VISAの連結決算:通年の売上推移
決算期 | 売上高・収益 [カード発行枚数] | 営業利益 [営業利益率(%)] | 純利益・最終損益 [純利益率(%)] |
---|---|---|---|
2007年 9月期 | 51.93億ドル [15億枚] | 16.73億ドル [32.2%] | 10.51億ドル [20.2%] |
2008年 9月期 | 62.63億ドル [16億枚] (NY証券取引所上場) | 28.97億ドル [46.3%] | 17.49億ドル [27.9%] |
2009年 9月期 | 69.11億ドル [17億枚] | 35.38億ドル [51.2%] | 23.53億ドル [34.0%] |
2010年 9月期 | 80.65億ドル [18億枚] | 45.89億ドル [56.9%] | 29.66億ドル [36.8%] |
2011年 9月期 | 91.88億ドル [19億枚] | 54.56億ドル [59.4%] | 36.50億ドル [39.7%] |
2012年 9月期 | 104.21億ドル [20億枚] | 21.39億ドル [20.5%] | 21.44億ドル [20.6%] |
2013年 9月期 | 117.78億ドル [22億枚] | 72.39億ドル [61.5%] | 49.80億ドル [42.3%] |
2014年 9月期 | 127.02億ドル [23億枚] | 76.97億ドル [60.6%] | 54.38億ドル [42.8%] |
2015年 9月期 | 138.80億ドル [24億枚] | 90.64億ドル [65.3%] | 63.28億ドル [45.6%] |
2016年 9月期 | 150.82億ドル [31億枚] (6月 VISAヨーロッパを買収) | 78.83億ドル [52.3%] | 59.91億ドル [39.7%] |
2017年 9月期 | 183.58億ドル [31億枚] | 121.44億ドル [66.2%] | 66.99億ドル [36.5%] |
2018年 9月期 | 206.09億ドル [32億枚] | 129.54億ドル [62.9%] | 103.01億ドル [50.0%] |
2019年 9月期 | 229.77億ドル [34億枚] | 150.01億ドル [65.3%] | 120.80億ドル [52.6%] |
2020年 9月期 | 218.46億ドル [35億枚] | 140.81億ドル [64.5%] | 108.66億ドル [49.7%] |
2021年 9月期 | 241.05億ドル [38億枚] | 158.04億ドル [65.6%] | 123.11億ドル [51.1%] |
2022年 9月期 | 293.10億ドル [41億枚] | 188.13億ドル [64.2%] | 149.57億ドル [51.0%] |
2023年 9月期 | 326.53億ドル [44億枚] | 210.00億ドル [64.3%] | 172.73億ドル [52.9%] |
2024年 9月期 | 359.26億ドル | 235.95億ドル [65.7%] | 197.43億ドル [55.0%] |
出所:VISA。本決算期は9月末。2007年は上場前のプロフォーマ成績。
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平均利益率
2007年から2023年までのVISAの営業利益率の平均が56.4%。比較として、2004年から2022年までのMasterCardの営業利益率の平均が40.7%。JCBの2011年から2022年までの営業利益率の平均が12.2%。
会社の動向
- VISAは、決済カードの国際ブランド。1958年に米国大手銀行「バンク・オブ・アメリカ」が「BankAmericard」の名称でクレジットカード事業を開始した事がルーツ。
- 1976年、国際ブランドとしての普及を目指し「VISA」に名称変更。以降、VISAは国際的な決済カードブランドで世界トップシェアを守り続ける。
- クレジットカードの国際ブランドは、VISAの他にマスターカード、アメックス、JCB、中国の銀聯(ぎんれん)カードなど。
- 2016年、VISA欧州部門を買収。しかし、ヨーロッパはMasterCardのシェアが高く、VISAの収益性は高くない。
- 2020年時点のカードブランド日本国内シェアは、1位のVISAが50.8%、2位がJCBで28.0%、3位がMasterCardで17.8%。(イプソス調べ)
- 巨大市場の中国では、中国企業の「銀聯(ぎんれん)カード」の普及が進められ、観光地以外ではVISAが使えないケースが多い。
- 競合の業績推移
- Mastercard
- JCB
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VISAの財政・経営状況
決算期 | 総資産 [現金・手元資金] |
負債総額 [(長期)有利子負債] |
自己資本・純資産 [自己資本比率(%)] |
---|---|---|---|
2010年 9月期 |
334.08億ドル [59.17億ドル] |
83.94億ドル [0.32億ドル] |
250.14億ドル [74.9%] |
2015年 9月期 |
393.67億ドル [70.87億ドル] |
95.25億ドル [なし] |
298.42億ドル [75.8%] |
2020年 9月期 |
809.19億ドル [209.42億ドル] |
447.09億ドル [210.71億ドル] |
362.10億ドル [44.7%] |
2021年 9月期 |
828.96億ドル [194.06億ドル] |
453.07億ドル [199.78億ドル] |
375.89億ドル [45.3%] |
2022年 9月期 |
855.01億ドル [199.71億ドル] |
499.20億ドル [202.00億ドル] |
355.81億ドル [41.6%] |
2023年 9月期 |
904.99億ドル [218.98億ドル] |
517.66億ドル [204.63億ドル] |
387.33億ドル [42.8%] |
出所:VISA
- VISAの財務問題はなし。業績が良いため、株主還元も拡大傾向。
- 近年は、システム強化やカード普及のための奨励金を増やしているため、やや有利子負債が増えている。
- 2024年2月時点のVISAの株式時価総額は5612億ドル。比較として、MasterCardの時価総額は4309億ドル。アメリカでは両社共に安定銘柄となっている。なお、JCBは非上場。
- NYダウ30の銘柄の一つ。つまり、アメリカを代表する企業の一つという事。
ビザの連結社員数
2010年 | 2015年 | 2020年 | 2023年 |
---|---|---|---|
6800人 | 11300人 | 20500人 | 28800人 |
出所:VISA
- VISAの従業員数は、競合のMastercardと同レベル。共にカード利用増加に備えたシステム安定化に向け増員傾向。
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収益構造・セグメント別の成績
セグメント | 2015年/売上高 [売上比率(%)] |
2020年/売上高 [売上比率(%)] |
2023年/売上高 [売上比率(%)] |
---|---|---|---|
Service (手数料収入) |
63.02億ドル [45.4%] |
98.04億ドル [44.9%] |
148.26億ドル [45.4%] |
Data processing (情報処理収入) |
55.52億ドル [40.0%] |
109.75億ドル [50.2%] |
160.07億ドル [49.0%] |
International transaction (国際取引手数料) |
40.64億ドル [29.3%] |
62.99億ドル [28.8%] |
116.38億ドル [35.6%] |
Other (その他) |
8.23億ドル [5.9%] |
14.32億ドル [6.6%%] |
24.79億ドル [7.6%] |
Client incentives (販売奨励金) |
-28.61億ドル [-20.6%] |
-66.64億ドル [-30.5%] |
-122.97億ドル [-37.7%] |
合計 | 138.80億ドル [100%] |
218.46億ドル [100%] |
326.53億ドル [100%] |
出所:VISA
- Service(基本的な手数料収入)……VISA加盟店で、消費者がVISAブランドのカードを使用し、商品が売れたら加盟店は決済金額の一部を手数料としてカード会社に支払う事になる。なお、手数料率は1%~10%の間で、同じ決済額でも業種や売上規模によって手数料は異なる。
- Data processing(情報処理収入)……VISA加盟店やクレジットカード発行会社(楽天や三井住友など)に対するVISAネットワークシステム利用料。
- International transaction(国際取引手数料)……海外でのカード使用による両替手数料。外国の実店舗やネットショッピングなどにおいて、VISAが定める為替レートから、さらに海外事務手数料として数%がカード会社の収益に。
- Client incentives(販売奨励金)……VISAブランド普及のための販売促進費。2023年度の販売奨励金は122.97億ドルで売上比率37.7%。
国内と外国の売上比率
国/地域 | 2015年/売上高 [全体比(%)] |
2020年/売上高 [全体比(%)] |
2023年/売上高 [全体比(%)] |
---|---|---|---|
アメリカ | 74.06億ドル [53.4%] |
101.25億ドル [46.3%] |
141.38億ドル [43.3%] |
世界 (米国以外) |
62.19億ドル [44.8%] |
117.21億ドル [53.7%] |
185.15億ドル [56.7%] |
出所:VISA
- クレジットカードの普及が進み、2016年以降に世界のマーケットがアメリカ市場の営業収益を追い越す。とはいえ、アメリカ市場はカードビジネスの収益性が高い。
- アメリカは、お国柄としてクレジット決済が進んでいる。カードローンの利用者も多い。
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決済取扱い高とカード発行枚数を競合と比較
年度 | VISA | MasterCard | JCB |
---|---|---|---|
取扱い金額 [カード発行枚数] |
取扱い金額 [カード発行枚数] |
取扱い金額 [カード発行枚数] |
|
2008年 | 4兆3460億ドル [16億枚] |
2兆5330億ドル [9.8億枚] |
約7兆円 [6000万枚] |
2010年 | 6兆2200億ドル [18億枚] |
2兆7230億ドル [9.7億枚] |
約8兆円 [6400万枚] |
2012年 | 6兆3000億ドル [20億枚] |
3兆6470億ドル [12億枚] |
15兆5989億円 [8018万枚] |
2014年 | 7兆3000億ドル [23億枚] |
4兆4990億ドル [14億枚] |
22兆5753億円 [8958万枚] |
2016年 | 8兆2300億ドル [31億枚] |
4兆8270億ドル [17億枚] |
26兆5659億円 [1億569万枚] |
2018年 | 11兆890億ドル [32億枚] |
5兆9000億ドル [20億枚] |
32兆6759億円 [1億3007万枚] |
2020年 | 11兆3470億ドル [35億枚] |
6兆3310億ドル [23億枚] |
33兆8255億円 [1億4102万枚] |
2022年 | 14兆1000億ドル [41億枚] |
8兆1780億ドル [27億枚] |
43兆2798億円 [1億5401万枚] |
出所:VISA、MasterCard、JCB。
- 2022年度のVISAの取扱高(14兆1000億ドル)は、マスターの約1.7倍、JCBの約45倍、アメックスの約9.1倍。
- 2022年度のVISAブランドのカード発行枚数(41億枚)は、マスターの約1.5倍、JCBの約26.6倍、アメックスの約31.5倍。
VISAが人気の理由
- VISAの強みは加盟店が多い事。クレジットカードが使える店では基本的にVISAが使える。しかし、コストコはマスターカードのみでVISAは使えず(2024年時点)。
- 外国のネットショップを利用する場合、VISAブランドを使えば、海外事務手数料(両替手数料)がかからない「円建て決済」を選択できる店が多い。
- 日本のカード発行会社は、VISAの一極化を恐れるため、JCBやMasterブランドを勧める事も多いが、やはりVISAを選ぶのが無難。
- 日本人として言えば、日本発の「JCB」ブランドを選ぶのも吉。日本国内ではマスターよりも使える店が多い。
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