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クアルコムの業績推移:売上高・営業利益率・純利益・財務状況

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Qualcommの連結決算:通年の売上推移

クアルコムの業績推移:売上高・営業利益・純利益・利益率の推移
決算期 売上高・収益 営業利益
[営業利益率(%)]
純利益・最終損益
[純利益率(%)]
1998年
9月期
33.47億ドル 2.42億ドル
[7.2%]
1.08億ドル
[3.2%]
1999年
9月期
39.37億ドル 4.05億ドル
[10.2%]
2.00億ドル
[5.0%]
2000年
9月期
31.96億ドル 7.22億ドル
[22.5%]
6.22億ドル
[19.4%]
2001年
9月期
26.79億ドル 0.38億ドル
[1.4%]
-5.78億ドル
[-21.5%]
2002年
9月期
29.15億ドル 8.40億ドル
[28.8%]
3.60億ドル
[12.3%]
2003年
9月期
38.47億ドル 15.73億ドル
[40.8%]
8.27億ドル
[21.4%]
2004年
9月期
48.80億ドル 21.29億ドル
[43.6%]
17.20億ドル
[35.2%]
2005年
9月期
56.73億ドル 23.86億ドル
[42.0%]
21.43億ドル
[37.7%]
2006年
9月期
75.26億ドル 26.90億ドル
[35.7%]
24.70億ドル
[32.8%]
2007年
9月期
88.71億ドル 28.83億ドル
[32.4%]
33.03億ドル
[37.2%]
2008年
9月期
111.42億ドル 37.30億ドル
[33.4%]
31.60億ドル
[28.3%]
2009年
9月期
103.87億ドル 25.42億ドル
[24.4%]
15.92億ドル
[15.3%]
2010年
9月期
109.82億ドル 37.27億ドル
[33.9%]
32.47億ドル
[29.5%]
2011年
9月期
149.57億ドル 50.26億ドル
[33.6%]
42.60億ドル
[28.5%]
2012年
9月期
191.21億ドル 56.82億ドル
[29.7%]
61.09億ドル
[31.9%]
2013年
9月期
248.66億ドル 72.30億ドル
[29.1%]
68.53億ドル
[27.6%]
2014年
9月期
264.87億ドル 75.50億ドル
[28.5%]
79.67億ドル
[30.1%]
2015年
9月期
252.81億ドル 57.76億ドル
[22.8%]
52.71億ドル
[20.8%]
2016年
9月期
235.54億ドル 64.95億ドル
[27.6%]
57.05億ドル
[24.2%]
2017年
9月期
222.58億ドル 25.81億ドル
[11.6%]
24.45億ドル
[11.0%]
2018年
9月期
226.11億ドル 6.21億ドル
[2.7%]
-49.64億ドル
[-22.0%]
2019年
9月期
242.73億ドル 76.67億ドル
[31.6%]
43.86億ドル
[18.1%]
2020年
9月期
235.31億ドル 62.55億ドル
[26.6%]
51.98億ドル
[22.1%]
2021年
9月期
335.66億ドル 97.89億ドル
[29.2%]
90.43億ドル
[26.9%]
2022年
9月期
442.00億ドル 158.60億ドル
[35.9%]
129.36億ドル
[29.3%]
2023年
9月期
358.20億ドル 77.88億ドル
[21.7%]
72.32億ドル
[20.2%]
2024年
9月期
389.62億ドル 100.71億ドル
[25.8%]
101.42億ドル
[26.0%]
出所:Qualcomm。本決算期は9月末。
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平均利益率

クアルコムの1998年から2024年までの営業利益率の平均が26.4%。

会社の動向

  • クアルコムは1985年設立。無線通信技術や、スマホ向けSoC(大まかにCPUの事)に強み。
  • CDMA、3G、4G/LTE、5Gなどの数多く保有する無線通信技術を元にした製品や、その特許を元にしたライセンス収入、Androidスマホ向けプロセッサ(Snapdragon:通称スナドラ)などが収益の軸。
  • 全体的に利益率が高い理由は、無線通信技術の核心的な特許を持つ事と、Androidスマホのプロセッサ市場において、メディアテックと2社で寡占している事が理由。他社が欲しがる絶対的な技術と製品を持っているのが特長。
  • 不安要因は、スマートフォンの世界販売台数が落ちている事。ピーク時の2016年は、グローバルで14億6000万台ほどのスマホ販売台数だったが、2022年度は12億2670万台に。比例して通信チップやプロセッサの販売停滞の可能性あり。
  • アメリカの独占企業は、独占禁止法に関連した問題に発展する事があるため、利益率30%前後を目安としてビジネスを行う慣例がある。クアルコムにおいても、独占的な通信関連製品を持っているため、利益率30%前後が一つの規律となっている。
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収益構造・セグメント別の成績

クアルコムの売上内訳:部門別の売上高推移
年度 モバイル用 車載半導体 IoT関連 ライセンス収入
売上高(億ドル)
2022年 293.57 13.72 69.48 70.29
2023年 225.70 18.72 59.40 57.92
2024年 248.63 29.10 54.23 55.72
出所:Qualcomm。単位は億ドル。
  • 「モバイル用SoC」は、クアルコムの売上が最も大きいSoCブランド「スナップドラゴン」。利益率は30%前後。
  • 「通信チップ」は、5Gスマートフォンが普及してきた事で、収益は増加傾向。なお、スマホの構成部品として5Gチップは価格が高い。
  • 「車載半導体」は、自動運転システムの半導体の事で、売上は増加傾向。成長分野なので、エヌビディアやインテル(傘下のモービルアイ)もこの分野に参入。競争はとても激しい。
  • 「ライセンス収入」は、無線通信関連の特許を元にしたライセンス収益で、2022年度のライセンス収入は70.29億ドルに対し、利益が約51億ドル、利益率73%。全体利益の30~50%ほどがライセンス収益からの利益によるもの。

国別/地域別の売上高

クアルコムの海外売上比率:国別/地域別の売上高と全体比の推移
年度 中国 ベトナム アメリカ 韓国 その他
売上高(億ドル)
2000年 その他に含む その他に含む 16.81 7.11 8.04
2005年 3.94 その他に含む 10.15 20.83 21.81
2010年 31.94 その他に含む 5.64 29.13 43.20
2015年 133.37 その他に含む 2.46 41.07 75.91
2020年 140.01 22.12 11.29 29.64 32.25
2021年 225.12 31.14 14.06 23.68 41.66
2022年 189.77 60.63 14.82 31.64 53.72
ここからは企業国籍基準の売上高
(販売先が米国企業ならアメリカへの売上)
2023年 133.86 105.03 80.75 38.56
2024年 178.26 96.86 79.95 34.55
出所:クアルコム。2023年~2024年は販売先の国ではなく企業国籍別の売上基準に変更になった模様。
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Qualcommの財政・経営状況

クアルコムの財務状況の推移:総資産・純資産・自己資本比率・有利子負債の推移
決算期 総資産
[現金・手元資金]
負債総額
[有利子負債]
自己資本・純資産
[自己資本比率(%)]
2000年
9月期
60.63億ドル
[17.72億ドル]
5.00億ドル
[なし]
55.63億ドル
[91.8%]
2005年
9月期
124.79億ドル
[65.48億ドル]
13.60億ドル
[なし]
111.19億ドル
[89.1%]
2010年
9月期
305.72億ドル
[102.79億ドル]
97.14億ドル
[10.86億ドル]
208.58億ドル
[68.2%]
2015年
9月期
507.96億ドル
[173.21億ドル]
193.82億ドル
[99.69億ドル]
314.14億ドル
[61.8%]
2020年
9月期
355.94億ドル
[112.14億ドル]
295.17億ドル
[152.26億ドル]
60.77億ドル
[17.1%]
2021年
9月期
412.40億ドル
[124.14億ドル]
312.90億ドル
[152.45億ドル]
99.50億ドル
[24.1%]
2022年
9月期
490.14億ドル
[63.82億ドル]
310.01億ドル
[149.83億ドル]
180.13億ドル
[36.8%]
出所:Qualcomm
  • 有利子負債がやや多いが、業績的に言えばクアルコムの財務問題はなし。
  • クアルコムの2024年2月時点の株式時価総額は1728億ドル。比較として、ブロードコムは6068億ドル。メディアテックは1.76兆台湾ドル(約7兆円)

Qualcommの全社員数とR&Dの推移

クアルコムの全従業員数、研究開発費の推移
年度 従業員数(連結) 研究開発費
2010年 17500人 24.51億ドル
2015年 33000人 54.90億ドル
2020年 41000人 59.75億ドル
2023年 50000人 88.18億ドル
出所:Qualcomm
  • 近年は従業員の増加ペースが加速。クアルコムだけではなく、インテルやAMD、エヌビディアなどにおいても、エンジニアを増やして成長分野への開発を急ぐ。

買収、被買収が次々と頓挫

2016年オランダのNXPセミコンダクターズの買収を発表。しかし、中国の独占禁止法当局により買収破断。米中対立が影響。

2017年クアルコムは通信関連に強みをもつ米国ブロードコムに買収されようとしていた。しかし、アメリカ政府の介入によって破断。市場の寡占化による競争低下を恐れた事や、プレーヤーが少なくなると新参企業が誕生しやすくなる事が理由。その新参が中国企業だったらアメリカにとって最悪という事。情報通信関連において、米政府はアメリカ企業による市場占有を望む。

クアルコムの強み

  • 情報化社会に必要不可欠な無線通信技術・特許をもち、知的財産関連の収入が継続的に入ってくる。
  • 情報通信関連に強い優秀なエンジニアが多数在籍しており、さらにこれまでの豊富な研究データを保有。その英知が「5G」や「6G」への開発につながる。
  • Androidスマートフォン市場で、クアルコムのスマホ用SoCが、台湾メディアテックと共に市場を占有。「スナップドラゴン」は、性能の他にもインテルのように製品差別化を進めた事でブランド化に成功しており、今後も安定的な収益が見込める。
  • 情報通信産業を守りたいアメリカ政府は、中国ハイテク企業への制裁を次々と強化。それにより、クアルコムの脅威となる中国企業の成長が抑えられている。「漁夫の利」が「クアルコムの強み」と言っていいかわからないが、真実を言えばそうなる。
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