Panasonicの決算(通年)の売上推移
年度 | 売上高・収益 | 営業利益 [営業利益率(%)] | 純利益・最終損益 [純利益率(%)] |
---|---|---|---|
2001年 | 6兆8767億円 | -2118億円(赤字) [-3.1%] | -4310億円(赤字) [-6.3%] |
2002年 | 7兆4017億円 | 1266億円 [1.7%] | -195億円(赤字) [-0.3%] |
2003年 | 7兆4797億円 | 1955億円 [2.6%] | 421億円 [0.6%] |
2004年 | 8兆7136億円 | 3085億円 [3.5%] | 585億円 [0.7%] |
2005年 | 8兆8943億円 | 4143億円 [4.7%] | 1544億円 [1.7%] |
2006年 | 9兆1082億円 | 4595億円 [5.0%] | 2172億円 [2.4%] |
2007年 | 9兆689億円 | 5194億円 [5.7%] | 2818億円 [3.1%] |
2008年 | 7兆7655億円 | 728億円 [0.9%] | -3789億円(赤字) [-4.9%] |
2009年 | 7兆4179億円 | 1904億円 [2.5%] | -1034億円(赤字) [-1.4%] |
2010年 | 8兆6926億円 | 3052億円 [3.5%] | 740億円 [0.9%] |
2011年 | 7兆8462億円 | 437億円 [0.6%] | -7722億円(赤字) [-9.8%] |
2012年 | 7兆3030億円 | 1609億円 [2.2%] | -7543億円(赤字) [-10.3%] |
2013年 | 7兆7365億円 | 3051億円 [3.9%] | 1204億円 [1.6%] |
2014年 | 7兆7150億円 | 3819億円 [5.0%] | 1795億円 [2.3%] |
2015年 | 7兆6263億円 | 2303億円 [3.0%] | 1652億円 [2.2%] |
2016年 | 7兆3437億円 | 2768億円 [3.8%] | 1494億円 [2.0%] |
2017年 | 7兆9821億円 | 3805億円 [4.8%] | 2360億円 [3.0%] |
2018年 | 8兆27億円 | 4114億円 [5.1%] | 2841億円 [3.6%] |
2019年 | 7兆4906億円 | 2937億円 [3.9%] | 2400億円 [3.2%] |
2020年 | 6兆6987億円 | 2586億円 [3.9%] | 1839億円 [2.7%] |
2021年 | 7兆3887億円 | 3575億円 [4.8%] | 2553億円 [3.5%] |
- 2001年は、営業損失(-2118億円)、最終赤字(-4310億円)。ITバブル崩壊と言われる時期で、パナソニックにおいてもIT関連、パソコン、部品関連、携帯電話市場の不振が影響。「創業以来の大赤字」と言われた。
- 2001年度以外は営業利益で赤字を出していない。
- 2008年から2012年までは最終利益が黒字化しなかった。アメリカ発の金融危機、ユーロ危機、円高、東日本大震災など、不運がある中で、さらに三洋電機の買収と再編においても多額のコストを計上。
- 2008年度から2012年度までの最終損失の合計が-1兆9348億円。財務が急激に悪化。
- 2001年から2020年までの営業利益率の平均が3.2%。比較として、同期間のソニーの営業利益率の平均が3.3%、東芝が1.8%。
- 2001年から2021年まで、売上高があまり増えていない。ディスプレイ事業の縮小を中心に、様々な事業を手放した事が影響。
Panasonicの経営状況・財務状況
年度 | 総資産 | 負債総額 [有利子負債] |
自己資本・純資産 [自己資本比率(%)] |
---|---|---|---|
2005年 | 7兆9646億円 | 4兆1770億円 | 3兆7876億円 [47.6%] |
2010年 | 7兆8228億円 | 4兆8765億円 | 2兆9463億円 [37.7%] |
2015年 | 5兆5969億円 | 3兆7426億円 | 1兆8543億円 [33.1%] |
2020年 | 6兆8470億円 | 4兆2530億円 | 2兆5940億円 [37.9%] |
2021年 | 8兆235億円 | 4兆8586億円 [1兆6306億円] |
3兆1649億円 [39.4%] |
- 2005年と2020年を比較すると、資産規模が縮小。リストラを行った事が要因。三洋電機を取り込んでも結果的に会社規模が大きくならなかった。
- 製造業は自己資本比率40%が一つの目安。パナソニックの財務規律も40%前後を意識。
- 2008年から2012年まで合計約2兆円近くの最終損失を出しているが、現在の財務は安定的といえる。しかし、バッテリー事業拡大のため巨額資金が必要になるため、やはりビジネス的に潜在的な財政不安を抱える。
セグメント別の業績
事業 | 2020年/売上高 [営業利益:利益率(%)] |
2021年/売上高 [営業利益:利益率(%)] |
---|---|---|
くらし事業 (家電・エアコンなど) |
3兆5489億円 [1669億円:4.7%] |
3兆6476億円 [1136億円:3.1%] |
オートモーティブ (車載機器など) |
1兆171億円 [-118億円:-1.1%] |
1兆671億円 [13億円:0.1%] |
コネクト (企業向けシステム) |
8180億円 [-200億円:-2.4%] |
9249億円 [517億円:5.6%] |
インダストリー (電子部品・産業機器など) |
9846億円 [407億円:4.1%] |
1兆1314億円 [832億円:7.3%] |
エナジー (バッテリー・乾電池) |
6000億円 [335億円:5.6%] |
7644億円 [642億円:8.3%] |
- くらし事業(家電事業)……世界1位~2位を目指すと宣言。部品の共同調達で従来よりもコスト削減を目指す。また、空調(エアコン)や冷蔵庫、洗濯機などの成長率や利益率が高い分野に注力。
- オートモーティブ(自動車関連)……世界のEV化の成長を取り込む見込み。
- コネクト(企業向けシステム)……買収した米国ブルーヨンダーからの安定収入。そして、自社がもつセンサー機器とソフトを融合した商品で顧客拡大を目指す。
- インダストリー(産業機器・電子部品)……採算が悪い事業を排除して得意分野を伸ばす戦略。
- エナジー(バッテリー事業)……自動車EV市場拡大に向け、中国CATLや韓国LGエナジーと共に市場トップ3を維持したいところ。テンションが高いテスラと協業関係にあるのが強み。
M&A・合弁・再編の動向
2011年三洋電機を完全子会社化。この時期、売上高10兆円を目指すと発表。
2011年買収した三洋電機の白物家電事業のうち冷蔵庫・洗濯機部門を中国の家電大手ハイアールに約100億円で売却。
2013年プラズマディスプレイパネル生産から撤退。プラズマテレビ生産も撤退。生産と販売は液晶テレビに一本化。
2014年テスラと車載向けバッテリーで提携。アメリカで工場建設へ。
2016年アメリカの業務用冷蔵庫トップのハスマンを買収。
2017年パナホームを完全子会社化。社名をパナソニックホームへ。
2019年トヨタと自動車向けバッテリー合弁会社「プライム・プラネット・エナジー&ソリューションズ(PPES)」の設立。
2019年トヨタと住宅事業を統合。プライムライフテクノロジーズ誕生。
2020年半導体事業から撤退。工場は台湾Winbond Electronics傘下企業へ売却。
2021年アメリカのサプライチェーン管理サービス企業「ブルーヨンダー」を約8600億円で買収。サブスクビジネスを確保。
2022年持株会社体制へ移行。
人員リストラ
リーマンショック以降、大赤字に陥ったパナソニックは大胆な従業員リストラに踏み切っている。その規模を金額にするため少し計算。
2021年度の平均年収が744万円。それを基準に減少した社員数の固定費削減額を計算すると、
9万人の従業員を減らしたことで、約6760億円の人件費を削減。プラズマディスプレイや半導体事業からの撤退などによる人員削減だけではなく、全体的に従業員を減らしている。
創業者の松下幸之助による「社員をリストラしない」「社員は守る」という経営哲学により、時代が変わってもリストラを先送りしてきたところがあるが、リーマンショック以降の大赤字により、松下幸之助の哲学は否定されるようになった。
松下幸之助の経営哲学は、性善説が通用した高度経済成長時代がベース。時代が変わったため仕方がない。
ホンダにおいても、創業者の本田宗一郎の哲学を変える動きがあるが、いずれにしても偉大な創業者がいる企業は、時代に合っていない社内世論が根付いていたりするため、改革が必要となっている。
利益重視の経営へ
今後のパナソニックは、年間利益5000億円を目標とすると宣言。持株会社となり、それぞれが厳格な数値目標を掲げて利益を出していく見込み。