YASKAWAの連結決算:通年の売上推移
年度 | 売上高・収益 | 営業利益 [営業利益率(%)] | 純利益・最終損益 [純利益率(%)] |
---|---|---|---|
1997年 | 2686億円 | 133億円 [5.0%] | 53億円 [2.0%] |
1998年 | 2274億円 | 6億円 [0.3%] | -38億円 [-1.7%] |
1999年 | 2298億円 | 40億円 [1.7%] | -17億円 [-0.7%] |
2000年 | 2660億円 | 120億円 [4.5%] | 33億円 [1.2%] |
2001年 | 2227億円 | -37億円 [-1.7%] | -126億円 [-5.7%] |
2002年 | 2261億円 | 63億円 [2.8%] | -25億円 [-1.1%] |
2003年 | 2630億円 | 124億円 [4.7%] | 58億円 [2.2%] |
2004年 | 3096億円 | 175億円 [5.7%] | 18億円 [0.6%] |
2005年 | 3229億円 | 244億円 [7.6%] | 101億円 [3.1%] |
2006年 | 3689億円 | 335億円 [9.1%] | 189億円 [5.1%] |
2007年 | 3823億円 | 364億円 [9.5%] | 202億円 [5.3%] |
2008年 | 3502億円 | 208億円 [5.9%] | 68億円 [1.9%] |
2009年 | 2247億円 | -69億円 [-3.1%] | -56億円 [-2.5%] |
2010年 | 2968億円 | 128億円 [4.3%] | 65億円 [2.2%] |
2011年 | 3071億円 | 148億円 [4.8%] | 84億円 [2.7%] |
2012年 | 3103億円 | 130億円 [4.2%] | 68億円 [2.2%] |
2013年 | 3635億円 | 257億円 [7.1%] | 169億円 [4.6%] |
2014年 | 4001億円 | 315億円 [7.9%] | 248億円 [6.2%] |
2015年 | 4112億円 | 367億円 [8.9%] | 223億円 [5.4%] |
2016年 | 3948億円 | 304億円 [7.7%] | 203億円 [5.1%] |
2017年 | 4485億円 | 541億円 [12.1%] | 397億円 [8.9%] |
2018年 | 4746億円 | 497億円 [10.4%] | 411億円 [8.7%] |
2019年 | 4109億円 | 223億円 [5.4%] | 144億円 [3.5%] |
2020年 | 3897億円 | 271億円 [7.0%] | 285億円 [7.3%] |
2021年 | 4791億円 | 529億円 [11.0%] | 384億円 [8.0%] |
2022年 | 5560億円 | 683億円 [12.3%] | 518億円 [9.3%] |
出所:安川電機
- 安川電機の本社は福岡県北九州市。数少ない九州本社のグローバル企業。
- 製造業は利益率5%が優秀ラインとされるが、安川電機の利益率は10%越えを出すようになっている。
- 独自の制御装置や、サーボモータ、インバータなどの中核品を自前で内製している事が高利益率に直結。
- また、競合他社に対して、サーボモータを軸とした主要製品の外販を進めている事も利益率が上昇している理由。日本だけではなく中国企業向けの外販も増加傾向。
- 2019年度は、米中対立の影響で中国で設備投資が激減。それにより安川の利益率も減少。
- 利益率は安定的に10%以上を出す事が目標。
- 1997年から2021年までの安川電機の営業利益率の平均は5.7%。比較として、競合のファナックの2004年から2021年までの営業利益率の平均は32.8%。
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YASKAWAの財政・経営状況
年度 | 総資産 [現金・手元資金] |
負債総額 [有利子負債] |
自己資本・純資産 [自己資本比率(%)] |
---|---|---|---|
2000年 | 2529億円 [125億円] |
2059億円 [680億円] |
470億円 [18.6%] |
2005年 | 2552億円 [121億円] |
2025億円 [625億円] |
527億円 [20.7%] |
2010年 | 2645億円 [118億円] |
1665億円 [414億円] |
980億円 [35.2%] |
2015年 | 3735億円 [316億円] |
1896億円 [473億円] |
1839億円 [48.5%] |
2020年 | 4874億円 [509億円] |
2379億円 [765億円] |
2495億円 [51.2%] |
2021年 | 5590億円 [551億円] |
2609億円 [680億円] |
2981億円 [53.3%] |
2022年 | 6531億円 [423億円] |
2980億円 [996億円] |
3551億円 [54.4%] |
出所:安川電機
- 1990年代のバブル崩壊以降、財務が悪化。自己資本に対して有利子負債が大きく超えながら、赤字を出す時期がよくあった。従業員も「うちの会社ヤバいのでは?」と緊張感があった模様。
- 現在の財務は安定的。2021年の有利子負債比率は22.8%で、日本企業の平均75~80%よりも低く抑えられている。
- 2023年3月末の株式時価総額が1兆5000億円。投資家からは中核部品の外販を進めている事が評価されている。
YASKAWAの連結社員数と開発投資について
年度 | 従業員数(連結) | 平均年収 | 設備投資額 | 研究開発額 |
---|---|---|---|---|
2005年 | 7754人 | 701万円 | 92億円 | 80億円 |
2010年 | 8085人 | 749万円 | 66億円 | 97億円 |
2015年 | 11450人 | 822万円 | 167億円 | 168億円 |
2020年 | 12925人 | 764万円 | 227億円 | 178億円 |
出所:安川電機
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YASKAWAのセグメント別売上構造
年度 | モーションコントロール/売上高 [営業利益:利益率(%)] |
ロボット/売上高 [営業利益:利益率(%)] |
システムエンジニアリング/売上高 [営業利益:利益率(%)] |
---|---|---|---|
2005年 | 1339億円 [122億円:9.1%] |
1134億円 [98億円:8.6%] |
419億円 [18億円:4.3%] |
2010年 | 1564億円 [89億円:5.7%] |
838億円 [16億円:1.9%] |
343億円 [20億円:5.8%] |
2015年 | 1875億円 [224億円:11.9%] |
1540億円 [153億円:9.9%] |
430億円 [-7億円:-1.6%] |
2021年 | 1760億円 [245億円:13.9%] |
1394億円 [69億円:4.9%] |
507億円 [-10億円:-2.0%] |
出所:安川電機
- モーションコントロール……装置を動かし制御する中核部品・製品部門。サーボモータ、インバータ、コントローラなど。ACサーボ・インバータが売上の6割。安川の利益が最も多い部門。
- ロボット……電子製品や自動車など製造工場向けの産業ロボット部門。自動車製向けが多い。なお、競合のファナックは売上の4割が自動車工場向け。成長分野は、自動車EVシフトや物流関連の需要拡大を取り込みたい。
- システムエンジニアリング……鉄鋼プラント用電機システム、社会インフラ、自然エネルギー発電関連の製品。
出所:安川電機
YASKAWAの国別・地域別の成績
国/地域 | 2010年/売上高 [全体比(%)] |
2015年/売上高 [全体比(%)] |
2021年/売上高 [全体比(%)] |
---|---|---|---|
日本 | 1448億円 [48.8%] |
1355億円 [33.0%] |
1482億円 [30.9%] |
アメリカ | 388億円 [13.1%] |
851億円 [20.7%] |
753億円 [15.7%] |
欧州 | 296億円 [10.0%] |
521億円 [12.7%] |
717億円 [17.4%] |
中国 | 428億円 [14.4%] |
819億円 [19.9%] |
1294億円 [27.0%] |
アジア | 399億円 [13.4%] |
524億円 [12.7%] |
541億円 [11.3%] |
出所:安川電機
- 2010年と比較すると、日本市場向けの収益は停滞中。成熟と言うべきか、競争が激しいと言うべきか。
- アメリカ、ヨーロッパ、中国向けの売上が大きく拡大。世界中の製造現場で、安川電機の存在感が大きくなっている。
- 世界中のロボットメーカーにおいて、安川電機のサーボモータや制御システムを軸に開発を進める企業が増えていたりする。企業は使い慣れた製品を再び使おうとするため、安川電機は競合ロボットメーカーの不可欠な存在に向かっている。
- 産業ロボット事業においては、メンテナンス・保守サービスなどにおいても、収益性が見込める。
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競合との業績比較
メーカー | 2013年/売上高 [営業利益:利益率(%)] |
2021年/売上高 [営業利益:利益率(%)] |
---|---|---|
安川電機(日) (全体) |
3635億円 [257億円:7.1%] |
4790億円 [528億円:11.0%] |
ファナック(日) (全体) |
4509億円 [1641億円:36.4%] |
7330億円 [1832億円:25.0%] |
KUKA(ドイツ) (ロボット部門) |
17.74億ユーロ [1.20億ユーロ:6.8%] |
10.20億ユーロ [0.61億ユーロ:6.0%] |
ABB(スイス) (ロボット部門) |
99.14億ドル [14.58億ドル:14.7%] |
32.97億ドル [3.54億ドル:10.7%] |
出所:各メーカーの決算報告より。ABBはセグメント変更あり。
- 安川電機の利益率は増加傾向。理由としては、サーボモータなどの中核部品を外販している事が大きい。
- ライバルのファナックの利益率は業界トップだが減少傾向。単に競争が激しくなった事が要因。
- スイスABBは、産業ロボットで世界シェアNo.1。特に中国向けの販売額が大きい。産業ロボットでは中国向けトップシェア。
- ドイツのKUKAは2016年に中国の家電メーカー「美的集団」に買収され、中国資本のもとでフォルクスワーゲンや中国製造メーカーとの関係強化。
日本のロボット産業は強い
- 産業ロボットの生産台数の国別シェアは、日本が約5割を占める。
- 日本の産業ロボットメーカーは、安川やファナックの他に、川崎重工業、三菱電機、不二越、オムロン、ダイヘン、ヤマハ発動機、セイコーエプソン、芝浦機械、デンソー、FUJI、パナソニックなど、世界的にも存在感が強い。
- ロボットに必要な部品メーカーも日本に集中。センサー、空気圧制御機器、精密減速機、ベアリング、LMガイドなど、日本企業はトップシェアをもっている企業が多い。
- 中国のロボットメーカーは日本に拠点を設けて開発していたりする。日本の業界に適応しないと、世界との競争についていけないという事。それだけ日本のロボット産業は強い。
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