Mercedes-Benz Groupの決算(通年)の売上推移
年度 | 売上高・収益 [グループ販売台数] | 営業利益 [営業利益率(%)] | 純利益・最終損益 [純利益率(%)] |
---|---|---|---|
2007年 | 993.99億ユーロ [208万台] | 87.10億ユーロ [8.8%] | 39.85億ユーロ [4.0%] |
2008年 | 984.69億ユーロ [207万台] | 27.30億ユーロ [2.8%] | 14.14億ユーロ [1.4%] |
2009年 | 789.24億ユーロ [155万台] | -15.13億ユーロ(赤字) [-1.9%] | -26.44億ユーロ(赤字) [-3.3%] |
2010年 | 977.61億ユーロ [189万台] | 72.74億ユーロ [7.4%] | 46.74億ユーロ [4.8%] |
2011年 | 1065.40億ユーロ [211万台] | 87.55億ユーロ [8.2%] | 56.67億ユーロ [5.3%] |
2012年 | 1142.97億ユーロ [219万台] | 86.15億ユーロ [7.5%] | 60.94億ユーロ [5.3%] |
2013年 | 1179.81億ユーロ [235万台] | 108.15億ユーロ [9.2%] | 87.20億ユーロ [7.4%] |
2014年 | 1298.71億ユーロ [254万台] | 107.52億ユーロ [8.3%] | 69.62億ユーロ [5.4%] |
2015年 | 1494.66億ユーロ [285万台] | 131.86億ユーロ [8.8%] | 84.23億ユーロ [5.6%] |
2016年 | 1532.61億ユーロ [299万台] | 129.02億ユーロ [8.4%] | 87.84億ユーロ [5.7%] |
2017年 | 1643.30億ユーロ [327万台] | 146.82億ユーロ [8.9%] | 108.64億ユーロ [6.6%] |
2018年 | 1673.62億ユーロ [335万台] | 111.32億ユーロ [6.7%] | 75.82億ユーロ [4.5%] |
2019年 | 1727.45億ユーロ [334万台] | 43.29億ユーロ [2.5%] | 27.09億ユーロ [1.6%] |
2020年 | 1543.09億ユーロ [284万台] | 66.03億ユーロ [4.3%] | 40.09億ユーロ [2.6%] |
2021年 | 1679.71億ユーロ (21兆8362億円) [275万台] | 290.69億ユーロ (3兆7789億円) [17.3%] | 233.96億ユーロ (3兆414億円) [13.9%] |
- 2007年に米国クライスラーと別れ、ダイムラー社誕生。
- 2009年度の赤字はアメリカ金融危機(リーマンショック)の影響。
- 2010年代の販売台数の増加は、中国を含むアジア地域が牽引。
- 営業利益率は8%前後。トヨタ自動車と同レベルだが、一台あたりの利益率でいえばベンツのほうが圧倒的に高い。(2倍という話しも)
- 2020年のコロナ低迷、2021年の半導体不足で大きく販売台数を落とす。
- 2021年度の営業利益と純利益が異常に高いのは、半導体不足によって自動車販売価格が上昇した事が大きく影響。
Mercedes-Benz Groupの経営と財政
年度 | 総資産 | 負債総額 | 自己資本・純資産 [自己資本比率(%)] |
---|---|---|---|
2000年 | 1992.74億ユーロ | 1568.65億ユーロ | 424.09億ユーロ [21.3%] |
2005年 | 2016.32億ユーロ | 1651.83億ユーロ | 364.49億ユーロ [18.1%] |
2010年 | 1358.30億ユーロ | 978.77億ユーロ | 379.53億ユーロ [27.9%] |
2015年 | 2171.66億ユーロ | 1625.42億ユーロ | 546.24億ユーロ [25.2%] |
2020年 | 2857.37億ユーロ | 2234.89億 ユーロ | 622.48億ユーロ [21.9%] |
2021年 | 2598.31億ユーロ (33兆7780億円) |
1866.64億ユーロ (24兆2663億円) |
731.67億ユーロ (9兆5117億円) [28.2%] |
- 2000年と2020年を比較すると、資産規模は1.4倍に拡大。比較参考として、フォルクスワーゲンは3.1倍、トヨタは3.5倍。ベンツの成長スピードはやや弱いといえる。
- 2005年と2010年を比較すると資産規模が大きく縮小。これは2007年にクライスラーと別れた事が要因。
種類別の販売台数の推移
年度 | 乗用車(高級車) | 商用車バン | トラック・バス(大型) |
---|---|---|---|
2007年 | 129万台 | 28万台 | 50万台 |
2008年 | 127万台 | 28万台 | 51万台 |
2009年 | 109万台 | 16万台 | 29万台 |
2010年 | 127万台 | 22万台 | 39万台 |
2011年 | 138万台 | 26万台 | 46万台 |
2012年 | 145万台 | 25万台 | 49万台 |
2013年 | 156万台 | 27万台 | 51万台 |
2014年 | 172万台 | 29万台 | 53万台 |
2015年 | 200万台 | 32万台 | 53万台 |
2016年 | 219万台 | 36万台 | 44万台 |
2017年 | 237万台 | 40万台 | 49万台 |
2018年 | 238万台 | 42万台 | 54万台 |
2019年 | 238万台 | 43万台 | 52万台 |
2020年 | 246万台 | 37万台 | |
2021年 | 242万台 | 45万台 |
トラック・バス部門の成績
2020年~2021年にかけて、ダイムラーグループから「大型商用車トラック・バス部門」が分離して誕生した「ダイムラートラック社」の成績。大まかな規模を確認。
年度 | 売上高・収益 [世界販売台数] |
営業利益 [営業利益率(%)] |
純利益・最終損益 [純利益率(%)] |
---|---|---|---|
2020年 | 360.13億ユーロ (4兆6816億円) [37万台] |
4.91億ユーロ (638億円) [1.3%] |
-1.31億ユーロ(赤字) (-170億円) [-0.3%] |
2021年 | 397.64億ユーロ (5兆1693億円) [45万台] |
33.57億ユーロ (4364億円) [8.4%] |
23.83億ユーロ (3097億円) [5.9%] |
ビッグ3市場のベンツの成績
欧州、中国、アメリカの世界3大自動車市場におけるメルセデスベンツの成績。なお、スマートブランドも含む。
年度 | ヨーロッパ/販売台数 [欧州シェア(%)] |
中国/販売台数 [中国シェア(%)] |
アメリカ/販売台数 [米国シェア(%)] |
---|---|---|---|
2017年 | 95万台 [6.1%] |
58万台 [2.0%] |
33万台 [1.9%] |
2018年 | 93万台 [5.9%] |
65万台 [2.3%] |
31万台 [1.8%] |
2019年 | 101万台 [6.5%] |
69万台 [2.6%] |
36万台 [2.1%] |
2020年 | 78万台 [6.5%] |
77万台 [3.0%] |
32万台 [2.2%] |
2021年 | 67万台 [5.8%] |
75万台 [2.8%] |
33万台 [2.2%] |
- 高級車カテゴリーのベンツは、世界中で常に一定の需要がある。
- ヨーロッパではライバルのBMWや、日本のTOYOTA、韓国のヒョンデ・キア(現代起亜)の存在感が上がり、相対的にメルセデスベンツの存在感が停滞ぎみ。
- 中国市場でベンツはBMWと共に安定した販売台数を確立。
- アメリカ市場におけるベンツのシェアは2%レベル。日本市場におけるベンツのシェアが1%レベルなので、米国では日本の道路で見かけるベンツの2倍レベルだと考えていい。
- ドイツ勢はアメリカ市場にあまり力を入れてこなかったため、ベンツだけではなく、VWやBMWにおいてもシェアは低め。
ベンツの日本市場シェア
日本における輸入車の動向。ドイツ3大高級ブランドのM・ベンツ、BMW、アウディの成績。比較としてトヨタの高級ブランド「レクサス」の成績も確認。
メーカー・ブランド | 2019年/販売台数 [日本シェア(%)] |
2020年/販売台数 [日本シェア(%)] |
2021年/販売台数 [日本シェア(%)] |
---|---|---|---|
M・ベンツ | 6.6万台 [1.3%] |
5.7万台 [1.2%] |
5.1万台 [1.2%] |
BMW | 4.6万台 [0.9%] |
3.5万台 [0.7%] |
3.5万台 [0.8%] |
アウディ | 2.4万台 [0.5%] |
2.0万台 [0.4%] |
2.2万台 [0.5%] |
レクサス | 6.2万台 [1.2%] |
4.9万台 [1.1%] |
5.1万台 [1.2%] |
- 高級外車というとメルセデス・ベンツというイメージが長く定着。富裕層には特にベンツが売れる。
- 日本ではベンツの「Cクラス」が売れ筋。
- BMWは「3シリーズ」が人気商品。
- トヨタのレクサスは日本の高級車市場で販売増加傾向。
再編の歴史
- 1926年~1998年:ダイムラー・ベンツ
- 1998年~2007年:ダイムラー・クライスラー
- 2007年~2021年:ダイムラー(米国クライスラーとの離婚により誕生)
- 2021年~:ダイムラー・トラック(ダイムラーのトラック部門が分離独立し誕生)
- 2022年2月~:メルセデス・ベンツ・グループ(ダイムラーから社名変更して誕生)
再編が激しい業界で、独自の哲学で存在感を示してきたダイムラーベンツだったが、1998年に米国の名門クライスラーと合併。
世紀の合併と言われ、これにより今までの伝統が変化するのかと思われたが、価値観の違いにより2007年に離婚。社名から「クライスラー」が外れ「ダイムラー社」へ。
2021年度から企業価値を明確にするため乗用車部門とトラック部門を分離。トラック・バス部門は「ダイムラートラック」となり上場。
メインの乗用車部門はダイムラーから「メルセデス・ベンツ・グループ」に社名変更。(2022年2月)
合理性が失われる事はない
乗用車部門と大型トラック・バス部門は、販売顧客、技術、製造形態、資金繰りなど、多くの要素に違いがあり、しかも電気自動車に向かう中、相乗効果は薄れているため、分離しても問題ないとの判断。(当社CEO談)
中国資本化が進む
メルセデス・ベンツグループは、資本的に中国の存在が大きくなっている。まず、メルセデスグループの筆頭株主が中国の吉利グループで9.96%保有(2022年時点)。総額90億ドルを投資して株を買い進めたのだという。
吉利グループは、ボルボ(スウェーデン)を買収した中国企業。他にも以前にBMWグループの株式を買い続けていた歴史あり。
そして、メルセデスベンツグループの株式において、吉利を含む中国資本が全体で20%近くになっているという。
つまり、現状が続けば中国との関係を深めないといけなくなる。ベンツは、バッテリーの供給先などでも中国企業との関係を深めているが、すでに始まっているのかもしれない。
アメリカや日本などと違ってヨーロッパは中国の脅威に対する意識が低かったため、あらゆる分野に中国企業が入り込むようになっている。
バッテリーEV戦略
将来的にガソリン車・ディーゼル車が縮小に向かい、電気自動車への代替に向かうとされる。その変革が起こる中、メルセデス・ベンツのバッテリーEV投資はいかなるものか。
まずバッテリー提携先は以下。
- CATL(中国)
- ファラシス・エナジー社(中国)
- 他にも、欧州企業もサプライヤー入りすると思われる。
そして、2030年までに400億ユーロ(約5兆2000億円)をEVに投資。2030年にもガソリン車をゼロにし、テスラのようなEV専業になる可能性もあるという。
高級車メーカーのベンツが、どのような高級EVをリリースしていくのか、今後に期待。