Infineon Technologiesの連結決算:通年の売上推移
決算期 | 売上高・収益 | 営業利益 [営業利益率(%)] | 純利益・最終利益 [純利益率(%)] |
---|---|---|---|
2008年 9月期 | 39.03億ユーロ | -0.46億ユーロ [-1.2%] | -37.47億ユーロ [-96.0%] |
2009年 9月期 | 30.27億ユーロ | -2.20億ユーロ [-7.2%] | -6.71億ユーロ [-22.2%] |
2010年 9月期 | 32.95億ユーロ | 3.48億ユーロ [10.5%] | 6.60億ユーロ [20.0%] |
2011年 9月期 | 39.97億ユーロ | 7.36億ユーロ [18.4%] | 11.19億ユーロ [29.8%] |
2012年 9月期 | 39.04億ユーロ | 4.55億ユーロ [11.6%] | 4.27億ユーロ [10.9%] |
2013年 9月期 | 38.43億ユーロ | 3.25億ユーロ [8.4%] | 2.72億ユーロ [7.1%] |
2014年 9月期 | 43.20億ユーロ | 5.25億ユーロ [12.1%] | 5.35億ユーロ [12.4%] |
2015年 9月期 | 57.95億ユーロ | 5.55億ユーロ [9.5%] | 6.34億ユーロ [10.9%] |
2016年 9月期 | 64.73億ユーロ | 7.63億ユーロ [11.7%] | 7.43億ユーロ [11.5%] |
2017年 9月期 | 70.63億ユーロ | 9.83億ユーロ [13.9%] | 7.90億ユーロ [11.2%] |
2018年 9月期 | 75.99億ユーロ | 14.69億ユーロ [19.3%] | 10.75億ユーロ [14.1%] |
2019年 9月期 | 80.29億ユーロ | 11.61億ユーロ [14.4%] | 8.70億ユーロ [10.8%] |
2020年 9月期 | 85.67億ユーロ | 5.81億ユーロ [6.7%] | 3.68億ユーロ [4.3%] |
2021年 9月期 | 110.60億ユーロ | 14.70億ユーロ [13.2%] | 11.69億ユーロ [10.6%] |
2022年 9月期 | 142.18億ユーロ | 28.45億ユーロ [20.0%] | 21.79億ユーロ [15.3%] |
2023年 9月期 | 163.09億ユーロ | 39.48億ユーロ [24.2%] | 31.37億ユーロ [19.2%] |
出所:Infineon Technologies。本決算期は9月末。
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平均利益率
- インフィニオンの2008年から2022年までの営業利益率の平均が10.7%。
- 競合との比較として、
- ルネサスの2010年から2022年までの営業利益率の平均が8.9%。
- STマイクロの1991年から2023年までの営業利益率の平均が7.8%。
- NXPセミコンダクターズの2004年から2022年までの営業利益率の平均が7.1%。
会社の動向
- 1999年、ドイツのシーメンス社からスピンオフしてインフィニオン誕生。パワー半導体に強みをもつドイツ最大の半導体メーカー。
- 2006年、インフィニオンは業績不安定だったDRAM事業を分離。市場規模が大きいメモリビジネスを分社化した事で、半導体メーカーとしての規模が大きく縮小。
- 分離したDRAM事業は「キマンダ社(Qimonda)」として発足したが、2008年の金融危機により大損失。2009年1月に倒産。
- 2008年~2009年のアメリカ発の金融危機で、インフィニオンは営業利益と純利益、ともに赤字。2008年度は売上規模と同じレベルの巨額最終損失。
- 2021年に売上高や営業利益、利益率が上昇。これはコロナ後の半導体不足により販売単価が上がった事や、電気自動車の市場拡大により、パワー半導体の売上が増えた事が要因。
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Infineon Technologiesの財政・経営状況
決算期 | 総資産 [現金・手元資金] |
負債総額 [有利子負債] |
自己資本・純資産 [自己資本比率(%)] |
---|---|---|---|
2010年 9月期 |
49.93億ユーロ [17.27億ユーロ] |
23.68億ユーロ [3.96億ユーロ] |
26.25億ユーロ [52.6%] |
2015年 9月期 |
87.41億ユーロ [20.13億ユーロ] |
40.76億ユーロ [17.93億ユーロ] |
46.65億ユーロ [53.3%] |
2020年 9月期 |
219.99億ユーロ [32.27億ユーロ] |
117.80億ユーロ [70.33億ユーロ] |
102.19億ユーロ [46.4%] |
2021年 9月期 |
233.34億ユーロ [39.22億ユーロ] |
119.33億ユーロ [65.85億ユーロ] |
114.01億ユーロ [48.9%] |
2022年 9月期 |
269.12億ユーロ [37.17億ユーロ] |
119.68億ユーロ [56.62億ユーロ] |
149.44億ユーロ [55.5%] |
- 有利子負債は不安視されるレベルではない。キャッシュも豊富。業績を考慮すれば財務的な問題はなし。
M&Aの実績
2014年米国インターナショナル・レクティファイアーを現金約30億米ドルで買収。パワー・マネージメント(電源管理)技術の強化。
2019年米国サイプレス・セミコンダクタを約94億ドルで買収。アナログ技術や電源管理技術の他に、Wi-FiやBluetoothなどの通信関連も強化。
販売地域シェアの推移
国/地域 | 2009年/売上高 [全体比(%)] |
2016年/売上高 [全体比(%)] |
2022年/売上高 [全体比(%)] |
---|---|---|---|
ヨーロッパ全体 | 40% | 33% | 24% |
ドイツ | 19% | 15% | 11% |
アメリカ | 12% | 13% | 11% |
日本 | 5% | 6% | 10% |
中国 | 41% | 24% | 29% |
その他アジア | 24% | 16% |
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車載向け半導体ランキング
順位 | 企業 | 国 | 世界シェア(%) |
---|---|---|---|
1位 | インフィニオン・テクノロジーズ | ドイツ | 13.2% |
2位 | NXPセミコンダクターズ | オランダ | 10.9% |
3位 | ルネサスエレクトロニクス | 日本 | 8.5% |
4位 | テキサス・インスツルメンツ | アメリカ | 8.3% |
5位 | STマイクロエレクトロニクス | スイス | 7.5% |
出所:Infineon Technologies。車載向け半導体の市場規模は2020年度で350億ドル。
- クルマに必要な半導体は、マイコン、パワー半導体、アナログ製品、ロジック半導体、メモリ、センサーなどいろいろ。
- その中で、多くの自動車向け製品ランナップをもっているインフィニオンが市場シェア13.2%で首位。
- 自動車産業が今後、ガソリン車から電気自動車へと変革する中で、インフィニオンが強みをもつパワーデバイスの需要が急増すると予想され、それが市場から好感。株価も上昇。
- ドイツはフォルクスワーゲン、メルセデスベンツ、BMWなどの世界的な自動車メーカーが存在し、インフィニオンにおいても自動車に関連した製品に注力し、それが強みとなっている。
- なお、日本のルネサスも製品ポートフォリオが豊富で、市場シェア8.5%で3位。欧米企業の買収を複数成功させ、自動車EV化に向けた半導体製品を強化中。
自動車向けマイクロコントローラー
順位 | 企業 | 国 | 世界シェア(%) |
---|---|---|---|
1位 | ルネサス | 日本 | 26.7% |
2位 | NXPセミコンダクターズ | オランダ | 26.3% |
3位 | インフィニオン | ドイツ | 16.9% |
4位 | テキサス・インスツルメンツ | アメリカ | 9.8% |
5位 | マイクロチップ | アメリカ | 6.9% |
- インフィニオンの車載マイコンは、市場シェア3位の16.9%。
- この分野は日本のルネサスエレクトロニクスがトップシェア。
- 市場シェア2位のNXPは、2010年代から車載向けを強化。自動車製造数が多い日本市場への販売を強め、トヨタやホンダ、日産などの日系メーカーへ積極的に売り込みをかけている。
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パワー半導体
順位 | 企業 | 国 | 世界シェア(%) |
---|---|---|---|
1位 | インフィニオン・テクノロジーズ | ドイツ | 19.7% |
2位 | オン・セミコンダクター | アメリカ | 8.3% |
3位 | STマイクロエレクトロニクス | スイス | 5.5% |
4位 | 三菱電機 | 日本 | 5.0% |
5位 | 東芝 | 日本 | 4.6% |
6位 | 富士電機 | 日本 | 4.6% |
7位 | Vishay | アメリカ | 3.5% |
8位 | ルネサスエレクトロニクス | 日本 | 2.6% |
9位 | ローム | 日本 | 2.5% |
10位 | Diodes | アメリカ | 2.4% |
出所:Infineon Technologies。2020年度のパワー半導体の市場規模は210億ドル。
- インフィニオンのパワーデバイスの業界シェアは19.7%。2015年のシェアが19.2%なので、大きな変化なし。
- パワー半導体では、発電から送電、産業機器から民生機器まで幅広い製品ポートフォリオをもつが、やはり車載向けが最も売上が多い。
- 三菱、東芝、ローム、富士電機、ルネサスなどの日本企業のパワー半導体シェアを合計すると、市場シェア25%前後を占める。パワーデバイス分野では日本は存在感が大きい。
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アナログ半導体
順位 | 企業 | 国 | 世界シェア(%) |
---|---|---|---|
1位 | テキサス・インスツルメンツ | アメリカ | 19.0% |
2位 | アナログ・デバイセズ | アメリカ | 12.7% |
3位 | スカイワークス | アメリカ | 8.0% |
4位 | インフィニオン・テクノロジーズ | ドイツ | 6.5% |
5位 | STマイクロエレクトロニクス | スイス | 5.3% |
6位 | コルボ | アメリカ | 5.2% |
7位 | NXPセミコンダクターズ | オランダ | 4.7% |
8位 | オンセミコンダクター | アメリカ | 2.9% |
9位 | マイクロチップ | アメリカ | 2.5% |
10位 | ルネサスエレクトロニクス | 日本 | 1.5% |
出所:IC Insights。
- インフィニオンのアナログ半導体の市場シェアは6.5%で世界4位。売上高は48億ドル。
- 自動車に搭載される半導体はアナログ半導体が最も出荷額が大きいが、そのアナログ製品の売上が増加中。売上比率は2020年が41%、2021年は44%。
- アナログ半導体は、出荷個数が非常に多く、種類が豊富であるため、メーカーが乱立状態にある。DRAMのように規格化製品の量産勝負で、多くのメーカーが淘汰されるような現象にはなりにくい。
- アナログ分野の設計は、熟練の技術を必要とするため、半導体産業の長い歴史をもつ先進国メーカーがランキング上位を独占する状態。
- 韓国や台湾、中国メーカーなどがこの分野で地位を確立するのは、かなりの歳月がかかる。
セキュリティICチップ
順位 | 企業 | 国 | 世界シェア |
---|---|---|---|
1位 | インフィニオン | ドイツ | 24.6% |
2位 | NXPセミコンダクターズ | オランダ | 20.4% |
3位 | サムスン | 韓国 | 17.1% |
4位 | STマイクロエレクトロニクス | スイス | 12.7% |
5位 | CEC Huada | 中国 | 8.5% |
出所:Infineon Technologies。セキュリティIC分野の市場規模は2020年度で28億ドル。
- クレジットカードなどに搭載されるセキュリティICチップ分野は、インフィニオンが市場シェア首位の24.6%。このカテゴリーは、NXPやSTマイクロなどの欧州勢も強い。
- 3位にサムスン、5位に中国CEC Huadaがランクインしているが、この分野が欧州勢で寡占化している、つまり競争原理が低いとして参入。
- サムスンは半導体関連のポートフォリオを増やし過ぎて、エレクトロニクス業界に多くのライバルを抱える事態に向かっている。
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