Nanya Technology(南亜科技)の連結決算:通年の売上推移
年度 | 売上高・収益 | 営業利益 [営業利益率(%)] | 純利益・最終損益 [純利益率(%)] |
---|---|---|---|
2006年 | 751億台湾ドル (3004億円) | 143億台湾ドル (572億円) [19.0%] | 173億台湾ドル (692億円) [23.0%] |
2007年 | 529億台湾ドル | -90億台湾ドル [-17.0%] | -125億台湾ドル [-23.6%] |
2008年 | 363億台湾ドル | -241億台湾ドル [-66.3%] | -367億台湾ドル [-101.1%] |
2009年 | 424億台湾ドル | -159億台湾ドル [-37.5%] | -207億台湾ドル [-48.8%] |
2010年 | 565億台湾ドル | -117億台湾ドル [-20.7%] | -151億台湾ドル [-26.7%] |
2011年 | 367億台湾ドル | -331億台湾ドル [-90.1%] | -398億台湾ドル [-108.4%] |
2012年 | 325億台湾ドル | -302億台湾ドル [-92.9%] | -360億台湾ドル [-110.8%] |
2013年 | 452億台湾ドル | 49億台湾ドル [10.8%] | 81億台湾ドル [17.9%] |
2014年 | 491億台湾ドル | 188億台湾ドル [38.2%] | 281億台湾ドル [57.2%] |
2015年 | 438億台湾ドル | 134億台湾ドル [30.5%] | 171億台湾ドル [39.0%] |
2016年 | 416億台湾ドル | 85億台湾ドル [20.4%] | 237億台湾ドル [56.9%] |
2017年 | 549億台湾ドル | 187億台湾ドル [34.0%] | 402億台湾ドル [73.2%] |
2018年 | 847億台湾ドル | 393億台湾ドル [46.3%] | 394億台湾ドル [46.5%] |
2019年 | 517億台湾ドル | 95億台湾ドル [18.3%] | 98億台湾ドル [18.9%] |
2020年 | 610億台湾ドル | 84億台湾ドル [13.7%] | 76億台湾ドル [12.4%] |
2021年 | 856億台湾ドル | 271億台湾ドル [31.7%] | 228億台湾ドル [26.7%] |
2022年 | 570億台湾ドル | 109億台湾ドル [19.1%] | 146億台湾ドル [25.6%] |
2023年 | 269億台湾ドル (1076億円) | -145億台湾ドル (-580億円) [-53.9%] | -74億台湾ドル (-296億円) [-27.5%] |
出所:Nanya Technology Corporation。本決算期は12月末。()内の日本円表記は1台湾ドル=4.0円で換算。
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平均利益率
ナンヤテクノロジーの2006年から2023年までの営業利益率の平均が-5.4%。
会社の動向
- 1995年、沖電気(日本)との合弁でDRAMビジネスに参入。
- 親会社は台塑集団(台湾プラスチック・グループ)。台湾の大手化学メーカーで資金力が豊富。ナンヤの開発投資の判断を握る。
- 2007年から2012年までの最終損失の合計が1608億台湾ドル(6432億円)。ナンヤの倒産も囁かれていたようだが、親会社で資金力豊富な台塑集団(台湾プラスチック)のバックアップで乗り切った模様。
- DRAMの市況によって業績に波があるのが特徴。
- 設立から他社との提携のもとで旧世代のDRAMの生産が中心だったが、2017年から最先端DRAMの製造技術開発に着手し、2020年に開発成功。今後は、サムスン、SKハイニックス、マイクロンの3強に割って入る。
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Nanya Technologyの財政・経営状況
年度 | 総資産 [現金・手元資金] |
負債総額 [有利子負債] |
自己資本・純資産 [自己資本比率(%)] |
---|---|---|---|
2015年 | 1040億台湾ドル [31億台湾ドル] |
492億台湾ドル [165億台湾ドル] |
548億台湾ドル [52.7%] |
2020年 | 1656億台湾ドル [166億台湾ドル] |
118億台湾ドル [18億台湾ドル] |
1538億台湾ドル [92.9%] |
2021年 | 1914億台湾ドル [353億台湾ドル] |
184億台湾ドル [17億台湾ドル] |
1729億台湾ドル [90.3%] |
2022年 | 2022億台湾ドル [736億台湾ドル] |
278億台湾ドル [46億台湾ドル] |
1744億台湾ドル [86.3%] |
- 親会社(台湾プラスチック)からの支援、台湾政府からの工場建設に対する補助金や生産における優遇措置などにより、現在は安定的な財務を維持。
- 2015年に、ナンヤ・テクノロジーと米国マイクロンの合弁「Inotera Memories(イノテラ・メモリーズ)」のナンヤ持株分67%をマイクロンに約40億ドルで売却。それにより財務に余裕ができ、それが2017年に完成した本社ビルと併設工場の建設につながっている模様。
ナンヤテクノロジーの歴史
1995年日本の沖電気(OKI)の技術のもとで合弁を設立し、DRAMビジネス参入。
1998年沖電気が最先端汎用DRAMから撤退。ナンヤは提携先を沖電気から米国IBMに変更。
1999年IBMがDRAMから撤退。IBMは東芝とのDRAM合弁会社を東芝に売却。
2001年東芝がDRAMから撤退。ナンヤは再び提携先を模索。
2002年ドイツのインフィニオンと提携。合弁で台湾に「Inotera Memories」を設立。
2006年インフィニオンがDRAM事業を分離し、キマンダ誕生。Inotera Memoriesは、ナンヤとキマンダの合弁となる。
2009年アメリカ金融危機による市況悪化でキマンダ倒産。Inotera Memoriesのキマンダ持株分を米国マイクロンが取得。ナンヤとマイクロンの提携により、製造技術をMicronから導入。マイクロンにライセンス料を払いながら、40nm~20nmレベルの旧世代DRAMを製造する形となる。
2015年ナンヤとマイクロンの合弁「Inotera Memories」のナンヤ持株分67%をマイクロンが約40億ドルで取得。合弁が解消されたが、マイクロンの2世代先までライセンス供与を約束。
2017年台湾新北市の本社ビル完成。併設の工場でマイクロンのライセンスのもとでDRAM生産。また、この拠点で最先端である10ナノ台の独自製造技術の開発に着手。
2020年10nm台のプロセス開発に成功。
2021年最先端DRAM工場建設を決定。予定では2023年に工場が完成し、市況を見ながら2025年以降にEUV露光装置を活用した独自技術の最先端DRAMを生産していく見通し。総投資額は約3000億台湾ドル(1兆2000億円)。
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世界DRAMシェア
企業 | 2016年 | 2019年 | 2022年 |
---|---|---|---|
サムスン(韓国) | 47.8% | 39.9% | 40.7% |
SKハイニックス(韓国) | 26.4% | 31.9% | 28.8% |
マイクロン(米国) | 19.9% | 24.0% | 26.4% |
ナンヤ・テク(台湾) | 3.3% | 2.5% | 2.0% |
ウィンボンド(台湾) | 1.7% | 0.7% | 0.8% |
出所:IHS Markit、トレンドフォース
- 2022年までのナンヤテクノロジーのDRAMシェアは2%~3%ほど。将来的に最先端DRAMの生産が開始され、波に乗れば、理論的にはシェアは2倍前後増加し、世界シェア6%~7%ほどになると思われる。(最先端はウエハー1枚から取れるDRAM個数も多い)
- なお、2022年時点でサムスン、SKハイニックス、マイクロンの3社を合わせた世界のDRAM生産能力が約150万枚ウエハーとされる。
保有工場と生産能力(12インチウエハー)
- 本社工場……台湾新北市に本社ビルと併設で工場2棟建設。3A工場、3An工場ともに月3~4万枚ほどの生産能力。以前は、ナンヤの設備投資額は年間で数百億円レベルだったが、10nm台のDRAM量産に向けて2022年に1000億円レベルの設備投資を決行。
- 最先端DRAM工場……本社工場と同じ新北市に建設の最先端DRAM工場。EUV露光装置を使用した生産が前提で、2025年から15nmのプロセスサイズの製造を予定。最終的な月間生産能力は4万5000枚ほどが目標。
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ナンヤ・テクノロジーの強み
- ナンヤ・テクノロジーの親会社は大手化学企業の台湾プラスチックグループ。多角的な大企業であり、韓国財閥勢の投資力に負けない資金力をもつ。2021年度の総資産は日本円で約20兆円、売上高は約11.5兆円ほど。ナンヤ・テクが経営難になれば親会社のお金がポロリと入るに違いない。
- DRAM市場が3社寡占状態で、価格が高止まり状態になりやすいため、顧客はサプライヤーを増やしたい願いがある。つまり、DRAMの性能が同等ならば、顧客が新参のナンヤテクノロジーのDRAMを優先してくれるようになる。
- 微細化製造における良品率向上については、最先端製造トップの台湾TSMCからの技術支援が期待できる。また、台湾には優秀な半導体エンジニアがたくさんいる。
- 台湾政府からの支援がある事も忘れがたい。台湾は半導体関連で国が一体となっているのも強み。
- 台湾にはDRAMを必要とするパソコンメーカーや、EMS、OEM、ODMを手掛ける企業が多く存在する。顧客の獲得に苦労する事はないと思われる。
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