Alibaba/アリババの連結決算:通年の売上推移
決算期 | 売上高・収益 | 営業利益 [営業利益率(%)] | 純利益・最終損益 [純利益率(%)] |
---|---|---|---|
2010年 3月期 | 9.78億ドル | 0.64億ドル [6.5%] | 1.18億ドル [12.1%] |
2011年 3月期 | 17.77億ドル | 1.97億ドル [11.1%] | 1.77億ドル [10.0%] |
2012年 3月期 | 31.36億ドル | 8.06億ドル [25.7%] | 6.62億ドル [21.1%] |
2013年 3月期 | 55.53億ドル (物流会社カイニャオ設立) | 17.58億ドル [31.7%] | 13.52億ドル [24.3%] |
2014年 3月期 | 84.63億ドル (9月 NY証券取引所上場) | 40.24億ドル [47.5%] | 37.20億ドル [44.0%] |
2015年 3月期 | 122.93億ドル | 37.60億ドル [30.6%] | 38.96億ドル [31.7%] |
2016年 3月期 | 156.86億ドル | 45.84億ドル [29.2%] | 110.83億ドル [70.7%] |
2017年 3月期 | 229.94億ドル | 69.81億ドル [30.4%] | 63.45億ドル [27.6%] |
2018年 3月期 | 398.98億ドル | 111.29億ドル [27.9%] | 102.01億ドル [25.6%] |
2019年 3月期 | 561.52億ドル | 85.06億ドル [15.2%] | 130.53億ドル [23.2%] |
2020年 3月期 | 719.85億ドル | 129.93億ドル [18.0%] | 210.80億ドル [29.3%] |
2021年 3月期 | 1094.80億ドル | 136.88億ドル [12.5%] | 229.41億ドル [21.0%] |
2022年 3月期 | 1345.67億ドル | 149.51億ドル [11.1%] | 97.74億ドル [7.3%] |
2023年 3月期 | 1264.91億ドル | 150.07億ドル [11.9%] | 105.58億ドル [8.3%] |
2024年 3月期 | 1303.50億ドル | 171.56億ドル [13.2%] | 110.44億ドル [8.5%] |
出所:Alibaba。本決算期は3月末。アリババ社決算報告における「米ドル」公表データ。NY証券取引所提出データと同じ。
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平均利益率
アリババグループの2010年から2024年までの営業利益率の平均が21.5%。
会社の動向
- アリババグループの設立は1999年。創業者はジャック・マー。中国最大のオンライン通販サイト。
- 1999年に設立された企業間通販サイト「Alibaba.com」で多くの会員を集め急成長。
- 2000年、ソフトバンクの孫正義は、中国アリババに対して2000万ドル(約20億円)を出資。2014年には約4000倍の約8兆円に大化け。
- 2003年、一般向け通販サイト「Taobao.com/タオバオ」を設立。これもすぐに波に乗り、競争激しい中国ECサイト市場でシェアを固める。
- 2004年、電子マネーサービス「Alipay/アリペイ」を設立。アリペイは、中国のモバイル決済市場シェア55%をもつ(2020年時点)。
- 2009年、クラウド事業「Alibaba Cloud」を設立。顧客のほとんどが中国企業。なお、アマゾンのクラウド事業「AWS」のサービス開始は2006年。マイクロソフト「AZURE」のサービス開始は2010年。
- 2013年、物流会社「カイニャオ」を設立し、商品の集荷、倉庫保管、物流、路線輸送の全プロセスをカバー。海外向けも展開。Amazon.comと同じように、独自の物流網拡大を目指す。
- 2014年9月、NY証券取引所に上場。まだアメリカにおける中国脅威論が低かった頃。
- 2022年7月、米証券取引委員会(SEC)がアリババを上場廃止警告リストに加えたことで株価が大幅下落。
- 中国市場を独占しつつあったアリババに対する中国政府から締め付けもあり、株価はピーク時よりも低迷ぎみ。
- 2023年、ソフトバンクはアリババ株の全株式を売却へ。ソフトバンク運用株の中核は、アリババから半導体設計企業「ARM」となる。(2024年時点)
- 中国の景気減速により、国内通販事業が不調。海外通販や物流サービス、クラウドなどで売上をカバーしていく見通し。
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Alibabaの財政・経営状況
決算期 | 総資産 [現金・手元資金] |
負債総額 [(長期)有利子負債] |
自己資本・純資産 [自己資本比率(%)] |
---|---|---|---|
2010年 3月期 |
61.14億ドル [24.77億ドル] |
22.30億ドル [なし] |
38.84億ドル [63.5%] |
2015年 3月期 |
412.06億ドル [206.96億ドル] |
158.23億ドル [81.63億ドル] |
253.93億ドル [61.6%] |
2020年 3月期 |
1854.29億ドル [534.82億ドル] |
624.84億ドル [169.86億ドル] |
1229.45億ドル [66.3%] |
2021年 3月期 |
2579.78億ドル [791.62億ドル] |
939.07億ドル [207.14億ドル] |
1640.71億ドル [63.6%] |
2022年 3月期 |
2674.67億ドル [776.96億ドル] |
982.78億ドル [209.02億ドル] |
1691.89億ドル [63.3%] |
2023年 3月期 |
2552.63億ドル [816.72億ドル] |
931.88億ドル [217.09億ドル] |
1620.75億ドル [63.5%] |
2024年 3月期 |
2444.26億ドル [707.84億ドル] |
903.33億ドル [77.12億ドル] |
1526.07億ドル [62.4%] |
出所:Alibaba
- 現金/手元資金が有利子負債を遥かに上回る実質無借金経営。アリババの財務問題の懸念はナシ。
- 2024年5月時点のアリババの株式時価総額は約1.51兆香港ドルで日本円で約30兆円。ピーク時(コロナ巣篭り需要期)の2020年10月時点では7.85兆香港ドルで日本円で150兆円ほどだった。(1香港ドル=20円で換算)
Alibabaの連結社員数と研究開発投資について
決算期 | 従業員数(連結) | 設備投資費 | 研究開発費 |
---|---|---|---|
2010.3 | 1万3674人 | – | 1.66億ドル |
2015.3 | 3万4985人 | – | 17.20億ドル |
2020.3 | 11万7600人 | 46.50億ドル | 60.85億ドル |
2023.3 | 23万5216人 | 48.00億ドル | 82.63億ドル |
出所:Alibaba
- 物流会社「カイニャオ」の成長により従業員も増加。
- 設備投資費は、主にクラウド事業におけるデータセンターがメイン。
- 研究開発費は、通販システム、決済システム、物流システムなどの開発費用。
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収益構造:セグメント別の業績
決算期 | Eコマース(中国内) | Eコマース(海外) | カイニャオ(物流) | クラウド事業 |
---|---|---|---|---|
売上高 [全体比(%)] |
||||
2020年 3月期 |
487.48億ドル [67.7%] |
47.90億ドル [6.7%] |
31.40億ドル [4.4%] |
56.51億ドル [7.9%] |
2021年 3月期 |
744.84億ドル [68.0%] |
74.56億ドル [6.8%] |
56.87億ドル [5.2%] |
91.76億ドル [8.4%] |
2022年 3月期 |
934.97億ドル [69.5%] |
96.35億ドル [7.2%] |
72.73億ドル [5.4%] |
117.63億ドル [8.7%] |
2023年 3月期 |
848.52億ドル [67.1%] |
100.77億ドル [8.0%] |
81.08億ドル [6.4%] |
112.42億ドル [8.9%] |
2024年 3月期 |
602.32億ドル [46.2%] |
142.10億ドル [10.9%] |
137.14億ドル [10.5%] |
147.33億ドル [11.3%] |
出所:Alibaba
- 2020年初頭のコロナ巣篭り需要により売上を伸ばすが、コロナ後は中国国内のEコマース(ネット通販)が、売上減少傾向。中国の景気悪化や、競合の格安ネット通販などの台頭が要因とされる。
- 海外向けのEコマースは順調に売上を伸ばす。世界中にビジネス展開する中国人からの購入が多い。
- なお、2023年時点で日本国内に79万人の中国人が在留し、その人達も中国アリババを利用し中国製品を購入。
- クラウド事業は、中国以外にもアメリカ、ドイツ、シンガポールなどでも展開するが、やはり中国顧客がメイン。
- 世界クラウドシェアは、1位AWS、2位AZURE、3位Googleに次いでアリババは4位級。
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