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キーエンスの業績推移:売上高・営業利益率・高利/高給の理由

KEYENCEの連結決算成績:通年の売上推移

キーエンスの業績推移:売上高・営業利益・純利益・利益率の推移
年度 売上高・収益 営業利益
[営業利益率(%)]
純利益・最終損益
[純利益率(%)]
2001年 820億円 189億円
[23.0%]
2002年 936億円 424億円
[45.3%]
238億円
[25.4%]
2003年 1172億円 591億円
[50.4%]
352億円
[30.0%]
2004年 1394億円 725億円
[52.0%]
453億円
[32.5%]
2005年 1583億円 814億円
[51.4%]
504億円
[31.8%]
2006年 1827億円 930億円
[50.9%]
586億円
[32.1%]
2007年 2007億円 1024億円
[51.0%]
632億円
[31.5%]
2008年 1653億円 734億円
[44.4%]
420億円
[25.4%]
2009年 1362億円 557億円
[40.9%]
377億円
[27.7%]
2010年 1848億円 866億円
[46.9%]
553億円
[29.9%]
2011年 1993億円 911億円
[45.7%]
582億円
[29.2%]
2012年 2178億円 992億円
[45.6%]
676億円
[31.0%]
2013年 2650億円 1307億円
[49.3%]
859億円
[32.4%]
2014年 3340億円 1757億円
[52.6%]
1211億円
[36.3%]
2015年 3793億円 2013億円
[53.1%]
1372億円
[36.2%]
2016年 4127億円 2189億円
[53.0%]
1532億円
[37.1%]
2017年 5268億円 2929億円
[55.6%]
2106億円
[40.0%]
2018年 5871億円 3179億円
[54.1%]
2261億円
[38.5%]
2019年 5518億円 2776億円
[50.3%]
1981億円
[35.9%]
2020年 5381億円 2768億円
[51.4%]
1973億円
[36.7%]
2021年 7552億円 4180億円
[55.4%]
3034億円
[40.2%]
2022年 9224億円 4989億円
[54.1%]
3630億円
[39.4%]
2023年 9673億円 4950億円
[51.2%]
3696億円
[38.2%]
出所:キーエンス。本決算期は3月末。
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平均利益率

キーエンスの2002年から2022年までの営業利益率の平均が50.2%。

会社の動向

  • 1974年、キーエンスは大阪で設立。
  • キーエンスの製品ラインナップは、主に工場自動化(FA)向けのセンサー、自動制御機器(PLC)、計測・測定器などを中核に、タッチパネル、光学顕微鏡、電子顕微鏡なども手掛ける。
  • 提案型直販営業に強み。高利益で株価が高く、社員の平均収入も高い事でよく話題になる企業。
  • 高利益率をキープしながら売上高の上昇が著しい。キーエンスの成長と比例して、生産現場における工場自動化が進んでいる証拠。人手不足が進む日本の問題が解消されている根拠となる。
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KEYENCEの財政・経営状況

キーエンスの財務状況の推移:総資産・純資産・自己資本比率の推移
年度 総資産
[現金・手元資金]
負債総額
[有利子負債]
自己資本・純資産
[自己資本比率(%)]
2005年 3960億円
[114億円]
365億円
[なし]
3595億円
[90.8%]
2010年 6006億円
[262億円]
476億円
[なし]
5530億円
[92.1%]
2015年 1兆1020億円
[1159億円]
590億円
[なし]
1兆430億円
[94.6%]
2020年 2兆99億円
[1899億円]
971億円
[なし]
1兆9128億円
[95.2%]
2021年 2兆3240億円
[3962億円]
1504億円
[なし]
2兆1736億円
[93.5%]
2022年 2兆6504億円
[4337億円]
1588億円
[なし]
2兆4916億円
[94.0%]
出所:キーエンス
  • キーエンスは自社工場をもたないファブレス企業。製品は国内を中心に海外にも委託しているため、市況悪化のリスクを受けにくい。つまり、財務悪化しにくい体質をもつ。
  • 株式時価総額は約14.5兆円(2023年8月時点)
  • 有利子負債はなし。無借金経営でキャッシュも多い。経営難になる心配は不要。

KEYENCEの連結社員数と開発投資について

キーエンスの全従業員数、平均年収、設備投資額、研究開発費の推移
年度 従業員数(連結) 平均年収 設備投資費 研究開発費
2005年 2379人 1344万円 20億円 60億円
2010年 3151人 1285万円 25億円 85億円
2015年 5003人 1777万円 25億円 83億円
2020年 8380人 1751万円 44億円 161億円
2022年 10580人 2279万円 393億円 217億円
出所:キーエンス
  • キーエンスの平均年収は日本企業トップの2279万円(2022年度時点)。その給与をもらえるだけハードな仕事がある。高給なので人気の就職先だが、肉体的にも精神的にもタフじゃないとキーエンスではやっていけない。
  • 勤続年数が一般大手メーカーを比較すると低く、平均年齢が若い。仕事がハードだというので、離職率も高いのかもしれない。
  • 工場を持たないファブレス企業であるため、設備投資額は少ない。さらに、高利益のわりに研究開発費も少ない。そのため「儲けのからくり」を不思議に思う人が多い。
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国内と海外の売上比率

キーエンスの海外売上比率の推移(2014年以降)
国/地域 2014年/売上高
[全体比(%)]
2018年/売上高
[全体比(%)]
2022年/売上高
[全体比(%)]
日本 1651億円
[49.4%]
2751億円
[46.9%]
3481億円
[37.7%]
海外 1689億円
[50.6%]
3120億円
[53.1%]
5743億円
[62.3%]
出所:キーエンス
  • 売上高基準では、アジア、アメリカ、欧州、南米など全地域で高成長を持続。
  • 海外進出は、代表的な国で言えば、1985年にアメリカ、1990年にドイツ、1998年にタイ、1999年に台湾、2001年に中国に、それぞれ現地法人を設立。他にも、製造業が強い国には現地拠点を展開。
  • 2010年代に入り、海外展開の努力の結果が大きく現れるようになる。現在では売上比率において海外市場が日本市場を圧倒するようになった。
  • グローバルで46か国に展開。220か所の拠点をもつ。(2022年時点)

主要製品ラインナップと売上比率

キーエンスは、製品売上の詳細を公表していないが、元キーエンス社員で実業家の天野眞也氏によると、2010年頃のキーエンスの製品売上内訳はおおまかに以下の割合だったとされる。(YouTubeより)

  • 光スイッチセンサ……約20~25%
  • 画像センサ……約20~25%
  • 計測器/測定器……約25~30%
  • 制御装置(PLC)……約25~30%
  • その他……数%

キーエンスは営業利益率が突出して高いため、高価格製品/高付加価値製品だけを売っているイメージがあるが、天野眞也氏によると、中核のセンサにおいてはそんな事はないという。

キーエンスは、中核のセンサ事業では元々後発メーカー。業界では特に珍しいわけでもない光センサ、画像センサ、温度センサ、圧力センサなどを手掛けるが、キーエンスが他社と比較して特に利益率が高い理由は何か。

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キーエンスの強み:高利益で高収入の理由

  • 販売は代理店を通さず直販。中間マージンなし。利益が丸ごとキーエンスへ。
  • 利益に忠実な経営、徹底した営業活動。ビジネスに関係しない事は排除する社風。
  • 新人の営業マンには「利益管理」を徹底的に教えられ、利益を優先した販売を行う。
  • 一般に製造業の粗利益は2~3割と言われる中、キーエンスの粗利益は8割を意識。商品企画の段階で粗利80%が期待できないと判断されれば開発は行われない。
  • 営業マンの教育を徹底。顧客との「取引きシミュレーション」をマニュアル化して商談に挑む。
  • 競合他社は、自社センサ応用製品を囲い込むような販売戦略をとっていたが、キーエンスは競合のやり方の隙間を狙った戦略をとった。また、競合大手は殿様商売になりがちで対応も遅いが、キーエンスは即対応。
  • スピード重視。昔から注文製品の「即日出荷」「即納品」が有名。特に新商品の納品は遅れないようにする。工場を止める事ができない製造現場に信頼を与える。
  • 営業マンどうしで情報を共有。特定の営業マンが顧客情報を囲い込む事はしない。中田有社長によると「囲い込みはダサい」との事。皆で儲けて皆でWin-Win関係を築く。
  • 工場を知り尽くした営業。自社製品の事、自社にできる事を熟知。そして顧客の製造現場で何が提供できるかを提案する直販営業に強み。顧客には製造コンサルティングのような対応を心がける。
  • わかりやすい販売カタログをとにかく営業先に送る。顧客にキーエンスを意識させる。
  • キーエンスの営業マンは、競合他社の「強み」や「弱み」も把握。他社の製造設備の使い方や部品サプライヤーなども理解していたりする。知識が豊富なので、取引先はキーエンスに依存するようになっていくという。
  • シェアを意識しない。結果は後からついてくるという哲学。
  • 基本的に「値引き販売」はしない。しかし、最終的に大きな利益が期待できる場合は、値引きにも応じる。シェアが必要な場合も値引きに応じるケースあり。最終的なメリットを考慮しながら商談を行う。
  • 営業マンは、コミュニケーション能力がある人、規律を守る人、バイタリティにあふれる人を積極採用。社員は忍耐強く、プライベートよりも仕事を優先するような人が多いとされる。
  • 営業車にGPSを取り付け、営業マンの「サボり」を防止。つまり、従業員の管理も厳格。
  • 「高年収と相応の激務がある」などと言われることがあるが、元キーエンス社員の天野眞也氏によると、実際はそんな事はなく、労働時間においては一般レベルだという。

製品についての強み

  • 市場性が高いものを、他社よりも安く販売して使ってもらう。特注品は費用対効果が低く、その後のビジネス拡大に結びつきにくいため、基本的にはつくらない。
  • 新商品の7割が業界初の商品。できる限り他社と同じ事はしないようにする。自社にしかない特徴的な製品を組み合わせて、顧客企業の課題を解決する提案ができるため、ありふれた価格競争に巻き込まれない。
  • 製品によっては業界標準的な存在になっており、顧客との関係性が深くなってくるため、顧客が他の製品が必要な時も「次もキーエンスの製品で」という事になる。
  • 自動車、半導体、ディスプレイ、食品、物流など、幅広い業種で顧客網を拡大。一部の業種が不況に陥っても他の業種でカバーできる強みをもつ。
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