Mercedes-Benz Groupの連結決算:通年の売上推移
年度 | 売上高・収益 [自動車販売台数] | 営業利益 [営業利益率(%)] | 純利益・最終損益 [純利益率(%)] |
---|---|---|---|
1998年 | 1317.82億ユーロ [432万台] | 85.83億ユーロ [6.5%] | 53.50億ユーロ [4.1%] |
1999年 | 1499.85億ユーロ [486万台] | 103.16億ユーロ [6.9%] | 62.26億ユーロ [4.2%] |
2000年 | 1623.84億ユーロ [475万台] | 52.13億ユーロ [3.2%] | 34.81億ユーロ [2.1%] |
2001年 | 1528.73億ユーロ [448万台] | 13.45億ユーロ [0.9%] | 7.30億ユーロ [0.5%] |
2002年 | 1495.83億ユーロ [454万台] | 58.29億ユーロ [3.9%] | 33.29億ユーロ [2.2%] |
2003年 | 1364.37億ユーロ [435万台] | 56.86億ユーロ [4.2%] | 4.48億ユーロ [0.3%] |
2004年 | 1420.59億ユーロ [472万台] | 57.54億ユーロ [4.1%] | 24.66億ユーロ [1.7%] |
2005年 | 1497.76億ユーロ [456万台] | 51.85億ユーロ [3.5%] | 28.46億ユーロ [1.9%] |
2006年 | 1515.89億ユーロ [444万台] | 55.17億ユーロ [3.6%] | 32.27億ユーロ [2.1%] |
出所:Mercedes-Benz Group。独ダイムラーと米クライスラーの合併時代のデータ。販売台数は、商用バンやバス・トラック部門を含む。
年度 | 売上高・収益 [グループ販売台数] |
営業利益 [営業利益率(%)] |
純利益・最終損益 [純利益率(%)] |
---|---|---|---|
2007年 | 993.99億ユーロ [208万台] |
87.10億ユーロ [8.8%] |
39.85億ユーロ [4.0%] |
2008年 | 984.69億ユーロ [207万台] |
27.30億ユーロ [2.8%] |
14.14億ユーロ [1.4%] |
2009年 | 789.24億ユーロ [155万台] |
-15.13億ユーロ [-1.9%] |
-26.44億ユーロ [-3.3%] |
2010年 | 977.61億ユーロ [189万台] |
72.74億ユーロ [7.4%] |
46.74億ユーロ [4.8%] |
2011年 | 1065.40億ユーロ [211万台] |
87.55億ユーロ [8.2%] |
56.67億ユーロ [5.3%] |
2012年 | 1142.97億ユーロ [219万台] |
86.15億ユーロ [7.5%] |
60.94億ユーロ [5.3%] |
2013年 | 1179.81億ユーロ [235万台] |
108.15億ユーロ [9.2%] |
87.20億ユーロ [7.4%] |
2014年 | 1298.71億ユーロ [254万台] |
107.52億ユーロ [8.3%] |
69.62億ユーロ [5.4%] |
2015年 | 1494.66億ユーロ [285万台] |
131.86億ユーロ [8.8%] |
84.23億ユーロ [5.6%] |
2016年 | 1532.61億ユーロ [299万台] |
129.02億ユーロ [8.4%] |
87.84億ユーロ [5.7%] |
2017年 | 1643.30億ユーロ [327万台] |
146.82億ユーロ [8.9%] |
108.64億ユーロ [6.6%] |
2018年 | 1673.62億ユーロ [335万台] |
111.32億ユーロ [6.7%] |
75.82億ユーロ [4.5%] |
2019年 | 1727.45億ユーロ [334万台] |
43.29億ユーロ [2.5%] |
27.09億ユーロ [1.6%] |
2020年 | 1543.09億ユーロ [284万台] |
66.03億ユーロ [4.3%] |
40.09億ユーロ [2.6%] |
2021年 | 1679.71億ユーロ [275万台] |
290.69億ユーロ [17.3%] |
233.96億ユーロ [13.9%] |
出所:Mercedes-Benz Group。クライスラーと別れたダイムラー社のデータ。販売台数は、商用バンやトラック・バス部門の成績を含む。EBIT=営業利益に相当としたデータ。
年度 | 売上高・収益 [グループ販売台数] |
営業利益 [営業利益率(%)] |
純利益・最終損益 [純利益率(%)] |
---|---|---|---|
2022年 | 1500.17億ユーロ [245万台] |
204.58億ユーロ [13.6%] |
148.09億ユーロ [9.9%] |
2023年 | 1532.18億ユーロ [249万台] |
196.60億ユーロ [12.8%] |
142.61億ユーロ [9.3%] |
出所:Mercedes-Benz Group。ダイムラーからトラック・バス部門を切り離して社名変更したメルセデス・ベンツグループのデータ。乗用車+バンの成績。EBIT=営業利益に相当としたデータ。
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平均利益率
メルセデス・ベンツの2007年から2022年までの営業利益率の平均が7.5%。比較として、BMWの1998年から2022年までの営業利益率の平均が7.5%。
会社の動向
- 1886年、ドイツの技術者カール・ベンツによって創業。世界で初めて自動車を生産した企業とされる。
- 日本では高級車ブランドとして定着しているが、欧州では安価な自動車、商用車も広く普及。
- 1998年、ダイムラーと米国クライスラーは合併を発表。社名は「ダイムラー・クライスラー」。
- 2007年、米国クライスラーと離婚し、社名をダイムラー社へ。翌年のリーマンショックの影響で2009年度は赤字。
- 2020年のコロナ低迷、2021年の半導体不足で大きく販売台数を落とす。
- 2021年度の営業利益と純利益が異常に高いのは、半導体不足によって自動車販売価格が上昇した事が大きく影響。
- 2022年度から、トラック・バス部門を切り離して、ダイムラー社からメルセデスベンツ・グループへ。分離したトラック・バス部門はダイムラートラック社に。
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Mercedes-Benz Groupの財政・経営状況
年度 | 総資産 [現金・手元資金] |
負債総額 [金融負債] |
自己資本・純資産 [自己資本比率(%)] |
---|---|---|---|
2000年 | 1992.74億ユーロ [71.27億ユーロ] |
1568.65億ユーロ [847.83億ユーロ] |
424.09億ユーロ [21.3%] |
2005年 | 2016.32億ユーロ [77.11億ユーロ] |
1651.83億ユーロ [809.32億ユーロ] |
364.49億ユーロ [18.1%] |
2010年 | 1358.30億ユーロ [109.03億ユーロ] |
978.77億ユーロ [641.91億ユーロ] |
379.53億ユーロ [27.9%] |
2015年 | 2171.66億ユーロ [99.36億ユーロ] |
1625.42億ユーロ [1135.02億ユーロ] |
546.24億ユーロ [25.2%] |
2020年 | 2857.37億ユーロ [230.48億ユーロ] |
2234.89億 ユーロ [1544.40億ユーロ] |
622.48億ユーロ [21.9%] |
2021年 | 2598.31億ユーロ [298.26億ユーロ] |
1866.64億ユーロ [1336.48億ユーロ] |
731.67億ユーロ [28.2%] |
2022年 | 2600.15億ユーロ [239.16億ユーロ] |
1734.75億ユーロ [1197.65億ユーロ] |
865.40億ユーロ [33.3%] |
出所:Mercedes-Benz Group。金融負債は、決算報告書の「financing liabilities」の数値。その中に有利子負債を含む。
- 2000年と2020年を比較すると、資産規模は1.4倍に拡大。比較として、フォルクスワーゲンは3.1倍、トヨタは3.5倍。ベンツの成長スピードはやや弱いといえる。
- 2005年と2010年を比較すると資産規模が大きく縮小。これは2007年にクライスラーと別れた事が要因。
年度 | 従業員数(連結) | 平均年収 | 設備投資費 | 研究開発費 |
---|---|---|---|---|
2010年 | 26万9887人 | – | 36.53億ユーロ | 48.49億ユーロ |
2015年 | 28万4015人 | – | 50.75億ユーロ | 65.64億ユーロ |
2020年 | 28万8481人 | – | 91.01億ユーロ | 86.14億ユーロ |
2023年 | 6万5323ユーロ | 85.47億ユーロ | 99.96億ユーロ |
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種類別の販売台数の推移
年度 | 乗用車(高級車) | 商用車バン | トラック・バス(大型) |
---|---|---|---|
2007年 | 129万台 | 28万台 | 50万台 |
2008年 | 127万台 | 28万台 | 51万台 |
2009年 | 109万台 | 16万台 | 29万台 |
2010年 | 127万台 | 22万台 | 39万台 |
2011年 | 138万台 | 26万台 | 46万台 |
2012年 | 145万台 | 25万台 | 49万台 |
2013年 | 156万台 | 27万台 | 51万台 |
2014年 | 172万台 | 29万台 | 53万台 |
2015年 | 200万台 | 32万台 | 53万台 |
2016年 | 219万台 | 36万台 | 44万台 |
2017年 | 237万台 | 40万台 | 49万台 |
2018年 | 238万台 | 42万台 | 54万台 |
2019年 | 238万台 | 43万台 | 52万台 |
2020年 | 208.7万台 | 37.4万台 | 37万台 |
2021年 | 194.3万台 | 38.6万台 | 45万台 |
2022年 | 204.0万台 | 41.5万台 | 52万台 |
2023年 | 204.4万台 | 44.7万台 |
トラック・バス部門の成績
2020年~2021年にかけて、ダイムラーグループから「大型商用車トラック・バス部門」が分離して誕生した「ダイムラートラック社」の成績。大まかな規模を確認。
年度 | 売上高・収益 [世界販売台数] |
営業利益 [営業利益率(%)] |
純利益・最終損益 [純利益率(%)] |
---|---|---|---|
2020年 | 360.13億ユーロ [37万台] |
4.91億ユーロ [1.3%] |
-1.31億ユーロ [-0.3%] |
2021年 | 397.64億ユーロ [45万台] |
33.57億ユーロ [8.4%] |
23.83億ユーロ [5.9%] |
傘下のフレートライナー(アメリカ)や三菱ふそう(日本)の業績も含むトラックとバスの合計。
- 乗用車部門と大型トラック・バス部門の分離について、当社CEOによると、販売顧客、技術、製造形態、資金繰りなど、多くの要素に違いがあり、しかも電気自動車に向かう中、相乗効果は薄れているため、分離しても問題ないとの事。
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ビッグ3市場のベンツの成績
欧州、中国、アメリカの世界3大自動車市場におけるメルセデスベンツの成績。なお、スマートブランドも含む。
年度 | ヨーロッパ/販売台数 [欧州シェア(%)] |
アメリカ/販売台数 [米国シェア(%)] |
中国/販売台数 [中国シェア(%)] |
---|---|---|---|
2017年 | 95万台 [6.1%] |
33万台 [1.9%] |
58万台 [2.0%] |
2018年 | 93万台 [5.9%] |
31万台 [1.8%] |
65万台 [2.3%] |
2019年 | 101万台 [6.5%] |
36万台 [2.1%] |
69万台 [2.6%] |
2020年 | 78万台 [6.5%] |
32万台 [2.2%] |
77万台 [3.0%] |
2021年 | 67万台 [6.3%] |
33万台 [2.2%] |
75万台 [2.8%] |
2022年 | 87.8万台 [6.5%] |
36.7万台 [2.7%] |
78.8万台 [2.9%] |
2023年 | 93.9万台 [6.2%] |
37.3万台 [2.4%] |
77.9万台 [2.6%] |
- 高級車カテゴリーのベンツは、世界中で常に一定の需要がある。
- ヨーロッパではライバルのBMWや、日本のTOYOTA、韓国のヒョンデ・キア(現代起亜)の存在感が上がり、相対的にメルセデスベンツの存在感が停滞ぎみ。
- 中国市場でベンツはBMWと共に安定した販売台数を確立。
- アメリカ市場におけるベンツのシェアは2%レベル。日本市場におけるベンツのシェアが1%レベルなので、米国では日本の道路で見かけるベンツの2倍レベルだと考えていい。
- ドイツ勢はアメリカ市場にあまり力を入れてこなかったため、ベンツだけではなく、VWやBMWにおいてもシェアは低め。
ベンツの日本市場シェア
日本における輸入車の動向。ドイツ3大高級ブランドのM・ベンツ、BMW、アウディの成績。比較としてトヨタの高級ブランド「レクサス」の成績も確認。
年度 | M・ベンツ [日本シェア(%)] |
BMW(単体) [日本シェア(%)] |
アウディ [日本シェア(%)] |
レクサス [日本シェア(%)] |
---|---|---|---|---|
2019年 | 6.6万台 [1.3%] |
4.6万台 [0.9%] |
2.4万台 [0.5%] |
6.2万台 [1.2%] |
2020年 | 5.7万台 [1.2%] |
3.5万台 [0.7%] |
2.0万台 [0.4%] |
4.9万台 [1.1%] |
2021年 | 5.1万台 [1.2%] |
3.5万台 [0.8%] |
2.2万台 [0.5%] |
5.1万台 [1.2%] |
2022年 | 5.3万台 [1.2%] |
3.2万台 [0.7%] |
2.3万台 [0.5%] |
4.1万台 [0.9%] |
出所:日本自動車輸入組合
- 高級外車というとメルセデス・ベンツというイメージが長く定着。富裕層には特にベンツが売れる。
- 日本ではベンツの「Cクラス」が売れ筋。
- BMWは「3シリーズ」が人気商品。
- トヨタのレクサスは日本の高級車市場で販売増加傾向。かつては高級車というと「外車」のイメージが強かったが、近年はそのイメージが低下傾向。
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中国資本化が進む
メルセデス・ベンツグループは、資本的に中国の存在が大きくなっている。まず、メルセデスグループの筆頭株主が中国の吉利グループで9.96%保有(2022年時点)。総額90億ドルを投資して株を買い進めたのだという。
吉利グループは、ボルボ(スウェーデン)を買収した中国企業。他にも以前にBMWグループの株式を買い続けていた歴史あり。
そして、メルセデスベンツグループの株式において、吉利を含む中国資本が全体で20%近くになっているという。(2023年時点)
つまり、現状が続けば中国との関係を深めないといけなくなる。ベンツは、バッテリーの供給先などでも中国企業との関係を深めているが、すでに始まっているのかもしれない。
アメリカや日本などと違ってヨーロッパは中国の脅威に対する意識が低かったため、あらゆる分野に中国企業が入り込むようになっている。
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