HYBE(ハイブ)の連結決算:通年の売上推移
年度 | 売上高・収益 | 営業利益 [営業利益率(%)] | 純利益・最終損益 [純利益率(%)] |
---|---|---|---|
2018年 | 3013億ウォン (301億円) | 799億ウォン (79億円) [26.5%] | -704億ウォン (-70億円) [-23.3%] |
2019年 | 5872億ウォン | 987億ウォン [16.8%] | 724億ウォン [12.3%] |
2020年 | 7962億ウォン | 1455億ウォン [18.2%] | 780億ウォン [9.8%] |
2021年 | 1兆2559億ウォン | 1902億ウォン [15.1%] | 1408億ウォン [11.2%] |
2022年 | 1兆7761億ウォン | 2369億ウォン [13.3%] | 480億ウォン [2.7%] |
2023年 | 2兆1781億ウォン | 2958億ウォン [13.6%] | 1866億ウォン [8.6%] |
平均利益率
会社の動向
- HYBE(ハイブ)は、2005年設立の韓国の芸能事務所。2021年3月に、それまでのBigHitエンターテイメントから社名変更してHYBEへ。所属アーティストの中核はBTS。
- 2020年10月15日に韓国証券取引所に上場。その準備として2018年から業績や財務状況を開示。
- 2020年から2021年にかけて売上高が急増しているが、主にBTSの「Dynamite」「Butter」がヒット曲した事が大きい。音楽事務所とミュージシャンはヒット曲があるかどうかが生命線。そのあたりは演歌歌手と同じ。
- 次から次へとアイドルをリリースし、YouTubeやSNSをフル利用した世界展開により、成長を目指す。
- 2024年4月、所属アーティストの「CD自社買い」などの告発があり、過度なバイラルマーケティングが話題に。
ハイブの財政・経営状況
年度 | 総資産 | 負債総額 | 自己資本・純資産 [自己資本比率(%)] |
---|---|---|---|
2018年 | 2055億ウォン (205億円) |
1182億ウォン (118億円) |
872億ウォン (87億円) [42.4%] |
2019年 | 3629億ウォン | 1894億ウォン | 1735億ウォン [47.8%] |
2020年 | 1兆9244億ウォン | 7255億ウォン | 1兆1989億ウォン [62.3%] |
2021年 | 4兆7289億ウォン | 1兆8423億ウォン | 2兆8865億ウォン [61.0%] |
2022年 | 4兆8704億ウォン | 1兆9418億ウォン | 2兆9286億ウォン [60.1%] |
2023年 | 5兆3456億ウォン | 2兆2357億ウォン | 3兆1099億ウォン [58.2%] |
- 2020年度から2021年度にかけて総資産規模が急拡大しているが、これは2020年10月の株式上場と、その後の米国メディア企業イサカ・ホールディングスの大胆な買収に踏み切った事が大きい。
- 2021年から企業運営目的に「不動産賃貸業」を追加し明確化。つまり、HYBEは不動産賃貸業などにも手を出している事が総資産の拡大につながっている模様。韓国人は儲けようとすると、たいていが不動産に手を出す。統一教会も同様。
同業他社の買収を連発
2019年9月、韓国の「SOURCE MUSIC」を買収。
2020年10月、韓国の「PLEDISエンターテインメント」を買収。
2020年11月、韓国の「KOZエンターテインメント」を買収。
2021年4月、アメリカのメディア企業「Ithaca Holdings(イサカ・ホールディングス)」を10億5000万ドルで買収。
2023年韓国の大手芸能事務所「SMエンターテイメント」の株式取得を進めていたが、買収を断念。
2023年米国ヒップホップ有力レーベル「QC メディア」を約3億ドルで買収。
HYBEが2021年に買収したイサカ・ホールディングスは、米国の総合メディア企業。ジャスティン・ビーバーやアリアナ・グランデなどが所属。BTSはハイブの株式を若干保有しているため、ジャスティン・ビーバーがBTSに支配された形になった。
所属アーティスト
- BTS(防弾少年団)
- TOMORROW X TOGETHER
- &TEAM
- ENHYPEN
- LE SSERAFIM
- NewJeans
ハイブは常に兵役問題に悩まされる
HYBEはBTSの他に、次々と韓国男性アイドルグループを全世界に売り出していく野望をもつ。そこで悩ましいのが韓国の兵役問題。HYBE所属タレントも「特別扱い」とはならず、兵役に行かなければならない。
BTSにおいても、2022年12月からメンバーが時期をずらしながら分散的に兵役に向かう。世界的に人気である事から「兵役免除」という話しも議論されたようだが「防弾少年団」を名乗るBTSが、戦いから逃げる事は許されなかったという事か。
なぜ朝鮮戦争を終わらせないのか
中国、ロシア、日本に囲まれた難しい地政学的状況の中、同じ民族で憎しみ合いを続ける韓国と北朝鮮。
休戦状態が70年続く「安定的な対立」を、なぜ韓国は完全に終わらせようとしないのか。昔から言われている一般的な理由は以下。
- 朝鮮戦争が終わってしまうと、陸続きの中国やロシアとつながってしまう事になる。中露との交流が活発になり、軍事侵攻や貿易における経済的脅威が増大してしまう。そのため、韓国は今までのように北朝鮮との対立を続けて北朝鮮を孤立化させたほうが無難。(これは北朝鮮が中国/ロシアからの防波堤のような存在であってくれる事が前提)
- さらに北朝鮮の脅威はアメリカや日本との外交関係を築く材料であるため、終戦すると失うものが大きい。(韓国は日米に対して北朝鮮問題を執拗に政治利用するのが伝統。GSOMIAを利用した外交もその一つ)
1990年代初頭の冷戦終結、2度の独裁者の死去、2018年の米朝和平宣言、北の貧困問題など、終戦や統一に結びつくチャンスが何度も訪れたが、当の韓国政府は「知らんぷり」状態。
分断した東西ドイツが、国力がある西ドイツ主導で統一したように、朝鮮半島においても「終戦」や「南北統一」における実質的な主導権は、国力をもつ韓国にあるはずだが、当の韓国はいつまで経っても終戦や統一に備えようとしない。
信じがたい話しだが、韓国は終戦や統一までの具体的な計画をたてた事が一度もない。金正恩が亡くなった時の終戦/統一プランが議論された事もなく、統一に向けて財政を安定的に備えようともしない。むしろ日本に金融支援(通貨スワップ)を求めて来る始末。
要するに、韓国は戦争が終わらない状況が最善の選択だと考えている。そのため、同時に兵役義務も続けないといけない。
つまり、HYBEが今後、BTSに続く男性アイドルグループを次々と世に送り出したところで、韓国が北朝鮮を利用しようとする以上、常に所属メンバーの兵役問題に悩まされる事になる。
日本市場を強化するが、なんかおかしい
HYBEは、日本市場攻略のため「HYBE JAPAN」を設立。定番のアイドルビジネス拡大を目指す。すでに日本人と韓国人の多国籍アイドルグループ「&TEAM」が日本デビューし、そしてBTSにおいても、日本での芸能活動を増やす意向。
韓国の反日感情が根強く残る中で、HYBEとその所属タレントは日本との交流を深め、一方でHYBE所属タレントは、同族北朝鮮と戦うために兵役に向かう。これはおかしい。
韓国政府も北朝鮮問題を利用しながら、日本との協力関係を執拗に望むようになっているが、そもそも「反日」というのは「民族主義をもたらす材料」でもあり、つまりそれは「南北統一(民族統一)に向けた材料」でもあったはず。
要するに、この動向は「陸続きの中国やロシアの脅威から、どのように国を守るか」についての「韓国の最終的な答え」を意味しているが、いずれにしても北朝鮮を利用し続ける限り、韓国男性に兵役の無い時代は来ない。
BTSが韓国政府に政治利用される理由
BTSは韓国内の政治イベントに参加することが多く、ファンからは「BTSを政治利用するな!」と政府批判する声がある。この現象は韓国政府からの補助金が投入されている事が背景にある。
韓国文化の輸出支援を行う韓国文化体育観光部のコンテンツ分野政府予算は、2023年度で9743億ウォン(974億円)で、その一部がHYBEのような芸能事務所に投入される。その理由は以下。
STEP2世界各国の人が韓国コンテンツを見るようになり、イメージアップにつながる。
STEP3韓国の好感度アップにより、韓国製品の売上アップや観光収入につながる。
こういった理屈で国費が投入される。政府から資金援助があるためBTSの事務所は韓国政府に従う必要があり、結果的にBTSは政治利用され、韓国の広報マンのような仕事をしないといけなくなる。BTSの国連活動も、そういった事情があると思われる。
国費投入は効果なし
そもそも、Kコンテンツに国費を投入して「K-国益」につながっているのか。それは怪しい。
例えば、中国では近年のKポップやKドラマの成長と反比例してK製品の売り上げが急減。また、韓国に来た外国人観光客が「KポップやKドラマのイメージとは全く違った」としてがっかりする事も多いという。実際に韓国への旅行者はリピーターが少ない現状。
韓国人は「BTSが好きな外国人=韓国が好き」「キムチを食べる外国人=韓国が好き」みたいに思い込むところがあるが、Kアイドルの魅力と、韓国全体の魅力はまた別の話し。
韓国の音楽市場が未熟
ハイブを含むKポップの問題点は、お膝元の韓国の音楽市場が確立できていない事。そのため、常に他国に依存するビジネスになってしまう。
2016年の国際レコード産業連盟(IFPI)によるデータでは、日本の音楽市場2900億円に対し、韓国の音楽市場は330億円と、日本の約12%レベルの音楽市場規模しかない。
韓国人は、自国の音楽市場規模が小さい事を「人口が少ないから」と、いつも人口のせいにするが、もともと韓国は違法ダウンロードがとても多く、音楽コンテンツをお金を出して消費するような慣習・文化が根付いていない。
最近はアイドルグループの熱狂的なファンがフォトカードを目的にCDを大量購入するケースが増えており、それにより韓国の音楽市場が大きくなっているように見えるが、全体的に言えば楽曲や音楽の多様性を尊重する価値観はまだまだ悪い。
通常は、音楽文化が根付き、注目される存在になってから世界に認知されるはずだが、韓国Kポップの場合は自国の音楽文化が育たないため、海外に売る事ばかりを考えてきた。
すぐ売れるために、必ずルックス重視で似たようなダンスアイドルグループばかりを量産してしまう。それが韓国音楽のすべてになってしまっているが、今後もそのやり方を続けていくというのならば、飽きられてしまうのは必然といえる。
株式上場で大儲け
HYBEは、前社名のビッグヒット時代の2020年10月に、市場からの資金調達を目的として株式上場を決行。
この上場を前にして、ビッグヒットは全体の1.4%にあたる47万8695株の普通株をBTSメンバー7人に付与し、株式公開に入った。
ロイター通信によると、上場初日、BTSメンバー1人あたりが保有する株式評価額は92億3000万ウォン(9億2300万円)に達したという。そして現在でも株価は維持されている。
簡単に言えば、BTSメンバー7人は、所属事務所の株で大儲けしたという事だが、そのお金で貧困に悩む北朝鮮を救う事はできないものか。
富める者と貧しき者、利用する者と利用される者、とぼける者と耐える者。李氏朝鮮時代の身分社会が再現されたような貧富の対立は早く終わらせないといけない。