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携帯業界はNTTが圧倒的に強い

携帯の価格競争が停滞した「1+2」の形。王者NTTと他2社の関係

忘れていたものを急に思い出したかのように、携帯大手3社が急に携帯料金の値下げをするようになった。ドコモ、au、ソフトバンクの3大キャリアが新しい低価格ブランドを起ち上げ、従来の半額レベルで料金設定している。

企業 サービス 月額料金
NTTドコモ ahamo(アハモ) 2970円(税込)
au povo(ポヴォ) 2480円(税抜)
ソフトバンク LINEMO(ラインモ) 2728円(税抜)

これは「国民の生活コストを下げたい」という菅総理の要望で実現できたもの。日本政府がNTTの株式1/3強を保有している状況により、NTTはその要求に答えないといけなかったはずだが、そもそもキャリア3社もあって、なぜ今まで携帯料金の価格競争が進まなかったのだろうか。

NTTが強すぎる問題

携帯業界はNTTが圧倒的に強い

通信業界ではNTTの存在は圧倒的。携帯電話が普及する初期段階からシェアはダントツだった。

ここでもしAmazonのジェフ・ベゾスのようなやり方が許されるのならば、携帯が普及していく過程でNTTは利益無視の安売り攻勢をしかけて市場を独占化し、最終的には殿様商売をしていたはず。

しかし、市場が独占化されると必ずいびつな現象が起こる。つまり、競争原理をもたらす必要があった。そのため、NTT以外の携帯会社にある程度のシェアをもってもらう必要があった。

そこで、1990年の日本政府の決定により、携帯電話事業を強い財務力をもつNTT本体から分離してスタートする事に。そして1991年に誕生したのが「NTTドコモ」という流れだった。

しかし、それでもNTTドコモが圧倒的に強い存在であることには変わりなかった。

ドコモが基準になってしまう

ドコモは圧倒的な財務力とシェアをもっているため、あまり危機感がない。むしろ他社にも力をつけてもらわないと独占的な力をもつようになって批判を浴びてしまう。

そのため、NTTドコモはシェアをとるような料金設定ではなく、利益率15~20%レベルを確保できる料金設定でビジネスをしていた。

そうなると本来はauやソフトバンクは価格競争を仕掛けてNTTドコモのシェアを積極的に奪おうとするものだが、その2社は大胆な価格競争をすることなく、ドコモの料金基準をベースにして、それ以外の戦略で契約者を伸ばしていた。

例えば、いろいろな料金プランのラインナップを増やしたり、端末割引やオプションを付けたり、スマホブランドの人気を利用したり、などで勝負したりするようになった。

契約時において「携帯料金プランがいろいろ複雑でわかりにくい」みたいに言われるのも、キャリア3社が価格競争を避けながら、他社とのサービス差別化でシェアを獲得しようとしてきた事によるもの。

ソフトバンクが他社よりもいち早くアップルとコネクションを作ってiPhoneの販売を始めたのも、基本料金で勝負するのではなくスマホ端末で勝負していたということが本質。

そして、キャリア3社がNTTドコモの料金設定を基準として価格競争をしないような状態が慢性化してしまった。

競争が進まない1+2の形

それまで、ドコモ、au、ソフトバンクの3社の料金競争が進まなかった理由として、その携帯3社のパワーが横並びではなく、トッププレーヤーのNTTドコモが財務力で圧倒的に強い存在であることがあげられる。

「王者NTTドコモ」+「その他2社」という「1+2」の形。

例えば、NTTドコモに対してauやソフトバンクが激しい価格競争を仕掛け、NTTドコモがもっているシェアを奪い続ければ、ドコモも危機感をもち、料金を引き下げてくることが予想できる。

しかし、3社が低価格競争をするという事は、3社が体力勝負をする事であり、結果的に最も体力があるNTTドコモが競争に勝ってしまうことになる。

そのため、auやSoftbankはNTTドコモが危機感をもつような価格競争を仕掛けなくなった。最終的に3社が忖度した状況が慢性化し、携帯料金が高止まりしていた。

3社あれば競争原理は成立するように思えるが、今回のように市場に強烈な存在がいて「1+2」の形となっている場合は、競争原理が成立しなくなる事はよくある。

経済界の中ではこういった現象がよく起こり、むしろ「こんな現象だらけ」と言っていいかもしれない。

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自然誕生するコンセンサス

そもそもマーケットに3社いれば、業界コンセンサスとして3社それぞれシェア33%ほどに集約され、また、市場に4社あれば4社がそれぞれ25%シェアずつに集約されるといった認識が生まれるのは事実。

他にも、市場に6社あり、競争が激しい事からそれぞれが利益率が低迷していたら、どこかとどこかが経営統合して、業界再編が起こるだろうという認識が生まれるのは自然な事。

要するに、独占が許されない中で自然な競争原理がもたらされると、見事に誰もが予想するような形になっていくという事。

外資がいない

かつて日本市場にはボーダフォンという外資系の通信会社が存在していたが、そういった外資メーカーが存在しなかったことも、ケイタイの通信価格競争が停滞していた理由の一つ。

やはり外国の企業は日本企業に競争に負けてしまう危機感があるので、シェアを確保するために積極的に価格競争を仕掛ける必要があるが、そういった危機意識が強いプレーヤーが存在せず、ドコモ、au、ソフトバンクの日本企業だけで占められてしまっていた安心感が競争原理を消失させてしまった。

ユーザーもキャリア変更しない

通常、ユーザーは携帯キャリアを変えると、いろいろ手続きがややこしいので継続して使おうとする。それが流動性を悪化させて、競争原理も悪化させてしまった。

楽天の力がかなり大きい

携帯料金の競争が進んだ理由として、楽天モバイルの参入の影響も大きい。ドコモがahamo、auがPOVOを起ち上げを発表した頃、楽天モバイルはすでに契約者を伸ばしていた。

ドコモがahamoを開始した2021年3月には、楽天モバイルは400万人の契約者を突破しており、さらにスピード感もあったため、これに危機感をもったものと思われる。

なお、大手3社の新ブランドであるahamo、POVO(ポヴォ)、ソフトバンク on LINEの料金は、月2980円が一つの目安となっているが、それも楽天モバイルの料金(2980円のワンプラン)が目安となっている。

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まとめ

  • 初期から圧倒的シェアのNTTドコモは、業界に競争をもたらすため甘い戦略をとっていた。それが慣性的に続いていた。
  • auやソフトバンクは、絶対的な力をもつNTTドコモの甘い価格戦略に甘えていた。
  • NTTドコモと体力勝負になると負けてしまうので、2位au、3位ソフトバンクは価格競争を仕掛けなかった。(ナンバーワンになろうとしなかった)
  • 携帯料金が安くなったのは菅総理と楽天の三木谷氏のおかげ。2人に感謝。

なお、筆者も使っている楽天モバイルは本当に良い。楽天はスマホユーザーだけではなく、PCユーザーさえも取り込もうという戦略があり、そのためテザリングに力を入れているわけだが、それが素晴らしい。みなさんにもおススメしたい。

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