ [232万台] |
21.62億ユーロ [2.6%] |
2021年 | 954.76億ユーロ [252万台] |
98.70億ユーロ [10.3%] |
ブランド別の業績
年度 | BMW | MINI | ロールスロイス |
---|---|---|---|
2017年 | 208.9万台 | 37.1万台 | 3438台 |
2018年 | 211.7万台 | 36.4万台 | 4194台 |
2019年 | 218.4万台 | 34.7万台 | 5100台 |
2020年 | 202.8万台 | 29.2万台 | 3756台 |
2021年 | 221.3万台 | 30.2万台 | 5586台 |
バイク事業の売上
BMWのバイク部門が「BMWモトラッド(BMW Motorrad)」。BMWの二輪事業の業績推移。
年度 | 売上高・収益 [バイク販売台数] |
営業利益 [営業利益率(%)] |
---|---|---|
2017年 | 22.72億ユーロ (2953億円) [16.4万台] |
2.07億ユーロ (269億円) [9.1%] |
2018年 | 21.73億ユーロ [16.5万台] |
1.75億ユーロ [8.0%] |
2019年 | 23.68億ユーロ [17.5万台] |
1.94億ユーロ [8.1%] |
2020年 | 22.84億ユーロ [16.9万台] |
1.03億ユーロ [4.5%] |
2021年 | 27.48億ユーロ [19.2万台] |
2.27億ユーロ [8.2%] |
- BMWのバイク部門も自動車と同じように高級車カテゴリー。
- 日系メーカーと比較するとBMWの販売台数は少なく、比例して売上規模も少ない。
- 比較として、日本のバイクメーカーの2020年度の販売台数は、ホンダは1934万台、YAMAHAが505万台、スズキが169万台、Kawasakiが49万台。
金融サービス部門
BMWの販売促進向けの金融サービス部門の成績。
年度 | 売上高・収益 | 営業利益 [営業利益率(%)] |
---|---|---|
2017年 | 275.67億ユーロ (3兆5837億円) |
21.94億ユーロ (2852億円) [7.9%] |
2018年 | 277.05億ユーロ | 21.72億ユーロ [7.8%] |
2019年 | 295.98億ユーロ | 23.12億ユーロ [7.8%] |
2020年 | 300.44億ユーロ | 17.21億ユーロ [5.7%] |
2021年 | 328.67億ユーロ | 37.01億ユーロ [11.2%] |
- BMWの総売上高のうち金融部門の売上が約30%を占める。
- それだけ購入者が自動車ローンを組んでBMWを買っているという事。
巨大市場の成績
ヨーロッパ、アメリカ、中国は、自動車ビッグ3市場。その3つの市場でのBMWの成績。
年度 | 欧州/販売数 [欧州シェア(%)] |
中国/販売数 [中国シェア(%)] |
米国/販売数 [米国シェア(%)] |
---|---|---|---|
2017年 | 110万台 [7.1%] |
59万台 [2.0%] |
34万台 [2.0%] |
2018年 | 109万台 [7.0%] |
63万台 [2.2%] |
35万台 [2.0%] |
2019年 | 104万台 [6.6%] |
72万台 [2.8%] |
35万台 [2.1%] |
2020年 | 84万台 [7.1%] |
77万台 [3.0%] |
30万台 [2.1%] |
2021年 | 85万台 [7.3%] |
82万台 [3.1%] |
36万台 [2.4%] |
MINIやロールスロイスを含むBMW全体の自動車販売台数。
- BMWのお膝元の欧州では、コロナ問題や半導体不足などの要因を除けば安定した売上。
- 中国ではベンツよりもBMWのほうがシェアが上がってきている。
- アメリカ市場では販売シェア2%前後で安定。
日本国内販売
日本市場におけるBMWの成績。比較として他のドイツ勢とステランティス、そして高級車カテゴリーのトヨタ・レクサスの成績も確認。
メーカー・ブランド | 2019年/販売台数 [日本シェア(%)] |
2020年/販売台数 [日本シェア(%)] |
2021年/販売台数 [日本シェア(%)] |
---|---|---|---|
BMWグループ (MINI含む) |
7.0万台 [1.4%] |
5.6万台 [1.2%] |
5.4万台 [1.3%] |
BMW(単体) | 4.6万台 [0.9%] |
3.5万台 [0.7%] |
3.5万台 [0.8%] |
(BMW)MINI | 2.3万台 [0.4%] |
2.0万台 [0.4%] |
1.8万台 [0.4%] |
M・ベンツ | 6.6万台 [1.3%] |
5.7万台 [1.2%] |
5.1万台 [1.2%] |
アウディ | 2.4万台 [0.5%] |
2.0万台 [0.4%] |
2.2万台 [0.5%] |
レクサス | 6.2万台 [1.2%] |
4.9万台 [1.1%] |
5.1万台 [1.2%] |
- 日本における輸入車モデル別トップはBMWグループのMINI。2021年度は1.8万台。
- 輸入車メーカー別で言えば、BMWはベンツを抑えて日本トップシェア。
- BMW3シリーズが売れ筋。
- フォルクスワーゲングループのアウディの市場シェアは、BMWやベンツの半分レベル。
バッテリー戦略とEV投資まとめ
- BMWは2025年までに300億ユーロ(約4兆円)をEV開発に投資。
- 2023年までに25種類の環境対応の新車種を発売する目標。
- 25車種のうち半分以上はフルEVとなる予定。残りがハイブリッド車(HV)やプラグインハイブリッド車(PHV)。
- 2025年までに電気自動車の累計販売200万台を目標。
EVの中核はバッテリー。BMWの車載電池の供給先は以下。
- 中国CATL(長期契約)
- 韓国サムスンSDI(長期契約)
- スウェーデンのノースボルト(資本参加し欧州のエネルギー企業を育てる意向)
- アメリカのソリッドパワー社と提携し全個体電池の開発。
BMWのサプライヤーはひとまず中国CATLがメイン。CATLはヨーロッパ現地にバッテリー工場を建設し、欧州自動車メーカーとの関係を強化。
「中国企業による欧州への巨額直接投資」という時代が変わった感満載の現象。
かつてはBMWのライバルというと、M・ベンツやアウディ、ポルシェなどだったが、EV化に向かう今後は新参のテスラなども脅威に。サプライヤー選びにアレコレ迷っている時間はないというワケ。
なお、BMWは欧州自動車メーカーの中でも、EV化に慎重な考えをもっており、電気自動車だけではなく燃料電池車(FCV)なども提案していく模様。
燃料電池車はトヨタと提携
燃料電池車(FCV)は、水素と酸素の化学反応で発電したエネルギーで走る車の事。BMWとトヨタは、燃料電池車で提携しており、共にその分野で市場をつくっていく方針。
現状、電気自動車には問題点が多いため、EV以外の技術でも脱炭素適応の車を投入していく見込み。「選択肢を広げる」という事。
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