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ASMLの業績推移:売上高・営業利益率・純利益・シェアの推移

ASMLの連結決算:通年の売上推移

ASMLの業績推移:売上高・営業利益・純利益・利益率の推移
年度 売上高・収益 営業利益
[営業利益率(%)]
純利益・最終損益
[純利益率(%)]
1995年 4.16億ユーロ
(540億円)
0.95億ユーロ
(123億円)
[22.8%]
0.59億ユーロ
(77億円)
[14.2%]
1996年 6.04億ユーロ 1.54億ユーロ
[25.5%]
0.99億ユーロ
[16.4%]
1997年 8.17億ユーロ 2.06億ユーロ
[25.2%]
1.49億ユーロ
[18.2%]
1998年 11.10億ユーロ 1.08億ユーロ
[9.7%]
0.49億ユーロ
[4.4%]
1999年 15.18億ユーロ 1.07億ユーロ
[7.0%]
0.57億ユーロ
[3.8%]
2000年 26.72億ユーロ 5.42億ユーロ
[20.3%]
3.78億ユーロ
[14.1%]
2001年 15.89億ユーロ -5.90億ユーロ
[-37.1%]
-4.78億ユーロ
[-30.1%]
2002年 19.58億ユーロ -0.94億ユーロ
[-4.8%]
-2.07億ユーロ
[-10.6%]
2003年 15.42億ユーロ -1.55億ユーロ
[-10.1%]
-1.60億ユーロ
[-10.3%]
2004年 24.65億ユーロ 3.78億ユーロ
[15.3%]
2.35億ユーロ
[9.5%]
2005年 25.28億ユーロ 4.49億ユーロ
[17.8%]
3.11億ユーロ
[12.3%]
2006年 35.97億ユーロ 8.71億ユーロ
[24.2%]
6.24億ユーロ
[17.3%]
2007年 38.08億ユーロ 8.25億ユーロ
[21.7%]
6.87億ユーロ
[18.0%]
2008年 29.53億ユーロ 2.89億ユーロ
[9.8%]
3.22億ユーロ
[10.9%]
2009年 15.96億ユーロ -1.63億ユーロ
[-10.2%]
-1.51億ユーロ
[-9.5%]
2010年 45.07億ユーロ 12.50億ユーロ
[27.7%]
10.21億ユーロ
[22.7%]
2011年 56.51億ユーロ 16.41億ユーロ
[29.0%]
14.66億ユーロ
[25.9%]
2012年 47.31億ユーロ 11.56億ユーロ
[24.4%]
11.46億ユーロ
[24.2%]
2013年 52.45億ユーロ 10.48億ユーロ
[19.9%]
10.15億ユーロ
[19.4%]
2014年 58.56億ユーロ 12.82億ユーロ
[21.9%]
11.96億ユーロ
[20.4%]
2015年 62.87億ユーロ 15.65億ユーロ
[24.9%]
13.87億ユーロ
[22.1%]
2016年 67.94億ユーロ 16.57億ユーロ
[24.4%]
14.59億ユーロ
[21.5%]
2017年 90.52億ユーロ 24.96億ユーロ
[27.6%]
20.67億ユーロ
[22.8%]
2018年 109.44億ユーロ 29.65億ユーロ
[27.0%]
25.91億ユーロ
[23.7%]
2019年 118.20億ユーロ 27.90億ユーロ
[23.6%]
25.92億ユーロ
[21.9%]
2020年 139.78億ユーロ 40.51億ユーロ
[28.9%]
35.54億ユーロ
[25.4%]
2021年 186.11億ユーロ 67.50億ユーロ
[36.2%]
58.83億ユーロ
[31.6%]
2022年 211.73億ユーロ 65.00億ユーロ
[30.7%]
56.24億ユーロ
[26.6%]
2023年 275.58億ユーロ 90.42億ユーロ
[32.8%]
78.39億ユーロ
[28.4%]
出所:ASML。()内の日本円表記は1ユーロ=130円で換算。
ASMLの1995年から2023年までの営業利益率の平均が17.8%。
  • ASMLは、半導体の露光装置を手掛けるオランダ企業。1984年にフィリップス(蘭)からスピンオフ(分離・独立)して誕生。
  • 赤字の年において、2001年~2003年の赤字はITバブル崩壊の影響。2009年の赤字は俗に言うリーマンショック。その2つの時期は、ほとんどの半導体製造装置メーカーの売上規模が半減。
  • 1990年代までは日本のニコンやキヤノンに対して劣勢だったが、2000年代からシェアを拡大。それ以降は日本勢が劣勢となる。
  • 2001年にニコンが開発した「ArF液浸(えきしん)露光装置(旧最先端装置)」においても、現在はニコン(日本)を抑えてASMLが独占的な存在になっている。
  • 2009年~2010年頃から最先端であるEUV露光装置の生産を開始。現在でも商品化に成功しているのは世界でASMLのみ。ASMLのキラー商品。
  • 「EUV」や「ArF液浸」といった高額な露光装置が業界シェアを独占するようになって以降、営業利益率は30%前後に到達。
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ASMLの財政・経営状況

ASMLの財務状況の推移:総資産・純資産・自己資本比率の推移
年度 総資産
[現金・手元資金]
負債総額
[有利子負債]
自己資本・純資産
[自己資本比率(%)]
1995年 2.99億ユーロ 1.61億ユーロ 1.38億ユーロ
[46.1%]
2000年 24.19億ユーロ
[6.67億ユーロ]
14.40億ユーロ
[7.69億ユーロ]
9.79億ユーロ
[40.4%]
2005年 37.56億ユーロ
[19.04億ユーロ]
20.45億ユーロ
[3.82億ユーロ]
17.11億ユーロ
[45.5%]
2010年 61.80億ユーロ
[19.49億ユーロ]
34.06億ユーロ
[7.10億ユーロ]
27.74億ユーロ
[44.8%]
2015年 132.95億ユーロ
[24.58億ユーロ]
49.06億ユーロ
[11.25億ユーロ]
83.89億ユーロ
[63.1%]
2020年 272.67億ユーロ
[60.49億ユーロ]
134.02億ユーロ
[46.78億ユーロ]
138.65億ユーロ
[50.8%]
2021年 302.31億ユーロ
[69.51億ユーロ]
200.90億ユーロ
[45.84億ユーロ]
101.40億ユーロ
[33.5%]
2022年 363.00億ユーロ
[73.76億ユーロ]
274.89億ユーロ
[42.60億ユーロ]
88.11億ユーロ
[24.3%]
2023年 399.57億ユーロ
[70.10億ユーロ]
265.05億ユーロ
[46.31億ユーロ]
134.52億ユーロ
[33.7%]
出所:ASML
  • 最先端露光装置の分野で独占的な力を持っているため、今後も会社規模の成長が見込まれる。
  • 2024年2月時点のASMLの株式時価総額は3423億ユーロ。独占企業なので株価も高い。ヨーロッパの製造業の時価総額でダントツトップ。元々の親会社であるフィリップスよりも時価総額は格段に高い。
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露光装置とは?

半導体製造装置には様々な種類があるが、ASMLの強みは露光装置(ステッパー)という製品。以下の画像にある巨大な装置がステッパー。

露光装置

半導体の製造において、半導体の回路を描くための中心的な装置。技術難易度が非常に高く、人類の科学技術の英知が集約されたような装置。

露光装置の出荷額シェアの推移

露光装置は、ASML(オランダ)、ニコン(日本)、キヤノン(日本)の3社の寡占状態。その3社の露光装置シェアの推移。

露光装置の大手3社の出荷額とシェアの推移

  • 2000年頃までは、最先端露光装置というとASMLよりもニコンのほうがシェアが高かった。当時の微細化最先端であるインテルがニコン製を採用していた事でシェアも高かった。
  • 日本勢が最も絶好調だったのが1993年で、ニコンとキヤノンで83%のシェアを占有。それぞれの露光装置シェアはニコンが約61%、キヤノンが約22%。
  • 2000年代からASMLのArFエキシマレーザーを活用した「ArFドライ」と「ArF液浸」の露光装置の評価が高まり、売上高とシェアを伸ばす。
  • 2010年代中盤から最先端でArF液浸に代わってASMLが独占するEUV露光装置が主流となり、ニコンやキヤノンは出荷額でシェアを落とし続けている状況。

露光装置の種類別の出荷額シェア(2019年度)

露光装置の種類と出荷額シェア

  • EUV露光装置……露光波長13.5nm。微細化最先端の装置でASMLの100%独占。ニコンやキヤノンはEUV露光機の開発を諦めているため、今後もASMLの独占が続く。
  • ArF液浸(えきしん)……露光波長193nm。シリコンウエハを純水に沈めArFレーザーを当てる事で水の屈折率により134nm相当の描画を実現。EUV露光装置が登場する前の技術で、大まかに10nm~45nmあたりのプロセスサイズで使用される。このArF液浸技術は、2001年にニコンが開発したが、ニコンとASMLのシェアが逆転し、ASMLが独占状態になりつつある。
  • ArFドライ……露光波長193nm。ArF液浸の前の技術。ASMLを抑えてニコンが過半数の61.7%のシェアを確保。
  • KrF露光装置……露光波長248nm。需要拡大が見込まれるパワー半導体やアナログ半導体などで使用される露光機。ASMLを抑えてキヤノンがトップシェア。
  • i線露光装置……露光波長365nm。KrFと同様に、パワー半導体やアナログ半導体などで使用される。キヤノンが過半数のシェアを確保。
  • 「ニコンやキヤノンは露光装置で負けた」と言われるが、最先端の微細化が必要のない分野ならば、現在でも高いシェアを維持できている。
  • なお、ニコンはArF液浸においては、ASMLとの技術格差が埋まらず開発を縮小。
  • ニコンの販売数の大半が、長く協力関係にあったインテルとされる。
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ASMLの収益構造

ASMLの売上内訳:種類別の露光装置の売上高と販売台数の推移
種類 2019年/売上高
[販売台数]
2020年/売上高
[販売台数]
2021年/売上高
[販売台数]
EUV 27.99億ユーロ
[26台]
44.63億ユーロ
[31台]
62.84億ユーロ
[42台]
ArF液浸 47.07億ユーロ
[82台]
39.17億ユーロ
[68台]
49.59億ユーロ
[81台]
ArFドライ 4.01億ユーロ
[22台]
4.27億ユーロ
[22台]
4.31億ユーロ
[22台]
KrF 6.79億ユーロ
[65台]
10.12億ユーロ
[103台]
13.21億ユーロ
[131台]
i線 1.33億ユーロ
[34台]
1.46億ユーロ
[34台]
1.42億ユーロ
[33台]
出所:ASML
  • 2021年度ではASMLの売上の大半が、EUV露光装置とArF液浸タイプの2つで、全体の60.4%を占める。
  • それぞれの売上比率はEUVが33.7%、ArF液浸が26.6%。

1台あたりの値段の目安

ASMLの露光装置1台あたりの販売価格(2021年度)
装置 一台当たり販売価格 日本円換算
EUV露光装置 1.49億ユーロ 193億円
ArF液浸 0.61億ユーロ 79億円
ArFドライ 0.19億ユーロ 25億円
KrF 0.10億ユーロ 13億円
i線 0.04億ユーロ 5.6億円
1ユーロ=130円で換算。それぞれの売上高から販売台数で割った数字。(ポジテン算出)
  • EUV露光装置全体の売上高から販売台数で割ると193億円。一般に、EUVは「1台200億円」と言われるが、それと一致。
  • ArF液浸露光装置も79億円と高額。ニコンはこの分野でシェアを取り戻したいが、今のところかなり劣勢。

国別/地域別の成績

ASMLの国別・地域別の売上高と販売高比率の推移(2019年以降)
国・地域 2019年/売上高
[売上比率(%)]
2020年/売上高
[売上比率(%)]
2021年/売上高
[売上比率(%)]
台湾 53.57億ユーロ
[45.3%]
47.31億ユーロ
[33.8%]
73.27億ユーロ
[39.4%]
韓国 22.02億ユーロ
[18.6%]
41.51億ユーロ
[29.7%]
62.23億ユーロ
[33.4%]
中国 13.77億ユーロ
[11.6%]
23.24億ユーロ
[16.6%]
27.40億ユーロ
[14.7%]
アメリカ 19.80億ユーロ
[16.8%]
16.57億ユーロ
[11.8%]
15.83億ユーロ
[8.5%]
日本 4.63億ユーロ
[3.9%]
5.42億ユーロ
[3.8%]
4.59億ユーロ
[2.4%]
欧州・中東 3.14億ユーロ
[2.7%]
4.83億ユーロ
[3.4%]
1.34億ユーロ
[0.7%]
シンガポール 1.20億ユーロ
[1.0%]
0.84億ユーロ
[0.6%]
1.26億ユーロ
[0.6%]
出所:ASML
  • 台湾は、TSMC向けのEUV露光装置の売上が最も大きい。また、台湾は様々な種類の半導体製造が強いので、同時にASMLは様々な種類の製造装置を台湾に投入。
  • 韓国はサムスンのファウンドリーやDRAMの製造向けにEUV露光機の販売が増加。またSKハイニックスもDRAMにEUVを採用し、量産を開始。
  • 韓国はアナログ半導体やパワー半導体の製造が著しく少ないため、KrFやi線の販売がかなり少ない。
  • アメリカの制裁によりEUV露光装置を導入できない中国では、ArF液浸露光装置の売り上げが最も大きい。また、他の種類も販売を伸ばす。
  • シンガポールは、米国のマイクロンやGlobal Foundriesなどの工場向けへ販売。
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ASMLが最先端露光装置で成功した理由

  • 2001年にArF液浸技術を開発したニコンの特許を避けるため、ASMLはEUV露光装置の開発に活路を求めていった。
  • ニコンの露光装置の中核部品は自前主義。一方、ASMLは他社と協力関係を築いて共同開発。中核部品を他社の専門メーカーに任せた。特に、世界トップレベルの光学技術をもつカール・ツアイス(ドイツ)と協力関係を続けた事は大きい。
  • 「EUV」の前の技術である「ArF液浸」でシェアと利益を伸ばした事で、EUV露光装置の開発資金の確保につながった。
  • ニコン製よりも性能が良かったArF液浸タイプでシェアを伸ばし、顧客であるTSMCやサムスンを中心に世界中の製造メーカーとの技術協力関係を築く事ができた。一方、ニコンは超大口のインテル向けに注力していた。
  • かつての露光装置市場は、ニコンやキヤノンが独占的な力を持っていたため、競争原理を求めた業界から多くのサポートを受ける事ができた。
  • 最後まで諦めなかった。(諦めた段階で試合終了)

日本勢は最先端分野での反撃は難しい

現在の最先端であるEUV露光装置は、ASML製が業界標準となったため、ニコンやキヤノンが開発→参入してもビジネスは難しい。

とはいえ、半導体にはいろいろな種類があり、それぞれ必要な露光装置が違うため、最先端ではなくても違う装置でビジネスを続ける事は可能。

なお、キヤノンは2023年10月に商品化した「ナノインプリント装置」という露光装置とは違う装置で、ASML製のArf液浸などの一部のシェアを奪う事が出来る可能性あり。今後に期待。

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