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KLAテンコールの売上高・営業利益・純利益・利益率の業績推移

半導体, 業績推移

KLAテンコール

KLA Tencor Corporationの決算(通年)の売上推移

KLAテンコールの売上高・営業利益・純利益・利益率の業績推移
年度 売上高・収益 営業利益
[営業利益率(%)]
純利益・最終損益
[純利益率(%)]
2008年 25.22億ドル 4.99億ドル
[19.8%]
3.59億ドル
[14.2%]
2009年 15.20億ドル -5.77億ドル(赤字)
[-38.0%]
-5.23億ドル(赤字)
[-34.4%]
2010年 18.20億ドル 3.14億ドル
[17.3%]
2.12億ドル
[11.6%]
2011年 31.75億ドル 11.60億ドル
[36.5%]
7.94億ドル
[25.0%]
2012年 31.70億ドル 10.16億ドル
[32.0%]
7.56億ドル
[23.8%]
2013年 28.42億ドル 7.29億ドル
[25.6%]
5.43億ドル
[19.1%]
2014年 29.29億ドル 7.72億ドル
[26.3%]
5.82億ドル
[19.9%]
2015年 28.14億ドル 5.29億ドル
[18.8%]
3.66億ドル
[13.0%]
2016年 29.84億ドル 9.60億ドル
[32.1%]
7.04億ドル
[23.6%]
2017年 34.80億ドル 12.76億ドル
[36.6%]
9.26億ドル
[26.6%]
2018年 40.36億ドル 15.37億ドル
[38.1%]
8.02億ドル
[19.9%]
2019年 45.68億ドル 13.89億ドル
[30.4%]
11.75億ドル
[25.7%]
2020年 58.06億ドル 15.02億ドル
[25.8%]
12.16億ドル
[20.9%]
2021年 69.18億ドル 24.88億ドル
[35.9%]
20.78億ドル
[30.0%]
2022年 92.12億ドル 36.54億ドル
[39.7%]
33.21億ドル
[36.1%]
出所:KLA Tencor。決算期は6月。
  • 2009年~2010年頃の売上高の低下は、リーマンショックやギリシャ危機による市況悪化が原因。
  • 2016年頃まで売上高規模が停滞。この時期はEUV露光装置が登場する前、つまり微細化の進展に不安を抱えていた時期で、業界は将来性に不安を抱えていた時期。
  • 2017年以降に売上高が急上昇しているのは、EUV露光による微細化が進展したことで、主にパーティクル検査装置(ゴミ・チリの検査装置)の売上が上昇した事による。
  • また、中国の半導体市場が急拡大したことも2017年以降の売上増につながっている。
  • 全体的に利益率が高いが、それだけ絶対的な製品をもっているという証拠。

KLA Tencor Corporationの経営状況

KLAテンコールの財務状況の推移(2010年以降)
年度 総資産 負債総額 自己資本・純資産
[自己資本比率(%)]
2010年 39.07億ドル 16.60億ドル 22.46億ドル
[57.5%]
2020年 92.80億ドル 65.99億ドル 26.81億ドル
[28.9%]
2022年 125.97億ドル 111.98億ドル 13.99億ドル
[11.1%]
決算期は6月。
  • 自社株買いなどの「株主還元」を積極的に行うのがKLAテンコールの特徴。
  • 2019年は10.62億ドル(日本円で約1270億円)ほどの「自社株買い」をしているが、その年の純利益が11.75億ドル(日本円で約1400億円)なので、KLAは会社に残るお金のほとんどを株主還元。
  • アメリカでは財務の健全性よりも、稼いだ利益の株主還元を優先する意識が強い。

装置メーカーランキング

半導体製造装置メーカーランキング2021年

出所:VLSI Research/Tech Insights

2021年時点の製造装置メーカーの売上規模ランキングでは、KLAテンコールは5位にランクイン。業界で大きな存在であることがわかる。

なお、15社中7社が日本企業。日本トップは東京エレクトロン。KLAテンコールの競合である日立ハイテクは12位。マスク検査装置でKLAのライバルとなるレーザーテック(日本)は15社に入っていない。日本にはランクインしていない企業がたくさんある。

製品ポートフォリオ

半導体を製造するには、いろいろな製造装置が必要。以下は、前工程装置、検査装置、後工程装置の市場シェア。

半導体製造装置の前工程・後工程シェア

KLAテンコールは「パーティクル検査装置」「欠陥検査装置」「マスク検査装置」などの検査装置に強い。日本企業で検査装置に強いのが、レーザーテックや日立ハイテクなど。

パーティクル検査装置

パーティクルとは粒子の事で、半導体業界で言えば製造工場内(クリーンルーム内)の目に見えないレベルの細かなゴミ、チリ、ホコリ、異物の事。

超微細加工が必要な半導体製造は、わずかなチリ・ゴミも許されない。そのゴミを検査する装置がパーティクル装置でKLAが業界トップシェア。

パーティクル検査装置の市場規模が2021年時点で70億ドル~80億ドルほどあるとされ、この装置分野でトップシェアをもっている事が、KLAの売上高のボリュームにつながっている。

多くの製品ラインナップを持っているアプライド・マテリアルズ(AMAT)よりもシェアを持っているということは、それだけ装置の性能・精度が良いという事。

なお、日本企業でいえば日立ハイテクがこの分野のシェアを10%ほどをもっている。

欠陥検査装置

テスト工程において、ウェーハ上の異物やパターン欠陥を検出する装置。市場規模は20億ドルほどで、KLAがシェア70%近くをもっている。

なお、日本メーカーではシェア10%ほどを日立ハイテクがもつ。

マスク検査装置

マスクに形成された回路パターンが正常かどうかを測定検査するのがマスク検査装置。回路パターンの欠陥、サイズ精度、位置の精度、サイズが設計とズレがないかどうかなどを計測。

日本のレーザーテックが追い上げている分野。市場規模は10億ドルほど。

EUV関連は開発が遅れる

EUV露光装置を使用した分野においては、KLAテンコールは開発に遅れをとっている。

KLAはマスク検査装置に強いが、EUV向けの「EUVマスクブランクス欠陥検査装置」「EUVマスク検査装置」では日本のレーザーテック社がほぼ独占状態。(2022年時点)

レーザーテックの装置は先行しただけあって事実上の業界標準となったので、今後も慣性的な地位が続くことになる。KLAはEUV分野ではレーザーテックのシェアを奪うのは簡単ではない。

微細化が進展するほど重要

ロジック半導体の最先端微細化プロセスは、5nm→4nm→3nm→2nmと進展するとされる。1nm(ナノメートル)は1メートルの10億分の1。その超微細加工で重要になるのが以下。

  • ナノメートルレベルの製造加工を邪魔するゴミ・異物の徹底排除。
  • パターンが正常に形成されているかどうかの検査。
  • 問題があれば、どういった問題があるか。パターンの欠けや設計値からどれくらいのズレがあるかなど。

最先端微細加工では工程一つ一つの品質管理が重要となるため、必然的に検査工程が重要となる。つまり、半導体の微細化が進めば進むほど、KLAの出番が多くなる。

顧客

KLAテンコールの顧客は、半導体製造メーカーのほぼすべてが顧客ということになる。検査装置は必須なので、製造メーカーはKLAと協力関係を構築しないといけない。

特に重要な顧客をランキングにするならば以下のような順位になる。

1位TSMC(ファウンドリー世界トップ。最先端ロジック半導体製造の王者)

2位サムスン(微細化が必要なDRAMでトップシェア。ファウンドリーでも追い上げ)
3位インテル(CPUの王者)
4位SKハイニックス(DRAMの微細化が必要)
5位マイクロン(DRAMの微細化が必要)

大まかに言えば、製造量が大きな企業や、厳格な品質管理が求められる最先端微細化製造を行う企業は、KLAテンコールへの依存度が高くなる。特にTSMCとサムスンは大口中の大口顧客。

微細化が止まるとビジネスも変わってくる

半導体の微細化技術が進み続ければ、KLAテンコールの業績も「安定」と言えるが、微細化が止まってしまうと成長が止まってしまう問題がある。

これはEUV露光装置(最先端微細化装置)が登場する前は、どの装置メーカーでも問題視されていた事。

そのため、EUV露光機が登場する前は業界再編の動きが活発になった事があり、例えば製造装置業界トップの米国アプライド・マテリアルズと東京エレクトロン(日本)が経営統合するという話しもあった。(米国政府によって破断)

半導体業界はイノベーションが止まってしまう事を恐れているのだが、やはり技術や需要には限界があるので、いずれ成長が止まってしまうのは仕方がない。

業界再編も難しい

会社は成長し続けないといけないわけだが、企業買収で成長しようとすると、それはそれで難しい。

理由は半導体業界はすでに寡占化が進んでいる事や、各国当局が競争低下や経済安全保障の問題で神経質になっているため。

2016年にエッチング装置に強いラムリサーチ(アメリカ)がKLAテンコールを106億ドルで買収を目指していたが、アメリカ当局の規制によって最終的に断念。

これは、競争原理が阻害されることによる「価格競争の低下(価格高騰)」と「イノベーション低下」を懸念したもので、アメリカ企業どうしの統合をアメリカ当局が嫌うという事例。

市場が寡占化してしまうと価格高騰などにより新しいプレーヤーが誕生しやすくなり、それが中国企業だったらアメリカにとって最悪。そのため、アメリカ企業どうしで競争して市場を囲ってもらったほうが良いという判断。

そして、2021年の米国アプライド・マテリアルズ(AMAT)による日立国際電気(日本)の買収においても、中国当局の承認が下りずに計画破断。これはアメリカ依存を下げたい中国の願いによるもの。

つまり、KLAテンコールが企業買収による事業拡大を目指しても実現が難しいという事であり、半導体の技術革新が止まってしまうと、KLAの成長も止まったままになる可能性があるという事。

不安はすでに経験している?

半導体の技術停滞という不安はすでに経験しており、例えばASML開発のEUV露光機が登場する前の2016年頃までは、KLAの営業利益率は20~30%台あったが株価は低迷。当時の株式時価総額は50億ドル(約6000億円)前後をウロウロ。

KLAテンコールの株価推移

しかし、半導体の重要性と技術革新の伸びしろ、そして市場拡大が認識されると株価急上昇。2022年4月の時価総額が500億ドル(約6兆円)で2016年の約10倍と絶好調。今となっては「なぜ以前は株価が低かったのか?」と思ってしまうくらい。

しかし、これは技術の伸びしろや市場拡大が約束されているためであって、再び技術革新や市場拡大に不安が現れると再び株価低迷という事もありえる。半導体業界は浮き沈みが激しいのだが、激動の業界だからこそ魅力であふれている。

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