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台湾コンパル・エレクトロニクスの売上高と純利益、利益率の推移

台湾, 業績推移

コンパル

Compal Electronicsの決算(通年)の売上推移

コンパル・エレクトロニクスの売上高と営業利益・純利益・利益率の業績推移
年度 売上高・収益 営業利益
[営業利益率(%)]
純利益・最終損益
[純利益率(%)]
2012年 6839億NTドル
(2兆7356億円)
72億NTドル
(288億円)
[1.1%]
63億NTドル
(252億円)
[0.9%]
2013年 6927億NTドル 29億NTドル
[0.4%]
24億NTドル
[0.3%]
2014年 8457億NTドル 75億NTドル
[0.9%]
70億NTドル
[0.8%]
2015年 8473億NTドル 113億NTドル
[1.3%]
86億NTドル
[1.0%]
2016年 7668億NTドル 110億NTドル
[1.4%]
81億NTドル
[1.1%]
2017年 8876億NTドル 92億NTドル
[1.0%]
57億NTドル
[0.6%]
2018年 9677億NTドル 92億NTドル
[0.9%]
89億NTドル
[0.9%]
2019年 9804億NTドル 105億NTドル
[1.1%]
69億NTドル
[0.7%]
2020年 1兆489億NTドル 114億NTドル
[1.1%]
93億NTドル
[0.9%]
2021年 1兆2356億NTドル
(4兆9424億円)
133億NTドル
(532億円)
[1.1%]
126億NTドル
(504億円)
[1.0%]
出所:COMPAL。1NTドル(ニュー台湾ドル)=4.0円で換算。台湾の通貨は「ニュー台湾ドル」「新台湾ドル」「台湾元」「TWD」などいろいろ呼び名があるがすべて同じ。
  • 2011年度から2020年度までの10年間で売上高が約2倍。アップル製品(iPad)の受注に成功し、売上増加につながっている模様。
  • 台湾のEMS企業は営業利益率2%前後が目安だが、コンパルの営業利益率はその中でも低い。
  • 純利益率が1%を切っている。他の台湾の電子機器受託企業の中でも特に低い。
  • 利益率が低いが、営業利益と純利益、ともに赤字なし。
  • 受託企業は「組み立て」で「下請け」という立場。利益が出ないビジネスを忍耐強くやるのが台湾の強み。

Compal Electronicsの経営状況

コンパル・エレクトロニクスの財務の推移(2010年以降)
年度 総資産 負債総額 自己資本・純資産
[自己資本比率(%)]
2010年 3332億台湾ドル
(1兆3328億円)
2121億台湾ドル
(8484億円)
1211億台湾ドル
(4844億円)
[36.3%]
2020年 4669億台湾ドル 3509億台湾ドル 1159億台湾ドル
[24.8%]
2021年 5370億台湾ドル
(2兆1480億円)
4155億台湾ドル
(1兆6620億円)
1215億台湾ドル
(4860億円)
[22.6%]
1台湾ドル=4.0円で換算。
  • 2010年から2020年までの10年間で、あまり総資産が増えていない。
  • PCの世界市場規模が成熟しているため、中核のパソコン受託生産規模も伸びず、比例して資産規模も伸びなかった。

会社概要

  • コンパル・エレクトロニクス(英:Compal Electronics、仁寶電腦)は、パソコン生産、電子部品、電子製品の受託生産を手掛ける台湾企業。1984年に創業。
  • 従業員は5万人以上。
  • 製造拠点は、台湾と中国が中心、中台分業体制(チャイワン)。ベトナムなどの東南アジアにも拠点。
  • 子会社にスマートフォン含む携帯電話を受託生産するコンパル・コミュニケーションズ(華寶通訊)を持つ。

EMS企業の大手

コンパルはEMS企業(受託製造サービス企業)の大手の一つ。EMSとODM、OEMとの違いは以下。

  • EMS→製造受託サービス企業。Electronics Manufacturing Serviceの略
  • ODM→製品設計から製造受託までを行う。Original Design Manufacturingの略。
  • OEM→相手先ブランドのまま設計と製造受託。Original Equipment Manufacturingの略。

例えば、東芝のパソコン(dynabook)の製造だけを請け負うビジネスをやっているのがコンパルということ。

ライバルであるクアンタ(台湾)と共に、世界で使用されるパソコンの多くを受託製造している企業で、特にアメリカ企業や日本企業とのつながりが深い。

受託製造市場規模

製造請負サービスの市場規模は、いろいろデータがあるが2021年度で6000億ドル(66兆円)ほどといわれている。これはEMSだけではなく、製品設計・開発を含むODMという形態ビジネスを含んだ規模。

コンパルの売上規模を市場規模で割ると、売上金額ベースで6.1%の業界シェアということになる。(おおまかな目安として)

主要顧客

コンパルの取引企業は以下。

  • DELL
  • ヒューレット・パッカード(HP)
  • アップル
  • acer(エイサー)
  • 日本企業では東芝とつながりが深い。

中核はパソコンの製造。近年はアップルとの取引を増やし、iPadの受注生産で売上規模を伸ばしている。(iPadは価格が5万円以上で、2020年度の出荷台数が5330万台。かなりボリュームが大きい)

なお、iPadを製造受託している企業は、ホンハイ(フォックスコン)、ペガトロン、コンパルの3社が中心。

東芝のパソコンも受託生産していたが、東芝の現在はPC事業から撤退。また、東芝のTV製造においてもメキシコやポーランドの東芝テレビ工場を買収し、コンパルがOEMという形で引き継いでいる。(東芝ブランドで製造と販売)

パソコン製造シェア

コンパルの世界PC製造シェアは20~25%ほど。

PCは台湾企業が独占

世界的なパソコンメーカーを国別でいうと、アメリカ、中国、台湾、韓国、日本にあるが、そのPCを「製造」している企業を国籍で分けると、主に台湾、中国に二分される。以下のデータを参考。

2020年度のPC販売メーカーランキング
順位 企業名 世界販売台数 生産国
1位 レノボ(中国) 7183万台 中国レノボ自社生産
2位 HP(アメリカ) 6779万台 台湾企業が受託生産
3位 DELL(アメリカ) 5028万台 台湾企業が受託生産
4位 アップル(アメリカ) 2275万台 台湾企業が受託生産
5位 acer(台湾) 2097万台 台湾acerが生産
6位 ASUS(台湾) 1819万台 台湾ASUSが生産
パソコンの市場規模は2019年度が約2億6000万台、2020年度が約3億台。

トップの中国レノボ以外は台湾企業が製造。台湾企業が製造する2位から6位をすべて合計すると約1億8000万台。このうちの多くを製造しているのがコンパルというワケ。

世界の電子産業において台湾企業が欠かせない存在となっているが、それが台湾の国益と経済安全保障につながっている。

日本のPC業界は縮小

パソコン業界で言えば、日本企業はかなり元気がなくなってしまった。再編により事業縮小傾向にある。

  • NEC→「LAVIE」ブランドのPC事業は中国レノボと合弁。出資比率は、レノボ66.6%、NEC33.4%。
  • 富士通→「FMV」ブランドのPC事業は中国レノボと合弁。出資比率は、レノボ51%、富士通44%、日本政策投資銀行5%。
  • 東芝→「dynabook」ブランドをシャープ(ホンハイ傘下)に完全売却。
  • ソニー→「VAIO」ブランドを分社化。独立したVAIOは黒字化。
  • パナソニック→「レッツノート」ブランド国内出荷数30万台。(2020年度)

パソコン市場はイノベーションも止まり市場は成熟。スマホの台頭で世界販売台数は縮小傾向。台湾勢や中国勢との競争が激しく利益も出ない。結果、縮小か撤退という形に。

利益率は低いが金額は大きい

台湾は電子機器の受託製造業界で絶対的な地位をもっているが、やはり利益率が低い問題がある。しかし、売上規模が大きいため、「率」ではなく「金額」ベースで言えば、わりと多くのお金を会社に残すことができる。以下のデータを参考。

2020年のEMS企業の売上高ランキング
順位 企業名 売上高・収益 純利益・最終損益
[純利益率(%)]
1位 フォックスコン(台湾) 20兆8960億円 3969億円
[1.8%]
2位 ペガトロン(台湾) 5兆4710億円 788億円
[1.4%]
3位 クアンタ(台湾) 4兆2540億円 987億円
[2.3%]
4位 コンパル(台湾) 4兆901億円 365億円
[0.8%]
5位 ウィストロン(台湾) 3兆2950億円 338億円
[1.0%]
6位 ジェイビル(アメリカ) 2兆9800億円 58億円
[0.1%]
7位 フレックス(シンガポール) 2兆6340億円 670億円
[2.5%]
すべて日本円で統一。為替レートは1ドル109円、1台湾ドル3.9円で算出。

まず、利益率が低いが、売上ボリュームが大きいため、最終利益はそれなりに残る。また、視点を変えれば、利益が出ないため新規参入がほとんどなく、新たな競争相手が誕生しにくいという利点もある。

そして、業界トップのホンハイ(フォックスコン)1社で売上高約21兆円(2020年度)。上位5社の売上高合計が約38兆円。エレクトロニクス産業の市場規模が150~200兆円と言われるので、台湾勢5社で電子産業全体の19~25%くらいの製造をカバー。

関与する電子部品の物流量が大きいことも台湾の存在感につながっている。「製造受託」という特殊な産業を育ててきた事が、中国との難しい状況にある中で台湾が上手く経済成長している理由。

利益が少ない「製造受託」は、国益だらけだったという事。そして、どの企業よりも利益を出す半導体の製造受託ビジネスも同時に育ててきた。それがTSMCやUMCという事。

韓国と違って台湾は中国と戦う姿勢を貫いているが、それができるのは台湾人が賢かったためと言える。

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