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東京エレクトロンの業績推移:売上・営業利益率・純利益の推移

半導体, 業績推移

東京エレクトロン

TOKYO ELECTRONの決算(通年)の売上推移

東京エレクトロン(TEL)の業績推移:売上高・営業利益・純利益・利益率の推移
年度 売上高・収益 営業利益
[営業利益率(%)]
純利益・最終損益
[純利益率(%)]
1999年 4407億円 358億円
[8.1%]
198億円
[4.5%]
2000年 7238億円 1210億円
[16.7%]
620億円
[8.6%]
2001年 4178億円 -183億円
[-4.4%]
-199億円
[-4.8%]
2002年 4605億円 11億円
[0.2%]
-415億円
[-9.0%]
2003年 5296億円 222億円
[4.2%]
82億円
[1.5%]
2004年 6357億円 639億円
[10.1%]
616億円
[9.7%]
2005年 6736億円 757億円
[11.2%]
480億円
[7.1%]
2006年 8519億円 1439億円
[16.9%]
912億円
[10.7%]
2007年 9060億円 1684億円
[18.5%]
1062億円
[11.7%]
2008年 5080億円 147億円
[2.8%]
75億円
[1.5%]
2009年 4186億円 -21億円
[-0.5%]
-90億円
[-2.2%]
2010年 6687億円 978億円
[14.6%]
719億円
[10.8%]
2011年 6330億円 604億円
[9.5%]
367億円
[5.8%]
2012年 4972億円 125億円
[2.5%]
60億円
[1.2%]
2013年 6121億円 322億円
[5.2%]
-194億円
[-3.2%]
2014年 6131億円 881億円
[14.3%]
718億円
[11.7%]
2015年 6639億円 1167億円
[17.5%]
778億円
[11.7%]
2016年 7997億円 1556億円
[19.4%]
1152億円
[14.4%]
2017年 1兆1307億円 2811億円
[24.9%]
2043億円
[18.1%]
2018年 1兆2782億円 3105億円
[24.2%]
2482億円
[19.4%]
2019年 1兆1272億円 2372億円
[21.0%]
1852億円
[16.4%]
2020年 1兆3991億円 3206億円
[22.9%]
2429億円
[17.4%]
2021年 2兆38億円 5992億円
[29.2%]
4370億円
[21.8%]
  • 1999年から2021年までの営業利益率の平均が12.6%。比較として、ライバルのアプライド・マテリアルズの2008年から2021年までの営業利益率の平均が17.3%。
  • 2001年から2002年までの業績悪化は、主にITバブル崩壊がきっかけの景気後退が原因。
  • 2017年から売上高や利益率がアップ。これは、EUV露光装置による半導体製造が拡大した事と、GoogleやAmazon、マイクロソフト、フェイスブックなどのデータセンター向け設備投資急増で半導体需要も急増した事が要因。
  • 自動車のEV化、脱炭素化、デジタル社会に向け、半導体需要が増加している事により、製造装置の需要も増加。
  • 半導体のイノベーションが止まると、東京エレクトロンのような製造装置メーカーの売上も停滞する可能性に注意。

TOKYO ELECTRONの財政・経営状況

東京エレクトロンの財務状況の推移:総資産・純資産・自己資本比率の推移
年度 総資産
[現金・手元資金]
負債総額
[有利子負債]
自己資本・純資産
[自己資本比率(%)]
2000年 7295億円 3963億円 3332億円
[45.7%]
2005年 6443億円 3122億円 3321億円
[51.5%]
2010年 8092億円
[1650億円]
2244億円
[なし]
5848億円
[70.8%]
2015年 7933億円
[956億円]
2291億円
[なし]
5642億円
[71.1%]
2020年 1兆4253億円
[2659億円]
4008億円
[なし]
1兆245億円
[71.1%]
2021年 1兆8944億円
[3356億円]
5593億円
[なし]
1兆3351億円
[70.5%]
  • 2000年と2020年を比較すると、総資産規模は約2倍に拡大。
  • 財政問題は全くなし。有利子負債もなく、世界的に見てもトップレベルの優良企業。

人員数とR&Dについて

東京エレクトロンの従業員数、設備投資額、研究開発費の推移(2012年以降)
年度 従業員数 設備投資費 研究開発費
2012年 12201人 218億円 732億円
2017年 11946人 456億円 971億円
2021年 15634人 572億円 1582億円
出所:東京エレクトロン

国別・地域別の成績

TELの地域別販売額の推移を、リーマンショック前の2007年、アベノミクス初年度の2013年、コロナ後の半導体不足の2021年と比較。

東京エレクトロンの国別・地域別の売上高と比率の推移(2007年以降)
国/地域 2007年/売上高
[全体比率(%)]
2013年/売上高
[全体比率(%)]
2021年/売上高
[全体比率(%)]
日本 1919億円
[21.2%]
764億円
[12.5%]
2289億円
[11.4%]
北米 1087億円
[12.0%]
1043億円
[17.0%]
2680億円
[13.4%]
欧州 369億円
[4.1%]
296億円
[4.8%]
1079億円
[5.4%]
韓国 732億円
[8.1%]
734億円
[12.0%]
3777億円
[18.8%]
台湾 2549億円
[28.1%]
1302億円
[21.3%]
3592億円
[17.9%]
中国 298億円
[3.3%]
488億円
[8.0%]
5135億円
[25.6%]
東南アジア 308億円
[3.4%]
158億円
[2.6%]
883億円
[4.4%]
出所:東京エレクトロン
  • 2007年と比較すると、日本向けの売上比率が減少傾向。
  • 一方、韓国や中国向けが増加。特に中国は、2021年度で東京エレクトロンの売上の1/4を占める。
  • 2007年と2021年を比較すると、中国向けは17倍に増加。

アメリカによる対中国規制

2022年10月、アメリカは米中対立において、中国向けのデジタル半導体関連の規制を強化。同時に東京エレクトロンにおいても、中国向けのビジネスが悪化する事になる。

しかし、東京エレクトロンは絶対的な製品をもっており、どこかの市場が停滞したとしても、どこかの市場でカバーできる立場であるため、トータルで言えば対中規制はそこまで深刻な問題にはならないはず。とはいえ、顧客が少なくなる事は痛い。

半導体製造装置の市場シェア

画像の「TEL」という表記が東京エレクトロンのシェア。

半導体製造装置の前工程・後工程シェア

出所:JBpress/湯之上隆。(一部ポジテン編集)
東京エレクトロンが強みをもつ製品
製品 市場シェア
(2018年度)
市場規模
(2021年度)
コータ・デベロッパ 80%~90% 約35億ドル
エッチング装置 約25% 約190億ドル
熱処理成膜装置 約45% 約25億ドル
洗浄装置 20~25% 約50億ドル
  • コータ・デベロッパは、最先端向けの装置ではTELが独占状態で、実質的な業界標準装置となったため、今後も安定的な収益性が見込める。
  • 市場規模が大きいエッチング装置でシェアを伸ばしたいところ。ライバルは米国ラム・リサーチと米国アプライド・マテリアルズ。
  • 他にも、CVD装置、メモリテスタ、ガスボックス、ガスパネルなどもポートフォリオにあげられる。
  • 東京エレクトロンは、幅広くラインナップを持っているため、比較的に顧客との商談も有利になる。
  • なお、TELはディスプレイ製造向けに「フラットパネルディスプレイ製造装置」も手掛ける。(売上規模は少ない)

半導体製造装置メーカーランキング(2021年)

半導体製造装置メーカーランキング

出所:VLSI Research/Tech Insights
  • 東京エレクトロンは、業界3~4位ほど。
  • トップ15位中、日本企業は7社ランクイン。
  • アメリカ企業やオランダ企業は、エッチング装置や露光装置などの市場規模が大きい製品に強いが、日本企業は市場規模の大小に関わらず幅広くシェアをもつのが強み。

ライバルとの業績比較

東京エレクトロン、AMAT、ラム・リサーチの業績推移の比較(2009年以降)
年度 東京エレクトロン
売上高
[営業利益:利益率]
アプライド・マテリアルズ
売上高
[営業利益:利益率]
ラム・リサーチ
売上高
[営業利益:利益率]
2009年 4186億円
[-21億円:-0.5%]
50.13億ドル
[-3.93億ドル:-7.8%]
11.15億ドル
[-2.81億ドル:-25.2%]
2013年 6121億円
[322億円:5.2%]
75.09億ドル
[4.32億ドル:5.7%]
35.98億ドル
[1.18億ドル:3.3%]
2017年 1兆1307億円
[2811億円:24.9%]
145.37億ドル
[38.68億ドル:26.6%]
80.13億ドル
[19.02億ドル:23.7%]
2021年 2兆38億円
[5992億円:29.2%]
230.63億ドル
[68.89億ドル:29.9%]
146.26億ドル
[44.82億ドル:30.6%]
出所:各メーカーの決算報告書。
  • 2009年は、アメリカ金融危機の影響で市況悪化。半導体関連企業は、どの企業においても業績悪化を経験。
  • 2013年は、リーマンショック→ギリシア危機を乗り越え、世界的な景気が「さぁこれから」という時期。日本ではアベノミクスが開始。3社とも3~5%台の利益率。
  • 2017年は、データセンター向け半導体の需要拡大で3社とも好業績。
  • 2021年は、コロナ後の半導体不足により、製造装置の需要拡大。3社とも利益率が30%前後に到達。
  • 2009年度と比較すると、ラム・リサーチの成長率が最も高い。ラム社が得意で市場規模が大きいドライエッチング装置の需要が伸びた事が要因。微細化進行による工程数の増加とNANDメモリ積層化の需要を取り込んだ事が大きい。

AMATとの経営統合の本質

2015年、東京エレクトロンは業界トップのアプライド・マテリアルズ(米国)と経営統合に合意。しかし、アメリカ政府の対応により統合はすぐに破断。

この経営統合の動きは「技術統合によるイノベーションの進展」「統合後の部品共通化によるコスト削減が目的」などとして進められていたが、背景には微細化の将来性が不安視され、業界が停滞していた事が大きい。

その後、ASML社製のEUV露光装置(最先端ステッパー)による微細化技術が確立され、さらに中国からの需要拡大によって東京エレクトロンを含む製造装置メーカーは業績拡大へ。

つまり、EUV露光装置の技術進展は、東京エレクトロンの将来性にとって重要な要素だという事。なお、ASMLによると「EUVの微細化の進展は2030年代まで続く」としている。という事は、製造装置業界はそれまで安泰が続くという事か。

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