Samsung「モバイル部門」の売上推移(通年)
年度 | 売上高・収益 | 営業利益 [営業利益率(%)] | スマホ販売台数 [世界シェア(%)] |
---|---|---|---|
2009年 | 37.60兆ウォン (3兆7600億円) | 4.10兆ウォン (4100億円) [10.9%] | 600万台 |
2010年 | 40.07兆ウォン | 4.36兆ウォン [10.9%] | 2285万台 [7.5%] |
2011年 | 55.53兆ウォン | 8.27兆ウォン [14.9%] | 9420万台 [19.0%] |
2012年 | 105.84兆ウォン | 19.42兆ウォン [18.3%] | 2億1301万台 [31.6%] |
2013年 | 138.82兆ウォン | 24.96兆ウォン [18.0%] | 3億1640万台 [31.0%] |
2014年 | 111.76兆ウォン | 14.56兆ウォン [13.0%] | 3億1820万台 [24.5%] |
2015年 | 103.55兆ウォン | 10.14兆ウォン [9.8%] | 3億2088万台 [22.3%] |
2016年 | 100.30兆ウォン | 10.81兆ウォン [10.8%] | 3億1141万台 [21.1%] |
2017年 | 106.67兆ウォン | 11.83兆ウォン [11.1%] | 3億1766万台 [21.7%] |
2018年 | 100.68兆ウォン | 10.17兆ウォン [10.1%] | 2億9090万台 [20.3%] |
2019年 | 107.27兆ウォン | 9.27兆ウォン [8.6%] | 2億9500万台 [21.4%] |
2020年 | 99.59兆ウォン | 11.47兆ウォン [11.5%] | 2億5660万台 [20.0%] |
2021年 | 109.25兆ウォン | 13.65兆ウォン [12.5%] | 2億7210万台 [20.0%] |
2022年 | 120.81兆ウォン (12兆810億円) | 11.38兆ウォン (1兆1380億円) [9.4%] | 2億6090万台 [21.6%] |
- スマートフォンという概念の携帯機は2007年に登場したiPhoneが初。
- サムスンはすぐにiPhoneを模倣。OSを自社開発するが、最終的にAndroid OSを採用し、生産・販路拡大。
- 2011年度に販売台数でアップルを追い抜く。2007年のiPhone初登場からわずか4年でシェアをひっくり返すのは韓国のスピード性と執念性がルーツ。
- サムスンが世界トップとなった2011年の両社の販売台数は、iPhone(9310万台)、GALAXY(9420万台)。
- 2011年からアップルとサムスンは訴訟合戦を繰り広げている。2018年に和解。
- 中国では存在感がなくなり、先進国ではiPhoneのシェアが上昇中でサムスンは苦戦中。
全体の業績
サムスン電子の全体の業績は以下のページを確認。
●サムスン電子の業績推移:売上高・営業利益率・純利益の推移(サイト内別ページ)
タブレット市場
サムスンのモバイル部門は、タブレット端末の売上も多い。比較として、競合のアップル「iPad」の販売台数も同時に確認。
年度 | サムスンGALAXY Tab [世界シェア(%)] |
アップルiPad [世界シェア(%)] |
タブレット世界市場規模 |
---|---|---|---|
2013年 | 3970万台 [18.2%] |
7430万台 [34.1%] |
2億1800万台 |
2014年 | 4020万台 [17.5%] |
6340万台 [27.6%] |
2億3000万台 |
2015年 | 3344万台 [16.2%] |
4957万台 [23.9%] |
2億700万台 |
2016年 | 2663万台 [15.7%] |
4256万台 [25.0%] |
1億7000万台 |
2017年 | 2497万台 [15.6%] |
4384万台 [27.4%] |
1億6000万台 |
2018年 | 2323万台 [16.6%] |
4328万台 [30.9%] |
1億4000万台 |
2019年 | 2165万台 [15.5%] |
4991万台 [35.7%] |
1億4000万台 |
2020年 | 2943万台 [18.3%] |
5331万台 [33.3%] |
1億6000万台 |
2021年 | 3090万台 [18.3%] |
5780万台 [34.2%] |
1億6880万台 |
- タブレット市場の全体的な売上規模(市場規模)は停滞中。
- 各メーカーが販売するほとんどのタブレットは、部品価格が高い有機ELパネルや5G通信チップなどを搭載しておらず、価格も安定しているが、それでも販売台数は上がらない。
- 2020年は、コロナ巣ごもり需要で、タブレット市場規模が前年比2000万台上昇。GALAXYタブレットとiPad、共に売上高が上昇。
モバイル分野の比率
年度 | 総売上高 | モバイル部門/売上高 | 総売上高に対する モバイル部門の割合 |
---|---|---|---|
2019年 | 230.40兆ウォン | 107.27兆ウォン | 46.5% |
2020年 | 236.81兆ウォン | 99.59兆ウォン | 42.0% |
2021年 | 279.60兆ウォン | 109.25兆ウォン | 39.0% |
- 総売上の約40%ほどがスマートフォン事業。
- なお、年々モバイル部門の売上比率が低下しているが、これはモバイルの売上が止まっている事と、半導体事業の売上比率が上昇しているため。
2021年度のトップ5の状況
以下は、スマホメーカートップ5であるApple、サムスン、シャオミ、OPPO、VIVOの2021年の世界シェア、売上高、平均単価の比較。なお、このデータはタブレット端末は除くスマホだけのデータ。
企業 | 売上高 | 出荷台数 [世界シェア(%)] |
1台あたり平均価格 |
---|---|---|---|
サムスン | 8兆2500億円 | 2億7200万台 [20.1%] |
30330円 |
Apple | 22兆5000億円 | 2億3570万台 [17.4%] |
95460円 |
シャオミ | 4兆1400億円 | 1億9100万台 [14.1%] |
21680円 |
OPPO | 4兆2600億円 | 1億3350万台 [9.9%] |
31910円 |
VIVO | 3兆9100億円 | 1億2830万台 [9.5%] |
30475円 |
- 2021年度のスマートフォンの平均売価は、日本円で37000円。アップル以外の主要メーカーは平均販売価格を下回っている。単にアップルが平均価格を押し上げているだけともいえる。
- 金額ベースの世界シェアで言えば、アップルの売上高(22兆5000億円)は、世界スマホ市場の44%のシェアを占める。
- スマホ市場の利益シェアで言えば、アップルが業界の約80%前後の利益を占めるとされる。
今後の将来性について
サムスンのスマートフォン事業の将来性について言えば不安材料が多い。
- スマートフォンの世界販売台数が減少傾向。
- ライバルの中国メーカーは次々と設備投資を増やして増産。世界的にサムスンのシェアは下がり続けている。
- 利益率が高い先進国市場において、特にGALAXYシェアの減少スピードが速い。
- スマホの機能が成熟化しており、製品差別化が難しくなっている。利益率の低下。
- スマホユーザーが、バッテリーを交換して長期使用するようになっている。
- スマホの中古市場拡大。性能格差がなくなったため、古い機種でも十分に使える。
- 利益率が高い高価格帯においてライバルのAppleのシェアが世界的に増えている。(iPhoneは自分でもバッテリー交換可能な仕様)
- EUがバッテリー交換できる仕様を要求する可能性。
中古市場の拡大
サムスンを含むスマホメーカーが最も恐れているのがスマホが売れなくなる事。その要因の一つが中古市場の拡大。調査会社IDCによると世界的に中古スマホ市場が拡大中。
地域 | 2018年度 | 2023年度(見込み) |
---|---|---|
世界全体 | 1億7580万台 | 3億3290万台(見込み) |
北米のみ | 3900万台 | 8720万台(見込み) |
- 世界中古スマホ市場におけるiPhoneシェアは40%超。
- 日本の中古スマホ市場は2021年度で185万台で、全スマホ市場の6%。そのうちiPhoneシェアは60%超。
- 「アップルのスマホが欲しいのに価格が高すぎる」。そういった人が中古市場でiPhoneを購入しているケースが多い。
- イノベーションが進み、古い機種でもサクサク動くスマホが安く出回っている事が中古市場拡大要因。
スマホが売れなくなると危ない
サムスンは、スマホとしての最終品だけではなく「構成部品」も多く手掛け、外販もしている。そのため、スマートフォン市場規模が減少すると部品サプライヤーとしてのポジションも危険に。サムスンが手掛ける部品は以下。
- 有機ELディスプレーパネル(OLED)←部品の中でも高価
- SoC(exynos)
- PMIC(電源管理IC)
- DRAM(RAM:半導体メモリ)
- NANDフラッシュメモリ(ストレージ:半導体メモリ)
- CMOSイメージセンサー
- カメラレンズ
- カメラモジュール
- 積層セラミックコンデンサー
- リチウム電池(バッテリー)
上記は、サムスン電子、サムスンSDI、サムスン電機(SEMCO)などが製造中。そして、それぞれ市場規模が大きいので、スマホの売上高や利益が減少してしまうとグループ全体の業績悪化につながる。
また、韓国の財閥LGグループにおいても、OLEDディスプレイパネルやカメラモジュール、バッテリーなどのサプライヤーであり、さらに財閥SKグループも半導体メモリにおいてスマホ市況への依存度が非常に高い。
韓国経済は、スマホ事業や半導体事業への依存度が非常に高く、単品的にドカっと稼ぐ特殊構造をもつが、もしスマホ市況が悪化すると、財閥中心で成り立っている韓国経済そのものが危険となる。
1998年のような経済危機(IMF危機)という事態にもなりかねない。韓国5000万人の運命は、世界中の人が今までのようなペースで「スマホの買い替え」を続けるかどうかにかかっている。