Nintendoの連結決算:通年の売上推移
年度 | 売上高・収益 | 営業利益 [営業利益率(%)] | 純利益・最終損益 [純利益率(%)] |
---|---|---|---|
1980年 | 239億円 | 43億円 [18.0%] | 16億円 [6.8%] |
1981年 | 661億円 | 227億円 [34.3%] | 107億円 [16.2%] |
1982年 | 677億円 | 205億円 [30.4%] | 104億円 [15.4%] |
1983年 | 681億円 (7月 ファミコン発売) | 166億円 [24.4%] | 94億円 [13.8%] |
1984年 | 814億円 | 207億円 [25.4%] | 98億円 [12.1%] |
1985年 | 1230億円 | 415億円 [33.7%] | 167億円 [13.6%] |
1986年 | 1445億円 | 457億円 [31.7%] | 251億円 [17.4%] |
1987年 | 2033億円 | 484億円 [23.8%] | 301億円 [14.8%] |
1988年 | 2912億円 | 639億円 [22.0%] | 342億円 [11.8%] |
1989年 | 2402億円 (4月 ゲームボーイ発売) | 651億円 [27.1%] | 329億円 [13.7%] |
1990年 | 4714億円 (11月 スーパーファミコン発売) | 1379億円 [29.3%] | 688億円 [14.6%] |
1991年 | 5618億円 | 1475億円 [26.3%] | 871億円 [15.5%] |
1992年 | 6346億円 | 1592億円 [25.1%] | 886億円 [14.0%] |
1993年 | 4856億円 | 1037億円 [21.4%] | 526億円 [10.8%] |
1994年 | 4156億円 | 949億円 [22.8%] | 416億円 [10.0%] |
1995年 | 3541億円 | 719億円 [20.3%] | 598億円 [16.9%] |
1996年 | 4182億円 (6月 NINTENDO64発売) | 650億円 [15.6%] | 654億円 [15.7%] |
1997年 | 5346億円 | 1277億円 [23.9%] | 836億円 [15.7%] |
1998年 | 5728億円 | 1561億円 [27.3%] | 858億円 [15.0%] |
1999年 | 5306億円 | 1450億円 [27.3%] | 560億円 [10.6%] |
2000年 | 4625億円 | 846億円 [18.3%] | 966億円 [20.9%] |
2001年 | 5548億円 (3月 ゲームボーイアドバンス発売) (9月 ゲームキューブ発売) | 1191億円 [21.5%] | 1064億円 [19.2%] |
2002年 | 5041億円 | 1001億円 [19.9%] | 672億円 [13.3%] |
2003年 | 5148億円 | 1076億円 [20.9%] | 331億円 [6.4%] |
2004年 | 5152億円 (12月 ニンテンドーDS発売) | 1115億円 [21.6%] | 874億円 [17.0%] |
2005年 | 5092億円 | 903億円 [17.7%] | 983億円 [19.3%] |
2006年 | 9665億円 (12月 Wii発売) | 2260億円 [23.4%] | 1742億円 [18.0%] |
2007年 | 1兆6724億円 | 4872億円 [29.1%] | 2573億円 [15.4%] |
2008年 | 1兆8386億円 | 5552億円 [30.2%] | 2790億円 [15.2%] |
2009年 | 1兆4343億円 | 3565億円 [24.9%] | 2286億円 [15.9%] |
2010年 | 1兆143億円 | 1710億円 [16.9%] | 776億円 [7.7%] |
2011年 | 6476億円 (2月 ニンテンドー3DS発売) | -373億円 [-5.8%] | -432億円 [-6.7%] |
2012年 | 6354億円 (12月 WiiU発売) | -364億円 [-5.7%] | 70億円 [1.1%] |
2013年 | 5717億円 | -464億円 [-8.1%] | -232億円 [-4.1%] |
2014年 | 5497億円 | 247億円 [4.5%] | 418億円 [7.6%] |
2015年 | 5044億円 | 328億円 [6.5%] | 165億円 [3.3%] |
2016年 | 4890億円 | 293億円 [6.0%] | 1025億円 [21.0%] |
2017年 | 1兆556億円 (3月 Nintendo Switch発売) | 1775億円 [16.8%] | 1395億円 [13.2%] |
2018年 | 1兆2005億円 (9月 有料定額サービス開始) | 2497億円 [20.8%] | 1940億円 [16.2%] |
2019年 | 1兆3085億円 | 3523億円 [26.9%] | 2586億円 [19.8%] |
2020年 | 1兆7589億円 | 6406億円 [36.4%] | 4803億円 [27.3%] |
2021年 | 1兆6953億円 | 5927億円 [35.0%] | 4776億円 [28.2%] |
2022年 | 1兆6017億円 | 5044億円 [31.5%] | 4328億円 [27.0%] |
2023年 | 1兆6718億円 | 5289億円 [31.6%] | 4906億円 [29.3%] |
出所:任天堂。本決算期は3月末。1989年まで本決算期は8月末。1989年は7か月間の成績。
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平均利益率
任天堂の1980年から2022年までの営業利益率の平均が21.4%。
会社の動向
- 任天堂は1889年に京都で誕生。初期は花札の製造販売。
- 1983年、ファミリーコンピューターを発売し大ヒット。以降、ゲーム業界の代表的な存在となっていく。
- 2011年から2016年まで売上高が低迷。これは、ヒットしていたWiiの販売が落ち着いてきた事の他に、台頭するスマホゲームがライバル化した事が要因。この時期は「任天堂は終わったか?」と言われていた時期。株価も低迷。
- 2017年発売のNintendo Switchの快進撃により、任天堂は復活。株価も上昇。
- 近年はゲームビジネスだけではなく、キャラクタービジネスにも注力。ピカチュウやマリオなどが映画展開。
- 2021年3月、USJにおいてニンテンドーワールド開設。
- 競合の業績推移
- ソニー「ゲーム事業」
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Nintendoの財政・経営状況
年度 | 総資産 [現金・手元資金] |
負債総額 [有利子負債] |
自己資本・純資産 [自己資本比率(%)] |
---|---|---|---|
2000年 | 1兆685億円 [7859億円] |
2336億円 [なし] |
8349億円 [78.1%] |
2005年 | 1兆1607億円 [6171億円] |
1876億円 [なし] |
9740億円 [83.9%] |
2010年 | 1兆6342億円 [7243億円] |
3526億円 [なし] |
1兆2818億円 [78.4%] |
2015年 | 1兆2969億円 [2580億円] |
1360億円 [なし] |
1兆1609億円 [89.5%] |
2020年 | 2兆4469億円 [9320億円] |
5723億円 [なし] |
1兆8746億円 [76.6%] |
2021年 | 2兆6623億円 [1兆227億円] |
5933億円 [なし] |
2兆690億円 [77.7%] |
2022年 | 2兆8543億円 [1兆1946億円] |
5878億円 [なし] |
2兆2665億円 [79.4%] |
出所:任天堂
- 任天堂は工場をもたないファブレスメーカー。製造部門を持たないため、市況が悪化しても工場閉鎖や従業員リストラなどの問題を抱える事はない。
- 任天堂は無借金経営。完全にローリスク・ハイリターン経営が成立しており、さらに潤沢なキャッシュをもつため、財務が大きく崩れるような事は想像しにくい。
- 世界的に見ても超優良企業。株価が高い事や、外国勢の株式保有率が高い事も納得。
Nintendoの連結社員数と開発投資について
年度 | 従業員数(連結) | 平均年収 | 設備投資費 | 研究開発費 |
---|---|---|---|---|
2000年 | 2937人 | – | – | 166億円 |
2005年 | 3150人 | 899万円 | 56億円 | 305億円 |
2010年 | 4712人 | 915万円 | 215億円 | 527億円 |
2015年 | 5120人 | 840万円 | 111億円 | 633億円 |
2020年 | 6574人 | 971万円 | 179億円 | 932億円 |
2022年 | 7317人 | 985万円 | 339億円 | 1100億円 |
出所:任天堂、有価証券報告書。
- 任天堂の従業員は少数精鋭型。開発者は東大・京大出身のキレ者が多い。社員一人当たりの売上高/利益は世界トップレベル。
- 就職は超難関で、離職率がかなり低い事でも有名。エンジニアの個性が尊重される社風がある。今までの経営陣の社内環境づくりが有能だった。
- 研究開発費は、ゲームソフト開発費用だけではなく、ネットワーク構築などのコストも含む。
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任天堂のハード/ソフトの歴史
ゲーム機 | ゲーム機販売台数 | ソフト販売本数 |
---|---|---|
ファミリーコンピュータ (1983年7月15日発売) |
6191万台 | 5億1万本 |
ゲームボーイ (1989年4月21日発売) |
1億1869万台 | 5億111万本 |
スーパーファミコン (1990年11月21日発売) |
4910万台 | 3億7906万本 |
NINTENDO64 (1996年6月23日発売) |
3293万台 | 2億2497万本 |
ゲームボーイアドバンス (2001年3月21日発売) |
8151万台 | 3億7742万本 |
ゲームキューブ (2001年9月14日発売) |
2174万台 | 2億857万本 |
ニンテンドーDS (2004年12月2日発売) |
1億5402万台 | 9億4876万本 |
Wii (2006年12月2日発売) |
1億163万台 | 9億2185万本 |
ニンテンドー3DS (2011年2月26日発売) |
7594万台 | 3億9185万本 |
WiiU (2012年12月8日発売) | 1356万台 | 1億360万本 |
Nintendo Switch (2017年3月3日発売) | 1億3936万台 (2023年12月末時点) |
12億10万本 (2023年12月末時点) |
出所:任天堂。
代表的なコンテンツ
- マリオ
- ポケモン
- ゼルダの伝説
- どうぶつの森シリーズ
- 星のカーヴィ
- スプラトゥーン
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ゲーム機業界で競合企業の業績推移を比較
年度 | 任天堂 | ソニー | マイクロソフト |
---|---|---|---|
売上高 [営業利益/利益率(%)] |
(ゲーム部門)売上高 [営業利益/利益率(%)] |
(ゲーム部門)売上高 [営業利益は非公表] |
|
2010年 | 1兆143億円 [1710億円/16.9%] |
7982億円 [465億円/5.8%] |
54.56億ドル |
2011年 | 6476億円 [-373億円/-5.8%] |
8050億円 [293億円/3.6%] |
81.03億ドル |
2012年 | 6354億円 [-364億円/-5.7%] |
7071億円 [17億円/0.2%] |
80.45億ドル |
2013年 | 5717億円 [-464億円/-8.1%] |
1兆439億円 [-188億円/-1.8%] |
71.00億ドル |
2014年 | 5497億円 [247億円/4.5%] |
1兆3880億円 [481億円/3.5%] |
86.43億ドル |
2015年 | 5044億円 [328億円/6.5%] |
1兆5519億円 [887億円/5.7%] |
91.21億ドル |
2016年 | 4890億円 [293億円/6.0%] |
1兆6498億円 [1356億円/8.2%] |
92.02億ドル |
2017年 | 1兆556億円 [1775億円/16.8%] |
1兆9438億円 [1775億円/9.1%] |
90.51億ドル |
2018年 | 1兆2005億円 [2497億円/20.8%] |
2兆3109億円 [3111億円/13.5%] |
103.53億ドル |
2019年 | 1兆3085億円 [3523億円/26.9%] |
1兆9776億円 [2384億円/12.1%] |
113.86億ドル |
2020年 | 1兆7589億円 [6406億円/36.4%] |
2兆6563億円 [3422億円/12.9%] |
115.75億ドル |
2021年 | 1兆6953億円 [5927億円/35.0%] |
2兆7398億円 [3461億円/12.6%] |
153.70億ドル |
2022年 | 1兆6017億円 [5044億円/31.5%] |
3兆6446億円 [2500億円/6.9%] |
162.30億ドル |
- ゲーム機業界では任天堂の利益率はライバルを圧倒。
- ソニーは、2013年11月にPS4を発売。ネットワーク化とサブスク化が成功した事で順調に業績を伸ばす。
- マイクロソフトはゲーム部門の業績詳細を公開していないが、ほとんど利益が出ていないと予想されている。2021年に同社の幹部は「Microsoftはゲーム機(Xbox)本体の販売で利益を出したことがない」と発言した事がある。
有料会員数をゲーム業界ライバルと比較
年度 | 任天堂 | ソニー | マイクロソフト |
---|---|---|---|
Nintendo Switch Online(NSO)会員数 | PS Plus会員数 | Xbox Game Pass会員数 | |
2020年 | 1500万人(1月) | 4500万人(6月) | 1000万人(4月) |
2021年 | 3200万人(9月) | 4630万人(6月) | 1800万人(1月) |
2022年 | 3600万人(9月) | 4540万人(9月) | 2500万人(1月) |
- 2018年9月からサブスクリプション有料課金サービス「Nintendo Switch Online(NSO)」を本格的に開始。ゲーム機や新作ソフトが売れなくても収益が確保できる体質へと変化。
- 任天堂やソニー、マイクロソフトなどのゲーム機メーカーにとってサブスクによる収入は、ゲーム機やソフトを制作販売するよりも利益率が高い。そのため、ゲーム機メーカーは有料会員ユーザーを増やす事に注力中。
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任天堂の株価が上がっている理由
- 任天堂スイッチと新作ソフトの販売が好調。世界中で根強いファンがいる。有料サービス(サブスク)も軌道に乗り、旧作ソフトでも収益性を確保できる体質へ。
- ポケモンやマリオなどの知的財産を利用してキャラクタービジネスを強化。「映画」「USJニンテンドーワールド」「グッズ販売」なども好調。
- 2022年からの物価高でも、日本は低金利で量的緩和を継続。つまり、円安株高が定着するとのコンセンサスにより、任天堂を含む日本株へ安定投資が世界的に認識された。
- 米中対立や中国の景気低迷により、それまで中国に投入されていたグローバルマネーが任天堂株を含む日本株に向かうようになった。
任天堂の株というと、かつてはゲーム機やソフトが売れるかどうかの不安定なイメージがあったが、現在は安定的なイメージが定着。現在は世界的な投資家が集まっているとされ、中にはアラブの石油マネーも大量流入しているとか。
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