SONYのゲーム部門の売上推移(通年)
年度 | 売上高・収益 | 営業利益 [営業利益率(%)] |
---|---|---|
1994年 | 1994億円 [12月PS1発売] |
1億円 [0.05%] |
1995年 | 2009億円 | 1億円 [0.05%] |
1996年 | 4193億円 | 570億円 [13.6%] |
1997年 | 7226億円 | 1169億円 [16.2%] |
1998年 | 7838億円 | 1365億円 [17.4%] |
1999年 | 6547億円 | 774億円 [11.8%] |
2000年 | 6609億円 [3月PS2発売] |
-511億円 [-7.7%] |
2001年 | 1兆37億円 | 829億円 [8.3%] |
2002年 | 9550億円 | 1127億円 [11.8%] |
2003年 | 7802億円 | 676億円 [8.7%] |
2004年 | 7298億円 [12月PSP発売] |
432億円 [5.9%] |
2005年 | 9586億円 | 87億円 [0.9%] |
2006年 | 1兆168億円 [11月PS3発売] |
-2323億円 [-22.8%] |
2007年 | 1兆2842億円 | -1245億円 [-9.7%] |
2008年 | 1兆531億円 | -585億円 [-5.6%] |
2009年 | 8407億円 | -570億円 [-6.8%] |
2010年 | 7982億円 [6月有料会員サービス開始] |
465億円 [5.8%] |
2011年 | 8050億円 [12月PS Vita発売] |
293億円 [3.6%] |
2012年 | 7071億円 | 17億円 [0.2%] |
2013年 | 1兆439億円 [11月PS4発売] |
-188億円 [-1.8%] |
2014年 | 1兆3880億円 | 481億円 [3.5%] |
2015年 | 1兆5519億円 | 887億円 [5.7%] |
2016年 | 1兆6498億円 | 1356億円 [8.2%] |
2017年 | 1兆9438億円 | 1775億円 [9.1%] |
2018年 | 2兆3109億円 | 3111億円 [13.5%] |
2019年 | 1兆9776億円 | 2384億円 [12.1%] |
2020年 | 2兆6563億円 [11月PS5発売] |
3422億円 [12.9%] |
2021年 | 2兆7398億円 | 3461億円 [12.6%] |
- プレイステーションの初登場は1994年。
- PS2、PS3、PS4の発売年は、営業損益が赤字。最新プレステが普及するまでは常に困難が続く。
- 特に2006年販売のプレステ3は、東芝と共同開発したスーパーコンピューター並の性能をもったゲーム機であっため、製造コストが高くなり、利益が出にくかった。6万円の販売発表価格が高すぎると批判があり、1万円値下げして発売開始。営業損失も膨らむ。
- ソニーのゲーム部門の売上高は業界トップ。2021年度のライバルとの比較では、ソニーの2兆7398億円に対し、任天堂は1兆6953億円、マイクロソフトが153.69億ドル(日本円で約2兆円ほど)。
- 1994年から2021年までのソニーゲーム部門の営業利益率の平均が4.6%。
- ネットワーク化と定額有料サービス化(サブスク)が定着してきた2014年から2021年までの営業利益率の平均が9.7%。ソニーの「稼ぎ頭」といえる中核的なビジネスに。
SONY本体の業績推移
サブスクリプションが定着したプレステ4。そのPS4が発売された2013年からのソニー全体の業績も確認。
年度 | 売上高・収益 | 営業利益 [営業利益率(%)] |
純利益・最終損益 [純利益率(%)] |
---|---|---|---|
2013年 | 7兆7673億円 | 265億円 [0.3%] |
-1284億円 [-1.7%] |
2014年 | 8兆2159億円 | 685億円 [0.8%] |
-1260億円 [-1.5%] |
2015年 | 8兆1057億円 | 2942億円 [3.6%] |
1478億円 [1.9%] |
2016年 | 7兆6032億円 | 2887億円 [3.7%] |
733億円 [0.9%] |
2017年 | 8兆5440億円 | 7349億円 [8.6%] |
4907億円 [5.8%] |
2018年 | 8兆6657億円 | 8942億円 [10.3%] |
9162億円 [10.7%] |
2019年 | 8兆2599億円 | 8455億円 [10.2%] |
5821億円 [7.1%] |
2020年 | 8兆9994億円 | 9719億円 [10.7%] |
1兆1717億円 [13.1%] |
2021年 | 9兆9215億円 | 1兆2023億円 [12.1%] |
8821億円 [8.9%] |
- 2013年や2014年は最終赤字。この頃のソニーはまだ平井一夫社長のもとで企業内再編を続行していた時期。リストラなどの費用計上もあった。
- また、2013年は現在では中核となったゲーム部門の営業損失が-188億円の赤字。利益は出ていないが「さぁこれから」という時期。
- 2015年以降は、営業利益と純利益、ともに黒字が定着。
- 2017年から2021年までの5年間の営業利益率の平均が10.4%。日本のエレクトロニクス業界トップ。株価も急上昇。
有料会員数を競合と比較
ソニーのゲーム事業は、定額有料会員サービス(サブスク)が突出して利益率が良く、事業を継続する上で最も重要な存在に。そのソニーの有料会員数を任天堂やマイクロソフトと比較。
企業 | サービス名 | 有料会員数 |
---|---|---|
ソニー | PS Plus | 4740万人 (2022年3月末時点) |
任天堂 | Nintendo Switch Online(NSO) | 3200万人以上 (2021年11月時点) |
マイクロソフト | Xbox Game Pass | 2500万人 (2022年3月末時点) |
- ソニーの有料会員者はゲーム機メーカートップ。
- マイクロソフトと2倍近くの差。
主役のゲーム機、PS4とPS5の売上実績
ゲーム機 | ゲーム機販売台数 | ソフト販売本数 |
---|---|---|
PS4 [2013年11月発売] |
1億1700万台以上 (2022年3月31日時点) |
20億本以上 (2022年9月時点) |
PS5 [2020年11月発売] |
1930万台以上 (2022年3月31日時点) |
- 最新のPS5は、2020年度に780万台、2021年度は1150万台を販売。
- 年間2000万台は販売したいところだが、コロナ問題と半導体不足の影響で供給不足へ。転売も話題に。
以前のPS売上実績
ゲーム機 | ゲーム機販売台数 | ソフト販売本数 |
---|---|---|
PS(初代) [1994年12月発売] |
1億240万台以上 | 9億6200万本以上 |
PS2 [2000年3月発売] |
1億5500万台以上 | 15億3700万本以上 |
PSP [2004年12月発売] |
7640万台以上 | 3億3100万本以上 |
PS3 [2006年11月発売] |
8740万台以上 | 9億9940万本以上 |
PS Vita [2011年12月発売] |
1600万台以上(推計) | 非公開 |
- 最も売れたゲーム機は2000年3月に発売のプレステ2。ソフトも豊富だった。
- PS2がヒットしていた時期は、任天堂は元気がないように見えていた時期。プレステ2に対抗した任天堂のゲーム機が2001年発売のゲームキューブだった。そして携帯機のニンテンドーDSに続く。
ライバルと業績比較
PS4が発売されたのが2013年11月。その2013年度からのゲーム機メーカーの業績推移。
年度 | ソニー/ゲーム部門売上高 [営業利益:利益率(%)] |
任天堂/売上高 [営業利益:利益率(%)] |
MS/ゲーム部門売上高 |
---|---|---|---|
2013年 | 1兆439億円 [-188億円:-1.8%] |
5717億円 [-464億円:-8.1%] |
101.64億ドル |
2014年 | 1兆3880億円 [481億円:3.5%] |
5497億円 [247億円:4.5%] |
86.42億ドル |
2015年 | 1兆5519億円 [887億円:5.7%] |
5044億円 [328億円:6.5%] |
91.21億ドル |
2016年 | 1兆6498億円 [1356億円:8.2%] |
4890億円 [293億円:6.0%] |
93.95億ドル |
2017年 | 1兆9438億円 [1775億円:9.1%] |
1兆556億円 [1775億円:16.8%] |
90.75億ドル |
2018年 | 2兆3109億円 [3111億円:13.5%] |
1兆2005億円 [2497億円:20.8%] |
103.52億ドル |
2019年 | 1兆9776億円 [2384億円:12.1%] |
1兆3085億円 [3523億円:26.9%] |
113.85億ドル |
2020年 | 2兆6563億円 [3422億円:12.9%] |
1兆7589億円 [6406億円:36.4%] |
115.74億ドル |
2021年 | 2兆7398億円 [3461億円:12.6%] |
1兆6953億円 [5927億円:35.0%] |
153.69億ドル |
PCゲーム市場のラインナップを増やす
ゲーム業界の動向として、Steam(スティーム)などのPCゲームの利用者が増加傾向にある。オランダの市場調査会社ニューズーによると、2021年のPCゲームの市場規模は410億ドル(約5兆円)で、ゲーム業界全体の約2割を占める。
ゲーム機を手掛けるソニーにとってPCゲームはライバルとなるが、PCゲーマーが増えているためソニーも無視できない状況。
そこでソニーは、PCユーザーの需要を取り込むためにPC向けゲームソフトの販売も強化。これは選択肢を確保する経営戦略で正しい判断。自ら選択肢を潰すと後になって痛みが大きくなるという事。
また「INZONE(インゾーン)」という新ブランドを起ち上げ、ゲーミングPC向け用品にも参入。PCモニタやヘッドフォンの販売を開始。
プレステの利益率はまだまだ安泰
「PCゲーマーが増えている今、ソニーはゲーム事業で利益が出なくなるのではないか」
そういった議論があるようだが、今後は利益率は下がる可能性はあるが、まだまだ収益性は確保していけるはず。
- ソニーはゲーム業界でも歴史が長いだけあって遺産が多く、その遺産となるゲームを利用するユーザーも多くいる。
- PS4とPS5には互換性があり、サブスク時代のPS4を1億2000万台ほど販売している遺産は大きい。
- 「パソコンはいらない。スマホで十分。でもゲーム機はほしい」というプレステにマッチした層がいる。
- やはりゲーミングPCは価格的に高いため、プレステを好む層がいる。PCゲームは動作も不安定だったりする。
- 慣性的に「ゲームといえばプレステ」という層がいる。ソニーファンも多い。
- ソニー独占タイトルも多い。
- 2021年のソニーのゲーム事業の利益率は12.6%と高いが、選択肢として販売促進目的で利益率を調整しながらのビジネスも可能。
- ソフト開発メーカーは、リリース先を複数確保して競争原理をもたらしたい事情がある。一極化を嫌うため、プレステやXboxなどの据え置きゲーム機市場を支えるように動く。
ソニーのゲーム事業が危ないと言えるのは、有料会員数が大幅に減少し続けている状態で、さらに利益率が大きく減っている時。
ゲーム事業の継続のためには、まずは最新機であるPS5の販売を増やさないといけない。PS5の販売数を増やせば、必然的にPS4が中古市場であふれる事になるが、その安くなった中古PS4を買って有料会員になる人達が増える可能性だってある。
ゲーム業界では、少しの変化で「PSは終わった」「PCの勝利」「マイクロソフトに負けた」「任天堂には勝てない」などとコアなゲーマー達から一喜一憂されてしまうものだが、初代PSからのレガシーと有料サービスが確立したPS4からの遺産を活かせば、まだまだプレステ事業での利益は安泰。
なお、筆者はまだプレステ2が現役となっております。