Lam Researchの連結決算:通年の売上推移
決算期 | 売上高・収益 | 営業利益 [営業利益率(%)] | 純利益・最終損益 [純利益率(%)] |
---|---|---|---|
2000年 6月期 | 12.30億ドル | 2.29億ドル [18.6%] | 2.04億ドル [16.6%] |
2001年 6月期 | 15.19億ドル | 1.86億ドル [12.2%] | 0.52億ドル [3.4%] |
2002年 6月期 | 9.43億ドル (ITバブル崩壊) | -1.19億ドル [-12.6%] | -0.90億ドル [-9.5%] |
2003年 6月期 | 7.55億ドル | -0.05億ドル [-0.7%] | -0.07億ドル [-0.9%] |
2004年 6月期 | 9.36億ドル | 1.06億ドル [11.3%] | 0.83億ドル [8.9%] |
2005年 6月期 | 15.02億ドル | 3.88億ドル [25.8%] | 2.97億ドル [19.8%] |
2006年 6月期 | 16.42億ドル | 4.04億ドル [24.6%] | 3.35億ドル [20.4%] |
2007年 6月期 | 25.66億ドル | 7.78億ドル [30.3%] | 6.75億ドル [26.3%] |
2008年 6月期 | 24.74億ドル | 5.09億ドル [20.6%] | 4.39億ドル [17.7%] |
2009年 6月期 | 11.15億ドル | -2.81億ドル [-25.2%] | -3.02億ドル [-27.1%] |
2010年 6月期 | 21.33億ドル | 4.25億ドル [19.9%] | 3.46億ドル [16.2%] |
2011年 6月期 | 32.37億ドル | 8.04億ドル [24.8%] | 7.23億ドル [22.3%] |
2012年 6月期 | 26.65億ドル | 2.37億ドル [8.9%] | 1.68億ドル [6.3%] |
2013年 6月期 | 35.98億ドル | 1.18億ドル [3.3%] | 1.13億ドル [3.1%] |
2014年 6月期 | 46.07億ドル | 6.77億ドル [14.7%] | 6.32億ドル [13.7%] |
2015年 6月期 | 52.59億ドル | 7.88億ドル [14.9%] | 6.55億ドル [12.5%] |
2016年 6月期 | 58.85億ドル | 10.74億ドル [18.2%] | 9.14億ドル [15.5%] |
2017年 6月期 | 80.13億ドル | 19.02億ドル [23.7%] | 16.98億ドル [21.2%] |
2018年 6月期 | 110.76億ドル | 32.13億ドル [29.0%] | 23.81億ドル [21.5%] |
2019年 6月期 | 96.53億ドル | 24.64億ドル [25.5%] | 21.91億ドル [22.7%] |
2020年 6月期 | 100.44億ドル | 26.73億ドル [26.7%] | 22.52億ドル [22.4%] |
2021年 6月期 | 146.26億ドル | 44.82億ドル [30.6%] | 39.08億ドル [26.7%] |
2022年 6月期 | 172.27億ドル | 53.82億ドル [31.2%] | 46.05億ドル [26.7%] |
2023年 6月期 | 174.29億ドル | 51.75億ドル [29.7%] | 45.11億ドル [25.9%] |
2024年 6月期 | 149.05億ドル | 42.63億ドル [28.6%] | 38.27億ドル [25.7%] |
出所:Lam Research。本決算期は6月末。
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平均利益率
ラムリサーチの2000年から2022年までの営業利益率の平均が16.4%。比較として、アプライド・マテリアルズ(米国)の1992年から2022年までの営業利益率の平均が17.2%。東京エレクトロン(日本)の1999年から2022年までの営業利益率の平均が13.2%。
会社の動向
- ラムリサーチの設立は1980年。デイビット・ラムによって誕生。大手装置メーカーとしては歴史は浅い。
- 2009年6月期は、アメリカ発の金融危機(俗に言うリーマンショック)で売上高半減。どこの製造装置メーカーも売上高が大幅に減った年だった。
- 2010年代中頃からNANDフラッシュメモリが3次元化(積層化)した事や、EUV露光装置の登場による微細化が進んだ事で、製造におけるエッチング工程が増大。比例してラムリサーチ社が得意とするドライエッチング装置の売上が大きく伸びる。業績拡大へ。
- 2019年は、メモリバブル崩壊によりラムリサーチの売上も前年比で減少。
- 半導体の技術革新が止まってしまうと、ラムリサーチの収益性も停滞してしまう可能性に注意。
- 世界の半導体装置メーカーの業績推移
- アプライド・マテリアルズ
- ASML
- 東京エレクトロン
- SCREEN
- アドバンテスト
- KLAコーポレーション
- テラダイン
- DISCO
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Lam Researchの財政・経営状況
決算期 | 総資産 [現金・手元資金] |
負債総額 [有利子負債] |
自己資本・純資産 [自己資本比率(%)] |
---|---|---|---|
2000年 6月期 |
12.44億ドル | – | – |
2005年 6月期 |
14.49億ドル [4.82億ドル] |
3.82億ドル [なし] |
10.67億ドル [73.6%] |
2010年 6月期 |
24.87億ドル [8.26億ドル] |
7.19億ドル [0.56億ドル] |
17.68億ドル [71.1%] |
2015年 6月期 |
93.65億ドル [40.76億ドル] |
40.20億ドル [10.01億ドル] |
53.45億ドル [57.1%] |
2020年 6月期 |
145.59億ドル [67.10億ドル] |
93.76億ドル [49.70億ドル] |
51.83億ドル [35.6%] |
2021年 6月期 |
158.92億ドル [57.29億ドル] |
98.65億ドル [49.90億ドル] |
60.27億ドル [37.9%] |
2022年 6月期 |
171.96億ドル [36.58億ドル] |
109.17億ドル [49.98億ドル] |
62.78億ドル [36.5%] |
2023年 6月期 |
187.82億ドル [53.75億ドル] |
105.71億ドル [50.03億ドル] |
82.10億ドル [43.7%] |
出所:Lam Research
- 手元資金や業績を考慮すると、今のところ財務の問題はない。
- ラムリサーチは、好業績の時は配当を増やしたり、自社株買いなどの形で株主還元を行ってきた実績がある。
全社員数とR&Dについて
決算期 | 従業員数(連結) | 設備投資費 | 研究開発費 |
---|---|---|---|
2010.6 | 3230人 | – | 3.20億ドル |
2015.6 | 7300人 | – | 8.25億ドル |
2020.6 | 11300人 | – | 12.52億ドル |
2023.6 | 17200人 | – | 17.27億ドル |
出所:Lam Research
- 業績拡大と比例して従業員数も増加。最先端工場を手掛ける半導体製造メーカーへの技術サポートや装置メンテナンスなどの業務が特に増えている。
- 2020年度のラムリサーチの研究開発費は12.52億ドル。比較として、東京エレクトロンは1202億円。
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販売先の半導体カテゴリーと売上比率
メモリー | ファウンドリー | その他 |
---|---|---|
60% | 26% | 14% |
出所:Lam Research
- メモリ向けは、多くがNANDフラッシュメモリ向け。NANDメモリは積層化が進んだ事でエッチング工程が増加し、比例してラムリサーチのドライエッチング装置の販売が拡大。
半導体製造装置のシェア
出所:JBpress/湯之上隆。(一部ポジテン編集)
- ラムリサーチ社の市場シェアが高い製品は、ドライエッチング装置、成膜装置(CVD装置)、枚葉式洗浄装置。
- 特にドライエッチング装置がラム社の強み。他社と比較して複雑な工程に強く、微細化を求められる最先端半導体の製造においては競合他社と比較して明確な優位性をもつ。
- ラムリサーチは、2011年に成膜装置に強みをもつノベラス・システムズ(米国)を33億で買収。それによりCVD装置(成膜装置の一つ)のシェアが高い。
- 2008年、洗浄装置メーカーのSEZ(オーストリア)を買収。それが由来で、現在は最先端工程に必要な枚葉式洗浄装置で一定のシェアをもつ。得意とするエッチング工程周辺の製品ラインナップを確保。
国別・地域別の販売比率
国/地域 | 2005年/売上高 [売上比率(%)] |
2013年/売上高 [売上比率(%)] |
2022年/売上高 [売上比率(%)] |
---|---|---|---|
米国 | 2.40億ドル [16%] |
7.20億ドル [20%] |
13.78億ドル [8%] |
欧州 | 1.80億ドル [12%] |
2.88億ドル [8%] |
6.89億ドル [4%] |
日本 | 2.25億ドル [15%] |
3.60億ドル [10%] |
15.50億ドル [9%] |
韓国 | 2.85億ドル [19%] |
6.12億ドル [17%] |
39.62億ドル [23%] |
台湾 | 5.71億ドル [38%] |
10.43億ドル [29%] |
29.29億ドル [17%] |
中国 | 5.76億ドル [16%] |
53.40億ドル [31%] |
|
その他アジア | 13.78億ドル [8%] |
出所:Lam Research
- アメリカ向けは、インテルへの売上が中心。インテル社はラムリサーチ社製品の採用を増やしている模様。
- 日本向けは、キオクシア、ソニー、パワー半導体メーカーへの売上。
- 韓国向けの売上もかなり高いが、これはラムリサーチが得意なエッチング装置を必要とするメモリ企業が韓国に多いため。サムスンとSKハイニックス。
- 台湾向けは微細化最先端を走るTSMCへの売上が中心。
- 中国は半導体国産化に向け、近年は様々な半導体製品の設備投資が急増。売上成長率が最も高い。特に2020年から2022年にかけてNANDフラッシュメモリを手掛けるYMTCへの販売高が多かった模様。
- その他のアジア向けは、シンガポールが多い。米国グローバルファウンドリーや米国マイクロン・テクノロジーのNANDフラッシュメモリ工場がシンガポールに存在。
半導体装置メーカーランキング
出所:VLSI Research/Tech Insights
- 売上高ベースで、ラムリサーチは半導体装置業界で売上3位にランクイン。装置市場で市場規模が最も大きいのはドライエッチングの190億ドルで、ラムリサーチ社はそこでシェアを確保している事が業界での地位につながっている。
- 一方で、会社の収益をエッチング装置に依存しすぎている事も問題。投資家からもそれを不安視されている模様。
- なお、ランキング15社中、日本企業は7社ランクイン。ランキングに入っていない日本企業も多い。
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