HONDAの連結決算:通年の売上推移
年度 | 売上高・収益 [自動車・販売台数] | 営業利益 [営業利益率(%)] | 純利益・最終損益 [純利益率(%)] |
---|---|---|---|
2001年 | 7兆3624億円 | 6612億円 [9.0%] | 3627億円 [4.9%] |
2002年 | 7兆9714億円 [283万台] | 7245億円 [9.1%] | 4266億円 [5.4%] |
2003年 | 8兆1626億円 [298万台] | 6001億円 [7.4%] | 4643億円 [5.7%] |
2004年 | 8兆6501億円 [319万台] | 6309億円 [7.3%] | 4861億円 [5.6%] |
2005年 | 9兆9079億円 [336万台] | 8689億円 [8.8%] | 5970億円 [6.0%] |
2006年 | 11兆871億円 [365万台] | 8518億円 [7.7%] | 5923億円 [5.3%] |
2007年 | 12兆28億円 [392万台] | 9531億円 [7.9%] | 6000億円 [5.0%] |
2008年 | 10兆112億円 [378万台] | 1896億円 [1.9%] | 1370億円 [1.4%] |
2009年 | 8兆5791億円 [351万台] | 3637億円 [4.2%] | 2684億円 [3.1%] |
2010年 | 8兆9368億円 [339万台] | 5697億円 [6.4%] | 5340億円 [6.0%] |
2011年 | 7兆9480億円 [310万台] | 2313億円 [2.9%] | 2114億円 [2.7%] |
2012年 | 9兆8779億円 [401万台] | 5448億円 [5.5%] | 3671億円 [3.7%] |
2013年 | 11兆8424億円 [432万台] | 7502億円 [6.3%] | 5741億円 [4.8%] |
2014年 | 13兆3280億円 [436万台] | 6706億円 [5.0%] | 5094億円 [3.8%] |
2015年 | 14兆6011億円 [474万台] | 5033億円 [3.4%] | 3445億円 [2.4%] |
2016年 | 13兆9992億円 [502万台] | 8407億円 [6.0%] | 6165億円 [4.4%] |
2017年 | 15兆3611億円 [519万台] | 8335億円 [5.4%] | 1兆593億円 [6.9%] |
2018年 | 15兆8886億円 [532万台] | 7263億円 [4.6%] | 6103億円 [3.8%] |
2019年 | 14兆9310億円 [479万台] | 6336億円 [4.2%] | 4557億円 [3.1%] |
2020年 | 13兆1705億円 [454万台] | 6602億円 [5.0%] | 6574億円 [5.0%] |
2021年 | 14兆5526億円 [407万台] | 8712億円 [6.0%] | 7070億円 [4.9%] |
2022年 | 16兆9077億円 [369万台] | 8394億円 [5.0%] | 6953億円 [4.1%] |
出所:HONDA
- 2001年から2022年までのホンダの営業利益率の平均は5.9%。競合との比較として、トヨタの1999年から2022年までの営業利益率の平均は7.0%。日産の1991年から2022年までの営業利益率の平均は4.2%。
- 2008年の金融危機(リーマンショック)でもホンダは黒字を確保。米国販売において、販売台数を伸ばすための金融サービス(自動車ローン)の依存レベルが低かった事が損失を防げた理由。なお、2008年はトヨタは赤字転落。
- 全体的に業績は立派だが、やはりトヨタと比べられる運命なのでネガティブに見られがち。
HONDAの財政・経営状況
年度 | 総資産 [現金・手元資金] |
負債総額 [有利子負債] |
自己資本・純資産 [自己資本比率(%)] |
---|---|---|---|
2005年 | 10兆6314億円 [7473億円] |
6兆5056億円 [3兆2302億円] |
4兆1258億円 [38.8%] |
2010年 | 11兆6291億円 [1兆1199億円] |
7兆1727億円 [4兆1016億円] |
4兆4564億円 [38.3%] |
2015年 | 18兆2292億円 [1兆7574億円] |
11兆4678億円 [6兆6638億円] |
6兆7614億円 [37.1%] |
2020年 | 21兆9210億円 [2兆7580億円] |
12兆8387億円 [7兆7209億円] |
9兆823億円 [41.4%] |
2021年 | 23兆9731億円 [3兆6749億円] |
13兆5003億円 [8兆1025億円] |
10兆4728億円 [43.7%] |
2022年 | 24兆6701億円 [3兆8030億円] |
13兆1240億円 [7兆6652億円] |
11兆5461億円 [46.8%] |
出所:HONDA
- 自己資本比率40%前後を規律として、安定的に資産規模を拡大。
- 財務は安定的と言えるが、今後ガソリンエンジンから電気自動車に向かう中、もしもの時のために有利子負債を減らしていきたいところ。
連結社員数と開発投資について
年度 | 従業員数(連結) | 平均年収 | 設備投資費 | 研究開発費 |
---|---|---|---|---|
2005年 | 14万4785人 | 820万円 | 4578億円 | 4800億円 |
2010年 | 17万9060人 | 732万円 | 3114億円 | 4875億円 |
2015年 | 20万8399人 | 773万円 | 6474億円 | 7198億円 |
2020年 | 21万1374人 | 799万円 | 3212億円 | 7800億円 |
出所:HONDA。有価証券報告書
収益構造:セグメント別の業績
事業 | 2021年/売上高 [営業利益:利益率(%)] |
2022年売上高 [営業利益:利益率(%)] |
---|---|---|
四輪(自動車) | 9兆3605億円 [2362億円:2.5%] |
10兆7817億円 [420億円:0.4%] |
二輪(バイク) | 2兆1852億円 [3114億円:14.3%] |
2兆9090億円 [4887億円:16.8%] |
金融サービス | 2兆8233億円 [3330億円:11.8%] |
2兆9561億円 [2859億円:9.7%] |
パワープロダクツ | 4217億円 [-95億円:-2.3%] |
4764億円 [228億円:4.8%] |
出所:HONDA
- 一番肝心な自動車部門の営業利益率が悪い。よくトヨタと比べられる問題。
- バイク部門(二輪部門)は売上高と営業利益ともに申し分なし。アジアの需要をつかみ高利益。
- 金融サービスの利益率や安定性は業界トップクラス。
- 発電機や船外機などのエンジン部門「パワープロダクツ」は競争が激しく、利益が出にくい。
バイク部門の売上台数
2002年 | 2003年 | 2004年 | 2005年 |
---|---|---|---|
809万台 | 920万台 | 1080万台 | 1027万台 |
2006年 | 2007年 | 2008年 | 2009年 |
1036万台 | 932万台 | 1011万台 | 963万台 |
2010年 | 2011年 | 2012年 | 2013年 |
1144万台 | 1506万台 | 1549万台 | 1702万台 |
2014年 | 2015年 | 2016年 | 2017年 |
1759万台 | 1705万台 | 1766万台 | 1955万台 |
2018年 | 2019年 | 2020年 | 2021年 |
2023万台 | 1934万台 | 1513万台 | 1702万台 |
2022年 | |||
1876万台 |
出所:HONDA
- ホンダのバイクは販売台数で世界トップシェア。
- 幅広いカテゴリーのバイクを手掛ける。
- 販売ボリュームが多いのはアジア地域。信頼の高い絶対的なブランドとなっている。
パワープロダクツ事業
ホンダのパワープロダクツ部門は、エンジン関連製品。発電機、除雪機、芝刈り機、耕うん機、船外機など。
2005年 | 2010年 | 2015年 | 2020年 |
---|---|---|---|
587万台 | 550万台 | 596万台 | 562万台 |
出所:HONDA
- 発電機や船外機などに使用される汎用エンジンの世界市場規模は年間約3500万台。年間500~600万台を生産販売するホンダは世界シェア17%ほど。
- 芝刈り機などではアメリカではトップシェア。船外機の世界シェアは6%ほど。
- 地域別では、北米が293万台、ヨーロッパが86万台、中国が57万台、日本が30万台、南米が11万台、その他アジアが108万台を売上。(2019年度)
- OEMを含め、汎用エンジンの生産が2019年度に累計1億5000万台を突破。生産開始から66年目で達成。
国別・地域別の売上台数の推移
年度 | アメリカ販売台数 [米国シェア(%)] |
ヨーロッパ販売台数 [欧州シェア(%)] |
中国販売台数 [中国シェア(%)] |
---|---|---|---|
2015年 | 158万台 [9.0%] |
17.2万台 [1.2%] |
101万台 [4.1%] |
2016年 | 163万台 [9.3%] |
18.4万台 [1.2%] |
124万台 [4.4%] |
2017年 | 163万台 [9.5%] |
18.3万台 [1.2%] |
145万台 [5.0%] |
2018年 | 161万台 [9.3%] |
16.9万台 [1.1%] |
146万台 [5.2%] |
2019年 | 153万台 [9.0%] |
13.3万台 [0.8%] |
144万台 [5.6%] |
2020年 | 139万台 [9.5%] |
10.1万台 [0.8%] |
179万台 [7.1%] |
2021年 | 138万台 [9.2%] |
10.0万台 [0.8%] |
152万台 [5.8%] |
2022年 | 100万台 [7.3%] |
8.4万台 [0.7%] |
124万台 [4.6%] |
出所:HONDA
- アメリカでは、ホンダは米国フォードと同じレベルの地位を確立。「燃費が良い」「故障率が低い」「メンテナンスが容易」という認識が売れる理由。
- ホンダは米国でのイメージが良いので、「発火する電気自動車を量販」などの問題が無ければ、アメリカで極端に売上台数を落とすような事はない。
- ヨーロッパではホンダは生産規模を縮小。その影響で販売台数も低下傾向。イギリスの工場は2022年に閉鎖。
- 中国市場は、ホンダがアメリカや日本と共に注力する市場。中国でも「故障しにくい」「低燃費」「中古市場でも値下がりしにくい」などの理由で消費者から好まれ、高い販売台数を維持。
日本市場
日本の自動車市場は年間500万台前後。国内のホンダの売上台数や市場シェア。参考比較としてトヨタや日産の成績も確認。
年度 | ホンダ/販売台数 [日本シェア(%)] |
トヨタ/販売台数 [日本シェア(%)] |
日産/販売台数 [日本シェア(%)] |
---|---|---|---|
2015年 | 70万台 [13.9%] |
148万台 [29.4%] |
57万台 [11.3%] |
2016年 | 71万台 [14.0%] |
163万台 [32.1%] |
55万台 [10.8%] |
2017年 | 72万台 [13.7%] |
159万台 [30.4%] |
58万台 [11.1%] |
2018年 | 74万台 [14.0%] |
156万台 [29.6%] |
59万台 [11.2%] |
2019年 | 68万台 [13.5%] |
158万台 [31.4%] |
53万台 [10.5%] |
2020年 | 61万台 [13.1%] |
153万台 [32.9%] |
47万台 [10.1%] |
2021年 | 57万台 [13.5%] |
139万台 [33.0%] |
42万台 [10.0%] |
2022年 | 55万台 [12.6%] |
150万台 [34.2%] |
45万台 [10.3%] |
- 日本市場におけるホンダは、軽自動車「N-BOX」が売れ筋。しかし「軽」なので利益が少ない。
- ホンダは日本市場で「軽自動車イメージ」「低価格ブランドのイメージ」が強くなっている。
- トヨタはヤリス、ライズ、カローラ、アルファード、ルーミー、アクアなどが売れ筋。特にアルファードは利益率が高い。
- 日産はヒット車が少なく、販売台数が停滞ぎみ。
大手3社を比較
日系大手3社の自動車世界販売台数を確認。
年度 | ホンダ | トヨタグループ | 日産 |
---|---|---|---|
2005年 | 336万台 | 797万台 | 359万台 |
2010年 | 351万台 | 842万台 | 418万台 |
2015年 | 474万台 | 1009万台 | 542万台 |
2020年 | 454万台 | 992万台 | 405万台 |
2021年 | 407万台 | 1038万台 | 388万台 |
2022年 | 369万台 | 1056万台 | 330万台 |
- ホンダや日産は販売数量を追う経営から方向転換しており、グローバル販売台数は停滞・縮小傾向。
- 一方、トヨタグループは、まだまだ売上台数を伸ばす勢い。
経営改革
自動車部門の利益率の低迷が続いたホンダの経営改革は以下。
- 今までは創業者の本田宗一郎氏の考えで、経営者の意見に影響されないように本体から分離された本田技術研究所が車体開発を行ってきた。しかし、今後は開発機能をホンダ本体と統合。
- かつては売上台数目標が年間600万台だったが、数量を追う方針から転換。利益率を重視へ。量より質。
- 多くを独自開発してきた「内製主義」からの転換。米国ゼネラルモーターズと提携を強化し、ガソリンエンジンやプラットフォームの共通化、電気自動車の共同開発などを進める。
ホンダのバッテリーEV戦略まとめ
- ホンダは、2040年までに新車販売の全てを電気自動車(EV)にする目標。
- 中核のバッテリーは、現地に生産工場をもつサプライヤーから調達する見込み。日本市場は、ブルーエナジー(GSユアサが51%、ホンダが49%出資)、パナソニック、中国系のエンビジョンAESCなど。北米市場では、GMと提携している韓国LGエナジー、中国市場はCATL(中国)からバッテリー分野で提携。
- また、次世代バッテリー「全固体電池」の自社開発が成功すれば、バッテリー内製化に動く意向。2020年代後半の実用化を目指す。
関連記事