Micron Technologyの連結決算:通年の売上推移
年度 | 売上高・収益 | 営業利益 [営業利益率(%)] | 純利益・最終損益 [純利益率(%)] |
---|---|---|---|
1990年 | 3.33億ドル | 0.03億ドル [0.9%] | 0.05億ドル [1.5%] |
1991年 | 4.25億ドル | 0.12億ドル [2.8%] | 0.05億ドル [1.2%] |
1992年 | 5.06億ドル | 0.13億ドル [2.6%] | 0.06億ドル [1.2%] |
1993年 | 8.28億ドル | 1.65億ドル [19.9%] | 1.04億ドル [12.6%] |
1994年 | 16.28億ドル | 6.20億ドル [38.1%] | 4.00億ドル [24.6%] |
1995年 | 29.52億ドル | 13.07億ドル [44.3%] | 8.44億ドル [28.6%] |
1996年 | 36.53億ドル | 9.40億ドル [25.7%] | 5.93億ドル [16.2%] |
1997年 | 35.23億ドル | 3.74億ドル [10.6%] | 3.15億ドル [8.9%] |
1998年 | 30.25億ドル | 5.16億ドル [17.1%] | 2.47億ドル [8.2%] |
1999年 | 25.75億ドル | -0.19億ドル [-0.7%] | -0.68億ドル [-2.6%] |
2000年 | 63.62億ドル | 23.92億ドル [37.6%] | 15.04億ドル [23.6%] |
2001年 | 39.35億ドル | -9.76億ドル [-24.8%] | -6.25億ドル [-15.9%] |
2002年 | 25.89億ドル | -10.25億ドル [-39.6%] | -9.07億ドル [-35.0%] |
2003年 | 30.91億ドル | -11.86億ドル [-38.4%] | -12.73億ドル [-41.2%] |
2004年 | 44.04億ドル | 2.50億ドル [5.7%] | 1.57億ドル [3.6%] |
2005年 | 48.80億ドル | 2.17億ドル [4.4%] | 1.88億ドル [3.9%] |
2006年 | 52.72億ドル | 3.50億ドル [6.6%] | 4.08億ドル [7.7%] |
2007年 | 56.88億ドル | -2.80億ドル [-4.9%] | -2.09億ドル [-3.7%] |
2008年 | 58.41億ドル | -15.95億ドル [-27.3%] | -16.65億ドル [-28.5%] |
2009年 | 48.03億ドル | -16.76億ドル [-34.9%] | -19.93億ドル [-41.5%] |
2010年 | 84.82億ドル | 15.89億ドル [18.7%] | 19.00億ドル [22.4%] |
2011年 | 87.88億ドル | 7.55億ドル [8.6%] | 1.90億ドル [2.2%] |
2012年 | 82.34億ドル | -6.12億ドル [-7.4%] | -10.31億ドル [-12.5%] |
2013年 | 90.73億ドル (7月、エルピーダ買収完了) | 2.36億ドル [2.6%] | 11.94億ドル [13.2%] |
2014年 | 163.58億ドル | 30.87億ドル [18.8%] | 30.79億ドル [18.8%] |
2015年 | 161.92億ドル | 29.98億ドル [18.5%] | 28.99億ドル [17.9%] |
2016年 | 123.99億ドル | 1.68億ドル [1.3%] | -2.76億ドル [-2.2%] |
2017年 | 203.22億ドル | 58.68億ドル [28.8%] | 50.89億ドル [25.0%] |
2018年 | 303.91億ドル | 149.94億ドル [49.3%] | 141.35億ドル [46.5%] |
2019年 | 234.06億ドル | 73.76億ドル [31.5%] | 63.13億ドル [27.0%] |
2020年 | 214.35億ドル | 30.03億ドル [14.0%] | 26.87億ドル [12.5%] |
2021年 | 277.05億ドル | 62.59億ドル [22.5%] | 58.61億ドル [21.2%] |
2022年 | 307.58億ドル | 97.02億ドル [31.5%] | 86.87億ドル [28.2%] |
2023年 | 155.40億ドル | -57.45億ドル [-37.0%] | -58.33億ドル [-37.5%] |
出所:Micron。本決算は8月
1990年から2022年までのマイクロンの営業利益率の平均は8.6%。比較として、サムスン電子の半導体部門の2003年から2022年までの営業利益率の平均が24.1%。SKハイニックスの2005年から2022年までの営業利益率の平均が18.2%。
- マイクロン・テクノロジーは1978年設立の半導体メーカー。1982年にDRAM参入。2004年にNAND型フラッシュメモリ参入。
- 赤字年度について、2001年から2003年までの赤字は、ITバブル崩壊が影響。2008年~2009年頃の赤字はリーマンショックによる市況悪化が原因。2016年の最終赤字は、シリコンサイクルの影響と業績悪化によるリストラ費用計上が要因。
- 2012年、エルピーダメモリ買収を発表。サーバ/PCなどの汎用DRAMのほか、モバイル向けDRAM、グラフィックスDRAM、高い品質が求められる自動車向けDRAMなどのラインナップが強化。業績拡大へ。
- マイクロンは企業買収で成長してきた所があるが、やはりエルピーダメモリを買収した事が最も大きかった。
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Micron Technologyの財政・経営状況
年度 | 総資産 [現金・手元資金] |
負債総額 [有利子負債] |
自己資本・純資産 [自己資本比率(%)] |
---|---|---|---|
1990年 | 6.97億ドル | 2.13億ドル | 4.84億ドル [69.4%] |
1995年 | 27.74億ドル [5.56億ドル] |
8.88億ドル [1.56億ドル] |
18.86億ドル [68.0%] |
2000年 | 96.31億ドル [24.66億ドル] |
31.99億ドル [9.82億ドル] |
64.32億ドル [66.8%] |
2005年 | 80.06億ドル [12.90億ドル] |
21.60億ドル [11.67億ドル] |
58.46億ドル [73.0%] |
2010年 | 146.93億ドル [29.13億ドル] |
48.77億ドル [18.33億ドル] |
98.16億ドル [66.8%] |
2015年 | 241.43億ドル [35.21億ドル] |
109.04億ドル [65.49億ドル] |
132.39億ドル [54.8%] |
2020年 | 536.78億ドル [81.42億ドル] |
146.82億ドル [51.57億ドル] |
389.96億ドル [72.6%] |
2021年 | 588.49億ドル [86.33億ドル] |
149.16億ドル [59.73億ドル] |
439.33億ドル [74.7%] |
2022年 | 662.83億ドル [93.31億ドル] |
163.76億ドル [60.20億ドル] |
499.07億ドル [75.3%] |
2023年 | 642.54億ドル [95.94億ドル] |
201.34億ドル [139.33億ドル] |
441.20億ドル [68.7%] |
出所:Micron
- 2023年に大赤字を出した事で、やや財務が悪化。しかし、今のところ心配するレベルではない。
- デジタル半導体分野において、アメリカ最後のメモリ企業であるため、もし危ない財務事情になれば、米国政府からの支援があるはず。今までも米政府から総額300億ドル以上の支援があったとされる。
社員数
2010年 | 2015年 | 2020年 | 2022年 | 2023年 |
---|---|---|---|---|
25900人 | 31800人 | 40000人 | 48000人 | 43000人 |
出所:マイクロン。
M&Aの実績
1998年テキサス・インスツルメンツ(TI)のメモリ部門(主にDRAM)を買収。TIはDRAMから撤退。
2001年東芝のDRAM撤退により、東芝のアメリカ拠点のDRAM工場を買収。東芝とIBMの合弁でスタートしたバージニア州のDRAM工場と製造設備をマイクロンが取得。
2012年日本最後のDRAM量産メーカーだったエルピーダメモリ買収を発表。サムスンやSKハイニックスと戦える規模や製品ポートフォリオが揃う。
2016年台湾ナンヤテクノロジーとマイクロンの合弁だったイノテラメモリーズを完全子会社化。
マイクロンの工場や開発拠点
- アメリカ……本社所在地のアイダホ州(研究センター)、バージニア州(東芝由来のDRAM工場)。ユタ州の工場は2021年にテキサス・インスツルメンツ(TI)に売却。
- 日本……エルピーダメモリ買収由来で広島県でDRAM生産。
- 台湾……桃園市(DRAM工場)、台中市(DRAM工場)。
- シンガポール……NANDフラッシュメモリの生産。
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メモリ半導体の世界シェア
メーカー | DRAMシェア(%) | NANDシェア(%) |
---|---|---|
サムスン(韓) | 43.5% | 35.3% |
SKハイニックス(韓) | 27.3% | 18.0% |
マイクロン(米) | 23.8% | 10.9% |
キオクシア(日本) | – | 18.9% |
ウエスタンデジタル(米) | – | 12.5% |
ナンヤ(台湾) | 3.0% | – |
出所:トレンドフォース。SKハイニックスのデータはインテルNAND(Solidigm)を統合した数値。
- マイクロンはDRAMで世界シェア3位。NANDフラッシュメモリでは世界シェア5位。
- 他社と比較して規模を追う意識が低いため、今後も大きくシェアが伸びる事はないはず。
ライバル企業の業績推移
●サムスン半導体の業績推移
●SKハイニックスの業績推移
●キオクシアの業績推移
●ナンヤテクノロジーの業績推移
製品別の販売高と割合
製品 | DRAM [売上比率(%)] |
NAND Flash [売上比率(%)] |
その他 [売上比率(%)] |
---|---|---|---|
2012年 | 31.78億ドル [38.6%] |
36.27億ドル [44.0%] |
14.29億ドル [17.4%] |
2016年 | 72.07億ドル [58.1%] |
41.38億ドル [33.4%] |
10.54億ドル [8.5%] |
2019年 | 152.47億ドル [65.1%] |
69.46億ドル [29.7%] |
12.23億ドル [5.2%] |
2022年 | 223.86億ドル [72.8%] |
78.11億ドル [25.4%] |
5.61億ドル [1.8%] |
出所:Micron
- エルピーダを買収する前の2012年は、DRAMもNANDも同じレベルの売上高だったが、買収後はDRAMの売上比率が急増。
- 2009年にキマンダ(ドイツ)、2012年にエルピーダが倒産した事で、DRAM業界がサムスン、SKハイニックス、マイクロンの3社で寡占化。価格競争が低下した事により、DRAMの収益性が極端に良い。
製品用途別の販売比率
PC・ネットワーク | モバイル | ストレージ | 組み込み製品 |
---|---|---|---|
44% | 26% | 14% | 15% |
出所:Micron
- モバイル向けDRAM(LPDDR)ではサムスンがシェア50%前後。残りをSKハイニックスとマイクロンが分け合う形。
- マイクロンは特にエルピーダ由来のグラフィックスDRAMや車載向けDRAMのシェアが高い。2021年時点では共にトップシェア。
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地域別の販売成績
国・地域 | 2005年/売上高 [売上比率(%)] |
2012年/売上高 [売上比率(%)] |
2022年/売上高 [売上比率(%)] |
---|---|---|---|
米国 | 16.57億ドル [34.0%] |
12.62億ドル [15.3%] |
160.26億ドル [52.1%] |
日本 | 3.80億ドル [7.8%] |
「その他アジア」に含まれる | 16.96億ドル [5.5%] |
中国 | 7.75億ドル [15.9%] |
29.36億ドル [35.7%] |
33.11億ドル [10.8%] |
台湾 | 「その他アジア」に含まれる | 10.22億ドル [12.4%] |
61.85億ドル [20.1%] |
香港 | 「その他アジア」に含まれる | 「その他アジア」に含まれる | 16.65億ドル [5.4%] |
その他アジア | 8.99億ドル [18.4%] |
17.87億ドル [21.7%] |
12.23億ドル [14.9%] |
ヨーロッパ | 9.06億ドル [18.6%] |
8.27億ドル [10.0%] |
「その他」に含まれる |
その他 | 2.61億ドル [5.3%] |
4.00億ドル [4.9%] |
6.52億ドル [2.1%] |
出所:Micron
- 2005年と比較するとアメリカへの売上が急増。他は中国や台湾が多い。
- アメリカへの売上は、Amazon、Google、マイクロソフト、Apple、METAなどがもつデータセンター関連が中心。米国はクラウドインフラシェアが高い企業多数。
- 中国向けの売上は、スマホメーカーでは、シャオミ、OPPO、VIVOなど。PCメーカーではレノボなど。また、アリババやファーウェイなどがもつデータセンター関連に巨大メモリ需要がある。
- 台湾への売上は、フォックスコン、ペガトロン、ウィストロン、クアンタ、コンパルなどの製造受託メーカーへの売上が中心だと思われる。それらの企業はアップルiPhoneやiPadなども受託製造。
- マイクロンは日本に最先端DRAM工場をもつが、その日本への売上が少ない。スマホメーカーやパソコンメーカーの存在感が低下している証拠だが、中国メーカーが参入して安売りする時代なのでしょうがない。
- ヨーロッパは電子機器の製造メーカーがかなり少なくなっているため、比例してマイクロンのメモリ売上高も少なくなっている。
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