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クアルコムの業績推移:売上高・営業利益率・純利益・財務状況

Qualcommの連結決算:通年の売上推移

クアルコムの業績推移:売上高・営業利益・純利益・利益率の推移
年度 売上高・収益 営業利益
[営業利益率(%)]
純利益・最終損益
[純利益率(%)]
1998年 33.47億ドル 2.42億ドル
[7.2%]
1.08億ドル
[3.2%]
1999年 39.37億ドル 4.05億ドル
[10.2%]
2.00億ドル
[5.0%]
2000年 31.96億ドル 7.22億ドル
[22.5%]
6.22億ドル
[19.4%]
2001年 26.79億ドル 0.38億ドル
[1.4%]
-5.78億ドル
[-21.5%]
2002年 29.15億ドル 8.40億ドル
[28.8%]
3.60億ドル
[12.3%]
2003年 38.47億ドル 15.73億ドル
[40.8%]
8.27億ドル
[21.4%]
2004年 48.80億ドル 21.29億ドル
[43.6%]
17.20億ドル
[35.2%]
2005年 56.73億ドル 23.86億ドル
[42.0%]
21.43億ドル
[37.7%]
2006年 75.26億ドル 26.90億ドル
[35.7%]
24.70億ドル
[32.8%]
2007年 88.71億ドル 28.83億ドル
[32.4%]
33.03億ドル
[37.2%]
2008年 111.42億ドル 37.30億ドル
[33.4%]
31.60億ドル
[28.3%]
2009年 103.87億ドル 25.42億ドル
[24.4%]
15.92億ドル
[15.3%]
2010年 109.82億ドル 37.27億ドル
[33.9%]
32.47億ドル
[29.5%]
2011年 149.57億ドル 50.26億ドル
[33.6%]
42.60億ドル
[28.5%]
2012年 191.21億ドル 56.82億ドル
[29.7%]
61.09億ドル
[31.9%]
2013年 248.66億ドル 72.30億ドル
[29.1%]
68.53億ドル
[27.6%]
2014年 264.87億ドル 75.50億ドル
[28.5%]
79.67億ドル
[30.1%]
2015年 252.81億ドル 57.76億ドル
[22.8%]
52.71億ドル
[20.8%]
2016年 235.54億ドル 64.95億ドル
[27.6%]
57.05億ドル
[24.2%]
2017年 222.58億ドル 25.81億ドル
[11.6%]
24.45億ドル
[11.0%]
2018年 226.11億ドル 6.21億ドル
[2.7%]
-49.64億ドル
[-22.0%]
2019年 242.73億ドル 76.67億ドル
[31.6%]
43.86億ドル
[18.1%]
2020年 235.31億ドル 62.55億ドル
[26.6%]
51.98億ドル
[22.1%]
2021年 335.66億ドル 97.89億ドル
[29.2%]
90.43億ドル
[26.9%]
2022年 442.00億ドル 158.60億ドル
[35.9%]
129.36億ドル
[29.3%]
2023年 358.20億ドル 77.88億ドル
[21.7%]
72.32億ドル
[20.2%]
出所:Qualcomm。本決算期は9月末。
クアルコムの1998年から2022年までの営業利益率の平均が26.6%。比較として、台湾メディアテックの2002年から2021年までの営業利益率の平均が22.3%。ブロードコムの2007年から2022年までの営業利益率の平均が17.2%(2015年までアバコ)。
  • クアルコムは1985年設立。無線通信技術や、スマホ向けSoC(大まかにCPUの事)に強み。
  • CDMA、3G、4G/LTE、5Gなどの数多く保有する無線通信技術を元にした製品や、その特許を元にしたライセンス収入、Androidスマホ向けプロセッサ(Snapdragon:通称スナドラ)などが収益の軸。
  • 全体的に利益率が高い理由は、無線通信技術の核心的な特許を持つ事と、Androidスマホのプロセッサ市場において、メディアテックと2社で寡占している事が理由。他社が欲しがる絶対的な技術と製品を持っているのが特長。
  • 不安要因は、スマートフォンの世界販売台数が落ちている事。ピーク時の2016年は、グローバルで14億6000万台ほどのスマホ販売台数だったが、2022年度は12億2670万台に。比例して通信チップやプロセッサの販売停滞の可能性あり。
  • アメリカの独占企業は、独占禁止法に関連した問題に発展する事があるため、利益率30%前後を目安としてビジネスを行う慣例がある。クアルコムにおいても、独占的な通信関連製品を持っているため、利益率30%前後が一つの規律となっている。
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Qualcommの財政・経営状況

クアルコムの財務状況の推移:総資産・純資産・自己資本比率・有利子負債の推移
年度 総資産
[現金・手元資金]
負債総額
[有利子負債]
自己資本・純資産
[自己資本比率(%)]
2000年 60.63億ドル
[17.72億ドル]
5.00億ドル
[なし]
55.63億ドル
[91.8%]
2005年 124.79億ドル
[65.48億ドル]
13.60億ドル
[なし]
111.19億ドル
[89.1%]
2010年 305.72億ドル
[102.79億ドル]
97.14億ドル
[10.86億ドル]
208.58億ドル
[68.2%]
2015年 507.96億ドル
[173.21億ドル]
193.82億ドル
[99.69億ドル]
314.14億ドル
[61.8%]
2020年 355.94億ドル
[112.14億ドル]
295.17億ドル
[152.26億ドル]
60.77億ドル
[17.1%]
2021年 412.40億ドル
[124.14億ドル]
312.90億ドル
[152.45億ドル]
99.50億ドル
[24.1%]
2022年 490.14億ドル
[63.82億ドル]
310.01億ドル
[149.83億ドル]
180.13億ドル
[36.8%]
出所:Qualcomm
  • 業績と事業ラインナップを考えれば、クアルコムの財務問題はなし。
  • クアルコムの2024年2月時点の株式時価総額は1728億ドル。比較として、ブロードコムは6068億ドル。メディアテックは1.76兆台湾ドル(約7兆円)

Qualcommの全社員数とR&Dの推移

クアルコムの全従業員数、研究開発費の推移
年度 従業員数(連結) 研究開発費
2010年 17500人 24.51億ドル
2015年 33000人 54.90億ドル
2020年 41000人 59.75億ドル
2023年 50000人 88.18億ドル
出所:Qualcomm
  • 近年は従業員の増加ペースが加速。クアルコムだけではなく、インテルやAMD、エヌビディアなどにおいても、エンジニアを増やして成長分野への開発を急ぐ。

買収、被買収が次々と頓挫

2016年オランダのNXPセミコンダクターズの買収を発表。しかし、中国の独占禁止法当局により買収破断。米中対立が影響。

2017年クアルコムは通信関連に強みをもつ米国ブロードコムに買収されようとしていた。しかし、アメリカ政府の介入によって破断。市場の寡占化による競争低下を恐れた事や、プレーヤーが少なくなると新参企業が誕生しやすくなる事が理由。その新参が中国企業だったらアメリカにとって最悪という事。情報通信関連において、米政府はアメリカ企業による市場占有を望む。

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収益構造・セグメント別の成績

クアルコムの売上内訳:部門別の業績推移
部門 2018年/売上高
[売上比率(%)]
2020年/売上高
[売上比率(%)]
2022年/売上高
[売上比率(%)]
モバイルSoC
(Snapdragon)
174.00億ドル
[77.0%]
104.61億ドル
[44.5%]
250.27億ドル
[56.6%]
通信チップ
(5G/4G関連)
23.62億ドル
[10.0%]
43.30億ドル
[9.7%]
車載半導体
(自動運転関連)
6.44億ドル
[2.7%]
13.72億ドル
[3.1%]
IoT関連 30.26億ドル
[12.9%]
69.48億ドル
[15.7%]
ライセンス収入
(通信特許収益)
52.11億ドル
[23.0%]
72.33億ドル
[30.7%]
70.29億ドル
[15.9%]
出所:Qualcomm
  • 「モバイル用SoC」は、クアルコムの売上が最も大きいSoCブランド「スナップドラゴン」。利益率は30%前後。
  • 「通信チップ」は、5Gスマートフォンが普及してきた事で、収益は増加傾向。なお、スマホの構成部品として5Gチップは価格が高い。
  • 「車載半導体」は、自動運転システムの半導体の事で、売上は増加傾向。成長分野なので、エヌビディアやインテル(傘下のモービルアイ)もこの分野に参入。競争はとても激しい。
  • 「ライセンス収入」は、無線通信関連の特許を元にしたライセンス収益で、2022年度のライセンス収入の利益率は73%。売上高70.29億ドルに対し、利益が約51億ドル。毎年の全体利益の30~50%ほどがライセンス収益からの利益によるもの。これはエグい。
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クアルコムの強み

  • 情報化社会に必要不可欠な無線通信技術・特許をもち、知的財産関連の収入が継続的に入ってくる。
  • 情報通信関連に強い優秀なエンジニアが多数在籍しており、さらにこれまでの豊富な研究データを保有。その英知が「5G」や「6G」への開発につながる。
  • Androidスマートフォン市場で、クアルコムのスマホ用SoCが、台湾メディアテックと共に市場を占有。「スナップドラゴン」は、性能の他にもインテルのように製品差別化を進めた事でブランド化に成功しており、今後も安定的な収益が見込める。少なくとも簡単に収益性が崩れるような事はない。
  • 情報通信産業を守りたいアメリカ政府は、中国ハイテク企業への制裁を次々と強化。それにより、クアルコムの脅威となる中国企業の成長が抑えられている。「漁夫の利」が「クアルコムの強み」と言っていいかわからないが、真実を言えばそうなる。
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