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クアンタ・コンピュータの売上高と純利益、利益率の推移

台湾, 業績推移

クアンタ・コンピューター

Quanta Computerの決算(通年)の売上推移

クアンタ・コンピュータの売上高・営業利益・純利益・利益率の業績推移
年度 売上高・収益 営業利益
[営業利益率(%)]
純利益・最終損益
[純利益率(%)]
2006年 5376億台湾ドル
(2兆1504億円)
105億台湾ドル
(420億円)
[1.9%]
92億台湾ドル
(368億円)
[1.7%]
2007年 7863億台湾ドル 197億台湾ドル
[2.5%]
196億台湾ドル
[2.5%]
2008年 8330億台湾ドル 213億台湾ドル
[2.6%]
211億台湾ドル
[2.5%]
2009年 8503億台湾ドル 220億台湾ドル
[2.6%]
233億台湾ドル
[2.7%]
2010年 1兆1372億台湾ドル 159億台湾ドル
[1.4%]
193億台湾ドル
[1.7%]
2011年 1兆1193億台湾ドル 158億台湾ドル
[1.4%]
234億台湾ドル
[2.1%]
2012年 1兆175億台湾ドル 151億台湾ドル
[1.5%]
234億台湾ドル
[2.3%]
2013年 8373億台湾ドル 152億台湾ドル
[1.8%]
180億台湾ドル
[2.1%]
2014年 8965億台湾ドル 173億台湾ドル
[1.9%]
237億台湾ドル
[2.6%]
2015年 9704億台湾ドル 189億台湾ドル
[1.9%]
162億台湾ドル
[1.7%]
2016年 8634億台湾ドル 216億台湾ドル
[2.5%]
148億台湾ドル
[1.7%]
2017年 1兆211億台湾ドル 176億台湾ドル
[1.7%]
143億台湾ドル
[1.4%]
2018年 1兆279億台湾ドル 142億台湾ドル
[1.4%]
151億台湾ドル
[1.5%]
2019年 1兆296億台湾ドル 189億台湾ドル
[1.8%]
159億台湾ドル
[1.5%]
2020年 1兆908億台湾ドル 324億台湾ドル
[2.9%]
253億台湾ドル
[2.3%]
2021年 1兆1295億台湾ドル
(4兆5180億円)
372億台湾ドル
(1488億円)
[3.3%]
336億台湾ドル
(1344億円)
[2.9%]
出所:Quanta Computer。すべての年度で1台湾ドル=4.0円で換算。台湾の通貨は「新台湾ドル」「ニュー台湾ドル」「台湾元」「TWD」などいろいろ呼び名があるがすべて同じ。
  • クアンタの中核事業が世界市場が成熟しているパソコン事業なので、成長力が弱く、売上高もあまり増えていない。
  • 台湾のEMS企業の営業利益率は2%前後が一つの目安。クアンタの営業利益率は台湾EMSの中で平均レベル。
  • 営業利益と純利益、ともに赤字なし。人的管理が難しいビジネスで厳格な経営をしている証拠。
  • 利益率は低いが、売上高が大きいため、それなりの金額の利益は残る。
  • 利益率向上のためロボットを導入し、人件費を削減を進めている。

Quanta Computerの経営状況

クアンタ・コンピュータの財務の推移(2010年以降)
年度 総資産 負債総額 自己資本・純資産
[自己資本比率(%)]
2010年 5119億台湾ドル
(2兆476億円)
3928億台湾ドル
(1兆5712億円)
1191億台湾ドル
(4764億円)
[23.3%]
2020年 6638億台湾ドル 5135億台湾ドル 1502億台湾ドル
[22.6%]
2021年 7175億台湾ドル
(2兆8700億円)
5494億台湾ドル
(2兆1976億円)
1681億台湾ドル
(6724億円)
[23.4%]
1台湾ドル=4.0円で換算。
  • 2010年と2020年を比較して資産規模があまり増えていないが、これはパソコンの市場規模が増えていない事と比例。

会社概要

クアンタ・コンピュータ(英語:Quanta Computer、台湾:広達電脳)は、主にパソコンを開発、製造、販売する台湾企業。様々な形態で製造を請け負うEMS・ODM・OEMといわれるビジネスが中核。

  • EMS→製造受託サービス企業。Electronics Manufacturing Serviceの略
  • ODM→製品設計から製造受託を行うこと。Original Design Manufacturingの略。
  • OEM→相手先ブランドのまま設計・製造受託。Original Equipment Manufacturingの略。

従業員規模

1988年に台湾で設立されたクアンタは、グループ全体で世界中に9万人以上の従業員を抱える巨大グループ。

製造拠点

生産拠点は主に自国の台湾、中国、東南アジア。製造のほとんどを台湾か中国で生産していたが、中国の人件費高騰や米中対立などを考慮して、東南アジアへ生産拠点を分散していこうとしている。近年は「タイで製造工場を増やしていく」と表明している。

生産数量シェア

パソコン事業が中心のクアンタのPC製造シェアは25%で世界トップとされている。年間5000万台以上を生産できる能力をもっている。

金額ベースの市場シェア

製造受託業界(EMS)の金額ベースの市場規模は2020年度で5000億ドル(55兆円)。クアンタの2020年度の売上高4兆2543億円は、金額ベースでいうと世界EMS市場7.7%のシェアをもっていることになる。(一つの目安として)

主要顧客

クアンタの顧客は以下。

  • DELL(アメリカ)
  • HP・ヒューレットパッカード(アメリカ)
  • アップル(アメリカ)

特にDELL・HP・アップルが大口顧客。日本企業で言えば、かつてはソニー、東芝、富士通、シャープなどのパソコンの受託製造していた。

しかし、現在の日本企業のPC事業は全体的に縮小傾向で、撤退したり、中国レノボ傘下になったり、再編が進んだりして、クアンタとの取引が減少している。クアンタの日本企業からの受託製造比率は全体の一桁レベル。

今度の注力事業

主力事業がパソコンだが成長の伸びしろがほとんどない。そのため、クアンタは成長力が期待できるデータセンター向けのビジネスに注力しようとしている模様。

利益は低いが独占的な地位

製造受託企業というと、やはり「下請け」で「組み立て」という立場なので利益率が低い。しかし、その業界は台湾企業が独占的な力を有している。台湾の製造力のパワーを確認。

2020年の世界EMS企業の売上高ランキング
順位 企業名 売上高 純利益
[純利益率(%)]
1位 フォックスコン(台湾) 20兆8960億円 3969億円
[1.8%]
2位 ペガトロン(台湾) 5兆4706億円 788億円
[1.4%]
3位 クアンタ(台湾) 4兆2543億円 987億円
[2.3%]
4位 コンパル(台湾) 4兆901億円 363億円
[0.8%]
5位 ウィストロン(台湾) 3兆2959億円 338億円
[1.0%]
6位 ジェイビル(アメリカ) 2兆9809億円 58億円
[0.1%]
7位 フレックス(シンガポール) 2兆6348億円 674億円
[2.5%]
為替レートは1ドル109円、1台湾ドル3.9円で換算。

利益率が低いとはいえ、EMS市場トップ5を台湾メーカーが占有。その5社の売上合計は約38兆円。さらに、台湾には他にも中堅的なEMS企業がちらほらある。

世界の電子機器(自動車以外)の市場規模が150兆円~200兆円程度なので、全体の20%~25%程度を台湾のEMS企業が担っており、これが台湾の国力と経済安全保障につながっている。

アメリカが台湾を中国から守りたい事情も、アメリカの情報通信産業にとって欠かせない存在であることが理由の一つ。

PCは台湾企業が独占

あまり知られていないが、パソコンというとほとんどが台湾企業が製造していたりする。まずは以下の2020年度のパソコンの販売台数ランキングを確認。

2020年度のPC販売メーカーランキング
順位 企業名 世界販売台数 生産国
1位 レノボ(中国) 7183万台 中国レノボ自社生産
2位 HP(アメリカ) 6778万台 台湾企業が受託生産
3位 DELL(アメリカ) 5029万台 台湾企業が受託生産
4位 アップル(アメリカ) 2275万台 台湾企業が受託生産
5位 acer(台湾) 2097万台 台湾企業が生産
6位 ASUS(台湾) 1818万台 台湾企業が生産
参考として、パソコンの市場規模は2019年度が約2億6000万台、2020年度が約3億台。

トップは中国のレノボだが、2位のHP、3位のDELL、4位のアップルは台湾企業に製造委託。5位acerと6位ASUSは主にグループ企業が生産。

つまり、2位以下のほとんどは台湾企業が製造していることになる。

中国レノボ以外の2位から6位をすべて合計すると約1億8000万台で、そのボリュームを台湾勢が製造。その最大手の一つがクアンタという事。

中国レノボや韓国サムスンなどが製造する以外のパソコンは、クアンタ、ホンハイ、コンパル、ウィストロン、acer、ASUSなどが製造していると考えていい。

参入が難しい

実は製造受託企業は新規参入が難しい問題がある。

  • 利益が低いから参入企業がない。
  • 小規模でビジネスをやっても利益がでないため規模の勝負をする必要があるが、業界はすでに大手既存企業が業界規模を確立。
  • 多くの人材を雇用する必要があるが、市況の変化による人材管理が難しい。
  • 大口顧客の経営判断一つで事業が難しくなる。

つまり、新規参入がいないので今後も台湾企業が絶対的な地位を維持するという事。意外にも世界の電子機器産業は台湾企業が握っていたりする。

日本のEMSメーカー

日本のEMS企業には、シークス(売上高1815億円)、UMCエレクトロニクス(売上高1361億円)、スミトロニクス(売上高1243億円)などがある。すべて2020年度の売上高。

それらの企業はどれも自動車関連や産業機器関連の製造受託企業で、台湾のフォックスコンやクアンタのような兆単位の売上をもつ企業ではない。

そもそも製造受注業は人件費が高い国のビジネスではないため、日本がこの業種を育てられなかったのは仕方あるまい。

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