Amazonの連結決算:通年の売上推移
年度 | 売上高・収益 | 営業利益 [営業利益率(%)] | 純利益・最終損益 [純利益率(%)] |
---|---|---|---|
1995年 | 51万ドル (事業開始の年) | -30万ドル [-58.8%] | -30万ドル [-58.8%] |
1996年 | 1574万ドル | -597万ドル [-37.9%] | -577万ドル [-36.7%] |
1997年 | 1.48億ドル | -0.33億ドル [-22.3%] | -0.31億ドル [-20.9%] |
1998年 | 6.10億ドル | -1.09億ドル [-17.8%] | -1.24億ドル [-20.3%] |
1999年 | 16.40億ドル | -6.06億ドル [-36.9%] | -7.19億ドル [-43.8%] |
2000年 | 27.62億ドル (日本で通販事業参入) | -8.64億ドル [-31.2%] | -14.11億ドル [-51.0%] |
2001年 | 31.22億ドル | -4.12億ドル [-13.1%] | -5.67億ドル [-18.1%] |
2002年 | 39.33億ドル | 0.64億ドル [1.6%] | -1.49億ドル [-3.8%] |
2003年 | 52.63億ドル | 2.71億ドル [5.1%] | 0.35億ドル [0.7%] |
2004年 | 69.21億ドル | 4.40億ドル [6.3%] | 5.88億ドル [8.5%] |
2005年 | 84.90億ドル | 4.32億ドル [5.0%] | 3.59億ドル [4.2%] |
2006年 | 107.10億ドル (クラウド事業AWS設立) | 3.89億ドル [3.6%] | 1.90億ドル [1.8%] |
2007年 | 148.35億ドル | 6.55億ドル [4.4%] | 4.76億ドル [3.2%] |
2008年 | 191.66億ドル | 8.42億ドル [4.3%] | 6.45億ドル [4.0%] |
2009年 | 245.09億ドル | 11.29億ドル [4.6%] | 9.02億ドル [3.7%] |
2010年 | 342.04億ドル | 14.06億ドル [4.1%] | 11.52億ドル [3.4%] |
2011年 | 480.77億ドル | 8.62億ドル [1.8%] | 6.31億ドル [1.3%] |
2012年 | 610.93億ドル | 6.76億ドル [1.1%] | -0.39億ドル [-0.06%] |
2013年 | 744.52億ドル | 7.45億ドル [0.9%] | 2.74億ドル [0.4%] |
2014年 | 889.87億ドル | 1.77億ドル [0.2%] | -2.41億ドル [-0.3%] |
2015年 | 1070.05億ドル | 22.32億ドル [2.0%] | 5.96億ドル [0.5%] |
2016年 | 1359.87億ドル | 41.86億ドル [1.7%] | 23.71億ドル [1.7%] |
2017年 | 1778.66億ドル | 41.06億ドル [2.3%] | 30.33億ドル [1.7%] |
2018年 | 2328.87億ドル | 124.21億ドル [5.3%] | 100.73億ドル [4.3%] |
2019年 | 2805.22億ドル | 145.41億ドル [4.8%] | 115.88億ドル [4.1%] |
2020年 | 3860.64億ドル | 228.99億ドル [5.5%] | 213.31億ドル [5.5%] |
2021年 | 4698.22億ドル | 248.79億ドル [5.2%] | 333.64億ドル [7.1%] |
2022年 | 5139.83億ドル | 122.48億ドル [2.4%] | -27.22億ドル [-0.05%] |
2023年 | 5747.85億ドル | 368.52億ドル [6.4%] | 304.25億ドル [5.3%] |
出所:Amazon。本決算期は12月末。
スポンサーリンク
平均利益率
事業が黒字化した2002年を起点として、アマゾンの2002年から2022年までの営業利益率の平均が3.4%。
会社の動向
- Amazonの設立は1994年。事業開始は1995年度から。創業者はジェフ・ベゾス。
- 売上の多くを占める通販事業が薄利多売で、さらに先行投資が続くため、全体的な利益率は低め。
- 通販事業は薄利多売とはいえ、売上規模が巨大に。事業各国の物流の中心的な存在になってきている。
- アマゾンの日本市場への参入は2000年。(日本語サイトが公開された年)。比較として、競合の楽天市場のサービスが開始されたのが1997年5月。
- Amazonの営業利益の大半が2006年に参入したクラウド事業「AWS」によるもの。AWSがなかったら大赤字に転落する年もある。
- クラウド事業の業績推移
- Amazonのクラウド「AWS」
- 競合の業績推移
- マイクロソフト
- Google/Alphabet
- ネットフリックス
- 楽天
スポンサーリンク
アマゾンの財政・経営状況
年度 | 総資産 [現金・手元資金] |
負債総額 [有利子負債] |
自己資本・純資産 [自己資本比率(%)] |
---|---|---|---|
1995年 | 108万ドル [99万ドル] |
11万ドル [なし] |
97万ドル [89.8%] |
2000年 | 21.35億ドル [8.22億ドル] |
31.02億ドル [21.44億ドル] |
-9.67億ドル(債務超過) [-45.3%] |
2005年 | 36.96億ドル [10.13億ドル] |
34.50億ドル [15.21億ドル] |
2.46億ドル [6.7%] |
2010年 | 187.97億ドル [87.62億ドル] |
119.33億ドル [15.61億ドル] |
68.64億ドル [36.5%] |
2015年 | 647.47億ドル [198.08億ドル] |
513.63億ドル [82.27億ドル] |
133.84億ドル [20.7%] |
2020年 | 3211.95億ドル [843.96億ドル] |
2277.91億ドル [318.16億ドル] |
934.04億ドル [29.1%] |
2021年 | 4205.49億ドル [960.49億ドル] |
2823.04億ドル [487.44億ドル] |
1382.45億ドル [32.9%] |
2022年 | 4626.75億ドル [700.26億ドル] |
3166.32億ドル [671.50億ドル] |
1460.43億ドル [31.6%] |
2023年 | 5278.54億ドル [867.80億ドル] |
3259.79億ドル [583.14億ドル] |
2018.75億ドル [38.2%] |
出所:Amazon。
- 1994年の設立からしばらくは利益が出ない中で先行投資が続き、債務超過状態が続いたが、投資家はジェフ・ベゾスを信じ続けた。
- 2010年代から資産規模が急拡大しているが、これは通販事業の他に、クラウド事業AWS用のデータセンター設備投資を業界ダントツのボリュームで行ってきた事が大きな要因。マイクロソフトも同様の現象が起こっている。
- アマゾンの2022年度の総資産規模をマイクロソフトと比較すると、Amazonが4626.75億ドル、マイクロソフトが3648.40億ドル。
全社員数とR&Dの推移
年度 | 従業員数(連結) | 設備投資費 | 研究開発費 |
---|---|---|---|
2010年 | 3万3700人 | – | 17.34億ドル |
2015年 | 23万800人 | 64億ドル | 125.40億ドル |
2020年 | 129万8000人 | – | 427.40億ドル |
2023年 | 152万5000人 | 500億ドル | 856.22億ドル |
出所:
- 2020年は、2019年比で50万人の従業員増加。コロナウイルスによる通販事業の注文が殺到した事が要因。
- コロナ問題を乗り越えた後はリストラに踏み切っている。2023年1月に18000人、追加で2023年3月に9000人のリストラ。全体的には、ごくわずか。
- 設備投資費の多くは、Amazonクラウド「AWS」のデータセンター向け。日本のデータセンターに対しては2023年から2027年まで約150億ドルの投資を見込む。
スポンサーリンク
収益構造・セグメント別の成績
部門 | 2020年/売上高 [売上比率(%)] |
2021年/売上高 [売上比率(%)] |
2022年/売上高 [売上比率(%)] |
---|---|---|---|
ネット通販 | 1973.46億ドル [51.1%] |
2220.75億ドル [47.3%] |
2200.04億ドル [42.8%] |
マーケットプレイス | 804.61億ドル [20.8%] |
1033.66億ドル [22.0%] |
1177.16億ドル [22.9%] |
実店舗販売 | 162.27億ドル [4.2%] |
170.75億ドル [3.6%] |
189.63億ドル [3.7%] |
サブスク (アマゾンプライム) |
252.07億ドル [6.5%] |
317.68億ドル [6.8%] |
352.18億ドル [6.9%] |
広告サービス | 197.73億ドル [5.1%] |
311.60億ドル [6.6%] |
377.39億ドル [7.3%] |
AWS (クラウド) |
453.70億ドル [11.8%] |
622.02億ドル [13.2%] |
800.96億ドル [15.6%] |
その他 | 16.80億ドル [0.4%] |
21.76億ドル [0.5%] |
42.47億ドル [0.8%] |
出所:Amazon。なお、AWS以外の営業利益は公表しておらず。
- クラウドのAWS以外は、オンライン通販を軸とした売上。全体からAWSを引いた4339億ドルほどがそれに当たる。(2022年度)
- 2022年に自前倉庫発のネット通販事業の売上が前年比マイナス成長。コロナ後の反動かもしれないが、2022年夏から始まった物価高の影響もありそう。
- マーケットプレイスの売上は成長。損失リスクがある自前倉庫の拡大よりも、この分野を伸ばしていく見込み。なお、成長を急ぎ過ぎたのか、中国系の悪質業者を増やす結果にもつながっている。
- 実店舗販売は主にアメリカで展開。金融関連との相性も良く、規模の利点拡大を目指す。ウォルマート(米国最大の小売り企業)のような存在を目指すのかと言われていたが、動向を見るとまだ結論は出ない。
- サブスクリプションサービスのAmazonプライム(有料会員)は、配送料(時間指定を含む)無料、プライムビデオ見放題などのメリット。2021年4月、アマゾンは世界のプライム会員数が2億人を超えたと発表。音楽配信もこのセグメントに入る。
- 広告サービスは、Amazon通販サイト内の広告収入。ユーザーの検索語句に応じて広告を表示。アマゾンで検索すると、売れてなさそうな商品が上位ヒットする理由がコレ。
- Amazonの業績を支えるのがクラウド事業「AWS」(Amazon Web Service)。クラウド市場トップシェアで、Amazonの営業利益の大半をもたらす存在。そのAWSが利益率30%ほどをキープしながら売上高が拡大しているのがAmazonの強み。
地域別/国別の成績
Amazonの事業は、アメリカ、カナダ、イギリス、フランス、ドイツ、日本、イタリア、スペイン、ブラジル、インド、メキシコ、オーストラリアなど世界中で展開。その中でも売上規模が大きいアメリカ、ドイツ、イギリス、日本の売上推移を確認。
国/地域 | 2020年/売上高 [全体比(%)] |
2021年/売上高 [全体比(%)] |
2022年/売上高 [全体比(%)] |
---|---|---|---|
アメリカ | 2635.20億ドル [68.3%] |
3140.46億ドル [66.8%] |
3561.13億ドル [69.3%] |
ドイツ | 295.65億ドル [7.7%] |
373.26億ドル [7.9%] |
335.98億ドル [6.6%] |
イギリス | 264.83億ドル [6.9%] |
319.14億ドル [6.8%] |
300.74億ドル [5.9%] |
日本 | 204.61億ドル [5.3%] |
230.71億ドル [4.9%] |
243.96億ドル [4.7%] |
その他 | 460.35億ドル [11.9%] |
635.05億ドル [13.5%] |
698.02億ドル [13.6%] |
出所:Amazon。通販事業やAWSなどを含むAmazonの事業すべての国別売上高。
- どの国においても、2020年発生のコロナ/ソーシャルディスタンスにより、ネット通販の売上が増加。
- お膝元アメリカの売上成長が力強い。アマゾンは世界展開を進めるが、それでもアメリカへの売上比率が落ちない。アメリカの小売から物流までをAmazonが支配するのではないかと不安視されるレベルの存在感。
- ドイツやイギリスでは2022年度に売上が減少。コロナ後の反動なのか、それとも成長の頭打ちという事か。
スポンサーリンク
日本市場の成績
2010年 | 2011年 | 2012年 | 2013年 |
---|---|---|---|
50.25億ドル | 65.76億ドル | 78.00億ドル | 76.39億ドル |
2014年 | 2015年 | 2016年 | 2017年 |
79.12億ドル | 82.64億ドル | 107.97億ドル | 119.07億ドル |
2018年 | 2019年 | 2020年 | 2021年 |
138.29億ドル | 160.02億ドル | 204.61億ドル | 230.71億ドル |
2022年 | |||
243.96億ドル |
出所:Amazon
- 日本国内のネット通販事業は、楽天とAmazonの2強状態、プラスYahooといった状況。
- 2022年度の楽天のEC流通総額は5.6兆円ほど。Amazonの日本売上高が243.96億ドルで、日本円換算では3.17兆円(1ドル130円)だが、Amazonマーケットプレイスを含めると、EC流通総額は楽天と同じレベルだとされる。(なお、三木谷社長は楽天が上と断言)
- Amazonも楽天と同じようにポイント戦略を強化。クレジットカード普及とAmazonポイントを連動させて、Amazon経済圏を拡大させる戦略。
- 日本国内のAmazonプライム会員数は1460万人(2021年時点)。日本の人口の1割以上が有料会員という事になる。
スポンサーリンク
関連記事