Microsoftの連結決算:通年の売上推移
年度 | 売上高・収益 | 営業利益 [営業利益率(%)] | 純利益・最終損益 [純利益率(%)] |
---|---|---|---|
1992年 | 27.59億ドル | – | 7.08億ドル [25.7%] |
1993年 | 37.53億ドル | – | 9.53億ドル [25.4%] |
1994年 | 46.49億ドル | 17.26億ドル [37.1%] | 11.46億ドル [24.7%] |
1995年 | 59.37億ドル (Windows95発売) | 20.38億ドル [34.3%] | 14.53億ドル [24.5%] |
1996年 | 86.71億ドル | 30.78億ドル [35.5%] | 21.95億ドル [25.3%] |
1997年 | 113.58億ドル | 51.30億ドル [45.2%] | 34.54億ドル [30.4%] |
1998年 | 152.62億ドル (Windows98発売) | 65.85億ドル [43.1%] | 44.90億ドル [29.4%] |
1999年 | 197.47億ドル | 100.10億ドル [50.7%] | 77.85億ドル [39.4%] |
2000年 | 229.56億ドル | 110.06億ドル [47.9%] | 94.21億ドル [41.0%] |
2001年 | 252.96億ドル (WindowsXP発売) | 117.20億ドル [46.3%] | 73.46億ドル [29.0%] |
2002年 | 283.65億ドル | 119.10億ドル [42.0%] | 78.29億ドル [27.6%] |
2003年 | 321.87億ドル | 132.17億ドル [41.1%] | 99.93億ドル [31.0%] |
2004年 | 368.35億ドル | 90.34億ドル [24.5%] | 81.68億ドル [22.2%] |
2005年 | 397.88億ドル | 145.61億ドル [36.6%] | 122.54億ドル [30.8%] |
2006年 | 442.82億ドル (WindowsVISTA発売) | 164.72億ドル [37.2%] | 125.99億ドル [28.5%] |
2007年 | 511.22億ドル | 185.24億ドル [36.2%] | 140.64億ドル [27.5%] |
2008年 | 604.20億ドル | 224.92億ドル [37.2%] | 176.81億ドル [29.2%] |
2009年 | 584.37億ドル (Windows7発売) | 203.64億ドル [34.8%] | 145.69億ドル [24.9%] |
2010年 | 624.84億ドル (クラウドAZURE開始) | 240.98億ドル [38.6%] | 187.60億ドル [30.0%] |
2011年 | 699.43億ドル | 271.61億ドル [38.8%] | 231.50億ドル [33.1%] |
2012年 | 737.23億ドル (Windows8発売) | 217.63億ドル [29.5%] | 169.78億ドル [23.0%] |
2013年 | 778.49億ドル | 267.64億ドル [34.4%] | 218.63億ドル [28.1%] |
2014年 | 868.33億ドル | 277.59億ドル [32.0%] | 220.74億ドル [25.4%] |
2015年 | 935.80億ドル (Windows10発売) | 181.61億ドル [19.4%] | 121.93億ドル [13.0%] |
2016年 | 911.54億ドル | 260.78億ドル [28.6%] | 205.39億ドル [22.5%] |
2017年 | 965.71億ドル | 290.25億ドル [30.1%] | 254.89億ドル [26.4%] |
2018年 | 1103.60億ドル | 350.58億ドル [31.8%] | 165.71億ドル [15.0%] |
2019年 | 1258.43億ドル | 429.59億ドル [34.1%] | 392.40億ドル [31.2%] |
2020年 | 1430.15億ドル | 529.59億ドル [37.0%] | 442.81億ドル [31.0%] |
2021年 | 1680.88億ドル | 699.16億ドル [41.6%] | 612.71億ドル [36.5%] |
2022年 | 1982.70億ドル | 833.83億ドル [42.1%] | 727.38億ドル [36.7%] |
2023年 | 2119.15億ドル | 885.23億ドル [41.8%] | 723.61億ドル [34.1%] |
出所:Microsoft。6月期決算のデータ。
- マイクロソフトは1975年設立。創業者はビル・ゲイツ。
- 1994年から2022年までのマイクロソフトの営業利益率の平均が36.8%。ライバルとの比較として、アップルの1992年から2022年までの営業利益率の平均が14.7%。2007年にiPhoneを発売するまでAppleは利益率が低かった。
- 1995年発売のWindows95が世界中でヒット。その後、2001年発表のWindowsXP以降、本格的に世界中でパソコンが普及。Appleのマッキントッシュを抑えてパソコン市場で主導権を握っていく。
- 2007年にアメリカでApple「iPhone」が世界初登場。マイクロソフトはモバイル分野への進出が遅れた事で、現在もその分野では存在感が薄い。
- 2010年から参入したクラウド事業「AZURE(アジュール)」の成長により、会社の業績も拡大。なお、競合のAmazonは2006年にクラウド事業「AWS」を設立。先行した事でAWSはクラウド市場トップシェア。
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Microsoftの財政・経営状況
年度 | 総資産 [現金・手元資金] |
負債総額 [有利子負債] |
自己資本・純資産 [自己資本比率(%)] |
---|---|---|---|
1995年 | 72.10億ドル [69.40億ドル] |
18.77億ドル [なし] |
53.33億ドル [74.0%] |
2000年 | 521.50億ドル [237.98億ドル] |
107.82億ドル [なし] |
413.68億ドル [79.3%] |
2005年 | 708.15億ドル [377.51億ドル] |
227.00億ドル [なし] |
481.15億ドル [67.9%] |
2010年 | 861.13億ドル [367.88億ドル] |
399.38億ドル [49.39億ドル] |
461.75億ドル [53.6%] |
2015年 | 1744.72億ドル [965.26億ドル] |
943.89億ドル [278.08億ドル] |
800.83億ドル [45.4%] |
2020年 | 3013.11億ドル [1365.27億ドル] |
1830.07億ドル [595.78億ドル] |
1183.04億ドル [39.3%] |
2021年 | 3337.79億ドル [1303.34億ドル] |
1917.91億ドル [581.46億ドル] |
1419.88億ドル [42.5%] |
2022年 | 3648.40億ドル [1047.57億ドル] |
1982.98億ドル [612.70億ドル] |
1665.42億ドル [45.7%] |
2023年 | 4119.76億ドル [1112.62億ドル] |
2057.53億ドル [] |
2062.23億ドル [50.1%] |
出所:Microsoft。6月期決算のデータ。
- 現金/現金同等物が有利子負債を上回る実質無借金経営。財務は安定。
- 2010年代から総資産が大きく増加しているが、これは2010年に参入したクラウド事業におけるデータセンターへの設備投資が主な要因。共にクラウド事業を抱えるAmazonなどもMS同様に資産急拡大。
- 2022年度の総資産規模をAmazonと比較すると、マイクロソフトの3648.40億ドルに対し、Amazonが4626.75億ドル。
社員数の推移
2010年 | 2015年 | 2020年 | 2022年 |
---|---|---|---|
8万9000人 | 11万8000人 | 16万3000人 | 22万1000人 |
- 近年は従業員数の増加ペースが加速。原因としては、企業買収による人員増加、半導体開発でエンジニアを増やしている事、サービス関連に力を入れている事などがあげられる。
企業買収の実績
2016年ビジネス特化型SNSのLinkedIn(リンクトイン)を262億ドルで買収。
2018年ソフトウェア開発におけるソースコードを保存・公開できるサービスのGitHub(ギットハブ)を75億ドルで買収。
2022年ゲームソフト大手のActivisionBlizzard(アクティビジョンブリザード)を687億ドルで買収を発表。同社は「Call of Duty」「Warcraft」「Hearthstone」「Diablo」などの世界的人気ゲームを所有するため、実現できるかどうかは各国の独占禁止法当局の承認を待つ必要がある。
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収益構造:セグメント別の成績
部門 | 2014年/売上高 [全体比(%)] |
2018年/売上高 [全体比(%)] |
2022年/売上高 [全体比(%)] |
---|---|---|---|
クラウド | 170.55億ドル [19.6%] |
261.29億ドル [23.7%] |
673.21億ドル [34.0%] |
Office関連 | 243.23億ドル [28.0%] |
283.16億ドル [25.7%] |
448.62億ドル [22.6%] |
Windows | 168.56億ドル [19.4%] |
195.18億ドル [17.7%] |
247.61億ドル [12.5%] |
ゲーム (Xbox) |
86.43億ドル [10.0%] |
103.53億ドル [9.4%] |
162.30億ドル [8.2%] |
LinkedIn (リンクトイン) |
– | 52.59億ドル [4.8%] |
138.16億ドル [7.0%] |
検索&広告 | 40.16億ドル [4.6%] |
70.12億ドル [6.4%] |
115.91億ドル [5.8%] |
企業向けサービス | 47.67億ドル [5.5%] |
58.46億ドル [5.3%] |
74.07億ドル [3.7%] |
デバイス (Surface PC) |
49.56億ドル [5.7%] |
51.34億ドル [4.7%] |
69.91億ドル [3.5%] |
その他 | 62.17億ドル [7.2%] |
27.93億ドル [2.5%] |
52.91億ドル [2.7%] |
出所:Microsoft
- MSの成長分野はクラウド事業「AZURE(アジュール)」。最も売上成長率が高く、利益率も良い。
- ワード、エクセル、パワーポイントなどのOffice製品は、Microsoft365(クラウド版Office)としても売上も拡大。
- 基本ソフトとしてのWindowsの売上は、パソコンの市場規模と比例。世界的にパソコンの販売台数は3億台前後で停滞しているため、あまり売上高も伸びない。
- ゲーム事業は、ゲーム機のXbox、そして傘下のゲームソフト会社の売上。企業買収などによりシェア拡大を目指すが、先行するソニーのゲーム事業に追いつくのは難しい。
- ビジネス特化型SNSのLinkedIn(リンクトイン)の売上成長が高い。SNSという形で雇用主と求職者を結び付け、課金制にする事で、より適した人材とマッチする事が可能。
- 検索/広告収入の増加は、検索エンジン「Bing」の使用回数をポイント制にしてユーザーを増やしている事が吉と出る。Microsoft EdgeやXboxのブラウザなどにおいてもデフォルトの検索エンジンがBing。Googleよりも「検索結果が良い」という人もそこそこ多い。
売上の海外比率
国/地域 | 2014年/売上高 [全体比(%)] |
2018年/売上高 [全体比(%)] |
2022年/売上高 [全体比(%)] |
---|---|---|---|
アメリカ | 434.74億ドル [50.1%] |
559.26億ドル [50.7%] |
1002.18億ドル [50.5%] |
アメリカ以外 | 433.59億ドル [49.9%] |
554.34億ドル [49.3%] |
980.52億ドル [49.5%] |
出所:Microsoft
- MSの売上比率は、アメリカ国内と海外で常に半々。アメリカ以外のすべての国を含めても、アメリカ一国と同じレベル。ソフトウェア産業や情報通信産業がアメリカに集中している事がわかる統計。
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Microsoftの強み
- パソコン市場では基本ソフトのWindowsは絶対的。WordやExcelなどのOffice製品も絶対的な存在で今後も安定収入が見込める。
- クラウド事業において、Amazonと共に2強状態。世界のクラウド市場のシェアを取ってしまったため、そこから利益率30%レベルの安定収益を見込める。しかもクラウド市場はまだまだ拡大傾向。
- Windowsからの膨大なセキュリティ情報をもつため、クラウド/データセンターにおいてもサイバー攻撃に対する信頼性がある。
- 保有するクラウド事業において巨大なデータセンターを保有する事から、関連したビジネスを広げていく事が可能。例えば、ゲーム事業との相乗効果や、半導体事業においては、自社開発のArmベース半導体を自社データセンター/サーバーに採用できたりする。
Microsoftのクラウド市場シェア
年度 | 2018年 | 2020年 | 2022年 |
---|---|---|---|
Amazon | 48% | 32% | 31% |
Microsoft | 16% | 20% | 24% |
4% | 7% | 8% | |
アリババ(中国) | 8% | 6% | 5% |
その他 | 24% | 35% | 32% |
出所:ガートナー
- 先行投資でダントツだったアマゾンの「AWS」がクラウド市場シェアを減らす中、「Microsoft Azure」はシェアを拡大。Amazonの顧客がマイクロソフトに移っているケースも多いという。近い将来、逆転の可能性もあり。
- クラウドサービスの「Microsoft365」や「Office」と簡単に連携できる事や、セキュリティに安心感がある事が、AZUREのユーザー増加につながっている。とはいえ、Amazonもセキュリティに弱いわけではない事を確認しておきたい。
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