FAST RETAILINGの連結決算:通年の売上推移
決算期 | 売上高・収益 [総店舗数] | 営業利益 [営業利益率(%)] | 純利益・最終損益 [純利益率(%)] |
---|---|---|---|
1990年 8月期 | 51億円 | – | 0.4億円 [0.8%] |
1991年 8月期 | 71億円 | – | 1.4億円 [2.0%] |
1992年 8月期 | 143億円 | – | 4.1億円 [2.9%] |
1993年 8月期 | 250億円 [90店舗] | 21億円 [8.4%] | 9.4億円 [3.8%] |
1994年 8月期 | 333億円 [118店舗] (フリース販売開始) | 32億円 [9.6%] | 13億円 [3.9%] |
1995年 8月期 | 486億円 [176店舗] | 41億円 [8.4%] | 21億円 [4.3%] |
1996年 8月期 | 599億円 [219店舗] | 44億円 [7.3%] | 23億円 [3.8%] |
1997年 8月期 | 750億円 [276店舗] | 52億円 [6.9%] | 27億円 [3.6%] |
1998年 8月期 | 831億円 [336店舗] | 60億円 [7.2%] | 29億円 [3.5%] |
1999年 8月期 | 1110億円 [368店舗] | 143億円 [12.9%] | 68億円 [6.1%] |
2000年 8月期 | 2289億円 [433店舗] | 606億円 [26.5%] | 345億円 [15.1%] |
2001年 8月期 | 4185億円 [519店舗] (イギリスにユニクロ海外初出店) | 1020億円 [24.4%] | 591億円 [14.1%] |
2002年 8月期 | 3441億円 [585店舗] | 504億円 [14.6%] | 278億円 [8.1%] |
2003年 8月期 | 3097億円 [622店舗] (ヒートテック販売開始) | 413億円 [13.3%] | 209億円 [6.7%] |
2004年 8月期 | 3399億円 [655店舗] | 639億円 [18.8%] | 313億円 [9.2%] |
2005年 8月期 | 3839億円 [1232店舗] | 566億円 [14.7%] | 338億円 [8.8%] |
2006年 8月期 | 4488億円 [1431店舗] (3月 低価格ブランドGU設立) | 703億円 [15.7%] | 404億円 [9.0%] |
2007年 8月期 | 5252億円 [1828店舗] | 649億円 [12.4%] | 317億円 [6.0%] |
2008年 8月期 | 5864億円 [1958店舗] | 874億円 [14.9%] | 435億円 [7.4%] |
2009年 8月期 | 6850億円 [2258店舗] | 1086億円 [15.9%] | 497億円 [7.3%] |
2010年 8月期 | 8148億円 [2203店舗] | 1323億円 [16.2%] | 618億円 [7.6%] |
2011年 8月期 | 8203億円 [2088店舗] | 1163億円 [14.2%] | 543億円 [6.6%] |
2012年 8月期 | 9286億円 [2222店舗] | 1264億円 [13.6%] | 716億円 [7.7%] |
2013年 8月期 | 1兆1430億円 [2449店舗] | 1329億円 [11.6%] | 903億円 [7.9%] |
2014年 8月期 | 1兆3829億円 [2753店舗] | 1304億円 [9.4%] | 745億円 [5.4%] |
2015年 8月期 | 1兆6817億円 [2978店舗] | 1644億円 [9.8%] | 1100億円 [6.5%] |
2016年 8月期 | 1兆7864億円 [3160店舗] | 1272億円 [7.1%] | 480億円 [2.7%] |
2017年 8月期 | 1兆8619億円 [3294店舗] | 1764億円 [9.5%] | 1192億円 [6.4%] |
2018年 8月期 | 2兆1300億円 [3445店舗] | 2362億円 [11.1%] | 1548億円 [7.3%] |
2019年 8月期 | 2兆2905億円 [3589店舗] | 2576億円 [11.2%] | 1625億円 [7.1%] |
2020年 8月期 | 2兆88億円 [3630店舗] | 1493億円 [7.4%] | 903億円 [4.5%] |
2021年 8月期 | 2兆1329億円 [3527店舗] | 2490億円 [11.7%] | 1698億円 [8.0%] |
2022年 8月期 | 2兆3011億円 [3562店舗] | 2973億円 [12.9%] | 2733億円 [11.9%] |
2023年 8月期 | 2兆7665億円 [3578店舗] | 3810億円 [13.8%] | 2962億円 [10.7%] |
2024年 8月期 | 3兆1038億円 [] | 5009億円 [16.1%] | 3719億円 [12.0%] |
出所:ファーストリテイリング決算短信、有価証券報告書。本決算期は8月末。総店舗数は、国内/海外ユニクロ、GU、セオリー、PLST、コントワー・デ・コトニエ、プリンセス タム タム、J Brand事業など全ブランドの店数。
スポンサーリンク
平均利益率
ファーストリテイリングの1993年から2023年までの営業利益率の平均が12.6%。
会社の動向
- ファーストリテイリングの設立は1963年。「小郡商事株式会社」として山口市で誕生したのがルーツ。ユニクロやGUなどを傘下にもつアパレル系持株企業。
- 中核のユニクロ事業は、1984年に1号店を広島にオープンして以降、2023年時点では世界に2434店舗(うち国内800店舗)をもつ。
- 1990年代以降は赤字なし。バブル崩壊時においても業績への大きな影響はなかった。
- 2001年、イギリスにユニクロを海外初出店。しかし、海外展開は、すぐ波に乗ったわけではなく、店舗数の縮小もあった。
- 2006年、若者向けの低価格ブランド「GU(ジーユー)」を設立。ユニクロとの差別化を図り、「安価イメージ」があったユニクロのイメージ転換(高品質路線)を目指す。
- 2018年、プロテニス選手ロジャー・フェデラーと10年間で約3億ドルのアンバサダー契約。欧米で知名度とブランディング向上を目指す。
- 2023年、大ヒットした保温肌着「ヒートテック」の累計販売数が15億着を突破。
- ユニクロは、海外ではシンプルで品質が良く「高級イメージ」がついている。海外事業の利益率が上がっている事が投資家から高評価。
スポンサーリンク
FAST RETAILINGの財政・経営状況
決算期 | 総資産 [現金・手元資金] |
負債総額 [有利子負債] |
自己資本・純資産 [自己資本比率(%)] |
---|---|---|---|
1995年 8月期 |
332億円 [154億円] |
145億円 [16億円] |
187億円 [56.2%] |
2000年 8月期 |
1532億円 [996億円] |
868億円 [100億円] |
664億円 [43.3%] |
2005年 8月期 |
2728億円 [1210億円] |
854億円 [49億円] |
1823億円 [66.8%] |
2010年 8月期 |
5072億円 [2004億円] |
2193億円 [288億円] |
2879億円 [56.3%] |
2015年 8月期 |
1兆1637億円 [3552億円] |
3889億円 [380億円] |
7748億円 [66.6%] |
2020年 8月期 |
2兆4119億円 [1兆935億円] |
1兆4159億円 [4844億円] |
9960億円 [41.3%] |
2021年 8月期 |
2兆5099億円 [1兆1777億円] |
1兆3477億円 [3826億円] |
1兆1622億円 [46.3%] |
2022年 8月期 |
3兆1837億円 [1兆3582億円] |
1兆5683億円 [3714億円] |
1兆6154億円 [50.7%] |
2023年 8月期 |
3兆3036億円 [9032億円] |
1兆4303億円 [2409億円] |
1兆8733億円 [56.7%] |
- ファストリの財務問題は一切なし。
- 2015年以降、海外出店を加速した事や、倉庫自動化に向けた設備投資を進めた事で、比例して有利子負債もやや増加。
- 2024年1月時点のファーストリテイリングの株式時価総額は11兆3800億円。国内では成長が停滞ぎみだが、海外事業が好調な事が投資家から評価される理由。
FAST RETAILINGの連結社員数と研究開発投資について
決算期 | 従業員数(連結) | 平均年収 | 設備投資費 | 研究開発費 |
---|---|---|---|---|
1995.08 | 534人 | 299万円 | 46億円 | 特になし |
2000.08 | 1266人 | 585万円 | 62億円 | 特になし |
2005.08 | 2668人 | 626万円 | 116億円 | 特になし |
2010.08 | 11596人 | 704万円 | 280億円 | 特になし |
2015.08 | 41646人 | 769万円 | 624億円 | 特になし |
2020.08 | 57727人 | 901万円 | 827億円 | 特になし |
2023.08 | 59871人 | 1147万円 | 1020億円 | 特になし |
- 1995年の平均年収は299万円。1980年代のバブル期においても平均年収は低く、離職率も高かった模様。
- 2023年の設備投資費(1020億円)の内訳は、国内ユニクロ事業が236億円、海外ユニクロ事業が333億円、ジーユー事業が87億円、グローバルブランド事業が18億円、システム他が344億円。
- 出店投資のほか、セルフレジや倉庫自動化への投資を継続中。
スポンサーリンク
収益構造・セグメント別の成績
決算期 | 国内ユニクロ | 海外ユニクロ | GU(ジーユー) |
---|---|---|---|
売上高 [営業利益/利益率(%)] {店舗数} |
|||
1995年 8月期 |
486億円 [41億円/8.4%] {176店舗} |
– | – |
2000年 8月期 |
2289億円 [606億円/26.5%] {433店舗} |
– | – |
2005年 8月期 |
3653億円 [582億円/15.9%] {679店舗} |
186億円 [-16億円/-8.6%] {14店舗} |
– |
2010年 8月期 |
6055億円 [1295億円/21.4%] {808店舗} |
727億円 [63億円/8.7%] {136店舗} |
– – {115店舗} |
2015年 8月期 |
7801億円 [1172億円/15.0%] {841店舗} |
6036億円 [433億円/7.2%] {798店舗} |
1415億円 [164億円/11.6%] {319店舗} |
2020年 8月期 |
8068億円 [1046億円/13.0%] {813店舗} |
8439億円 [502億円/5.9%] {1439店舗} |
2460億円 [218億円/8.9%] {436店舗} |
2023年 8月期 |
8904億円 [1178億円/13.2%] {800店舗} |
1兆4371億円 [2269億円/15.8%] {1634店舗} |
2952億円 [261億円/8.8%] {463店舗} |
2024年 8月期 |
9322億円 [1558億円/16.7%] {店舗} |
1兆7118億円 [2834億円/16.6%] {店舗} |
3191億円 [337億円/10.6%] {店舗} |
出所:ファーストリテイリング決算短信、有価証券報告書。2005年は有価証券報告書提出会社のデータより国内と海外成績を算出。
- 国内ユニクロ事業は、店舗数が停滞。「頭打ち」状態と結論か。今後は、コスト削減と付加価値製品で勝負。
- 2023年は、国内よりも海外ユニクロ事業の営業利益率が上がっている。海外では「高級路線」を貫いている事が高い利幅に直結。
- GUは国内ユニクロと違って店舗数が伸び続けている。商品ラインナップや低価格設定を考えると、ライバルは「しまむら」という事か。
- ファストリは、ユニクロやGUの他に「Theory(セオリー)」「PLST(プラステ)」「プリンセス タムタム」「コントワー・デ・コトニエ」「J Brand」などグローバルブランド事業をもつ。それらの2023年の売上高は1413億円。全体比5.1%。
スポンサーリンク
国内/外国への販売高成績
年度 | 日本 | 中国 | アジア | 北米 | 欧州 |
---|---|---|---|---|---|
2005年 | 90%以上 | 10%未満 | |||
2010年 | 83.5% | 10.4% | 6.1% | ||
2015年 | 57.5% | 12.2% | 30.3% | ||
2020年 | 38.1% | 21.9% | 13.4% | 9.5% | |
2023年 | 32.2% | 22.4% | 16.3% | 5.9% | 7.3% |
2024年 | 30.0% | 21.8% | 17.4% | 7.0% | 8.9% |
出所:ファーストリテイリング。
- 日本市場は停滞ぎみ。代わりに中国を含むアジア諸国が成長を牽引。北米は成長しているがやや苦戦。
- ブランド品激戦区のヨーロッパで成長しているのが強み。欧州でブランディングを高め、世界展開への相乗効果につなげたい。
- 2023年、欧州連合(EU)は、環境負荷と脱炭素の観点から、売れ残った衣類廃棄の禁止規制を導入すると発表。環境保護の流れが最終的に衣料品の消費低迷につながると、ユニクロの成長にも影響あるかもしれない。
政情不安定なエリア:韓国とロシアの出店数推移
国 | 2019年 | 2021年 | 2023年 |
---|---|---|---|
韓国 | 188店舗 | 134店舗 | 126店舗 |
ロシア | 37店舗 | 45店舗 | 0店舗(全撤退) |
出所:ファストリ
- 2019年7月、日本と韓国の徴用工問題における衝突。韓国の民衆発起で日本不買運動が起こり、それにより韓国ユニクロは赤字転落。撤退が進み、店舗数が激減。しかし、2021年には黒字転換し、2023年には店舗数こそ増えていないが業績は完全回復レベルに。
- 2022年2月、ロシアのウクライナ侵攻により、ユニクロはロシアから完全撤退を決定。市況と数字に厳格な柳井社長のスピード判断。
スポンサーリンク
関連記事