サムスンのNANDフラッシュメモリの推定利益率
以下は「韓国DS投資証券リサーチセンター」調べによる2024年度のサムスンの売上高/営業利益/利益率の推定。2025年、2026年は見通し。

サムスンとキオクシアの2024年度のNANDメモリ業績を比べると…
| サムスン電子(NANDのみ) (2024年1月~12月末) |
キオクシア(全体) (2024年4月~2025年3月末) |
|
|---|---|---|
| 売上高 | 33兆4110億ウォン (3兆3411億円) |
1兆7064億円 |
| 営業利益 | 4兆9900億ウォン (4990億円) |
4517億円 |
| 営業利益率 | 14.9% | 26.5% |
- キオクシアの利益率「26.5%」は、サムスンの営業利益率「14.9%」の1.78倍と圧倒。サムスンの売上高はキオクシアの約2倍とはいえ営業利益は同レベル。
- キオクシアは主にNANDフラッシュメモリ製造メーカーであり、サムスン、SKハイニックス、マイクロンなどの競合と比較してDRAMをもっていない事から、大口顧客(スマホメーカー、PCメーカー、データセンター事業者)との商談が不利になってしまう問題を抱えるが、それでもサムスンよりも高い利益率を出す。
- 韓国では製造業を飛躍させるため電力公社が利益が出ないレベル(時に赤字)で電力販売しているが、それでもキオクシアは韓国勢よりも上回る利益を出す。(なお、半導体製造には莫大な電力が必要であり、最先端製造になれば原発一基分の電力が必要になるとされる)
なぜキオクシアはサムスンよりも高い利益率を出す事ができるのか?
- そもそもがキオクシア(元東芝)はNANDフラッシュメモリ開発の元祖。技術が競合よりも豊富。
- 他のメモリメーカーは、積層化(96層→128層→178層など)を進める事で収益性を上げようとしているが、キオクシアは積層化よりもコスパ、生産性を重視してきた。
- 具体的には効率良くメモリセルを高集積化、高密度化するかを重視。メモリホールの深さや平面方向の設計技術、プロセス技術など、様々な要素を最適化してコストと性能のバランスが最も良い製造手法を開発してきた。
- 競合はキオクシアよりも積層化の進展が進んでいたりするが、NANDメモリの世界は積層化が全てではないという事。
- 円安も追い風。
- 日本政府から設備投資の補助金が出ている事も大きい。2022年は四日市工場での先端メモリ量産設備に最大約929億円、2024年は三重県の四日市工場と岩手県の北上工場に最大約1500億円が補助金が投入。
これからはハイブリッドボンディングの時代
キオクシアは「ハイブリッドボンディング」という「ウエハー張り合わせ技術」でサムスンやSKハイニックス、マイクロンなどよりも優位性をもつ。
今までのNANDフラッシュメモリは「メモリーセル」と「ロジック」を1つのウエハーで製造するのが一般的だったが、その場合、ロジックエリアは熱処理に弱い事からメモリーセルの信頼性を高める事が難しかった。
そこでキオクシアは、ロジックとメモリーセルを別々のウエハーで製造し、後から貼り合わせて最終的にメモリーセルの容量や安定性、転送速度を高める手法を開発。すでに2024年から量産拡大させている。
別々のウエハーで製造するため、そこだけで言えばコスト増につながるが、トータル的に言えば積層化にのめり込む戦略よりも生産性や品質、性能が良くなる。早坂伸夫社長によると、サムスンやSKハイニックス、マイクロンなどと比較して、2世代ほどの優位性があるという。
参考:https://www.kioxia.com/ja-jp/rd/technology/topics/topics-64.html
サムスンは中国から技術購入
NANDフラッシュメモリ向けハイブリッドボンディング技術を確立しているのは、キオクシア/サンディスク(WD)連合の他に、中国YMTCの「Xtacking(エクスタッキング)技術」がある。
中国がウエハー張り合わせ技術でNANDメモリを量産をしているというニュースは2021年頃に報道され話題となり、積層数が64層からその技術を活用して量産しているとされる。そして今後、その技術を使用するのがサムスン。
2025年の韓国メディアの報道によると、サムスンは中国YMTCからハイブリッドボンディング技術をライセンス契約して生産に入る模様。業界トップのサムスンでさえも新参の中国企業に頼らないといけないほど焦りがあるという事か。
そして、SKハイニックスやマイクロンは2025年9月時点ではウエハーボンディングの技術を導入できておらず、今のところ「積層化」の進展で優位性を高めていく模様。
積層化を進めるだけでは生産性/コスパが悪くなるばかりで競合に勝てなくなっていく事になるが、彼らはAIサーバー向けHBM(高性能DRAM)を持っており、大口顧客との商談に強みがあるので、まだまだ積層化だけで戦っていけると考えているのかもしれない。いずれは何らかのニュースが出て来るとは思う。
キオクシアの株価も上昇

- 株価上昇の理由は、DRAMがない不利な状況にあるキオクシアの優れた利益率が注目されるようになった事が大きい。
- ハイブリッドボンディングなどの技術的な優位性が裏付け。
- 世界的にハイテク/半導体関連の市況/期待値が良い事も株高の背景にあり。
【2025年Q1】NANDフラッシュメモリシェア

2位SKハイニックス……16.6%
3位マイクロン……15.4%
4位キオクシア……14.6%
5位サンディスク/WD……12.9%
6位その他……8.7%
数年前と比較すると、マイクロンのシェアがやや上昇。それ以外はあまり変化なし。しかし、今後はキオクシアのシェアが上がってくる事を期待したい。
巨大データセンターを運営するAmazon(AWS)、マイクロソフト(AZURE)、Google、オラクルなどは、キオクシア/サンディスクのチップを優先していく事になるはず。
キオクシアは、利益率改善、株価上昇、金融政策よる円安継続、日本政府からの補助金などあらゆる追い風により、岩手県北上市の第二工場の設備導入も進み、売上高シェアも上がってくる事になりそう。











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