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台湾メディアテックの業績推移:売上・営業利益率・財務・シェア

台湾MediaTekの連結決算:通年の売上推移

MediaTek(メディアテック)の業績推移:売上高・営業利益・純利益・利益率の推移
年度 売上高・収益 営業利益
[営業利益率(%)]
純利益・最終損益
[純利益率(%)]
2002年 295億台湾ドル
(1180億円)
127億台湾ドル
(508億円)
[43.1%]
122億台湾ドル
(488億円)
[41.3%]
2003年 380億台湾ドル 150億台湾ドル
[39.5%]
165億台湾ドル
[43.4%]
2004年 400億台湾ドル 147億台湾ドル
[36.8%]
143億台湾ドル
[35.8%]
2005年 464億台湾ドル 172億台湾ドル
[37.1%]
182億台湾ドル
[39.2%]
2006年 552億台湾ドル 238億台湾ドル
[43.1%]
225億台湾ドル
[40.8%]
2007年 760億台湾ドル 314億台湾ドル
[41.3%]
335億台湾ドル
[44.1%]
2008年 712億台湾ドル 180億台湾ドル
[25.3%]
191億台湾ドル
[26.8%]
2009年 839億台湾ドル 214億台湾ドル
[25.5%]
367億台湾ドル
[43.7%]
2010年 792億台湾ドル 172億台湾ドル
[21.7%]
309億台湾ドル
[39.0%]
2011年 572億台湾ドル 48億台湾ドル
[8.4%]
136億台湾ドル
[23.8%]
2012年 740億台湾ドル 58億台湾ドル
[7.8%]
156億台湾ドル
[21.1%]
2013年 1360億台湾ドル 252億台湾ドル
[18.5%]
274億台湾ドル
[20.1%]
2014年 2130億台湾ドル 472億台湾ドル
[22.2%]
463億台湾ドル
[21.7%]
2015年 2132億台湾ドル 259億台湾ドル
[12.1%]
257億台湾ドル
[12.1%]
2016年 2755億台湾ドル 230億台湾ドル
[8.3%]
240億台湾ドル
[8.7%]
2017年 2382億台湾ドル 98億台湾ドル
[4.1%]
240億台湾ドル
[10.1%]
2018年 2380億台湾ドル 159億台湾ドル
[6.7%]
207億台湾ドル
[8.7%]
2019年 2462億台湾ドル 225億台湾ドル
[9.1%]
230億台湾ドル
[9.3%]
2020年 3221億台湾ドル 432億台湾ドル
[13.4%]
409億台湾ドル
[12.7%]
2021年 4934億台湾ドル 1080億台湾ドル
[21.9%]
1114億台湾ドル
[22.6%]
2022年 5488億台湾ドル
(2兆1952億円)
1268億台湾ドル
(5072億円)
[23.1%]
1181億台湾ドル
(4724億円)
[21.5%]
出所:MediaTek。本決算期は12月末。()内の日本円表記は1台湾ドル=4.0円で換算。
メディアテックの2002年から2022年までの営業利益率の平均が22.3%。競合との比較として、クアルコムの1998年から2022年までの営業利益率の平均が26.6%。
  • MediaTek(メディアテック)は、1997年に台湾UMC(聯華電子)が「製造」と「設計」を分ける形で誕生した半導体設計メーカー(ファブレス企業)。UMCは半導体受託製造メーカー(ファウンドリー)となる。
  • 設立当初は光学ディスク用のチップセットなどが中心だったが、現在ではスマートフォン/モバイル向けSoCメーカー/通信チップメーカーとして有名。SoC(システム・オン・チップ)とは、CPU、GPU、通信など多様な機能を処理する半導体セットの事。
  • 2013年~2014年あたりから売上高が増加。Androidを採用する中国スマホメーカーの台頭と比例して販売が増加。
  • 2020年、アメリカ政府は中国ファーウェイと、その傘下のハイシリコン(SoCメーカー)への規制を発表。ファーウェイに代わってシャオミやOPPO、VIVOなどの中国スマホメーカーが台頭し、メディアテックのチップの売上が増加。米中対立の漁夫の利を得たのは台湾MediaTekだった。
  • 2021年、スマートフォン向けSoCシェアが世界トップに。利益よりもシェアを優先している事が結果につながる。
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MediaTekの財政・経営状況

メディアテックの財務推移:総資産・純資産・自己資本比率・有利子負債の推移
年度 総資産
[現金・手元資金]
負債総額
[有利子負債]
自己資本・純資産
[自己資本比率(%)]
2002年 304億台湾ドル 66億台湾ドル 238億台湾ドル
[78.3%]
2005年 627億台湾ドル
[314億台湾ドル]
100億台湾ドル
[なし]
527億台湾ドル
[84.1%]
2010年 1346億台湾ドル
[432億台湾ドル]
229億台湾ドル
[なし]
1117億台湾ドル
[83.0%]
2015年 3512億台湾ドル
[1533億台湾ドル]
1041億台湾ドル
[491億台湾ドル]
2471億台湾ドル
[70.4%]
2020年 5339億台湾ドル
[1965億台湾ドル]
1588億台湾ドル
[243億台湾ドル]
3570億台湾ドル
[66.9%]
2021年 6608億台湾ドル
[1837億台湾ドル]
2272億台湾ドル
[556億台湾ドル]
4336億台湾ドル
[65.6%]
2022年 6084億台湾ドル
[1475億台湾ドル]
1653億台湾ドル
[128億台湾ドル]
4431億台湾ドル
[72.8%]
出所:MediaTek
  • MediaTekの財務問題はなし。工場をもたないファブレスメーカーであるため、今後も大きく損失を出すリスクは低い。
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主要製品

  • Android OSのスマートフォン/タブレットのモバイル用SoC。モデル名ではHelio(低価格帯向け)、Dimensity(ハイエンドフラグシップ向け)。
  • Kompanio(Chromebook向けチップ)
  • パワーマネジメントIC(電源管理IC)
  • Wi-Fiチップ
  • Bluetoothチップ
  • スマートTV用チップ
  • 光ディスク用チップセット

モバイル向けで、様々な製品ラインナップを持っている事がメディアテックの強み。近年は信頼性とブランド力が上がってきている。

売上の割合

スマートフォン向けの売上が全体の56%。(2021年度)

製造について

メディアテックの半導体は、主に台湾TSMCが製造。

モバイル向けの顧客

Android OSを採用する全てのスマホメーカーがメディアテックの顧客と考えていい。Apple以外のスマホメーカーが顧客。SoC市場で競合のサムスンのスマホ「Galaxy」にも搭載される事がある。

超大口と言えるのは、中国のシャオミ、OPPO、VIVOなど。日本企業ではシャープやソニーにも供給。ソニーは低価格帯の「Xperia Ace」でMediaTekのチップを採用。

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スマホSoCシェア

スマートフォン用SoC世界シェア
企業 2019年 2020年 2021年
メディアテック(台湾) 26% 32% 37%
クアルコム(米国) 31% 28% 31%
Apple(米国) 11% 15% 16%
サムスン(韓国) 16% 11% 8%
UNISOC(中国) 3% 4% 6%
ハイシリコン(中国) 12% 10% 3%
出所:カウンターポイント
  • メディアテックのスマートフォン用SoCは、2020年第3四半期から出荷台数ベースで世界シェア1位。2022年第1四半期には全体で37~38%のシェア。iOSを除いたAndroidスマホだけのシェアは44~47%。5Gモデルでも25%以上。
  • クアルコムは高価格帯に強い。「Snapdragon」のブランド力がクアルコムの強み。
  • アップルのチップは、台湾TSMCで製造され、iPhoneやiPadに採用。
  • サムスンのSoC「Exynos(エクシノス)」は、ギャラクシーの低価格~中価格スマホに採用。
  • 中国UNISOC(紫光展鋭)は、中国の大学企業である精華紫光グループのファブレス企業。半導体業界で伸びてきているため、アメリカ政府が危険視している存在。
  • 中国ハイシリコンは、2020年にアメリカ政府から規制を受けた事で、ファーウェイと共に一気にシェアが低下。

利益よりもシェア拡大

メディアテックのチップは、業界では「とにかく安い」と評判。利益率を落としてでもシェア拡大を優先している理由は何か。

  • モバイル向けSoC市場で、サムスンや中国ファブレスメーカーの成長を抑えたい。
  • サムスンのSoC「Exynos(エクシノス)」は、サムスンファウンドリーで製造されるため、サムスンのシェア拡大はメディアテックのシェア低下につながるだけではなく、同時に半導体を製造する台湾TSMCのファンドリーシェアを落とす事にもつながる。サムスンのシェア拡大を抑えるため、台湾一体となって積極的に安売りしているのかもしれない。
  • 実際に、サムスンに対しては中国メーカーよりも値下げ販売しているという。
  • ファウンドリーシェアを維持したいTSMCから受託製造価格を引き下げてもらう見返りに、サムスンや中国スマホメーカーに安売りしている可能性もある。TSMCにとってもMediaTekがシェア拡大したほうがメリットがある。

恐らくこういった要因があると思われる。筆者の考えすぎか。

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