SUZUKIの決算(通年)の売上推移
年度 | 売上高・収益 [自動車・販売台数] | 営業利益 [営業利益率(%)] | 純利益・最終損益 [純利益率(%)] |
---|---|---|---|
1999年 | 1兆5211億円 [185万台] | 425億円 [2.8%] | 268億円 [1.8%] |
2000年 | 1兆6002億円 [173万台] | 507億円 [3.2%] | 202億円 [1.3%] |
2001年 | 1兆6682億円 [164万台] | 584億円 [3.5%] | 223億円 [1.3%] |
2002年 | 2兆153億円 [184万台] | 742億円 [3.7%] | 310億円 [1.5%] |
2003年 | 2兆1989億円 [173万台] | 951億円 [4.3%] | 438億円 [2.0%] |
2004年 | 2兆3655億円 [189万台] | 1075億円 [4.5%] | 605億円 [2.6%] |
2005年 | 2兆7464億円 [206万台] | 1138億円 [4.1%] | 659億円 [2.4%] |
2006年 | 3兆1636億円 [222万台] | 1329億円 [4.2%] | 750億円 [2.4%] |
2007年 | 3兆5024億円 [240万台] | 1494億円 [4.3%] | 802億円 [2.3%] |
2008年 | 3兆48億円 [230万台] | 769億円 [2.6%] | 274億円 [0.9%] |
2009年 | 2兆4690億円 [235万台] | 793億円 [3.2%] | 289億円 [1.2%] |
2010年 | 2兆6082億円 [264万台] | 1069億円 [4.1%] | 451億円 [1.7%] |
2011年 | 2兆5212億円 [256万台] | 1193億円 [4.7%] | 538億円 [2.1%] |
2012年 | 2兆5783億円 [266万台] | 1445億円 [5.6%] | 803億円 [3.1%] |
2013年 | 2兆9383億円 [270万台] | 1877億円 [6.4%] | 1074億円 [3.7%] |
2014年 | 3兆154億円 [286万台] | 1794億円 [5.9%] | 968億円 [3.2%] |
2015年 | 3兆1806億円 [286万台] | 1953億円 [6.1%] | 1166億円 [3.7%] |
2016年 | 3兆1695億円 [291万台] | 2666億円 [8.4%] | 1599億円 [5.0%] |
2017年 | 3兆7572億円 [322万台] | 3741億円 [10.0%] | 2157億円 [5.7%] |
2018年 | 3兆8714億円 [332万台] | 3243億円 [8.4%] | 1787億円 [4.6%] |
2019年 | 3兆4884億円 [285万台] | 2150億円 [6.2%] | 1342億円 [3.8%] |
2020年 | 3兆1782億円 [257万台] | 1944億円 [6.1%] | 1464億円 [4.6%] |
2021年 | 3兆5683億円 [270万台] | 1914億円 [5.4%] | 1603億円 [4.5%] |
出所:SUZUKI。販売台数は自動車の売上台数であり、バイクの販売台数を含んでいない事に注意。
- スズキは営業利益、純利益、ともに赤字なし。
- 2010年代(2011年から2020年度)の10年間の営業利益率の平均が6.8%。比較参考として同期間のトヨタの営業利益率の平均が7.7%、ホンダが4.8%、日産が3.9%。
- スズキは小型車に特化したメーカーで「選択と集中」が進んでいる会社。そのため、生産性が良く、営業損失になりにくい。
- 2020年のコロナ危機、2021年の半導体不足などでも、営業利益と純利益、ともに大きな崩れナシ。
SUZUKIの経営と財政状況
年度 | 総資産 | 負債総額 [有利子負債] |
自己資本・純資産 [自己資本比率(%)] |
---|---|---|---|
2000年 | 1兆2998億円 | 7061億円 | 5937億円 [45.7%] |
2005年 | 1兆8497億円 | 1兆2330億円 | 6167億円 [33.3%] |
2010年 | 2兆2243億円 | 1兆1174億円 | 1兆1069億円 [43.6%] |
2015年 | 2兆7020億円 | 1兆5143億円 | 1兆1877億円 [43.9%] |
2020年 | 4兆363億円 | 2兆44億円 [7708億円] |
2兆319億円 [41.8%] |
2021年 | 4兆1551億円 | 1兆8915億円 [6741億円] |
2兆2636億円 [45.2%] |
- 2000年以降、自己資本比率40%前後を規律に、安定的に会社規模を拡大。
- 日本の製造業は、自己資本比率40%以上を目安として財務を調整する事が多いがスズキもそれに該当。
資本提携の歴史
- スズキはかつてGMと資本提携関係にあったが、2000年代以降のGMの経営不振により2008年に資本提携を解消。
- GMと別れた後は、フォルクスワーゲンと技術取得を目的として資本提携(VWがスズキ株19.8%を保有)。しかし、技術に接触する事ができず提携解消。
- 2017年、スズキはトヨタと資本提携。トヨタがスズキ株4.9%保有し、スズキはトヨタ株0.2%保有。株式持ち合い。
セグメント別の業績
部門 | 売上高・収益 | 営業利益 [営業利益率(%)] |
---|---|---|
自動車部門 | 3兆2048億円 | 1528億円 [4.8%] |
バイク部門 | 2534億円 | 108億円 [4.3%] |
マリン部門 | 979億円 | 240億円 [24.5%] |
その他 | 120億円 | 37億円 [30.8%] |
- スズキの売上高のほとんどが自動車部門で、売上比率は89.8%。(2021年度)
- バイク部門の売上規模は全体的に小さい。そして利益率も競合他社と比べて高いほうではない。比較として、ホンダの2021年度の2輪(バイク)部門の営業利益率が15.0%。4.3%のスズキよりも3倍以上の差がある。
- スズキのマリン事業というのは主に船外機のこと。世界シェア10~15%ほど。
- 「その他」の事業は、電動車いす、不動産、太陽光発電事業など。
なぜ赤字にならないのか
スケールメリットが必要な自動車業界で、規模が小さいスズキはなぜ赤字にならないのか。理由は以下。
- 小型車に特化し、車体設計や部品共通化に徹している事が生産合理性をもたらしている。
- 製造拠点の選択と集中化。日本やインドが製造の中心。製造拠点が分散的ではない。
- 世界的なメーカーと比較して売上高や販売台数の規模が少ないため、危機意識が高く、それが日常的な改革意識につながっている。
- 無茶な借入金をしてまで販売規模を追うような事がなかった。鈴木修氏の有能な価値観によるもの。
SUZUKIの国別・地域別の売上台数
スズキは、アメリカと中国の2つの巨大市場から撤退。現在、注力しているのは日本、インド、ヨーロッパ。
年度 | 日本/販売台数 [日本シェア(%)] |
インド/販売台数 [インドシェア(%)] |
ヨーロッパ/販売台数 [欧州シェア(%)] |
---|---|---|---|
2016年 | 63.9万台 [12.6%] |
144万台 | 24.5万台 [1.6%] |
2017年 | 66.8万台 [12.8%] |
165万台 | 28.1万台 [1.8%] |
2018年 | 72.5万台 [13.7%] |
175万台 | 27.8万台 [1.8%] |
2019年 | 67.2万台 [13.3%] |
143万台 | 26.2万台 [1.6%] |
2020年 | 64.7万台 [13.9%] |
132万台 [48.9%] |
20.6万台 [1.7%] |
2021年 | 56.1万台 [13.3%] |
136万台 [44.1%] |
22.5万台 [1.9%] |
販売台数はバイクの販売台数を含んでいない事に注意。
- スズキの注力エリアはインド市場、その次が日本という状況。
- インドの人口は13億人。今後、自動車市場の拡大が予想できるインドでブランド力を育んできた苦労が報われるはず。
- 欧州での売上は主にハンガリー工場の生産車によるもの。安定した売上台数を維持。
軽自動車の販売台数の推移
日本ではスズキといえば軽自動車。その販売成績を競合他社と比較。
メーカー | 2019年 | 2020年 | 2021年 |
---|---|---|---|
スズキ | 57.3万台 | 52.3万台 | 50.9万台 |
ダイハツ | 51.5万台 | 53.6万台 | 53.2万台 |
ホンダ | 36.4万台 | 32.5万台 | 30.5万台 |
日産 | 20.0万台 | 20.2万台 | 17.7万台 |
三菱 | 5.6万台 | 4.2万台 | 4.3万台 |
- 軽自動車の主役は、やはりスズキとダイハツ。
- ホンダの軽自動車「Nシリーズ」の売上台数が多く、ダイハツとスズキに接近中。
- 日本国内でホンダや日産の軽自動車の販売比率が上がっており、低価格ブランドのイメージがつくようになっている。
SUZUKIのバイクの販売台数
1999年 | 2000年 | 2001年 | 2002年 | 2003年 |
---|---|---|---|---|
171万台 | 154万台 | 162万台 | 166万台 | 228万台 |
2004年 | 2005年 | 2006年 | 2007年 | 2008年 |
292万台 | 306万台 | 306万台 | 334万台 | 335万台 |
2009年 | 2010年 | 2011年 | 2012年 | 2013年 |
301万台 | 269万台 | 258万台 | 231万台 | 202万台 |
2014年 | 2015年 | 2016年 | 2017年 | 2018年 |
176万台 | 150万台 | 136万台 | 157万台 | 174万台 |
2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 |
170万台 | 153万台 | 163万台 |
出所:スズキ。1999年から2002年までは販売台数ではなく生産台数のデータ。
- 日本市場におけるバイク販売は縮小傾向。
- 一時期、東南アジアの需要増加により、スズキのバイク世界販売台数が300万台超え。ピーク時のグローバル販売は、2008年の335万台。
- その後、需要低迷により生産規模を縮小。2016年のマレーシア工場閉鎖、国内工場の集約などのリストラを実行。
SUZUKIの2輪部門をライバル他社と比較
企業 | 売上高・収益 | 営業利益 [営業利益率(%)] |
バイク世界販売台数 [世界シェア(%)] |
---|---|---|---|
スズキ | 2534億円 | 108億円 [4.3%] |
163万台 [3.4%] |
ホンダ | 2兆1852億円 | 3114億円 [14.3%] |
1702万台 [35.6%] |
YAMAHA | 1兆1797億円 | 687億円 [5.8%] |
449万台 [9.4%] |
Kawasaki | 4479億円 | 373億円 [8.3%] |
49万台 [1.0%] |
各社それぞれ二輪部門のみの業績データ。
- 日系大手バイクメーカー4社(スズキ、ホンダ、ヤマハ、カワサキ)の中で、スズキは最も売上高と営業利益率が低い。
- スズキがバイク部門で利益率が低いのは、利幅が低い小型車の売上比率が高いため。
- 業界トップのホンダとスズキと比較すると、売上高と販売台数、ともに10倍前後の格差。
- スズキは、ホンダ、YAMAHAと共にMotoGPに参戦していた事が世界的なブランド力に直結していた。しかし、2022年にMotoGP撤退方針。
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