FUJITSUの連結決算(通年)の売上推移
年度 | 売上高・収益 | 営業利益 [営業利益率(%)] |
純利益・最終損益 [純利益率(%)] |
---|---|---|---|
1994年 | 3兆2577億円 | 1560億円 [4.8%] |
450億円 [1.4%] |
1995年 | 3兆7619億円 | 1909億円 [5.1%] |
631億円 [1.7%] |
1996年 | 4兆5034億円 | 1790億円 [4.0%] |
461億円 [1.0%] |
1997年 | 4兆9853億円 | 1889億円 [3.8%] |
55億円 [0.1%] |
1998年 | 5兆2429億円 | 1322億円 [2.5%] |
-136億円 [-0.3%] |
1999年 | 5兆2551億円 | 1499億円 [2.9%] |
427億円 [0.8%] |
2000年 | 5兆4844億円 | 2440億円 [4.4%] |
85億円 [0.2%] |
2001年 | 5兆69億円 | -744億円 [-1.5%] |
-3825億円 [-7.6%] |
2002年 | 4兆6175億円 | 1004億円 [2.2%] |
-1220億円 [-2.6%] |
2003年 | 4兆7668億円 | 1503億円 [3.2%] |
497億円 [1.0%] |
2004年 | 4兆7627億円 | 1601億円 [3.4%] |
319億円 [0.7%] |
2005年 | 4兆7914億円 | 1814億円 [3.8%] |
685億円 [1.4%] |
2006年 | 5兆1001億円 | 1820億円 [3.6%] |
1024億円 [2.0%] |
2007年 | 5兆3308億円 | 2049億円 [3.8%] |
481億円 [0.9%] |
2008年 | 4兆6929億円 | 687億円 [1.5%] |
-1123億円 [-2.4%] |
2009年 | 4兆6795億円 | 943億円 [2.0%] |
930億円 [2.0%] |
2010年 | 4兆5284億円 | 1325億円 [2.9%] |
550億円 [1.2%] |
2011年 | 4兆4675億円 | 1053億円 [2.4%] |
427億円 [0.9%] |
2012年 | 4兆3817億円 | 882億円 [2.0%] |
-799億円 [-1.8%] |
2013年 | 4兆7624億円 | 1425億円 [3.0%] |
486億円 [1.0%] |
2014年 | 4兆7532億円 | 1786億円 [3.8%] |
1400億円 [2.9%] |
2015年 | 4兆7392億円 | 1206億円 [2.5%] |
867億円 [1.8%] |
2016年 | 4兆1329億円 | 1174億円 [2.8%] |
884億円 [2.1%] |
2017年 | 4兆983億円 | 1824億円 [4.5%] |
1693億円 [4.1%] |
2018年 | 3兆9524億円 | 1302億円 [3.3%] |
1045億円 [2.6%] |
2019年 | 3兆8577億円 | 2114億円 [5.5%] |
1600億円 [4.1%] |
2020年 | 3兆5897億円 | 2663億円 [7.4%] |
2027億円 [5.6%] |
2021年 | 3兆5868億円 | 2192億円 [6.1%] |
1826億円 [5.1%] |
- 1994年から2021年までの富士通の営業利益率の平均が3.4%。比較として、競合のNECの1990年から2021年までの営業利益率の平均が2.8%。
- 売上高のピークが、1990年代後半から2000年代。パソコンや携帯電話の販売高が多かった時期。
- 現在はPC事業の縮小や、ケイタイ端末からの撤退により、以前よりも売上規模が縮小。
- 製造関連を縮小、または撤退しているため、不況によって工場稼働率低下、生産性悪化、在庫増大といった問題を抱えるリスクが低くなっている。つまり、富士通は損失を出しにくい体質へと変化。
FUJITSUの財政・経営状況
年度 | 総資産 [現金・手元資金] |
負債総額 [有利子負債] |
自己資本・純資産 [自己資本比率(%)] |
---|---|---|---|
1995年 | 4兆3244億円 [4188億円] |
3兆1750億円 [1兆5324億円] |
1兆1494億円 [26.6%] |
2000年 | 5兆2000億円 [3099億円] |
3兆9857億円 [1兆4822億円] |
1兆2143億円 [23.4%] |
2005年 | 3兆8071億円 [4208億円] |
2兆8901億円 [9286億円] |
9170億円 [24.1%] |
2010年 | 3兆240億円 [3585億円] |
2兆703億円 [4708億円] |
9537億円 [27.2%] |
2015年 | 3兆2263億円 [3808億円] |
2兆4436億円 [5349億円] |
7827億円 [24.3%] |
2020年 | 3兆1902億円 [4818億円] |
1兆6433億円 [3163億円] |
1兆5469億円 [48.5%] |
2021年 | 3兆3318億円 [4840億円] |
1兆6161億円 [2853億円] |
1兆7157億円 [51.5%] |
- 1995年や2000年と比較して総資産規模が縮小。PCや携帯電話(ガラケー・スマホ)などの製造関連の縮小・撤退を進めた事が要因。
- 現在の財務は安定的。有利子負債は少なく手元資金も豊富。事業内容を考慮しても経営難になるような事は考えにくい。
連結従業員と投資・開発状況の歴史
年度 | 従業員数(連結) | 設備投資額 | 研究開発額 |
---|---|---|---|
1995年 | 16万5000人 | 4038億円 | 3463億円 |
2000年 | 18万7000人 | 2492億円 | 4034億円 |
2005年 | 15万8000人 | 2499億円 | 2415億円 |
2010年 | 17万2000人 | 1302億円 | 2362億円 |
2015年 | 15万6500人 | 1560億円 | 1798億円 |
2020年 | 12万6300人 | 875億円 | 1138億円 |
- 富士通は、何度もリストラを繰り返しているが、中核であるテクノロジー・ソリューション部門の利益率10%を達成するため、2022年にさらに従業員のリストラを進める。50代以上の幹部社員の早期退職を募り、規模は3000人ほど。
- かつてはパソコンやケイタイ、半導体関連などで多額の設備投資費や研究開発費を計上していたが、それらから縮小・撤退後は年々減少。
FUJITSUの売上構造の推移
年度 | テクノロジーソリューション/売上高 [営業利益:利益率(%)] |
ユビキタスソリューション/売上高 [営業利益:利益率(%)] |
デバイスソリューション/売上高 [営業利益:利益率(%)] |
---|---|---|---|
2007年 | 3兆2722億円 [1801億円:5.5%] |
1兆1889億円 [525億円:4.4%] |
7967億円 [182億円:2.3%] |
2012年 | 2兆9423億円 [1809億円:6.1%] |
1兆902億円 [96億円:0.9%] |
5403億円 [-142億円:-2.6%] |
2017年 | 3兆527億円 [1893億円:6.2%] |
6639億円 [113億円:1.7%] |
5600億円 [136億円:2.4%] |
2021年 | 3兆563億円 [1350億円:4.4%] |
1兆902億円 [96億円:0.9%] |
3759億円 [783億円:20.8%] |
- テクノロジー・ソリューション……IT・ICT(情報通信技術)サービス、ネットワーク、携帯電話基地局などの部門。大企業、金融、官公庁向けなどに強み。マイクロソフトとパートナー連携をすすめ、自前主義からWin-Win関係を構築。この部門が富士通の収益の中核で、利益率は10%を目標。
- ユビキタス・ソリューション……ノートパソコンやタブレット端末などの部門。利益率が低いが、赤字にならないレベルで忍耐強く事業継続したい。合弁先の中国レノボに情報機器端末事業を完全売却する事はあってはならないという事。
- デバイス・ソリューション……電子部品、半導体パッケージ、電池など。売上高は縮小傾向で、将来的に再編があるかもしれない。
製造関連のリストラ・再編
半導体
1999年DRAMから撤退。
2014年マイコン・アナログ事業をスパンションに売却。なお、スパンションは2015年にサイプレス・セミコンダクタに吸収合併される。
2015年富士通とパナソニックのシステムLSI事業の経営統合により、ソシオネクスト誕生。
パソコン事業
2016年パソコン事業を分社化し、2018年から中国レノボの子会社へ。出資比率が、レノボ(51%)、富士通(44%)、日本政策投資銀行(5%)。なお、ライバルのNECにおいても、2011年以降にPC事業を中国レノボとの合弁に移管。
携帯電話事業
2016年携帯電話事業を分社化。
2021年携帯電話事業への出資分をポラリスグループに売却し、完全撤退。スマホブランド「arrows」は富士通から完全独立したブランドに。
コンピューター関連
2022年メインフレーム(大型汎用コンピュータ)の製造と販売から撤退を発表。保守サポートについては2035年度まで。撤退の決断は、業界がクラウドに移行する中、2021年11月にアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)がメインフレームをクラウド移行できる「AWS Mainframe Modernization」を発表した事が大きい。
NTTと関係強化
2019年にNTTが公表したIOWN(アイオン)構想(次世代情報通信基盤構想)は、デジタル半導体を使ったコンピューティングを電気から光技術に代替し、高速化と低消費電力化を実現しようという構想。
NTTは業界がひっくり変えるような目標を2030年に実現する意向を掲げ、富士通と提携。目的は、富士通の持つ半導体実装や基地局などの技術、スーパーコンピューター「富岳」の設計やコンピューティング技術を活用するため。
バブル崩壊以降、日本の半導体産業の衰退が問題視される中、NTTと富士通の提携のもとで業界のゲームチェンジャーを目指す。