LG Energy Solution(LGES)の本決算の売上推移
年度 | 売上高・収益 | 営業利益 [営業利益率(%)] |
---|---|---|
2015年 | 3兆1470億ウォン (3147億円) | 5億ウォン (5000万円) [0.02%] |
2016年 | 3兆5610億ウォン | -490億ウォン [-1.3%] |
2017年 | 4兆5600億ウォン | 280億ウォン [0.6%] |
2018年 | 6兆4988億ウォン | 2088億ウォン [3.2%] |
2019年 | 8兆3500億ウォン | -4537億ウォン [-5.4%] |
2020年 | 12兆2360億ウォン | -1655億ウォン [-1.4%] |
出所:LG化学。()内の日本円表記は1ウォン=0.1円で換算。
年度 | 売上高・収益 | 営業利益 [営業利益率(%)] |
純利益・最終損益 [純利益率(%)] |
---|---|---|---|
2021年 | 17兆8519億ウォン | 7685億ウォン [4.3%] |
7925億ウォン [4.4%] |
2022年 | 25兆5986億ウォン | 1兆2137億ウォン [4.7%] |
7672億ウォン [3.0%] |
2023年 | 33兆7454億ウォン | 2兆1632億ウォン [6.4%] |
1兆2371億ウォン [3.7%] |
出所:LGエナジー
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平均利益率
LGエナジーソリューションの2021年から2023年までの営業利益率の平均が5.1%。
会社の動向
- LGエナジーソリューションは、韓国の財閥LGグループのバッテリーメーカー。2020年12月にLG化学から完全スピンオフして誕生。
- 主に「車載バッテリー」と「モバイル向けバッテリー」を手掛け、どちらも高シェアをキープ。2023年時点では、どちらも世界シェア2位。
- 2015年から2022年までのLGエナジーの営業利益率の平均が0.6%。
- EVが普及するようになった2020年から2022年までのLGエナジーの営業利益率の平均が2.5%、競合と比較するとパナソニックが5.8%、サムスンSDIが7.6%、業界トップシェアの中国CATLが13.4%。
- バッテリー業界競合の業績推移
- パナソニックエナジー
- サムスンSDI
- 中国CATL
- LGグループ内企業の業績推移
- LGエレクトロニクス
- LGイノテック
- LGディスプレイ
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LG Energy Solutionの財政・経営状況
年度 | 総資産 [現金・手元資金] |
負債総額 [有利子負債] |
自己資本・純資産 [自己資本比率(%)] |
---|---|---|---|
2020年 | 19兆9418億ウォン [1兆4931億ウォン] |
12兆3764億ウォン [6兆1593億ウォン] |
7兆5654億ウォン [37.9%] |
2021年 | 23兆7641億ウォン [1兆2829億ウォン] |
15兆217億ウォン [6兆9692億ウォン] |
8兆7424億ウォン [36.8%] |
2022年 | 38兆2994億ウォン [5兆9380億ウォン] |
17兆7056億ウォン [8兆1093億ウォン] |
20兆5938億ウォン [53.8%] |
2023年 | 45兆4371億ウォン [5兆687億ウォン] |
21兆636億ウォン [10兆9322億ウォン] |
24兆3735億ウォン [53.6%] |
出所:LGエナジー
- LGエナジーの2023年6月の株式時価総額が142兆ウォン(日本円で14.2兆円)。韓国ではサムスン電子に次いで2番目に企業価値が高い。
- 株式投資に熱心な韓国人からの期待があまりにも強い事が株価にも反映。
- 株式市場からの十分な資金調達が実現できているため、資金ショートを起こすような事は今のところ考えにくい。
主要顧客
提携関係としては、現代自動車/起亜自動車、ステランティス、ゼネラルモーターズ、ホンダ(北米事業のみ提携)など。その他、バッテリーの顧客としては、メルセデス・ベンツ、フォルクスワーゲン、テスラなどにも供給。
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国内と海外への売上比率
国/地域 | 韓国 | 中国 | アジア | 米国 | 欧州 |
---|---|---|---|---|---|
2021年 | 12.5% | 16.3% | 6.2% | 15.9% | 49.1% |
2022年 | 5.2% | 23.7% | 5.7% | 27.7% | 37.7% |
2023年 | 7.1% | 18.0% | 4.1% | 35.1% | 35.6% |
出所:LGエナジー
- 韓国向けの売上が少ない。ヒュンダイ/キアグループのEVの生産力が弱い事を示すデータと言える。
- 国策でEVに注力する中国は、多くのEVメーカーが誕生している事から、LGエナジーの中国向けバッテリー売上高も恩恵を受けている。
- アメリカ向けは、テスラや提携関係のGM向けの売上。GMと提携するホンダとも提携し、北米で製造されるEVのバッテリーを供給していく見通し。
- ヨーロッパ向けの売上は、フォルクスワーゲンやM・ベンツ、ステランティスなど。ヨーロッパは車載電池メーカーが未熟である事がLGエナジーの存在感につながっている。
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LGエナジーの車載バッテリーシェア
企業 | 2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 |
---|---|---|---|---|
CATL(中) | 28% | 26% | 28% | 37.0% |
LGエナジー(韓) | 13% | 25% | 23% | 13.6% |
BYD(中) | 8% | 6% | 7% | 13.6% |
パナソニック(日) | 22% | 17% | 15% | 7.3% |
SKオン(韓) | 3% | 6% | 5% | 5.4% |
サムスンSDI(韓) | 6% | 7% | 6% | 4.7% |
CALB(中) | 1% | 2% | 2% | 3.9% |
Guoxuan(中) | 3% | 2% | 2% | 2.7% |
EVEエナジー(中) | 1%未満 | 1%未満 | 1%未満 | 1.8% |
SVOLT(中) | 1%未満 | 1%未満 | 1%未満 | 1.4% |
AESC(中) | 3% | 2% | 2% | – |
Sunwoda(中) | 1%未満 | 1%未満 | 1%未満 | – |
出所:SNEリサーチ。他、市場規模と生産量から割り出した推計値を含む。
- 世界首位のCATLは、中国政府/地方政府からの補助金、生産における優遇措置により一気に生産量を拡大。営業利益率も業界トップ。中国は環境対策が甘く、リチウム鉱石を安く精製している事が中国メーカーの強みとなっている。
- 業界2位のLGエナジーは、中国企業の追い上げによりシェアを落としている。
- 中国BYDも中国政府からの恩恵によりシェア上昇。BYDは、バッテリーメーカーと共にEV完成車メーカーでもあるが、中国政府からのEV補助金が打ち切られると、業績が大きく変化する可能性あり。なお、BYDは日本市場にも進出。
- パナソニックのシェア低下が続くが、和歌山工場やアメリカ工場が完成し、生産が軌道に乗ればシェアは上がってくるはず。
- SKオンやサムスンSDIも停滞ぎみ。この2社は、LGエナジーと比較して提携する顧客が少ないため、比較的に投資に対するテンションは低い。
- 全体的に車載バッテリー分野は競争が激しく、中国勢が安売り量産・販売する状況であるため、日本勢や韓国勢は投資判断が難しい状況となっている。
スマホ向けバッテリー市場シェア
順位 | 企業 | 2017年 | 2021年 |
---|---|---|---|
1位 | ATL/TDK(香港/日本) | 27% | 42% |
2位 | LGエナジー(韓国) | 14% | 22% |
3位 | サムスンSDI(韓国) | 15% | 18% |
4位 | BYD(中国) | 10% | 8% |
5位 | 村田製作所(日本) | 6% | 5% |
出所:ストラテジー・アナリティクス。一部、市場規模と売上から筆者が推測した数値を含む。
- モバイル(スマホ・タブレット)用のバッテリートップシェアは香港のATLで日本のTDKの完全子会社。アップル「iPhone」の第一サプライヤーで、TDKの利益の多くをもたらす存在。
- LGエナジーはモバイルバッテリー市場シェア2位。アップルの第2サプライヤー。
- サムスンSDIは、自社スマホブランド「GALAXY」向けがほとんど。
- 中国BYDは、中国スマホメーカー向けの売上が多い。
- スマートフォンは販売台数が減少傾向であるため、バッテリーサプライヤー各メーカーは共に増産投資を控えている。新参企業もないため、全個体電池などの技術革新がなければ、現在のシェアが大きく変化する事はないと思われる。
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