ENEOS、idemitsu、COSMOの連結決算:通期の売上推移
年度 | エネオスHD | 出光興産 | コスモエネルギーHD |
---|---|---|---|
売上高・収益 [営業利益/利益率(%)] {純利益・最終損益} | |||
2017年 | 10兆3010億円 [4875億円/4.7%] {3619億円} | 3兆7306億円 [2013億円/5.4%] {1623億円} | 2兆5231億円 [1118億円/4.4%] {728億円} |
2018年 | 11兆1296億円 [5370億円/4.8%] {3223億円} | 4兆4251億円 [1793億円/4.1%] {814億円} | 2兆7703億円 [946億円/3.4%] {531億円} |
2019年 | 10兆117億円 [-1130億円/-1.1%] {-1879億円} | 6兆458億円 [-38億円/-0.06%] {-229億円} | 2兆7380億円 [138億円/0.5%] {-281億円} |
2020年 | 7兆6580億円 [2541億円/3.3%] {1139億円} | 4兆5566億円 [1400億円/3.1%] {349億円} | 2兆2322億円 [1012億円/4.5%] {859億円} |
2021年 | 10兆9217億円 [7859億円/7.2%] {5371億円} | 6兆6867億円 [4344億円/6.5%] {2794億円} | 2兆4404億円 [2353億円/9.6%] {1388億円} |
2022年 | 15兆165億円 [2812億円/1.9%] {1437億円} | 9兆4562億円 [2824億円/3.0%] {2536億円} | 2兆7918億円 [1637億円/5.9%] {679億円} |
2023年 | 13兆8566億円 [4649億円/3.4%] {2881億円} | 8兆7192億円 [3463億円/4.0%] {2285億円} | 2兆7295億円 [1492億円/5.5%] {820億円} |
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平均利益率
2017年から2023年までの営業利益率の平均は、エネオスが3.5%、出光が3.7%、コスモが4.8%。
石油元売り業界の動向
- 2012年、外資モービルが日本市場からの撤退を発表。軽自動車/小型車、ハイブリッドカーなどの普及により、ガソリン需要が減少傾向だった事が理由。
- 2017年4月、JXホールディングスと東燃ゼネラル石油が経営統合し、JXTGホールディングス誕生。2020年にエネオスホールディングスに社名変更。
- 2017年、コスモとキグナス石油が資本提携を発表。コスモはキグナスに株式20%分を出資。
- 2018年7月、出光興産と昭和シェル石油が経営統合を発表。2019年4月、出光が昭和シェルを完全子会社化。これにより、石油元売り会社はエネオス、出光、コスモの3社寡占となる。
- 石油元売り3社のうち、コスモが最も利益率が高い。石油権益生産量の割合が高い事が理由と思われる。また、コスモはセルフスタンド数の割合が3社の中で最も高い。
- 2022年度の燃料油(ガソリン・ナフサ・軽油・灯油・重油など)のシェアは、エネオスがシェア50%をもっているとされる。
- 一時期は3社寡占化→競争低下によってガソリン・軽油・灯油などの価格が上昇すると思われたが、結果的にはそれほど影響はなかった。
- ガソリン/軽油、灯油などは国民の生活に直結するため、3社寡占だからといって高利益ビジネスはできない。
- 地球温暖化の問題により、世界的に脱エネルギー化(脱炭素)に向かう事から、中東などの産油国が増産に対し慎重へ。ロシア制裁や円安も加え、今後は石油価格が高止まりする可能性あり。
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2022年度の財政・経営状況
企業 | 総資産 [現金・手元資金] |
負債総額 [有利子負債] |
自己資本・純資産 [自己資本比率(%)] |
---|---|---|---|
エネオス | 9兆9545億円 [3115億円] |
6兆6669億円 [3兆1094億円] |
3兆2875億円 [33.0%] |
出光 | 4兆8653億円 [1030億円] |
3兆2361億円 [1兆4579億円] |
1兆6293億円 [33.5%] |
コスモ | 2兆1207億円 [618億円] |
1兆4574億円 [6862億円] |
6633億円 [31.3%] |
- エネオス、出光、コスモの3社ともに、自己資本における有利子負債の割合が「100%程度」とする財務規律がある模様。
- 2024年2月時点の3社の株式時価総額は、エネオスが1兆8100億円、出光が1兆2100億円、コスモが5340億円。
2022年度の連結社員数と研究開発投資
企業 | 従業員数(連結) | 平均年収 | 設備投資費 | 研究開発費 |
---|---|---|---|---|
エネオス | 44617人 | 993万円 | 3568億円 | 293億円 |
出光 | 14363人 | 949万円 | 986億円 | 236億円 |
コスモ | 6659人 | 1096万円 | 719億円 | 53億円 |
- 石油に代わるエネルギー事業として、3社ともにバッテリー/EV関連事業を強化。電気自動車向け充電ステーションなどの設備投資スピードを加速。
- 古くからバッテリー素材事業の開発を進めていた出光は、2023年に全個体電池の量産でトヨタと協業を発表。
- 石油需要の減少が見込まれている事から、今後も原油精製所の統廃合のコストもかかる。
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大手3社の給油所数の推移
年度 | エネオス | 出光 | コスモ |
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系列ガソリンスタンド数 [うちセルフ式ガソリンスタンド数:全体比(%)] |
|||
2017年 | 13304店舗 [4318店舗:32.5%] |
3545店舗 [1167店舗:32.9%] |
2858店舗 [1034店舗:36.2%] |
2018年 | 12961店舗 [4361店舗:33.6%] |
6465店舗 [2244店舗:34.7%] |
2791店舗 [1048店舗:37.5%] |
2019年 | 12757店舗 [4429店舗:34.7%] |
6384店舗 [2363店舗:37.0%] |
2755店舗 [1072店舗:38.9%] |
2020年 | 12623店舗 [4483店舗:35.5%] |
6311店舗 [2419店舗:38.3%] |
2729店舗 [1099店舗:40.2%] |
2021年 | 12445店舗 [4545店舗:36.5%] |
6210店舗 [2473店舗:39.8%] |
2695店舗 [1112店舗:41.3%] |
2022年 | 約12000店舗 | 約6100店舗 | 約2650店舗 |
出所:エネオスの資料より
- 大手3社の他は、キグナス石油が452店舗でセルフ式257店舗(56.9%)、太陽石油(SOLATO)が309店舗でセルフ式167店舗(54.0%)。すべて2021年度。
- 2021年時点の日本国内の全ガソリンスタンド数は2万2111店。各社のガソリンスタンドシェアは、エネオスが56.3%、出光が28.1%、コスモ12.1%、キグナス石油が2.0%、太陽石油(SOLATO)が1.4%。
- 資本提携しているコスモとキグナスの合計シェアは14.1%。(2021年時点)
原油精製能力の推移
年度 | エネオス | 出光 | コスモ |
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石油精製能力 [石油権益生産量] |
|||
2018年 | 192万バレル/日 [11万バレル/日] |
109万バレル/日 [2.7万バレル/日] |
40万バレル/日 [5.2万バレル/日] |
2020年 | 186万バレル/日 [13万バレル/日] |
94万バレル/日 [2.4万バレル/日] |
40万バレル/日 [4.9万バレル/日] |
2022年 | 174万バレル/日 [9万バレル/日] |
94万バレル/日 [2.9万バレル/日] |
40万バレル/日 [4.2万バレル/日] |
- 2021年時点で、日本国内全体で1日あたり345万バレルの原油処理能力をもつ。製油所数は21ヵ所。
- 小型車やハイブリッド車などが普及した事でガソリン需要が低下。それにより製油所の統廃合が進む。
- 各社の「石油精製能力」における「権益生産量」の割合は、エネオスが5.2%、出光が3.1%、コスモが10.5%。
- コスモは産油地域への資本参加が成功した事で「石油権益生産量」の割合が高い。3社の中で石油事業の利益率が高い理由。
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