Mastercardの連結決算:通年の売上推移
年度 | 売上高・収益 [世界カード発行枚数] | 営業利益 [営業利益率(%)] | 純利益・最終損益 [純利益率(%)] |
---|---|---|---|
2004年 | 25.93億ドル | 3.47億ドル [13.4%] | 2.38億ドル [9.2%] |
2005年 | 29.38億ドル | 3.93億ドル [13.4%] | 2.67億ドル [9.1%] |
2006年 | 33.26億ドル | 2.29億ドル [6.9%] | 0.50億ドル [1.5%] |
2007年 | 40.68億ドル [9.1億枚] | 11.08億ドル [27.2%] | 10.86億ドル [26.7%] |
2008年 | 49.92億ドル [9.8億枚] | -5.35億ドル [-10.7%] | -2.54億ドル [-5.1%] |
2009年 | 50.99億ドル [9.6億枚] | 22.60億ドル [44.3%] | 14.63億ドル [28.7%] |
2010年 | 55.39億ドル [9.7億枚] | 27.52億ドル [49.7%] | 18.43億ドル [33.3%] |
2011年 | 67.14億ドル [10.5億枚] | 27.13億ドル [40.4%] | 19.06億ドル [28.4%] |
2012年 | 73.91億ドル [12億枚] | 39.37億ドル [53.3%] | 27.59億ドル [37.3%] |
2013年 | 83.12億ドル [13億枚] | 45.03億ドル [54.2%] | 31.16億ドル [37.5%] |
2014年 | 94.41億ドル [14億枚] | 51.06億ドル [54.1%] | 36.17億ドル [38.3%] |
2015年 | 96.67億ドル [16億枚] | 50.78億ドル [52.5%] | 38.08億ドル [39.4%] |
2016年 | 107.76億ドル [17億枚] | 57.61億ドル [53.5%] | 40.59億ドル [37.7%] |
2017年 | 124.97億ドル [18億枚] | 66.22億ドル [53.0%] | 39.15億ドル [31.3%] |
2018年 | 149.50億ドル [20億枚] | 72.82億ドル [48.7%] | 58.59億ドル [39.2%] |
2019年 | 168.83億ドル [21億枚] | 96.64億ドル [57.2%] | 81.18億ドル [48.1%] |
2020年 | 153.01億ドル [23億枚] | 80.81億ドル [52.8%] | 64.11億ドル [41.9%] |
2021年 | 188.84億ドル [25億枚] | 100.82億ドル [53.4%] | 86.87億ドル [46.0%] |
2022年 | 222.37億ドル [27億枚] | 122.64億ドル [55.2%] | 99.30億ドル [44.7%] |
2023年 | 250.98億ドル | 140.08億ドル [55.8%] | 111.95億ドル [44.6%] |
出所:Mastercard。本決算期は12月末。カード発行枚数は、クレジットカード/デビットカード/プリペイドカードの合計値。
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平均利益率
マスターカードの2004年から2022年までの営業利益率の平均が40.7%。比較として、VISAの2007年から2023年(6月期)までの営業利益率の平均が56.4%。JCBの2011年から2022年までの営業利益率の平均が12.2%。
会社の動向
- Mastercardは、クレジットカードの国際ブランドを手掛けるアメリカ企業。1966年に前身が誕生し、1968年~1969年から世界展開。
- 日本市場参入は1969年。なお、競合となるVISAカードが日本で最初に発行されたのは1968年。
- アメリカに強いVISAと比較して、マスターカードはヨーロッパに強い。
- 取引高はVISAに次いで世界2位。カード発行枚数も世界2位。(2024年時点)
- 2020年時点のカードブランド日本国内シェアは、1位のVISAが50.8%、2位がJCBで28.0%、3位がマスターカードで17.8%。(イプソス調べ)
- 加盟店数は世界で8000万店舗(2021年時点)でVISAと同レベル。しかし、日本国内ではマスターカードが使えない店も多い。
- 日本ではマスターカードのみを発行するAmazonカード/Amazonポイント経済圏と共にマスターカードの利用者を増やしたい。
- グローバルキャッチフレーズは、日本のテレビCMでも話題になった「Priceless/プライスレス」。1997年から始まったその宣伝マーケティングにより、利用者の拡大につながったとされる。
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マスターカードの財政・経営状況
年度 | 総資産 [現金・手元資金] |
負債総額 [(長期)有利子負債] |
自己資本・純資産 [自己資本比率(%)] |
---|---|---|---|
2005年 | 37.01億ドル [12.82億ドル] |
25.32億ドル [2.30億ドル] |
11.69億ドル [31.6%] |
2010年 | 88.37億ドル [41.98億ドル] |
36.21億ドル [なし] |
52.16億ドル [59.0%] |
2015年 | 162.50億ドル [72.79億ドル] |
101.88億ドル [32.68億ドル] |
60.62億ドル [37.3%] |
2020年 | 335.84億ドル [111.82億ドル] |
270.96億ドル [120.23億ドル] |
64.88億ドル [19.3%] |
2021年 | 376.69億ドル [84.80億ドル] |
302.86億ドル [131.09億ドル] |
73.83億ドル [19.6%] |
2022年 | 387.24億ドル [79.97億ドル] |
323.68億ドル [137.49億ドル] |
63.56億ドル [16.4%] |
2023年 | 424.48億ドル [91.80億ドル] |
354.73億ドル [143.44億ドル] |
69.75億ドル [16.4%] |
出所:Mastercard
- 自己資本と比較して有利子負債が多いが、業績が良いので問題なし。
- アメリカには財務健全化を無視して、配当・自社株買いなどの株主還元を優先する好業績企業は珍しくないが、マスターカードもその傾向。
- 2022年度のMastercardの自己資本比率は16.4%。一方、VISAの自己資本比率は41.6%。同業とはいえ財務規律の考え方に違いアリ。
- 2024年2月時点のマスターカードの株式時価総額は4276億ドル。比較としてVISAが5553億ドル、アメックスが1536億ドル。なお、日本のJCBは非上場。
連結社員数の推移
2010年 | 2015年 | 2020年 | 2022年 |
---|---|---|---|
5600人 | 11300人 | 21000人 | 29900人 |
出所:Mastercard
- マスターカードもVISAと同様に、世界各国で従業員を増員し、カード利用率向上とシステム安定化を目指す。
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収益構造・セグメント別の成績
セグメント | 2015年/売上高 [売上比率(%)] |
2020年/売上高 [売上比率(%)] |
2022年/売上高 [売上比率(%)] |
---|---|---|---|
Domestic assessments (基本手数料) |
40.86億ドル [42.3%] |
66.56億ドル [43.5%] |
87.94億ドル [39.5%] |
Cross-border volume fees (両替手数料) |
32.25億ドル [33.4%] |
35.12億ドル [23.0%] |
65.97億ドル [29.7%] |
Transaction processing (ネットワーク利用料) |
43.45億ドル [44.9%] |
87.31億ドル [57.1%] |
106.46億ドル [47.9%] |
Other (その他) |
19.91億ドル [20.6%] |
47.17億ドル [30.8%] |
7.66億ドル [3.4%] |
Rebates & incentives (販売奨励金) |
-39.80億ドル [-41.2%] |
-83.15億ドル [-54.3%] |
-45.66億ドル [-20.5%] |
合計 | 96.67億ドル [100%] |
153.01億ドル [100%] |
222.37億ドル [100%] |
出所:Mastercard
- Domestic assessments……ドメスティック(ここでは加盟店の意味)から得られる手数料の事。消費者がMastercardブランドのカードを使用し、商品が売れたら加盟店は決済金額の一部(1%~10%ほど)を手数料としてカード会社に支払う契約。なお、手数料は業種や売上規模によって異なる。
- Cross-border volume fees……外貨決済における両替手数料。クレジットカード会社が決める有利な為替レートからの収益なども含む。海外旅行などでカード支払いすると、利用者は両替費用として数%多く支払う事になる。
- Transaction processing……加盟店やカード発行会社に対するネットワーク利用料。一般的な決済手数料と分けてセグメント付け。
- Rebates & incentives……マスターカード普及目的のリベート(謝礼金)、インセンティブ(販売奨励金)。例えば、日本ではEコマース大手Amazonが発行するAmazonカードはマスターカードブランドのみを扱っているが、それもMasterからのインセンティブがあると思われる。
アメリカ国内と外国への売上比率
年度 | アメリカ/売上高 [全体比(%)] |
世界(アメリカ以外)/売上高 [全体比(%)] |
---|---|---|
2020年 | 54.24億ドル [35.4%] |
97.01億ドル [64.6%] |
出所:Mastercard
- マスターカードはヨーロッパ市場に強みをもつと言われるが、とはいえアメリカ市場でも収益額は高い。
- VISA一強状態を嫌う各業界からの恩恵があり、アメリカでも取扱高は増えている。アメリカは政治や経済において絶対的な存在を嫌う価値観が強い。
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決済取扱い高とカード発行枚数を競合と比較
年度 | MasterCard | VISA | JCB |
---|---|---|---|
取扱い金額 [カード発行枚数] |
取扱い金額 [カード発行枚数] |
取扱い金額 [カード発行枚数] |
|
2008年 | 2兆5330億ドル [9.8億枚] |
4兆3460億ドル [16億枚] |
約7兆円 [6000万枚] |
2010年 | 2兆7230億ドル [9.7億枚] |
6兆2200億ドル [18億枚] |
約8兆円 [6400万枚] |
2012年 | 3兆6470億ドル [12億枚] |
6兆3000億ドル [20億枚] |
15兆5989億円 [8018万枚] |
2014年 | 4兆4990億ドル [14億枚] |
7兆3000億ドル [23億枚] |
22兆5753億円 [8958万枚] |
2016年 | 4兆8270億ドル [17億枚] |
8兆2300億ドル [31億枚] |
26兆5659億円 [1億569万枚] |
2018年 | 5兆9000億ドル [20億枚] |
11兆890億ドル [32億枚] |
32兆6759億円 [1億3007万枚] |
2020年 | 6兆3310億ドル [23億枚] |
11兆3470億ドル [35億枚] |
33兆8255億円 [1億4102万枚] |
2022年 | 8兆1780億ドル [27億枚] |
14兆1000億ドル [41億枚] |
43兆2798億円 [1億5401万枚] |
出所:Mastercard、VISA、JCB、各社の決算報告。
- 2022年のMastercardの取扱高(8兆1780億ドル)を2008年と比較すると約3.2倍に増加。競合のVISAは約3.2倍、JCBは約6.2倍、アメックスは2.5倍に増加。
- 日本発のJCBが最も取扱高成長率が高い理由は、カード利用率が低かった日本人のカード支払い文化が根付いた事が要因。
- 2022年のMastercardブランドのカード発行枚数(27億枚)を2008年と比較すると約2.8倍増加。VISAは約2.6倍、JCBは2.6倍に増加。VISA一強状態を嫌がる力が働いているのかもしれない。
- 日本ではマスターカードが使えない店は、実店舗/ネットショップ共に多い。VISAやJCBは使えるが、Mastercardは使えないという店は珍しくない。
- まれなケースでは、コストコではVISAやJCBが使えず、マスターカードのみが使用可能(2024年時点)。
- すでにVISAブランドを持っている人は、2枚目以降にMastercardを持っておいたほうが良いかもしれない。
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