Meta Platformsの連結決算:通年の売上推移
年度 | 売上高・収益 | 営業利益 [営業利益率(%)] | 純利益・最終損益 [純利益率(%)] |
---|---|---|---|
2008年 | 2.72億ドル | -0.55億ドル [-20.2%] | -0.56億ドル [-20.6%] |
2009年 | 7.77億ドル | 2.62億ドル [33.7%] | 2.29億ドル [29.5%] |
2010年 | 19.74億ドル | 10.32億ドル [52.3%] | 6.06億ドル [30.7%] |
2011年 | 37.11億ドル | 17.56億ドル [47.3%] | 10.00億ドル [26.9%] |
2012年 | 50.89億ドル | 5.38億ドル [10.6%] | 0.53億ドル [1.0%] |
2013年 | 78.72億ドル | 28.04億ドル [35.6%] | 15.00億ドル [19.1%] |
2014年 | 123.66億ドル | 49.94億ドル [40.4%] | 29.40億ドル [23.8%] |
2015年 | 179.28億ドル | 62.25億ドル [34.7%] | 36.88億ドル [20.6%] |
2016年 | 276.38億ドル | 124.27億ドル [45.0%] | 102.17億ドル [37.0%] |
2017年 | 406.53億ドル | 202.03億ドル [49.7%] | 159.34億ドル [39.2%] |
2018年 | 558.38億ドル | 249.13億ドル [44.6%] | 221.12億ドル [39.6%] |
2019年 | 706.97億ドル | 239.86億ドル [33.9%] | 184.85億ドル [26.1%] |
2020年 | 859.65億ドル | 326.71億ドル [38.0%] | 291.46億ドル [33.9%] |
2021年 | 1179.29億ドル | 467.53億ドル [39.6%] | 393.70億ドル [33.4%] |
2022年 | 1166.09億ドル | 289.44億ドル [24.8%] | 232.00億ドル [19.9%] |
- フェイスブックは2004年創業。
- GAFAMの一角でSNSの王者。保有する代表的なサービスは、Facebook、Instagram、WhatsAppの3つ。
- 売上収益のほとんどが広告事業。フェイスブックやインスタグラム、WhatsAppに企業が広告を出す事で、METAは収益を得ている。その収益額があまりにも巨額。売上高は2021年度から1000億ドル越え。
- 2021年、社名をFacebookからMETA Platforms(メタ・プラットフォームズ)へと変更。メタバースに注力。
- 2008年から2022年までのMETA/Facebookの営業利益率の平均が34.0%。比較として、同じ広告業のGoogleの2000年から2022年までの営業利益率の平均が23.0%。
Meta Platformsの財政・経営状況
年度 | 総資産 [現金・手元資金] |
負債総額 [有利子負債] |
自己資本・純資産 [自己資本比率(%)] |
---|---|---|---|
2010年 | 29.90億ドル [17.85億ドル] |
8.28億ドル [2.50億ドル] |
21.62億ドル [72.3%] |
2015年 | 494.07億ドル [184.34億ドル] |
51.89億ドル [1.14億ドル] |
443.18億ドル [89.7%] |
2020年 | 1593.16億ドル [619.54億ドル] |
310.26億ドル [106.54億ドル] |
1282.90億ドル [80.5%] |
2021年 | 1659.87億ドル [479.98億ドル] |
411.08億ドル [138.73億ドル] |
1248.79億ドル [75.2%] |
2022年 | 1857.27億ドル [407.38億ドル] |
600.14億ドル [265.91億ドル] |
1257.13億ドル [67.7%] |
- 現金/流動性資金が有利子負債を上回る実質無借金経営。業績を考慮すると財政難になる事などは考えにくい。
社員数の推移
2011年 | 2015年 | 2020年 | 2022年 |
---|---|---|---|
3200人 | 12691人 | 58604人 | 86482人 |
- 2011年から2020年まで、従業員が約55000人増加。
- 近年はメタバースの開発を進めるため、エンジニアを増員。年間100億ドルほどの研究開発費を投じている。
- 2022年11月、業績不振により1万1000人以上の従業員を削減。
- 2023年3月、2022年11月に続いて1万人以上の従業員リストラを発表。短期間で2万人以上削減。メタバース事業の暗雲を示す動き。
代表的なM&Aの実績
2012年Facebookは、Instagramを約10億ドルで買収。
2014年Facebookは、WhatsAppを約160億ドルで買収。WhatsAppは、日本で言うところのLINEのような存在。
METAはSNS業界を支配する
SNS | 世界の月間ユーザー数 | 国内の月間ユーザー数 |
---|---|---|
29億5800万人 | 2600万人 | |
20億人 | 3300万人 | |
20億人 | データなし | |
TikTok | 10億5100万人 | 1690万人 |
5億5600万人 | 4500万人 | |
LINE | 1億9400万人 | 9400万人 |
- 上位3つのFacebook、WhatsApp、InstagramがMETAが保有するSNS。これがMETAが「SNSの王者」と言われる理由。
- Facebookは世界に29億人の利用者数を抱える。2022年末の世界人口が約80億人(国連推計)なので、世界の約34%がフェイスブックを使用している事になる。日本人にとっては信じがたいが、欧米ではユーザー数がかなり多い。
- facebookは実名登録が原則。ユーザーが職業や趣味、住所などを入力し、その個人情報をもとに的確な広告を出す事ができるため、広告出稿者にとって費用対効果が高い。これがフェイスブックの高い収益性に直結。
- インスタグラムの世界ユーザー数は月間20億人。広告サービスの利点としては、写真や動画を通じて広告出稿企業の認知度を広げる事ができる。日本ではFacebookよりも利用者が多い。
- WhatsAppは、日本で言うところのLINE。世界20億人の月間ユーザーを抱え、そこに広告を入れて収益化。
FacebookからMETAへ
2021年、社名をFacebookからMETA Platforms(メタ・プラットフォームズ)へと変更。
理由として、マーク・ザッカーバーグCEOは「メタバースに注力するため」としているが、やはりFacebookのイメージが悪い事も関係。特にお膝元のアメリカではかなりイメージが悪い。
- 実名登録など正確な個人情報を求めるフェイスブックは、本来は人と人をつなげ「良い効果」をもたらすサービスのはずが、個人情報が悪用されて人々の不幸を招くサービスにつながっている。
- 他人が自分の個人情報を共有している事にウンザリしている人が増えすぎてしまった。
- ユーザーの個人情報を収集し、あまりにもピンポイントな広告を出してしまう事で、ユーザーはしだいにサービスに不安感や恐怖感、嫌悪感をもつようになってしまった。
- 「SNS依存」「SNS疲れ」をもたらす象徴的な企業として認識されるようになった。
- つまり、サービス自体が嫌われてしまった。
- フェイスブックのルーツは、当時ハーバード大学の学生だったマーク・ザッカーバーグ氏が、女子大学生の顔を格付けするゲームをつくった事が由来。フェイス(Face)ブック(Book)とは「顔の一覧本」みたいな意味。そのため元々イメージが良くない。
しかしながら……
フェイスブックに嫌気が差しながら、それでも利用しているユーザーがかなり多い。
単にSNS依存といった要因だけではなく、欧米ではフェイスブックが一つの社会インフラのような存在になっており「嫌でもやらないといけない」という状況になっているため。
ビジネスの世界では自分の存在価値を示すための手段がフェイスブックだったりする。アメリカのような雇用が不安定で競争が激しい国ほど「自分アピール方法」として利用しないといけないのかもしれない。
メタバースは失敗事例がある
METAへと社名変更してまでメタバースへ注力するというが、ネットが普及する2000年代前半、メタバースのようなビジネスが存在し、失敗した事例がある。
その内容を簡単に言えば、現実世界をもとにしたバーチャル不動産サービス。
仮想空間にユーザーがたくさん集まる事を前提として、そのユーザーの多くは現実社会と同じように東京の渋谷や原宿、新宿に多くが集まるはずなので、仮想空間の渋谷や原宿の土地を数百万円から数千万円で販売するというもの。
その仮想空間の土地を高値で購入し、その土地にビルを設置してアパレルなどの仮想店舗を開業しようとしていた人はいたのだが、結局はそのネットビジネスは失敗。そもそもそんなサービスがあった事を知っている人も少ない。
仮想空間のアパレルショップならば、既存のAmazonや楽天市場などで十分。仮想空間におけるコミュニケーションが目的とするならばオンラインゲームで十分。
そもそも、マークザッカーバーグCEOは仮想空間にユーザーを集め、どのように収益化するのか。そのあたりを市場が理解できるように説明できていない。それが株価低迷にもつながっているのではないか。
メタバースが失敗しても大丈夫
会社はどんなに良い成績を残しても常に成長を求められるもの。しかし、例えMETAの広告収入の成長が止まったり、メタバースが失敗したとしても、すでに十分すぎる収益性をもっているため何も問題ない。
METAが成長し続けると言う事は、世界中の人がフェイスブックやインスタグラムを使い続けるような社会になっているという事。そんな社会が良いとは誰も思わないだろう。