POSCOホールディングスの連結決算:通年の売上推移
年度 | 売上高・収益 [粗鋼生産量] | 営業利益 [営業利益率(%)] | 純利益・最終損益 [純利益率(%)] |
---|---|---|---|
2000年 | 13兆7762億ウォン [2710万トン] | 2兆3065億ウォン [16.7%] | 1兆6337億ウォン [11.9%] |
2001年 | 13兆1211億ウォン [2780万トン] | 1兆5873億ウォン [12.1%] | 8457億ウォン [6.4%] |
2002年 | 14兆3549億ウォン [2886万トン] | 2兆499億ウォン [14.3%] | 1兆893億ウォン [7.6%] |
2003年 | 17兆7892億ウォン [2971万トン] | 3兆2630億ウォン [18.3%] | 1兆9960億ウォン [11.2%] |
2004年 | 23兆9731億ウォン [3020万トン] | 5兆3194億ウォン [22.1%] | 3兆8142億ウォン [15.9%] |
2005年 | 26兆3078億ウォン [3054万トン] | 6兆833億ウォン [23.1%] | 4兆225億ウォン [15.3%] |
2006年 | 25兆8423億ウォン [3100万トン] | 4兆3891億ウォン [17.0%] | 3兆3142億ウォン [12.8%] |
2007年 | 31兆6077億ウォン [3280万トン] | 4兆9199億ウォン [15.6%] | 3兆5587億ウォン [11.3%] |
2008年 | 41兆7426億ウォン [3170万トン] | 7兆1739億ウォン [17.2%] | 4兆3788億ウォン [10.5%] |
2009年 | 36兆8550億ウォン [3110万トン] | 3兆8682億ウォン [10.5%] | 3兆2184億ウォン [8.7%] |
2010年 | 60兆6379億ウォン [3540万トン] | 5兆7383億ウォン [9.5%] | 4兆1813億ウォン [6.9%] |
2011年 | 68兆9387億ウォン [3910万トン] | 5兆4677億ウォン [7.9%] | 3兆6481億ウォン [5.3%] |
2012年 | 63兆6042億ウォン [3990万トン] | 3兆6531億ウォン [5.7%] | 2兆4621億ウォン [3.9%] |
2013年 | 61兆8647億ウォン [3840万トン] | 2兆9961億ウォン [4.8%] | 1兆3764億ウォン [2.2%] |
2014年 | 65兆984億ウォン [4142万トン] | 3兆2135億ウォン [4.9%] | 6261億ウォン [0.9%] |
2015年 | 58兆1923億ウォン [4197万トン] | 2兆4100億ウォン [4.1%] | -1806億ウォン [-0.3%] |
2016年 | 53兆835億ウォン [4156万トン] | 2兆8443億ウォン [5.4%] | 1兆3633億ウォン [2.6%] |
2017年 | 60兆6551億ウォン [4219万トン] | 4兆6218億ウォン [7.6%] | 2兆7901億ウォン [4.6%] |
2018年 | 64兆9778億ウォン [4286万トン] | 5兆5426億ウォン [8.5%] | 1兆6906億ウォン [2.6%] |
2019年 | 64兆3668億ウォン [4312万トン] | 3兆8689億ウォン [6.0%] | 1兆8351億ウォン [2.9%] |
2020年 | 57兆7928億ウォン [4058万トン] | 2兆4030億ウォン [4.2%] | 1兆6021億ウォン [2.8%] |
2021年 | 76兆3323億ウォン [4296万トン] | 9兆2381億ウォン [12.1%] | 6兆6172億ウォン [8.7%] |
2022年 | 84兆7502億ウォン [3864万トン] | 4兆8501億ウォン [5.7%] | 3兆1441億ウォン [3.7%] |
2023年 | 77兆1271億ウォン [3568万トン] | 3兆5314億ウォン [4.6%] | 1兆6980億ウォン [2.2%] |
出所:ポスコ。業績には商社や建設、化学事業などの成績も含まれる。
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平均利益率
ポスコの2000年から2022年までの営業利益率の平均は11.0%。
会社の動向
- ポスコは、1968年に国策で設立された浦項製鉄がルーツ。日本政府からの経済支援金や日本企業からの技術供与のもとで1973年に操業開始。
- 2000年に完全民営化。2002年に社名をPOSCO(ポスコ)に正式変更。
- 韓国は造船の世界シェアが高いが、ポスコはその造船向けの鋼板の売上が多い。韓国が成績が悪い造船業を死守しようとする理由の一つ。
- 自動車用鋼板分野では、世界中の自動車メーカーに納品する。トヨタ、ホンダ、日産、スズキなどの日本の自動車メーカーにも納品。
- 韓国の自動車市場においては、独占する現代自動車(ヒョンデ)と傘下の起亜自動車が、グループ内の現代製鉄を優先するため、ポスコは他国メーカーに販路を求めてきた歴史がある。
- 2022年9月、台風11号により、浦項製鉄所が冠水し3基すべての高炉が停止。約2100億円の減収。全面復旧まで約4~5か月かかったが、営業利益は黒字を確保。
- 2022年、持株会社へ移行。傘下事業は、中核の鉄鋼事業の他、ポスコインターナショナル(総合商社)、ポスコ建設(インフラ・マンション建設など)、ポスコケミカル(化学素材製造)などがある。
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POSCOの財政・経営状況
年度 | 総資産 [現金・手元資金] |
負債総額 [有利子負債] |
自己資本・純資産 [自己資本比率(%)] |
---|---|---|---|
2000年 | 20兆1467億ウォン [1兆3175億ウォン] |
10兆5884億ウォン [6兆9479億ウォン] |
9兆5583億ウォン [47.4%] |
2005年 | 27兆5073億ウォン [1兆4137億ウォン] |
7兆6336億ウォン [3兆482億ウォン] |
19兆8737億ウォン [72.2%] |
2010年 | 67兆9459億ウォン [3兆5988億ウォン] |
30兆7445億ウォン [19兆8780億ウォン] |
37兆2014億ウォン [54.8%] |
2015年 | 80兆4088億ウォン [4兆8702億ウォン] |
35兆3385億ウォン [25兆2202億ウォン] |
45兆702億ウォン [56.1%] |
2020年 | 79兆870億ウォン [4兆7546億ウォン] |
31兆4124億ウォン [20兆4976億ウォン] |
47兆6746億ウォン [60.3%] |
2021年 | 91兆4716億ウォン [4兆7752億ウォン] |
36兆6667億ウォン [21兆7412億ウォン] |
54兆8049億ウォン [59.9%] |
2022年 | 98兆4068億ウォン [8兆531億ウォン] |
40兆1494億ウォン [24兆3057億ウォン] |
58兆2574億ウォン [59.2%] |
2023年 | 100兆9453億ウォン [6兆6708億ウォン] |
41兆2814億ウォン [25兆9703億ウォン] |
59兆6638億ウォン [59.1%] |
出所:ポスコ
- 韓国は、北朝鮮と戦争中であるにも関わらず、外債返済ができずに1997年-1998年に経済破綻したが、その時はほとんどの財閥企業の財務が悪化していた。しかし、ポスコの財務はそれほど悪化しなかった。
- 財政破綻以降、IMF主導のもとで経済構造改革が行われ、ポスコにおいても2000年に完全民営化。韓国政府の手から離れる。
- 2022年時点のポスコの財務は安定的といえる状況。
- 韓国の極端な少子化、不動産不況、中国の需要低迷、造船における中国の台頭などの問題が表面化しているため、今後はポスコの業績/財務も悪化する可能性大。
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POSCOの国内と外国の売上比率
国/地域 | 2016年/売上高 [全体比(%)] |
2022年/売上高 [全体比(%)] |
---|---|---|
韓国 | 34兆8839億ウォン [65.7%] |
54兆5196億ウォン [64.3%] |
日本 | 1兆8920億ウォン [3.6%] |
2兆6516億ウォン [3.1%] |
中国 | 5兆9080億ウォン [11.1%] |
7兆4306億ウォン [8.8%] |
インドネシア | 5兆6498億ウォン [10.6%] |
3兆2829億ウォン [3.9%] |
その他アジア | 9兆3317億ウォン [11.0%] |
|
北米 | 1兆8993億ウォン [3.6%] |
2兆4131億ウォン [2.8%] |
欧州 | 2兆8504億ウォン [5.4%] |
2兆8114億ウォン [3.3%] |
その他 | 2兆3092億ウォン [2.7%] |
出所:ポスコ
- 韓国向けは、建設関連、造船関連、自動車関連がメイン。
- 日本向けの売上は、自動車メーカー向けが多い。
- 中国向け売上高もそこそこ多い。韓国が中国に弱腰外交である理由も、鉄鋼などの輸出依存度が高い事が要因の一つ。
- アジア向けは経済成長の高さと比例して鉄鋼需要も多く、売り上げも多い。
- 北米や欧州向けは、自動車向けが中心。ポスコは、GM、フォード、フォルクスワーゲン、BMW、メルセデス・ベンツ、ステランティスなど主要メーカーの鋼板サプライヤー。
日本製鉄と比較
年度 | ポスコ/売上高(円換算) [営業利益/利益率(%)] (粗鋼生産量) |
日本製鉄/売上高 [営業利益/利益率(%)] (粗鋼生産量) |
---|---|---|
2019年 | 6兆4367億円 [3869億円/6.0%] (4312万トン) |
5兆9215億円 [-4061億円/-6.9%] (5168万トン) |
2020年 | 5兆7793億円 [2403億円/4.2%] (4058万トン) |
4兆8293億円 [114億円/0.2%] (4158万トン) |
2021年 | 7兆6332億円 [9238億円/12.1%] (4296万トン) |
6兆8089億円 [8409億円/12.4%] (4946万トン) |
2022年 | 8兆4750億円 [4850億円/5.7%] (3864万トン) |
7兆9756億円 [8836億円/11.1%] (4437万トン) |
- ポスコと日本製鉄はかつての技術供与の名残りで、相互的に資本関係がある。一方で、グローバル市場において最大のライバル関係でもある。
- 日本製鉄のほうが、ポスコよりも粗鋼生産量は多い。世界戦略や設備投資において互いに競い合ってきた歴史があり、ポスコは日本製鉄を意識して生産量を調整してきた。
- ポスコのほうが売上高が多いが、これは、商社や建設、化学事業なども含むため。
- 2012年4月、新日鐵住金(現在の日本製鉄)は、ポスコから「方向性電磁鋼板」の製造技術を盗まれたとして、該当エンジニアとポスコを「不正競争防止法違反」に当たるとして東京地裁に訴えを起こす。韓国人による機密情報流出が明らかとなり、最終的にポスコは新日鐵住金に300億円を支払う事になる。韓国と関わると遺恨が残ってしまう多くの事例がまた一つ増えた形となった。
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メーカー別の粗鋼生産量の国際ランキング
順位 | 企業 | 国 | 粗鋼生産量 |
---|---|---|---|
1位 | 宝武鋼鉄集団 | 中国 | 1億1995万トン |
2位 | アルセロール・ミッタル | オランダ | 7925万トン |
3位 | 鞍鋼集団 | 中国 | 5565万トン |
4位 | 日本製鉄 | 日本 | 4946万トン |
5位 | 江蘇沙鋼集団 | 中国 | 4423万トン |
6位 | ポスコ | 韓国 | 4296万トン |
7位 | 河鋼集団 | 中国 | 4164万トン |
8位 | 北京建龍重工集団 | 中国 | 3671万トン |
9位 | 首鋼集団 | 中国 | 3543万トン |
10位 | タタ製鉄 | インド | 3059万トン |
出所:世界鉄鋼協会
- 世界の鉄鋼業界トップが中国の宝武鋼鉄集団。トヨタなど日系自動車メーカーにも供給。
- 中国の製鉄メーカーは、不動産不況により長期間に渡って業績が伸び悩む可能性あり。もともと数が多いので再編が進むと思われる。
- アルセロール・ミッタルは、幾度の買収や統合を経て世界2位。
- 日本トップの日本製鉄は世界では4位。韓国ポスコは世界6位。
- 今後、インドのタタ製鉄の急成長が予想されている。ポスコはインド市場強化を急ぐ。
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