United Microelectronics Corporationの連結決算:通年の売上推移
年度 | 売上高・収益 | 営業利益 [営業利益率(%)] | 純利益・最終損益 [純利益率(%)] |
---|---|---|---|
1994年 | 152億台湾ドル (608億円) | 67億台湾ドル (268億円) [44.0%] | 65億台湾ドル (260億円) [42.8%] |
1995年 | 242億台湾ドル | 124億台湾ドル [51.2%] | 134億台湾ドル [55.4%] |
1996年 | 226億台湾ドル | 61億台湾ドル [27.0%] | 76億台湾ドル [33.6%] |
1997年 | 251億台湾ドル | 36億台湾ドル [14.3%] | 97億台湾ドル [38.6%] |
1998年 | 184億台湾ドル | 3.9億台湾ドル [2.1%] | 44億台湾ドル [23.9%] |
1999年 | 291億台湾ドル | 55億台湾ドル [18.9%] | 105億台湾ドル [36.1%] |
2000年 | 1051億台湾ドル | 436億台湾ドル [41.5%] | 508億台湾ドル [48.3%] |
2001年 | 645億台湾ドル | -56億台湾ドル [-8.7%] | -32億台湾ドル [-5.0%] |
2002年 | 674億台湾ドル | 1.4億台湾ドル [0.2%] | 70億台湾ドル [10.4%] |
2003年 | 849億台湾ドル | 99億台湾ドル [11.7%] | 140億台湾ドル [16.5%] |
2004年 | 1173億台湾ドル | 245億台湾ドル [20.9%] | 318億台湾ドル [27.1%] |
2005年 | 908億台湾ドル | -27億台湾ドル [-3.0%] | 70億台湾ドル [7.7%] |
2006年 | 1120億台湾ドル | 52億台湾ドル [4.6%] | 326億台湾ドル [29.1%] |
2007年 | 1133億台湾ドル | 61億台湾ドル [5.4%] | 170億台湾ドル [15.0%] |
2008年 | 968億台湾ドル | -21億台湾ドル [-2.2%] | -223億台湾ドル [-23.0%] |
2009年 | 914億台湾ドル | 18億台湾ドル [2.0%] | 39億台湾ドル [4.3%] |
2010年 | 1264億台湾ドル | 220億台湾ドル [17.4%] | 239億台湾ドル [18.9%] |
2011年 | 1167億台湾ドル | 52億台湾ドル [4.5%] | 106億台湾ドル [9.1%] |
2012年 | 1157億台湾ドル | 35億台湾ドル [3.0%] | 78億台湾ドル [6.7%] |
2013年 | 1238億台湾ドル | 40億台湾ドル [3.2%] | 121億台湾ドル [9.8%] |
2014年 | 1400億台湾ドル | 101億台湾ドル [7.2%] | 104億台湾ドル [7.4%] |
2015年 | 1448億台湾ドル | 108億台湾ドル [7.5%] | 126億台湾ドル [8.7%] |
2016年 | 1479億台湾ドル | 62億台湾ドル [4.2%] | 42億台湾ドル [2.8%] |
2017年 | 1493億台湾ドル | 66億台湾ドル [4.4%] | 67億台湾ドル [4.5%] |
2018年 | 1512億台湾ドル | 57億台湾ドル [3.8%] | 32億台湾ドル [2.1%] |
2019年 | 1482億台湾ドル | 49億台湾ドル [3.3%] | 46億台湾ドル [3.1%] |
2020年 | 1768億台湾ドル | 219億台湾ドル [12.4%] | 209億台湾ドル [11.8%] |
2021年 | 2130億台湾ドル | 517億台湾ドル [24.3%] | 506億台湾ドル [23.8%] |
2022年 | 2787億台湾ドル | 1043億台湾ドル [37.4%] | 903億台湾ドル [32.4%] |
2023年 | 2225億台湾ドル (8900億円) | 578億台湾ドル (2312億円) [26.0%] | 596億台湾ドル (2384億円) [26.8%] |
出所:UMC。本決算期は12月末。()内の日本円表記は1台湾ドル=0.1円で換算。
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平均利益率
UMCの1994年から2022年までの営業利益率の平均が12.5%。
比較として、台湾の同業TSMCの1995年から2022年までの営業利益率の平均が35.8%。
比較として、台湾の同業TSMCの1995年から2022年までの営業利益率の平均が35.8%。
会社の動向
- UMC(United Microelectronics Corporation:聯華電子)は1980年に設立した台湾の半導体企業。台湾の政府機関が全額出資して誕生。
- 1997年に設計部門と製造部門を分離。UMCはファウンドリー(半導体受託製造メーカー)となり、設計部門はMediaTek(メディアテック)となる。
- 2000年頃までは、微細化製造技術や売上規模でTSMCと同レベルだったが、しだいに技術や業績の格差が拡大。結果的に最先端プロセスの開発から早い段階から撤退し、現在に至る。
- 28~40nmクラスの受託売上比率が高いが、アナログ半導体やパワー半導体などの受託製造もカバー。
- 2021年や2022年は、世界的な半導体不足により、UMCに委託注文が殺到。業績アップへ。
- ファウンドリー競合の業績推移
- TSMC
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財政・経営状況
年度 | 総資産 [現金・手元資金] |
負債総額 [有利子負債] |
自己資本・純資産 [自己資本比率(%)] |
---|---|---|---|
1995年 | 479億台湾ドル | 162億台湾ドル | 317億台湾ドル [66.2%] |
2000年 | 3111億台湾ドル [541億台湾ドル] |
735億台湾ドル [466億台湾ドル] |
2376億台湾ドル [76.3%] |
2005年 | 4267億台湾ドル [1135億台湾ドル] |
903億台湾ドル [478億台湾ドル] |
3364億台湾ドル [78.8%] |
2010年 | 2809億台湾ドル [513億台湾ドル] |
558億台湾ドル [109億台湾ドル] |
2251億台湾ドル [80.1%] |
2015年 | 3354億台湾ドル [533億台湾ドル] |
1105億台湾ドル [530億台湾ドル] |
2249億台湾ドル [67.1%] |
2020年 | 3665億台湾ドル [904億台湾ドル] |
1434億台湾ドル [414億台湾ドル] |
2231億台湾ドル [60.9%] |
2021年 | 4510億台湾ドル [1326億台湾ドル] |
1866億台湾ドル [468億台湾ドル] |
2644億台湾ドル [58.6%] |
2022年 | 5246億台湾ドル [1738億台湾ドル] |
2018億台湾ドル [456億台湾ドル] |
3228億台湾ドル [61.5%] |
2023年 | 5465億台湾ドル [1325億台湾ドル] |
2028億台湾ドル [587億台湾ドル] |
3437億台湾ドル [62.9%] |
出所:UMC
- UMCの財務は安定的。有利子負債も少なく、現金/手元資金も豊富。
全社員数
2010年 | 2015年 | 2020年 | 2022年 |
---|---|---|---|
13671人 | 18389人 | 19386人 | 20680人 |
出所:UMC
- 2022年度は、全従業員数20680人のうち、エンジニアが12390人、高度技術者が7461名、管理職が829名とされる。
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受注先の企業の国籍と売上比率
国/地域 | 2012年/売上比率(%) | 2018年/売上比率(%) | 2022年/売上比率(%) |
---|---|---|---|
台湾 | 36.4% | 36.4% | 31.4% |
シンガポール | 27.7% | 16.4% | 14.0% |
中国 | 5.3% | 12.2% | 16.6% |
日本 | 2.5% | 3.9% | 6.3% |
米国 | 13.3% | 15.6% | 12.6% |
欧州 | 「その他」に含む | 8.3% | 3.2% |
その他 | 14.8% | 7.2% | 15.9% |
出所:UMC
- UMCの受託売上トップは台湾。その台湾には、スマホチップで高シェアのMediaTekだけではなく、Novatek、Realtek、Himaxなどのファブレスメーカーが多く、それらのメーカーの受託生産ボリュームが多い。
- 中国向けは、中国メーカーから委託の電気自動車向け半導体の受託生産拡大により、売上が急増している模様。
- 日本向けの売上比率が上がっている。これは、2018年に富士通の三重工場(三重富士通セミコンダクター)を買収した事が大きい。自動車メーカー向け車載半導体の受託製造を強化。
- UMCのアメリカ企業の顧客は、AMD、クアルコム、テキサス・インスツルメンツ(TI)などが中心。AMDとクアルコムは工場を持たないファブレス企業。TIは、製造も手掛けるが、全体の2割ほどをUMCやTSMCなどの外部に委託。
- 欧州企業からの受託売上高が低い。ヨーロッパの半導体メーカーは、最先端半導体の生産には弱いが、UMCが得意とする旧プロセスの半導体やアナログ/パワーの生産には強い傾向がある。また、さらに自前で生産量を増やす見通し。
半導体受託製造業界の市場シェア
企業 | 2013年 | 2020年 | 2022年 |
---|---|---|---|
TSMC(台湾) | 46% | 54% | 58.5% |
サムスン(韓国) | 9% | 17% | 15.5% |
UMC(台湾) | 9% | 7% | 6.3% |
グローバルファウンドリーズ(米) | 10% | 7% | 6.2% |
SMIC(中国) | 5% | 5% | 4.7% |
PSMC(台湾) | 1% | 1% | 1.2% |
Tower(イスラエル) | – | – | 1.2% |
VIS(台湾) | 1% | 1% | 0.9% |
DB Hitek(韓国) | – | – | 0.9% |
出所:トレンドフォース。売上高ベースのシェア&ランキング。
- UMCは、年々ファウンドリーシェアを落としている。これは、UMCのシェアが減っているというよりも、業界トップであるTSMCの売上高上昇率が非常に高いため、他社は相対的にシェア減少となってしまう。サムスンやグローバルファウンドリーズ(米国)などのシェア減少も同様。
- 2022年度は、台湾勢(TSMC、UMC、PSMC、VIS)で約67%のシェアを占める。電子製品受託製造のフォックスコンやペガトロンなどだけではなく、半導体分野においても受託製造といえば台湾勢が先導する存在となっている。
- TSMCは、幅広い半導体製造をカバー。サムスンは最先端のみ。米国グローバルファウンドリーズ(GF)は、UMCと同じように最先端プロセスの製造から撤退。つまり、UMCの売上高が多い28~40nmクラスの受託生産では、中国メーカーを除けばTSMC、GFと共に3社寡占。競争原理が弱いので、そのエリアは安泰といえる。
- 世界が「経済安全保障」を理由に、半導体に対して保守的になっている。世界中の半導体メーカーが政府支援をもとに自前主義に向かっている事は、UMCのビジネスにおいてネガティブ要因かもしれない。
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