ウォルマートの業績推移：売上高･営業利益率･純利益の推移

Walmart/ウォルマートの連結決算：通年の売上推移

利益率の平均

会社の動向

• ウォルマートは1969年設立。1945年に米国アーカンソー州で雑貨店を開業した事がルーツ。アメリカ最大の小売業で、1997年からNYダウ30の銘柄の一つ。
• 2024年時点の全世界の店舗数が1万509店舗。そのうち、アメリカの店舗数が4616店舗。
• 生産者や製造メーカーから大量に仕入れる規模がケタ違い。アメリカではウォルマートと取引きが切れると大手の食品/衣料品メーカーは経営が成立しなくなる。
• 大型店では食品/日用品だけではなく、テレビやパソコン、白物家電など幅広い商品を販売。
• 1983年、会員制で倉庫型店舗の「サムズ･クラブ」を設立。日本で有名なコストコと同じ形態。
• 1996年、現地企業と合弁で中国進出。
• 2002年、日本市場で「SEIYU/西友」に出資。2005年に子会社化したが、2021年に株式15%を残してファンドに売却。実質的に日本から撤退。
• 近年の営業利益率は低下ぎみ。粗利益率が低下しており、物価高による仕入れコストの上昇などが主な要因。
• 万引き被害も利益率悪化の要因。NRF(全米小売業協会)によると、アメリカの小売店における万引き被害額は2021年で約945億ドル。ウォルマートも万引き被害に悩まされる。
• ウォルマートは、万引き被害が原因で閉鎖となった店舗も多い。人口65万人で移民/移住者が多いポートランド(オレゴン州)ではウォルマートの出店数がゼロとなった。店舗撤退費用も利益率低下の要因。
• 万引き被害は、2020年のコロナ時期に急増。加えて2022年2月からのロシア-ウクライナ戦争による物価高/金利高により集団窃盗被害も増えるように。社会問題化。
• 万引き対策の投資は、年間で数億ドル。セルフレジにおいてカメラの複数化だけではなく、AI/機械学習も活用。
• カリフォルニア州では受刑者の増えすぎにより、950ドル以下の窃盗は軽犯罪となり、注意や罰金で済むようになった。これも万引きや集団窃盗が多発する原因に。
• Eコマース(ネット販売)も強化。物流網を整備し、2022年度はアメリカ内で478億ドルの売上。全体売上比率12%。
• 広告事業が好調。2023年度は30億ドルの売上。実店舗だけではなく、訪問者が多いWebサイトやスマホアプリなどをもち、メーカー/業者向けに広告ビジネス化。Amazon.comがサイト内で販売業者の広告を入れる形を見習って成功につなげる。
• 2024年、テレビメーカー「VIZIO」を23億ドルで買収。広告事業の強化が目的。

ウォルマートとコストコの業績比較

• 売上規模の比較では、2010年度はウォルマートはコストコの5.2倍の売上高。2023年の売上規模は、ウォルマートはコストコの2.5倍。売上成長はコストコの勢いが強い。
• コストコは会員制で会費収入は全体の2%ほど。ウォルマートもサブスクを強化中。
• 日本市場のコストコは、2024年時点で日本国内に33店舗(倉庫型店舗)を展開。まだまだ規模拡大の見込み。

Walmartの財政･経営状況

• ウォルマートの財務問題はナシ。自己資本に対する有利子負債も問題ないレベル。
• 2024年5月時点のウォルマートの株式時価総額は5172億ドル。比較として、コストコは3516億ドル。

Walmartの店舗数、連結社員数、平均賃金

• 2025年度の世界店舗数(10771店舗)の内訳は、米国内ウォルマートが4605店舗、米国内サムズ･クラブが600店舗、海外が5566店舗。
• 2025年度の従業員は全世界に210万人。そのうちアメリカ国内が160万人。
• 近年は平均時給の上昇が高い。アメリカのインフレにより賃上げ要求が強い。米国では雇用コストが高止まりしているため、インフレも収まりにくい悪循環に。