Netflixの連結決算:通年の売上推移
年度 | 売上高・収益 | 営業利益 [営業利益率(%)] | 純利益・最終損益 [純利益率(%)] |
---|---|---|---|
1998年 | 134万ドル | -1115万ドル [-838%] | -1108万ドル [-833%] |
1999年 | 501万ドル | -3003万ドル [-601%] | -2984万ドル [-597%] |
2000年 | 3589万ドル | -5755万ドル [-160%] | -5736万ドル [-159%] |
2001年 | 7591万ドル | -3723万ドル [-49.0%] | -3862万ドル [-50.9%] |
2002年 | 1.52億ドル | -0.12億ドル [-7.9%] | -0.22億ドル [-14.5%] |
2003年 | 2.72億ドル | 0.04億ドル [1.5%] | 0.06億ドル [2.2%] |
2004年 | 5.01億ドル | 0.19億ドル [3.8%] | 0.21億ドル [4.2%] |
2005年 | 6.82億ドル | 0.02億ドル [0.3%] | 0.41億ドル [6.0%] |
2006年 | 9.96億ドル | 0.65億ドル [6.5%] | 0.48億ドル [4.8%] |
2007年 | 12.05億ドル | 0.91億ドル [7.6%] | 0.66億ドル [5.5%] |
2008年 | 13.64億ドル | 1.21億ドル [8.9%] | 0.83億ドル [6.1%] |
2009年 | 16.70億ドル | 1.92億ドル [11.5%] | 1.16億ドル [6.9%] |
2010年 | 21.63億ドル | 2.82億ドル [13.0%] | 1.61億ドル [7.4%] |
2011年 | 32.05億ドル | 3.76億ドル [11.7%] | 2.26億ドル [7.1%] |
2012年 | 36.09億ドル | 0.50億ドル [1.4%] | 0.17億ドル [0.5%] |
2013年 | 43.75億ドル | 2.28億ドル [5.2%] | 1.12億ドル [2.6%] |
2014年 | 55.04億ドル | 4.03億ドル [7.3%] | 2.67億ドル [4.9%] |
2015年 | 67.84億ドル | 3.06億ドル [4.5%] | 1.23億ドル [1.8%] |
2016年 | 88.31億ドル | 3.80億ドル [4.3%] | 1.87億ドル [2.1%] |
2017年 | 116.93億ドル | 8.39億ドル [7.2%] | 5.59億ドル [4.8%] |
2018年 | 157.94億ドル | 16.05億ドル [10.2%] | 12.11億ドル [7.7%] |
2019年 | 201.56億ドル | 26.04億ドル [12.9%] | 18.67億ドル [9.3%] |
2020年 | 249.96億ドル | 45.85億ドル [18.3%] | 27.61億ドル [11.0%] |
2021年 | 296.98億ドル | 61.95億ドル [20.9%] | 51.16億ドル [17.2%] |
2022年 | 316.16億ドル | 56.33億ドル [17.8%] | 44.92億ドル [14.2%] |
出所:Netflix
- ネットフリックスは、1997年8月創業。事業開始は1998年。初期はアメリカ国内におけるオンラインDVDレンタルサービス会社だった。2007年頃から動画配信を行う会社として事業拡大。
- 事業が黒字化した2003年から2022年までのネットフリックスの営業利益率の平均が11.4%。
- 有料会員数は世界に2億3075万人(2022年末時点)。巨大なサブスクビジネスを実現。
- 近年は、利益率上昇のために独自コンテンツの制作と独占配信を拡大。
- 有料加入者数の減少が判明した2021年後半から株価が大幅下落。株式時価総額は、2021年11月の2800億ドル台から、2022年5月には約900億ドル台へ。1/3レベルに。
- ライバルは、Amazonプライム、アップルTV、ディズニープラスなど。競合よりも他の事業ラインナップが弱く、動画ストリーミングサービスの一本足打法であるため、投資家から不安視されやすい。
- 2022年11月から「広告付き低料金プラン」を開始。日本円で月額790円。
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Netflixの財政・経営状況
年度 | 総資産 [現金・手元資金] |
負債総額 [有利子負債] |
自己資本・純資産 [自己資本比率(%)] |
---|---|---|---|
1998年 | 485万ドル [106万ドル] |
1289万ドル [17万ドル] |
-804万ドル(債務超過) [-165.8%] |
2000年 | 5249万ドル [1490万ドル] |
1億2576万ドル [102万ドル] |
-7327万ドル(債務超過) [-139.6%] |
2005年 | 3.64億ドル [2.12億ドル] |
1.38億ドル [なし] |
2.26億ドル [62.1%] |
2010年 | 9.82億ドル [3.50億ドル] |
6.92億ドル [2.02億ドル] |
2.90億ドル [29.5%] |
2015年 | 102.03億ドル [23.11億ドル] |
79.80億ドル [23.71億ドル] |
22.23億ドル [21.8%] |
2020年 | 392.80億ドル [82.06億ドル] |
282.15億ドル [163.09億ドル] |
110.65億ドル [28.2%] |
2021年 | 445.85億ドル [60.28億ドル] |
287.36億ドル [153.93億ドル] |
158.49億ドル [35.5%] |
2022年 | 485.95億ドル [60.58億ドル] |
278.18億ドル [150.53億ドル] |
207.77億ドル [42.8%] |
出所:Netflix
- 創業時の資本金は250万ドル。1998年から2021年にかけて、償還可能転換株式を活用した資金調達により、一気にオンラインDVDレンタルサービスの事業拡大。
- 会社の債務超過状態が解消されたのが2002年から。
- 一時は財務的な不安も抱えたが、2010年代後半からの業績拡大と比例して財務も強化。現在、Netflixの業績を考慮すると財務は問題なし。
社員数の推移
2010年 | 2015年 | 2020年 | 2022年 |
---|---|---|---|
2180人 | 3700人 | 9400人 | 12800人 |
- 売上や利益と比較して従業員はわりと少ない。人件費(固定費)が少なく、しかもサブスクビジネス。社員一人あたり利益が高い魅力的な稼ぎ方をしている。
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Netflixの有料加入者数
2011年 | 2012年 | 2013年 | 2014年 |
---|---|---|---|
2160万人 [-] |
3036万人 [8.14ドル] |
4143万人 [8.36ドル] |
5739万人 [8.20ドル] |
2015年 | 2016年 | 2017年 | 2018年 |
7476万人 [8.15ドル] |
9380万人 [8.61ドル] |
1億1064万人 [9.43ドル] |
1億3926万人 [10.31ドル] |
2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 |
1億6709万人 [10.82ドル] |
2億366万人 [10.91ドル] |
2億2184万人 [11.67ドル] |
2億3075万人 [11.76ドル] |
出所:Netflix
- 2020年はコロナ巣篭り需要で、サブスク会員が一気に3657万人も増加。ネトフリ創業以来、加入者の増加数が最も多かった。
- 2021年から2022年にかけて成長が鈍化。コロナ巣篭り需要からの反動が大きな原因とされるが、魅力的なコンテンツ不足が原因も一理あるかもしれない。成長が止まった?との観測により株価が急落。
各国の売上比率
国/地域 | 2017年/売上高 [全体比(%)] (有料会員数) |
2019年/売上高 [全体比(%)] (有料会員数) |
2022年/売上高 [全体比(%)] (有料会員数) |
---|---|---|---|
米国/カナダ | 66.61億ドル [57.0%] (5842万人) |
100.51億ドル [49.9%] (6766万人) |
140.85億ドル [44.6%] (7430万人) |
欧州/中東 /アフリカ |
23.63億ドル [20.2%] (2600万人) |
55.43億ドル [27.5%] (5179万人) |
97.45億ドル [30.8%] (7673万人) |
南米/中米 | 16.43億ドル [14.1%] (1972万人) |
27.95億ドル [13.9%] (3142万人) |
40.70億ドル [12.9%] (4170万人) |
アジア | 5.76億ドル [4.9%] (650万人) |
14.69億ドル [7.2%] (1623万人) |
35.70億ドル [11.3%] (3802万人) |
出所:Netflix
- お膝元のアメリカの収益が最も高い。有料会員数は2022年度で7430万人。アメリカ人の約2割がネトフリのサブスク会員という事になる。
- アメリカの次に売上が大きいのがヨーロッパ。映画やドラマを見る文化が定着している国ほど、有料会員数が多い模様。
- アジアは2022年度で3802万人の有料会員。このうち、日本の有料会員は約500万人ほど。日本人の約4%程度がネトフリの会員という事になる。
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独自コンテンツを増やす戦略
「他社保有コンテンツの著作権使用料を負担して配信する」。そのやり方では利益が出にくい。また、競合との差別化もできない。そこでネットフリックスは制作費を負担してNetflix独占配信コンテンツを増やすようになっている。
例えば、日本のアニメ会社に製作費を負担して独占ラインナップを増やし、世界のアニメファンを取り込む戦略をもつ。
なお、それまで独占アニメを確保したわりにヒット作が出なかったため、2022年からネットフリックスは日本でのアニメ製作本数を減らす動きに出ている。そして今後はヒットの確信がもてるような作品に絞って制作費を出していく見通し。
韓国ドラマに注力
2023年、ネトフリは2023年から2027年までに韓国コンテンツへ約25億ドルの投資を発表。Kドラマの制作を重視するようになっている。
理由は、成長分野がアジア市場だと考えており、そのアジアで韓国ドラマ人気が高い事とされる。そして、少ない制作費で視聴数をもたらす事ができる「コスパが良い」というもの。
- 韓国ドラマというと、対立や葛藤が基本ストーリー。三角関係などによる恨みや妬み、裏切り、復讐といった狭い世界にのめり込んだ作品が多く、ストーリー舞台が狭いため、制作費を抑える事が可能。
- 韓国は「情の文化」と言われるだけあって登場人物が「情」に訴えかけるシーンがとても多い。感情移入してしまうドラマ創りにより、視聴者も引き付けられてしまう。
こういった理由が低制作費で一定のファンを獲得できる理由だと筆者は予測。
一般的に「安定した世界にはドラマは生まれない」「混乱した世界ほどドラマは面白くなる」と言われるが、だとすると、韓国ドラマが面白いのは、韓国社会が混乱しているという事か。
同じ民族どうしで遺恨を乗り越えられない韓国と北朝鮮の現状も、韓国ドラマの世界観と無関係ではないはずだが、ネットフリックスはそんな韓国と共に歩む道を選択した模様。嫌な予感あり。
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