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サムスンと資本関係にある韓国の半導体製造装置企業まとめ

半導体

韓国経済というと財閥があまりにも強い力をもっているが、その中でも特に強力なのがサムスングループ。そしてやはり儒教の影響なのだろうか、積極的に上下関係を明確にして支配構造を作ろうとする。

そのため、中堅レベルの企業でも財閥企業の資本が入っていることが多く、さらに経営にも入り込んでいるケースも多い。その現象は半導体企業も例外ではない。

2019年7月に日本政府が韓国に対して「ホワイト国除外」という強硬措置に出たことで、韓国は半導体関連の国産化を急ぐようになったが、その半導体関連企業においてもサムスンの資本が入り込んでいたりする。

今回はそのサムスンから出資を受けて資本提携状態にある韓国の半導体関連企業を確認していく。

サムスンと資本関係がある韓国半導体製造装置企業

SEMES

SEMES(セメス)は、サムスン100%子会社で半導体装置メーカー。製造装置の売上規模が韓国企業の中で最も大きい。

主要製品は以下の画像を確認してもわかるように、枚葉式洗浄装置、バッチ式洗浄装置、コータデベロッパ。(なお、黒丸で囲んだところが韓国企業)

半導体装置メーカーシェア

SEMESという会社は、1994年にサムスンが日本のSCREENとの合弁企業として誕生したDNS社が前身。

サムスンがSCREENにゴリ押しで洗浄装置の技術供与を求め、それに応じて合弁会社が誕生。それがきっかけで技術供与がすすんだ。

そして技術をもらったらサムスンは資本関係の解消を強引に求めてSCREENもそれに応じることになり、サムスンはDNS社の株式をすべて買い取った後に会社名をSEMESに変更して今に至っている。

簡単に言えば、日本のSCREENがサムスンに技術を与えたら「ポイッ!」って関係を切られたってこと。SEMESが洗浄装置の世界シェアを一定レベル確立している理由も、SCREENの技術が活かされているため。

現在のSEMESは親会社のサムスン電子に洗浄装置を独占的に供給し、日本のSCREENはサムスンへの納品はほとんど無くなったという。

半導体の全工程500~1000くらいあるうち、約2~4割の工程が洗浄工程だといわれており、その分野においてSEMESは汚いやり方だが自社で装置を供給できるようになったということになる。

よく保守系の人は「サムスンはパクリで成長した企業」みたいな言ったりするが、こういう話しを知ればあながち間違いではない模様。

SEMESの経営状況

売上高1兆1300億ウォン(約1130億円)(2019年度)
営業利益
時価総額サムスンの100%子会社で非上場。親会社のサムスン電子の時価総額562兆ウォン(約56兆円)(2021年4月時点)

エッチング装置の開発も急ぐ

また、セメスは高額で市場規模が大きいエッチング装置の開発も進めているという。

サムスンの半導体事業はDRAMとNANDフラッシュの2つのメモリビジネスだが、そのうちNANDフラッシュの場合は積層化のために多くのエッチング装置を必要とする。

NANDフラッシュメモリの設備投資においては、露光装置と共にお金がかかるのがエッチング装置。
やはりサムスンは選択と集中を忠実にやってくるだけあって、市場規模が大きい分野に参入し一定のシェアを確立しようとしているのだろう。

そして、すでにエッチング装置を開発して親会社のサムスンに納品しているという話しが2019年頃に韓国メディアから出ていたが、実際にはまだまだ実績はあがっていない模様。(韓国では願望が事実のように記事にされたりする)

なお、エッチング装置のトップはラムリサーチ(アメリカ)がダントツ。その後に、東京エレクトロン(日本)、アプライドマテリアル(アメリカ)、日立ハイテク(日本)が続く。

WonicIPS(ウォニックIPS)

WonicIPS(ウォニックIPS)は、主にCVD装置を作っている韓国のハイテク製造装置メーカー。CVD装置は半導体の表面に薄い膜を堆積する装置で、市場規模は2018年で7200億円の規模とでかい。

半導体装置メーカーシェア

そのウォニックに対してサムスンは2010年から資本関係にあり、2020年時点では同社の株式3.8%を所有している。そして、資本関係と共にサムスンはウォニックの経営にも入り込んでいる。

ウォニックIPS社のWebサイトによると、理事会メンバー5人中4人がサムスン電子出身者と記されていて、サムスン側の意志が反映された経営戦略があると断定できる。

例えば、ウォニックの主力製品のCVD装置は、世界シェアは10%ほどをもっているが、ほとんどが資本関係にあるサムスンに向けて納品されているという。

2019年7月に発生した日韓の外交衝突によって韓国は半導体関連の国産化を進めているが、サムスンとWonicIPSが関係を強化して、製造装置の開発を進めていくのだと予想できる。

WonicIPSの経営状況

売上高6692億ウォン(約670億円)(2019年度)
営業利益411億ウォン(約41億円)(2019年度)
時価総額2.74兆ウォン(約2700億円)(2021年4月時点)

日韓衝突以降の出資

2019年7月の日韓衝突。日本が韓国に対して半導体素材の輸出規制管理に出たことで、韓国は半導体関連の国産化を急ぐように。

日本経済新聞
によると、サムスンは韓国の半導体製造装置メーカーや素材企業を育てるために1年間で9社に合計2762億ウォン(276億円)を出資しているとされる。

  • ほとんど第三者割当有償増資の形でサムスンが出資。
  • 出資と共に技術支援・技術協力を行う。
  • 株式としての出資比率は10%未満。
  • サムスンからの出資を受けた企業はすべて「投資資金を研究開発費に使う」と表明。
  • 出資と共に経営権の一部にも入り込んでいる。

サムスン中心に韓国の半導体産業の生態系が形成されていくという事で、この動きは将来的に日本企業にとって悩ましいものとなる可能性あり。なお、サムスンが出資した9社は以下。

KC tech(ケーシーテック)

KC techは、CMP装置や洗浄装置を作っている韓国の半導体関連企業。海外の半導体メーカーへの実績は低いが、韓国内でサムスンが積極的に採用しているので世界シェアもそこそこある。画像を参考。

半導体装置メーカーシェア

サムスンはそのKC techに対し2020年に207億2000万ウォン(約20億円)を出資し資本関係を成立。なお、KC Techの主力製品であるCMP装置は日本の荏原製作所が高シェアだが、今後はシェアを落としていく可能性はある。

売上高3198億ウォン(約320億円)(2020年度)
営業利益560億ウォン(約56億円)(2020年度)
時価総額6759億ウォン(約675億円)(2021年4月時点)

MiCo Ltd(ミー・コー)

MiCOは、主に半導体部品の精密洗浄、特殊コーティング、半導体製造プロセスにおいてウェハを高温加熱するセラミックヒーターなどを製造する企業。サムスンは、そのMicoに対して2020年に216億7000万ウォン(約21億円)を出資。

日本企業で半導体用セラミックヒーターを製造しているのは有名なところでは京セラなど。

売上高2361億億ウォン(約236億円)(2019年度)
営業利益287億ウォン(約28億円)(2019年度)
時価総額4728億ウォン(約472億円)(2021年4月時点)

LOT Vacuum(ロットバキューム)

ロットバキュームは主に半導体製造やディスプレイ製造装置用のドライ真空ポンプの開発販売。サムスンから189億9000万ウォン(約19億円)を出資。

LOT VacuumはサムスンやSK、LGだけではなく、中国のディスプレイメーカーのBOEにも真空ポンプを供給しているとされ、実績が上がっているメーカーではある模様。半導体向けドライ真空ポンプは、日本では荏原製作所が圧倒的シェアが高い分野だが、今後、本格的に競合となっていく可能性はある。

売上高2007億ウォン(約200億円)(2017年度)
営業利益277億ウォン(約27億円)(2017年度)
時価総額3087億ウォン(約308億円)(2021年4月時点)

New Power Plasma(ニューパワープラズマ)

ニューパワープラズマは、ウェハー洗浄装置や半導体製造装置の主要コンポーネントであるRFジェネレーターを独自開発。サムスンは127億ウォン(約12億円)を出資。

時価総額2800億ウォン(約280億円)(2021年4月時点)

YIKコーポレーション

YIKは半導体テスト装置メーカー。サムスンは473億ウォン(約47億円)出資。

時価総額5070億ウォン(約507億円)(2021年4月時点)

S&Sテック

S&Sテックは半導体回路原版メーカー。サムスンは659億ウォン(約65億円)出資。

時価総額6639億ウォン(約663億円)(2021年4月時点)

FST

FSTは半導体マスク保護素材メーカー。サムスンから430億ウォン(約43億円)出資を受ける。

DNF

日本経済新聞によると、DNFは半導体製造用の特殊素材メーカーとの事だが、調べても情報が出てこない。恐らく韓国内でも存在感が低すぎると思われる。サムスンはDNFに210億ウォン(約21億円)出資。

ソルブレイン

ソルブレインはフッ化水素メーカー。日韓衝突時の輸出規制品3つのうちの一つが「フッ化水素」だったため、韓国ではこの企業が注目に。サムスンは249億ウォン(約25億円)出資。

韓国はフッ化水素を国産化したところで、すでに日本企業が品質と信頼、そして世界中の供給網を確立してしまっているので、韓国が世界的なシェアを勝ち取っていくにはかなり難しい。つまり売上が上がりにくい。

特に、半導体業界はTSMCと信頼関係を構築しないとシェアを確保する事が難しいが、サムスン資本が入った企業とTSMCが信頼を構築できるとは思わない。

脅威となる企業は?

サムスンと資本関係にある企業をいろいろピックアップしてみたが、脅威となる企業を3つあげるとするならば以下。

  • SEMES・・・親会社サムスン電子の時価総額562兆ウォン(約56兆円)
  • Wonik IPS・・・時価総額2.74兆ウォン(約2700億円)
  • KC tech・・・時価総額6759億ウォン(約675億円)

最も規模も財務力も大きいのがサムスン100%子会社のSEMESだが、サムスングループなのでサムスンとライバルにあるキオクシアやマイクロン、TSMC、中国メモリメーカーなどの半導体製造企業との信頼関係の構築は難しい。つまりSEMESの半導体装置ビジネスには限界があるということ。

脅威となってくるのがWonik IPS社とKC-tech社の2社で、今後は本格的に日本企業の脅威となる可能性はある。だが、財閥企業以外は開発資金に問題があるので、開発コストが高い製品(付加価値が高い製品)について言えば日本企業のライバルにはなりにくい。

そして半導体製造メーカーは、信頼が確立しているメーカーの装置を慣性的に使用するものなので、他社がマネできない技術革新でもない限り韓国勢が世界シェアを一気に獲得するようなことはありえない。

韓国の半導体製造装置や素材ビジネスは、今のところすぐには日本企業の脅威とはならないが、あと5年~10年くらいたてば業界シェアが少し変わってしまうことはありえる。どうなることやら。

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