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半導体工場保有数の世界ランキング

半導体工場「国別」保有数ランキング:日本・米国・韓国の順位

【2022年】国ごとの世界の半導体工場の数ランキング

1位日本[102工場]……2022年時点では、NANDフラッシュメモリ工場以外では、比較的に規模が小さい半導体工場が多い。今後はラピダス(北海道千歳市)の発足や、台湾TSMCの日本進出により、最先端ロジック半導体工場の数も増加していく見通し。

2位台湾[77工場]……TSMCやUMCなどのファウンドリー(製造受託メーカー)がもつ最先端ロジック、パワー/アナログ、センサなどの工場が多い。メモリメーカーの米国マイクロンや台湾ナンヤテクノロジー、Winbondなども工場をもつ。

3位アメリカ[76工場]……インテルを中心に、アナログ半導体メーカー(テキサス、アナログデバイセズ、スカイワークス、マキシム、オンセミなど)の工場が多い。なお、米国はデジタル半導体(ロジック/メモリ)を死守したい願いあるが、米国内におけるメモリ製造ボリュームはかなり少ない。

4位中国[70工場]……国策で全領域の半導体産業を育てようとしているが、アメリカ政府からの最先端分野への制裁により、今のところは最先端以外のすべての半導体に注力。一部のレガシー半導体では世界的に存在感が出てきている。

5位ドイツ[20工場]……インフィニオンやボッシュなどの半導体工場があり、主にパワー半導体、アナログ半導体、車載センサーなどを製造。台湾TSMCや米国インテルも2023年にドイツに工場新設を発表。

6位韓国[15工場]……韓国の半導体工場は、ほとんどがDRAMやNANDフラッシュなどのメモリ半導体。ファンウドリーとして最先端ロジック製造にも参入。パワー/アナログの存在感はほとんどなし。

7位イギリス[12工場]……被買収によって英国メーカーは少なくなったが、それまでのパワー/アナログ半導体、センサーなどの工場がある。中国傘下となったネクスペリアは英国内に2か所の拠点。

8位マレーシア[7工場]……1970年代ごろから海外投資の受け入れを進めた事で、外資系メーカーの半導体製造拠点が多い。低い人件費のメリットにより後工程工場も多い。

9位オランダ[4工場]……オランダに拠点をもつNXPセミコンダクターの半導体工場など。世界的エレクトロニクスメーカーの「フィリップス」がもたらした影響が大きい。

9位イスラエル[4工場]……イスラエルのファウンドリー企業「タワーセミコンダクター」の半導体工場など。2023年、インテルはイスラエルに工場建設を発表。

出所:Statista

  • 日本に半導体工場が多い理由は、かつてエレクトロニクス製品で世界を席巻していた名残り。ピーク時の1988年の世界半導体シェアは50%。メモリ分野で言えば、日本のDRAMシェアは約80%だった。
  • 歴史的に日本はメモリ半導体に強かった事から、現在でもメモリ工場が多い。また、かつてのメモリ工場がパワー/アナログ半導体やイメージセンサーなどの生産に使用されていたりする。
  • 日本企業が世界で存在感がある半導体分野は、NANDフラッシュメモリ(四日市+岩手北上市で世界シェア約30%超)、パワー半導体(日本企業合計シェア約25%)、アナログ半導体(日本企業合計シェア約10%)、イメージセンサー(ソニーのシェア約40~50%)など。
  • 2022年8月、ラピダス(北海道千歳市)の発足により、日本の弱点だった最先端半導体エリアもカバー。
  • エルピーダが撤退して日本企業が消失したDRAMにおいては、代わりとなる次世代メモリ「MRAM」で巻き返せる希望がある。(日本は開発でリード)
  • 日本は、半導体の製造・装置・素材など、半導体産業ではアメリカと共に多くの強みをもつ。優秀なファブレス(設計専門企業)が誕生し、さらにMRAMで存在感が出てくれば、日本の半導体産業は「完全復活」と言えるレベルになる。
  • 経済安全保障を理由として、日本政府が半導体企業の設備投資に多額の補助金を出す事ができるようになった事は、今までになかったとてつもないプラス要因。
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日本国内の主な半導体製造拠点まとめ

ロジック半導体の生産拠点

  • ルネサス……茨城県那珂工場(40nm)、熊本県川尻工場(45nm)。主に車載用マイコンの製造。
  • 東芝(ジャパンセミコンダクター)……岩手工場(130nm)、大分工場(90nm)。主にシステムLSIの生産。
  • タワーパートナーズ・セミコンダクター……富山県魚津市、富山県砺波市、新潟県妙高市に拠点。タワー社(イスラエル)とヌヴォトン(台湾)の合弁企業。プロセスサイズは45nm。2020年にパナソニックからの工場買収がルーツ。
  • UMC(台湾)……三重桑名市工場(40nm)。2018年に富士通がファブを台湾UMCに売却した事がルーツ。
  • JASM……熊本工場。TSMC、ソニー、デンソーの合弁企業。CMOSイメージセンサーのロジック回路や車載向けICの生産が中心。プロセスサイズは22nm/28nm、12nm/16nm(FinFET)。
  • ラピダス……北海道千歳市に拠点。製造受託企業(ファウンドリー)として、最先端2nmプロセス半導体のビジネス化を2027年に目指す。(試作は2025年から)

DRAM(半導体メモリの一種)の生産拠点

  • マイクロン……広島県東広島市DRAM工場。2013年にマイクロンが買収したエルピーダの工場が由来。

NANDフラッシュメモリ(半導体メモリの一種)の生産拠点

  • キオクシア……三重県四日市、岩手県北上市に拠点。NANDフラッシュメモリの製造で、第7棟まである四日市工場群は、国内で最も半導体生産規模が大きいエリア。

パワー半導体の生産拠点

  • 三菱電機……福岡市西区今宿、熊本県合志市、広島県福山市に拠点。熊本県菊池市に新工場。
  • 東芝デバイス&ストレージ……石川県能美市、兵庫県姫路市(後工程)。
  • ローム……福岡県筑後工場、福岡県長浜工場、福岡県行橋工場、宮崎県国富工場。
  • 富士電機……長野県松本工場、山梨工場。
  • ルネサス……茨城県那珂工場、群馬県高崎工場、愛媛県西条工場、山梨県甲府工場、熊本県川尻工場。次世代の「SiCパワー半導体」は群馬県高崎市より2025年に生産開始予定。
  • ミネベアミツミ……北海道千歳事業所。2023年11月発表の日立パワーデバイス買収により、茨城県臨海工場、福島県原町工場、山梨工場。
  • JSファンダリ……パワー/アナログ半導体の製造受託企業(ファウンドリー)で、新潟に拠点。

アナログ半導体の生産拠点

  • ルネサス……茨城県那珂工場など。他のルネサスの工場はパワーデバイスの生産が中心である模様。
  • 日清紡マイクロデバイス……埼玉県ふじみ野市(川越事業所)、兵庫県加東市(やしろ事業所)などに拠点。2022年1月にリコー電子デバイスを吸収合併し誕生。
  • 東芝(ジャパンセミコンダクター)……大分県大分市、岩手県北上市。大分工場は、昔は世界トップのDRAM工場だった。
  • トレックス・セミコンダクター……岡山工場、鹿児島工場。ファブレスだったトレックスが2018年にフェニテックを完全子会社し、製造拠点を設ける。電源ICが中核。
  • ミネベアミツミ……滋賀県野洲工場(2021年にオムロンから買収)。
  • JSファンダリ……新潟に拠点。パワーIC/アナログICの製造受託企業(ファウンドリー)。
  • テキサス・インスツルメンツ(TI)……福島県会津工場、大分県日出工場、茨城県美浦工場。TIはアナログ半導体世界トップの米国メーカー。

イメージセンサーの生産拠点

  • ソニー……長崎県諫早市、熊本菊陽町、大分国東市、山形鶴岡市など各工場。
  • キヤノン……神奈川県平塚市。
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日本の半導体産業の問題点まとめ

  • 心配事の一つが大地震。半導体工場に免震措置が導入されるようになったのは2000年代中頃からで、多くの工場は地震対策が不十分。
  • 半導体の技術者不足。全国的な人手不足で、新工場を次々と新設しても人材が集まりにくいかもしれない。
  • ラピダスの顧客となる日本企業が少ない。自動車メーカーの「自動運転向け半導体」、ソシオネクストの「カスタムSoC」などは安定顧客になってくれるはずだが、やはり海外ファブレスがラピダスの顧客の中心になると思われる。
  • ラピダスの競合がTSMC、サムスン、インテルの3社あり、競争激化で長い期間に渡って十分な利益が出にくいかもしれない。
  • 最先端ロジック/メモリ分野は多額のお金が必要。その分野に政府補助金なしで戦っていける民間投資力に不安あり。
  • NANDフラッシュメモリのキオクシアは財務的に問題を抱える。次世代メモリ「MRAM」の開発や投資を含め、競争に負けてしまう不安がある。

エヌビディアの顧客になれたら最高

日本の最先端半導体製造を担うラピダスは、TSMCやサムスンと同じように、前工程/後工程(パッケージング)を一体化したビジネスを目指す。

理想を言えば、NVIDIAのGPUをラピダスが受託製造し、マイクロンが広島で製造したHBM(高性能DRAM)を組み合わせてパッケージングまで手掛けるビジネスを安定的にできたら、ラピダスを含む日本の半導体産業にとって最高な形となる。

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