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サムスンバイオロジクス

サムスンバイオロジクスの業績推移:売上・営業利益率・シェア

SAMSUNG BIOLOGICSの連結決算:通年の売上推移

サムスン・バイオロジクスの業績推移:売上高・営業利益・純利益・利益率の推移
年度 売上高・収益 営業利益
[営業利益率(%)]
純利益・最終損益
[純利益率(%)]
2015年 912億ウォン
(91億円)
-2036億ウォン
(203億円)
[-223.2%]
1兆9049億ウォン
(1904億円)
[2099.7%]
2016年 2946億ウォン -304億ウォン
[-10.3%]
-1768億ウォン
[-60.0%]
2017年 4646億ウォン 659億ウォン
[14.2%]
-969億ウォン
[-20.9%]
2018年 5358億ウォン 557億ウォン
[10.4%]
2241億ウォン
[41.8%]
2019年 7016億ウォン 917億ウォン
[13.1%]
2029億ウォン
[28.9%]
2020年 1兆1648億ウォン 2928億ウォン
[25.1%]
2410億ウォン
[20.7%]
2021年 1兆5680億ウォン 5373億ウォン
[34.3%]
3936億ウォン
[25.1%]
2022年 3兆13億ウォン 9836億ウォン
[32.8%]
7981億ウォン
[26.6%]
出所:SAMSUNG BIOLOGICS。()内の日本円表記は1ウォン=0.1円で換算。
サムスンバイオロジクスの営業損益が黒字化した2017年から2022年までの営業利益率の平均が21.7%。
  • サムスン・バイオロジクスは、2011年設立の韓国サムスングループの医薬品受託製造会社(CMO)。製造を請け負うビジネスの事。
  • アメリカのサムスン電子やサムスン物産の出資のもとで、世界中から技術者を引き抜き、豊富な資金力によって研究開発と設備投資を急拡大。また、米国バイオジェンとの合弁により技術やノウハウを獲得。
  • 2023年時点では医薬品受託製造業界で世界シェア2位。サムスンは、半導体のDRAMにおいてもの参入から15年ほどで世界トップレベルとなったが、この分野でも同様の現象が起きている。
  • 近年は、アメリカのメルク、ギリアド・サイエンシズ、イーライ・リリー、ファイザー、イギリスのアストラゼナカ、グラクソ・スミスクライン、スイスのロシュなどの大手製薬会社からの受託に成功し、売上高が急増。
  • 将来的に業界シェア50%を目指しているとされる。
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SAMSUNG BIOLOGICSの財政・経営状況

サムスン・バイオロジクスの財務状況の推移:総資産・純資産・自己資本比率の推移
年度 総資産
[現金・手元資金]
負債総額
[有利子負債]
自己資本・純資産
[自己資本比率(%)]
2015年 5兆9605億ウォン
[965億ウォン]
3兆1857億ウォン
[3022億ウォン]
2兆7748億ウォン
[46.6%]
2020年 6兆4242億ウォン
[3289億ウォン]
1兆8254億ウォン
[2110億ウォン]
4兆5988億ウォン
[71.6%]
2021年 7兆9700億ウォン
[1兆3475億ウォン]
2兆9789億ウォン
[1932億ウォン]
4兆9911億ウォン
[62.6%]
2022年 16兆5821億ウォン
[3兆1582億ウォン]
7兆5976億ウォン
[1兆3507億ウォン]
8兆9845億ウォン
[54.2%]
  • サムスンバイオロジクスの財務は安定的といえる状況。
  • 設立からサムスン電子やサムスン物産などのグループ企業からの集中的な支援があったため、現在まで資金難に陥った事は実質的になかった。創業以降の問題は、お金よりも技術や顧客獲得の問題だった。

投資状況と生産能力

  • 工場は韓国国内(仁川)に4つの工場を保有(2023年時点)。2022年に第四工場(25.6万リットル)を稼働。さらに、新たな工場建設のための土地も取得済み。
  • 韓国メディアによると、4つの工場すべての全体生産能力はタンク容量で62万リットル。これは世界の生産能力の30%に相当し、工場生産能力を基準とすると世界トップだという。

CMOとCDMOの違い

  • CMO……医薬品の受託生産メーカー。Contract Manufacturing Organizationの略称。
  • CDMO……製造工程の開発、製剤研究、治験薬・市販薬の製造までを幅広く請け負う受託生産メーカー。Contract Development and Manufacturing Organizationの略称。

サムスンバイオロジクスの業態は、CDMOという形。CMOよりも利幅が高い。

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国内と海外の売上比率

サムスン・バイオロジクスの国別/地域別の売上高と全体比の推移
国/地域 2018年/売上高
[全体比(%)]
2020年/売上高
[全体比(%)]
2022年/売上高
[全体比(%)]
韓国 2280億ウォン
[42.6%]
2966億ウォン
[25.5%]
1547億ウォン
[5.2%]
欧州 2900億ウォン
[54.1%]
5275億ウォン
[45.3%]
1兆7859億ウォン
[59.5%]
アメリカ 178億ウォン
[3.3%]
2895億ウォン
[24.8%]
8540億ウォン
[28.5%]
その他 512億ウォン
[4.4%]
2067億ウォン
[6.8%]

サムスンが医薬品受託製造に参入した理由

かつての医薬品というと、ほとんどが化学合成をもとに作られていた。そして、その手法は製造難易度がそれほど高いものではなく、製薬メーカーが開発から製造までを自社で手掛ける形が主流だった。

しかし、2000年代以降、遺伝子組み換えや細胞培養などのバイオ技術を利用したバイオ医薬品が求められるようになり、創薬における難易度やコストが上昇。

バイオ医薬品は、変化に敏感な生物を用いて製造するため、低分子化学合成品と比較して設備投資費は3~10倍、品質管理では1.3倍~1.8倍のコストがかかる。

製薬会社は自前主義が困難となり、じょじょに「開発」と「製造」の分業が進んでいた。これに目をつけたのがサムスン。

  • バイオ医薬品分野は今後、市場規模の拡大が見込める。
  • バイオ医薬品の創薬は投資資金も高く、難易度が高いため、新規参入が少ない。半導体のように製造メーカーが限られ、寡占化する事で利益率が高くなるだろうと予想。
  • 韓国は医療事業の世界的な存在感が低く、その医療分野での成長を模索していた。

こういった理由がサムスンが参入した理由。また、LGグループやSKグループなどの他の韓国財閥勢も参入している。量産型Kポップグループと同じように、儲け話しに皆が飛びついた状況となっている。

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医薬品受託生産メーカーの世界シェア

CMO医薬品受託製造メーカーのシェア

画像出所:経済産業省HPより、みずほ証券出典。
医薬品生産受託メーカーの市場シェアトップ5(2019年度)
順位 企業 市場シェア(%)
1位 ロンザ スイス 33%
2位 サムスンバイオロジクス 韓国 21%
3位 ベーリンガーインゲルハイム ドイツ 8%
4位 富士フイルム 日本 7%
5位 バイオベクトラ カナダ 4%
出所:経済産業省資料よりみずほ証券。
  • 業界トップのロンザは、スイスで1897年設立。2019年度の受託製造部門の売上高は、41.7億スイスフラン(4800億円)で市場シェア33%。長年の技術や英知と共に、すでに豊富な顧客網をもっている事が強み。
  • サムスンバイオは、2011年設立の新参ながら、世界シェア21%。
  • ベーリンガーインゲルハイムは、ドイツで1885年設立。2028年までに700億ユーロ(約9400億円)を製造部門に投資。株式未公開で世界展開してきた伝統的な企業。
  • 日本メーカーでトップ5入りは富士フイルムだけで、海外企業の買収で大きくなった市場シェアは7%。
  • 他の日系メーカーは、AGCが世界シェア2%、JSRが1%のシェアを確保。

日系メーカーの動向

  • 富士フイルム……2021年に6000億円の投資を発表。製造能力としては売上高5000億円の規模で、サムスンと並ぶレベルの生産能力となる。今までは海外企業の買収で大きくなったため、日本生産が少なかったが、2022年に国内初となるバイオCDMO拠点の新設を発表。2026年から稼働予定。
  • AGC……2025年までに2000億円超の投資。本業の成績も良く、三菱グループ企業としての恩恵もあるため、資金的には問題ないはず。
  • JSR……グループ企業のKBIバイオファーマが、スイス工場やアメリカ工場などへの増産投資を決定。
  • ニプロ……2010年からバイオ薬品の受託製造に本格参入。2026年には受託生産全体で1000億円超の売上高を見込む。医療メーカーとしてのポートフォリオ拡大に期待。
  • リコー……2022年5月に医薬品製造受託サービスに参入表明。米国新興企業を買収のもとで、医薬品の中でもメッセンジャーRNA(mRNA)医薬品に特化した受託生産事業の成長を目指す。
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業界の成長予測

CMO/CMDOの成長率

出所:経済産業省HPよりみずほ証券出典。

医薬品受託製造業界は、2030年度に1兆5000億円レベルの規模に成長すると予測されている。その中で、サムスンと富士フイルムの競争激化は避けられない。半導体メモリで競ってきた日韓の歴史が、医薬品業界で再現される見通し。

サムスンの目標シェア達成は無理

サムスンバイオロジクスは、2035年までに医薬品受託製造市場のシェア50%が目標と発表している。サムスンは、半導体と同じような世界観で医薬品業界を見ているようだが、世界に90社以上あるCMO/CDMO業界の中で、そこまで絶対的な存在になる事はできない。

  • 開発メーカー側は、製造委託先の寡占化を嫌い、製造メーカーを分散化させようとするため、サムスンが絶対的なシェアをもつ事はできない。
  • 医薬品業界は、非常に細分化されており、他社を淘汰するような絶対的な存在は生まれにくい。また、いろいろな業種の企業の参入が相次いでいる。
  • 医薬品は多品種。規模が小さくてもニッチな需要を取り込んで顧客と信頼関係を築き、ビジネスを継続できる。規模の勝負には限界あり。

韓国は、半導体メモリの成功体験に酔いしれているところがあり、同様の現象が医薬品業界でも実現できると考えているようだが、サムスンの半導体は1986年以降の「日米半導体協定」による「漁夫の利」で成功したもの。医薬品分野で「日米医薬品協定」はやって来ない。

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