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シリコンウエハー

ウエハー業界の再編で信越化学とSUMCOがさらに絶対的な存在へ

ウエハー業界の再編で、業界が寡占化へ

シリコンウエハー

半導体製造に欠かせないシリコンウエハー。2020年現在で市場規模が1兆円以上。

今後も成長が期待できるこのウエハー市場で業界再編の大きな動きがあった。

シリコンウエハー市場シェア3位の台湾GlobalWafers(グローバルウエハース)が、業界シェア4位のドイツSiltronic(シルトロニック)を買収することとなった。

グローバルウエハースはシルトロニックに対して株式公開買い付け(TOB)を実施し、買収額は約45億ドル(約4700億円)になる見込みだという。
https://news.mynavi.jp/article/20201201-1547420/

これによって業界が大手3社に再編されることになり、寡占化が進むことになる。そして競合プレーヤーが1社いなくなるので、既存の日本企業2社の信越化学工業とSUMCOはより安定的なビジネスができるように。(もともと安定的だったが)

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業界シェア

まずはシリコンウエハー業界の2019年のシェアを確認。

1位信越化学(日本) 32%
2位SUMCO(日本) 25%
3位グローバルウエハース(台湾) 17%
4位シルトロニック(ドイツ) 12%
5位SKシルトロン(韓国) 3%

上位2社、過半数を日本勢が占有。品質も生産量も日本勢がリード。そして以下は買収成立後の業界シェア。(単純に足した数値)

今後のシェア(単純に足した数)

1位信越化学(日本) 32%
2位グローバルウエハース(台湾) 29%
3位SUMCO(日本) 25%
4位SKシルトロン(韓国) 3%

業界シェア17%のグローバルウエハースと業界12%シェアのシルトロニックを単純計算で合わせると29%のシェアとなり、2位のSUMCOのシェアを上回るシェアとなる。

中国との対立で大変な台湾が半導体業界で存在感が増す事を喜びたいところだが、1+1が2にならないのが企業買収だったりする。

同業他社の買収は難しい

グローバルウエハースによるシルトロニック買収といった同業他社の買収はいろいろ難しい。例えば、

  • パナソニックと三洋電機の統合。
  • NECと日立が統合したエルピーダメモリ(DRAM企業)。
  • NEC、日立、三菱が統合したルネサスエレクトロニクス。

同業企業どうしが統合したケースが多くあるが、いずれにしても同業他社と一緒になって大きくなるというのはなかなか難しい。

特に半導体業界は市況が不安定であり、さらに信越化学やSUMCOなどの絶対的な競合がいる中で、「品質」と「お金の話し」を考えながら利益を出していくのはいろいろ難しい。

グローバルウエハースの利益が安定してくるまでしばらく時間がかかると思うが、日本企業としてはライバルの動向を注視しながら淡々とシェアを伸ばしていきたい。

生産性の問題がある

結論から言えば、今後シェア拡大する台湾のグローバルウエハースは日本企業を脅かす存在にはならない。

グローバルウエハースはもともと自国の台湾、日本、アメリカ、韓国、イタリア、マレーシアなどに15拠点の生産工場を持っている。

そして今後買収するドイツのシルトロニックが所有しているドイツ、シンガポール、アメリカにある4つの工場が増え、合計19個の生産工場を持つ事になる。

つまり、あまりにも多くの工場を分散的に所有するあまり、生産性が悪いという問題が出てくる。そして、各地にもつ工場で生産されるウエハーは、高利益をもたらす最先端分野向けのウェハーが主役ではない。

信越やSUMCOは利益率が高い最先端向けで勝負しているため、グローバルウエハースの市場シェア拡大はそれほど脅威になる事はない。

信越とSUMCOの品質は絶対的

信越化学やSUMCOのシリコンウエハーの品質は業界トップ。

シリコンウエハーの純度は99.999999999%(イレブンナイン)の「多結晶シリコン」をもとにして製造される。(「9」が「11個」並んだ純度)

その多結晶シリコンをもとに、さらに高純度の単結晶シリコンを製造できるのが信越化学工業やSUMCOの強み。競合と比較して絶対的な品質をもっているため、高利益率のビジネスができる。

特に信越化学のウエハーは品質が高く、TSMCやサムスン、インテルなどが手掛ける最先端ロジック半導体の製造において、信越化学のシリコンウエハーを使用しないと歩留り(良品率)が上がらない状況。

日本勢2社の業績

信越化学とSUMCOの売上高・営業利益・利益率を確認。

信越化学工業(半導体シリコン部門)とSUMCOの業績推移(2018年度~2020年度)
年度 信越化学工業/売上高
[営業利益/利益率]
SUMCO/売上高
[営業利益/利益率]
2018年 3803億円
[1319億円/34.7%]
3250億円
[851億円/26.2%]
2019年 3876億円
[1432億円/36.9%]
2994億円
[506億円/16.9%]
2020年 3740億円
[1441億円/38.5%]
2913億円
[378億円/12.9%]
  • 信越化学工業のウエハー事業は利益率30%超えており、これはマイクロソフトやインテルのような独占企業と同じ利益率。それだけ業界で絶対的な力をもっているという事。同じモノを製造しているようで、唯一無二のモノを作っている。
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SKシルトロンは脅威ではない?

一応、確認しておくが業界4位となる韓国のSKシルトロン(シェア3%)は今のところ日本企業にとって脅威となるような存在ではない。

  • 韓国SKグループは傘下にSKハイニックスという半導体企業をもっており、海外のライバル企業と信頼関係を築くのは難しい。韓国内だけなら彼らご自慢の「愛国」でいけるかもしれないが。
  • いうまでもないが、SKシルトロンは信越やSUMCOと比較してシリコンウエハーの品質が悪い。それはシェアが低い事や統計が証明している。
  • ウエハー業界で利益率が高い分野は、高い品質が求められる最先端ロジック半導体向けウエハー。その分野の半導体製造でダントツトップが台湾TSMC。つまり、ウエハー市場でシェアを確立するためには、TSMCと信頼関係を築く必要があるが、台湾のライバルである韓国勢がTSMCと信頼関係を築くには難しい。

他の韓国企業も開発生産は難しい

なお、韓国は2019年の日韓外交衝突により、日本から輸入する製品の国産化を急いでいるが、韓国企業が新たにウエハー分野に参入するのは難しい。

  • 開発コストが高く、開発、量産していける企業が韓国では限られる。
  • 韓国の財閥企業は広範囲にビジネスをやっているので、世界中にライバル企業が多く、顧客との信頼関係を築きにくい。
  • 日本企業の技術が門外不出となっている。つまり、伝統的にやってきた日本企業の技術を盗むことができない。
  • すでに4社~5社で寡占しており、大金をかけて開発量産したとしても価格競争にさらされて利益が出にくい。

韓国のサムスンやSKハイニックスは、日本企業からシリコンウエハーなどの材料や、半導体製造装置を導入して半導体メモリを量産しているビジネスモデル。

それらは金額的にも大きく、容易に国産化できようなモノではないため、今後も対日貿易赤字が続く事になる。

そういった現状が、韓国人の反日感情を増幅させる要因の一つとなっているが、日本人としてはあまり気にせず淡々とビジネスを続けたいところ。

寡占化の問題

市場が寡占化すると価格競争が失われ、製品価格そのものが高くなってしまう問題がでてくる。なのでシリコンウエハーが高くなると、比例して最終品である半導体価格も上がる可能性がある。

ウエハー業界の再編により、今後はスマホやPC、家電製品の価格も微妙に上がる可能性があるが、今回は日本企業のビジネスが安定化して利益もアップする事だけをポジティブに考えたい。

いずれにしても、日本は絶対に半導体分野で衰退してはならない。そして韓国企業には絶対に負けてはならない。

2022年4月追記
台湾グローバルウエハースによるドイツ・シルトロニック買収は、ドイツ当局の経済安全保障上の問題により、破断となっている。
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