Google/Alphabetの連結決算:通年の売上推移
年度 | 売上高・収益 | 営業利益 [営業利益率(%)] | 純利益・最終損益 [純利益率(%)] |
---|---|---|---|
2000年 | 1910万ドル | -1473万ドル [-77.1%] | -1469万ドル [-76.9%] |
2001年 | 8642万ドル | 1096万ドル [12.6%] | 698万ドル [8.0%] |
2002年 | 4.39億ドル | 1.86億ドル [42.3%] | 0.99億ドル [22.5%] |
2003年 | 14.65億ドル | 3.42億ドル [23.3%] | 1.05億ドル [7.1%] |
2004年 | 31.89億ドル | 6.40億ドル [20.0%] | 3.99億ドル [12.5%] |
2005年 | 61.38億ドル | 20.17億ドル [32.8%] | 14.65億ドル [23.8%] |
2006年 | 106.04億ドル (10月 YouTube買収を発表) | 35.49億ドル [33.4%] | 30.77億ドル [29.0%] |
2007年 | 165.93億ドル | 50.84億ドル [30.6%] | 42.03億ドル [25.3%] |
2008年 | 217.95億ドル (スマホ用OS「Android」リリース) (クラウドサービス開始) | 66.31億ドル [30.4%] | 42.26億ドル [19.3%] |
2009年 | 236.51億ドル | 83.12億ドル [35.1%] | 65.20億ドル [27.5%] |
2010年 | 293.21億ドル | 103.81億ドル [35.4%] | 85.05億ドル [29.0%] |
2011年 | 379.05億ドル | 117.42億ドル [30.9%] | 97.37億ドル [25.6%] |
2012年 | 460.39億ドル | 138.34億ドル [30.0%] | 107.37億ドル [23.3%] |
2013年 | 555.19億ドル | 154.03億ドル [27.7%] | 127.33億ドル [22.9%] |
2014年 | 660.01億ドル | 164.96億ドル [24.9%] | 141.36億ドル [21.4%] |
2015年 | 749.89億ドル (持株会社Alphabetへ移行) | 193.60億ドル [25.8%] | 158.26億ドル [21.1%] |
2016年 | 902.72億ドル (スマホ「Google Pixel」発売開始) | 237.16億ドル [26.2%] | 194.78億ドル [21.5%] |
2017年 | 1108.55億ドル | 261.78億ドル [23.6%] | 126.62億ドル [11.4%] |
2018年 | 1368.19億ドル | 275.24億ドル [20.1%] | 307.36億ドル [22.4%] |
2019年 | 1618.57億ドル | 342.31億ドル [21.1%] | 343.43億ドル [21.2%] |
2020年 | 1825.27億ドル | 412.24億ドル [22.5%] | 402.69億ドル [22.0%] |
2021年 | 2576.37億ドル | 787.14億ドル [30.5%] | 760.33億ドル [29.5%] |
2022年 | 2828.36億ドル | 748.42億ドル [26.5%] | 599.72億ドル [21.2%] |
2023年 | 3073.94億ドル | 842.93億ドル [27.4%] | 737.95億ドル [24.0%] |
出所:Google/Alphabet。本決算期は12月末。Googleを傘下にもつアルファベット社の成績。
スポンサーリンク
平均利益率
Google/Alphabetの2000年から2022年までの営業利益率の平均が23.0%。比較として、同じ広告業のMETA/Facebookの2008年から2022年までの営業利益率の平均が34.0%。
会社の動向
- Googleの設立は1998年。
- 世界的に独占的となった検索事業と付随する広告事業を中心に、様々なWebサービスやクラウド事業を行う。
- 2006年、GoogleはYouTubeを16.5億ドルで買収。既存の「Google Videos」もあったが、台頭していたYouTubeを買収して動画広告事業を強化。
- 2007年にAppleからiPhoneが初登場。対抗的に「Android OS」を開発・リリース。現在はスマホの基本ソフトで「Android」は「iOS」と2強。モバイルからの収益を確保。
- 2008年にクラウドサービスを開発者向けに提供開始。2011年に一般向けのサービス公開。なお、Amazonのクラウド「AWS」は2006年設立。マイクロソフトのクラウド「Azure」は2010年サービス開始。
- 競合の業績推移
- META(旧フェイスブック)
- マイクロソフト
- Amazon「AWS」
スポンサーリンク
Google/Alphabetの財政・経営状況
年度 | 総資産 [現金・手元資金] |
負債総額 [有利子負債] |
自己資本・純資産 [自己資本比率(%)] |
---|---|---|---|
2005年 | 102.71億ドル [80.34億ドル] |
8.52億ドル [なし] |
94.19億ドル [91.7%] |
2010年 | 578.51億ドル [349.75億ドル] |
116.10億ドル [34.65億ドル] |
462.41億ドル [79.9%] |
2015年 | 1474.61億ドル [730.66億ドル] |
271.30億ドル [52.20億ドル] |
1203.31億ドル [81.6%] |
2020年 | 3196.16億ドル [1366.94億ドル] |
970.72億ドル [139.32億ドル] |
2225.44億ドル [69.6%] |
2021年 | 3592.68億ドル [1396.49億ドル] |
1076.33億ドル [148.17億ドル] |
2516.35億ドル [70.0%] |
2022年 | 3652.64億ドル [1137.62億ドル] |
1091.20億ドル [147.01億ドル] |
2561.44億ドル [70.1%] |
2023年 | 4023.92億ドル [1109.16億ドル] |
1190.13億ドル [132.53億ドル] |
2833.79億ドル [70.4%] |
出所:Google/Alphabet。Googleを傘下にもつアルファベット社のデータ。
- グーグルは「情報社会の入り口」となる存在であるため、社会からの公平性/信用性が求められる。どこかに依存しなくてもいいように強固な財務基盤を維持しようとする哲学がある。異様に現金/現金性資金が多いのもそういった理由がある。
- 2024年2月時点のアルファベット社の株式時価総額は1.75兆ドル。比較としてMETA(旧フェイスブック)は1.21兆ドル。
全社員数とR&Dの推移
年度 | 従業員数(連結) | 設備投資費 | 研究開発費 |
---|---|---|---|
2010年 | 2万4400人 | – | 37.62億ドル |
2015年 | 6万1814人 | – | 122.82億ドル |
2020年 | 13万5301人 | – | 275.73億ドル |
2023年 | 18万2502人 | – | 454.27億ドル |
- 2020年発生のコロナ在宅需要により、ネット利用が急増。それに比例してGoogleの従業員も増加。
- しかし、2022年からの物価高と消費低迷による収益悪化により、グーグルは2023年1月に世界で約1万2000人の従業員削減を発表。コロナ後の人員調整とも言えるかもしれない。
- 研究開発費は、データセンター向け半導体、AI関連、広告システムの開発費が増加。
スポンサーリンク
サービス事業とクラウド事業の業績推移
年度 | Googleサービス(主に広告事業) | Google Cloud(クラウド事業) |
---|---|---|
売上高・収益 [営業利益/利益率(%)] |
||
2017年 | 1064.91億ドル | 40.56億ドル |
2018年 | 1305.24億ドル [431.37億ドル/33.0%] |
58.38億ドル [-43.48億ドル/-74.5%] |
2019年 | 1518.25億ドル [489.99億ドル/32.3%] |
89.18億ドル [-46.45億ドル/-52.1%] |
2020年 | 1686.35億ドル [546.06億ドル/32.4%] |
130.59億ドル [-56.07億ドル/-42.9%] |
2021年 | 2375.29億ドル [918.55億ドル/38.7%] |
192.06億ドル [-30.99億ドル/-16.1%] |
2022年 | 2535.28億ドル [865.72億ドル/34.1%] |
262.80億ドル [-29.68億ドル/-11.3%] |
2023年 | 2725.43億ドル [958.58億ドル/35.2%] |
330.88億ドル [17.16億ドル/5.2%] |
- Googleの広告事業の利益率は30%超。なお、利益率30%はアメリカの独占的企業が目安とする数字。
- 成長分野であるGoogleクラウド事業は、売上高は伸びているが2022年まで赤字が続いている。しかし、以前と比較すると、しだいに利益率(損失率)は改善傾向。なお、クラウドシェア首位のアマゾン「AWS」の利益率は30%ほど。
- 2022年の世界クラウドシェアは、Amazon(31%)、Microsoft(24%)、Google(8%)。
- Googleは検索やオンライン広告事業、YouTubeなどに必要な巨大データセンターを持つため、そこからさらにクラウド市場シェアが高くなると、データセンター業界を支配する存在になってしまう。独占禁止法に関連した問題になるため、Googleのクラウド事業は飛躍意識が低いものになった模様。
- GoogleにはAI開発などのベンチャーが多いが、今のところ収益性が成立していない。
- 2023年、Googleクラウドが黒字化。
広告事業の収益構造
年度 | Google検索広告・その他 | YouTube広告 | アドセンスなど |
---|---|---|---|
売上高 [全体比(%)] |
|||
2017年 | 698.11億ドル [63.0%] |
81.50億ドル [7.4%] |
176.16億ドル [15.9%] |
2018年 | 852.96億ドル [62.3%] |
111.55億ドル [8.2%] |
200.10億ドル [14.6%] |
2019年 | 981.15億ドル [60.6%] |
151.49億ドル [9.4%] |
215.47億ドル [13.3%] |
2020年 | 1040.62億ドル [57.0%] |
197.72億ドル [10.8%] |
230.90億ドル [12.7%] |
2021年 | 1489.51億ドル [57.8%] |
288.45億ドル [11.2%] |
317.01億ドル [12.3%] |
2022年 | 1624.50億ドル [57.4%] |
292.43億ドル [10.3%] |
327.80億ドル [11.6%] |
2023年 | 1750.33億ドル [56.9%] |
315.10億ドル [10.3%] |
313.12億ドル [10.2%] |
出所:Google/Alphabet。グーグルは、検索広告、YouTube広告などの営業利益は非公開。
- Googleの広告収入は、2021年から増加ペースが加速。これはコロナ在宅需要が関係している模様。
- 中核のGoogle検索からの広告収入がしっかりと成長しているのが強み。
- なにかと話題性が高いYouTubeだが、肝心の広告収入は意外に少ない。2022年度の売上高は292.43億ドル。Googleへの利益貢献度は低い。
- Webサイト内広告(アドセンス)や、モバイルアプリ内広告の収益は停滞ぎみ。コロナ在宅需要で2021年から急伸したが、今後の成長力は弱いだろうと不安視されている。
スポンサーリンク
国内/外国収益の割合
年度 | アメリカ | 欧州/中東/アフリカ | アジア/オセアニア | 南米/中南米 |
---|---|---|---|---|
2005年 | 61% | 39% | ||
2010年 | 48% | 52% | ||
2015年 | 48% | 35% | 14% | 5% |
2020年 | 47% | 30% | 18% | 5% |
2023年 | 47% | 30% | 17% | 6% |
- 地域別の売上比率に大きな変化なし。どの地域も一定の成長。
- Googleの売上高の半分近くが、お膝元のアメリカ。なお、マイクロソフトも売上の半分がアメリカ。米国に情報産業が集中している証拠。
- 2010年にGoogleは中国から撤退。そのため、中国からの売上はほとんどない。中国市場から撤退して問題となるのは、中国企業の台頭だが、今のところ中国の検索事業会社「百度:バイドゥ」などは世界であまり目立っていない。
GoogleとYouTubeの歴史
2006年Googleはスタートアップ企業であったYouTubeを16.5億ドルで買収。この時のYouTubeの売上高は1500万ドル程度だったという。
2012年一般ユーザー(YouTuber)向けに「広告収入」の提供開始。日本ではヒカキンなどの一般人がユーチューバーとして台頭してくる。また、2010年代後半から芸能人がYouTubeに次々と参入。
2018年11月に月額有料サービスを開始。有料ユーザーは広告を完全削除できるように。
2021年収益化していないYouTubeチャンネルの動画においても広告を導入。
スポンサーリンク
関連記事