NECの連結決算:通年の売上推移
年度 | 売上高・収益 | 営業利益 [営業利益率(%)] | 純利益・最終損益 [純利益率(%)] |
---|---|---|---|
1990年 | 3兆6987億円 | 2145億円 [5.8%] | 543億円 [1.5%] |
1991年 | 3兆7738億円 | 1214億円 [3.2%] | 152億円 [0.2%] |
1992年 | 3兆5149億円 | 271億円 [0.8%] | -451億円 [-1.3%] |
1993年 | 3兆5797億円 | 774億円 [2.2%] | 66億円 [0.2%] |
1994年 | 3兆7693億円 | 1557億円 [4.1%] | 358億円 [1.0%] |
1995年 | 4兆3971億円 | 2478億円 [5.6%] | 766億円 [1.7%] |
1996年 | 4兆9484億円 | 1837億円 [3.7%] | 928億円 [1.9%] |
1997年 | 4兆9011億円 | 1904億円 [3.9%] | 474億円 [1.0%] |
1998年 | 4兆7594億円 | 31億円 [0.1%] | -1512億円 [-3.2%] |
1999年 | 4兆9914億円 | 1104億円 [2.2%] | 104億円 [0.2%] |
2000年 | 5兆4097億円 | 1851億円 [3.4%] | 566億円 [1.0%] |
2001年 | 5兆1010億円 | -555億円 [-1.1%] | -3120億円 [-6.1%] |
2002年 | 4兆6631億円 | 1016億円 [2.2%] | -123億円 [-0.3%] |
2003年 | 4兆8605億円 | 1365億円 [2.8%] | 100億円 [0.2%] |
2004年 | 4兆8017億円 | 1418億円 [3.0%] | 772億円 [1.6%] |
2005年 | 4兆9299億円 | 725億円 [1.5%] | -100億円 [-0.2%] |
2006年 | 4兆6526億円 | 699億円 [1.5%] | 91億円 [0.2%] |
2007年 | 4兆6171億円 | 1567億円 [3.4%] | 226億円 [0.5%] |
2008年 | 4兆2156億円 | -62億円 [-0.1%] | -2966億円 [-7.0%] |
2009年 | 3兆5831億円 | 509億円 [1.4%] | 114億円 [0.3%] |
2010年 | 3兆1154億円 | 578億円 [1.9%] | -125億円 [-0.4%] |
2011年 | 3兆368億円 | 737億円 [2.4%] | -1102億円 [-3.6%] |
2012年 | 3兆716億円 | 1146億円 [3.7%] | 304億円 [1.0%] |
2013年 | 3兆431億円 | 1061億円 [3.5%] | 337億円 [1.1%] |
2014年 | 2兆9355億円 | 1280億円 [4.4%] | 573億円 [2.0%] |
2015年 | 2兆8248億円 | 914億円 [3.2%] | 759億円 [2.7%] |
2016年 | 2兆6650億円 | 418億円 [1.6%] | 273億円 [1.0%] |
2017年 | 2兆8444億円 | 639億円 [2.2%] | 459億円 [1.6%] |
2018年 | 2兆9134億円 | 585億円 [2.0%] | 402億円 [1.4%] |
2019年 | 3兆952億円 | 1276億円 [4.1%] | 1000億円 [3.2%] |
2020年 | 2兆9940億円 | 1538億円 [5.1%] | 1496億円 [5.0%] |
2021年 | 3兆140億円 | 1325億円 [4.4%] | 1413億円 [4.7%] |
2022年 | 3兆3130億円 | 1704億円 [5.1%] | 1145億円 [3.5%] |
2023年 | 3兆4772億円 | 1880億円 [5.4%] | 1495億円 [4.3%] |
出所:NEC。本決算期は3月末。
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平均利益率
NECの1990年から2023年までの営業利益率の平均が2.9%。
比較として、富士通の1994年から2023年までの営業利益率の平均が3.6%。
比較として、富士通の1994年から2023年までの営業利益率の平均が3.6%。
会社の動向
- 日本電気(NEC)の設立は1899年。米国ウェスタン・エレクトリックと合弁会社を設立する目的で誕生。日本初の外資との合弁会社となる。
- 2001年の巨額な最終損失(-3120億円)は、ITバブル崩壊による景気後退が原因。
- リーマンショック時の損失や、スマートフォン登場と共に、NECのビジネスもしだいに変化していく。
- 近年は、ITサービスで安定的な収益を出してきた一方で、半導体、携帯電話(ガラケー)、ディスプレイ、パソコンなどの事業を縮小、または撤退してきたため、1990年と比較して売上規模も停滞。
- 特に、定期的に赤字を出していたDRAM(半導体メモリ)やディスプレイから撤退しているため、赤字転落しにくい体質となっている。
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日本電気の財政・経営状況
年度 | 総資産 [現金・手元資金] |
負債総額 [有利子負債] |
自己資本・純資産 [自己資本比率(%)] |
---|---|---|---|
1990年 | 3兆9295億円 [3845億円] |
3兆486億円 | 8809億円 [22.4%] |
1995年 | 4兆9778億円 [3810億円] |
3兆9114億円 [1兆8185億円] |
1兆664億円 [21.4%] |
2000年 | 4兆9295億円 [3868億円] |
4兆628億円 [1兆6842億円] |
8667億円 [17.6%] |
2005年 | 3兆8027億円 [4559億円] |
2兆5601億円 [9351億円] |
1兆2426億円 [27.1%] |
2010年 | 2兆6289億円 [2038億円] |
1兆7535億円 [6758億円] |
8754億円 [28.8%] |
2015年 | 2兆4934億円 [1923億円] |
1兆6410億円 [4810億円] |
8524億円 [31.8%] |
2020年 | 3兆6685億円 [5233億円] |
2兆3604億円 [7029億円] |
1兆3081億円 [35.7%] |
2021年 | 3兆7617億円 [4307億円] |
2兆2482億円 [5973億円] |
1兆5135億円 [40.2%] |
2022年 | 3兆9841億円 [4195億円] |
2兆714億円 [6085億円] |
1兆9127億円 [48.0%] |
出所:NEC
- 1990年と2022年を比較すると、NECの総資産はほとんど変わっていない。ライバルの富士通は1兆円ほど減らしている。これは「選択と集中」が進んだ結果だと考えたい。
- 現在、手元資金や有利子負債、そして肝心の業績を考慮すると、経営難に陥る心配は不要。
社員数と開発投資状況の推移
年度 | 従業員数(連結) | 平均年収 | 設備投資費 | 研究開発費 |
---|---|---|---|---|
1990年 | 11万7994人 | – | 3567億円 | 2794億円 |
1995年 | 15万2719人 | – | 4019億円 | 2987億円 |
2000年 | 14万9931人 | 761万円 | 3464億円 | 3449億円 |
2005年 | 15万4180人 | 743万円 | 1609億円 | 2874億円 |
2010年 | 14万9931人 | 698万円 | 830億円 | 2759億円 |
2015年 | 9万8726人 | 833万円 | 374億円 | 1342億円 |
2020年 | 11万4714人 | 829万円 | 576億円 | 1146億円 |
2023年 | 10万5276人 | 880万円 | 867億円 | 1157億円 |
出所:NEC
- かつては15万人レベルの従業員がいたが、度重なるリストラにより2015年度は10万人以下にまで減少。1/3の従業員の減少はパナソニック(33万人→24万人)よりもハイレベル。
- 頻繁にリストラしていた時期は「業績が悪い企業」というイメージがあり、現在でもそのイメージをもっている人は多い。
- 製造部門を縮小、もしくは撤退しているため、以前よりも設備投資額が大幅減少。昔は特に半導体事業への設備投資が大半だった。
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セグメント別の成績
事業 | 2019年/売上高 [営業利益/利益率(%)] |
2020年/売上高 [営業利益/利益率(%)] |
2021年/売上高 [営業利益/利益率(%)] |
---|---|---|---|
社会公共事業 (公共機関向け) |
4784億円 [342億円/7.2%] |
4251億円 [394億円/9.3%] |
4002億円 [297億円/7.4%] |
社会基盤事業 (官公向け) |
6788億円 [642億円/9.5%] |
6929億円 [594億円/8.6%] |
6509億円 [654億円/10.0%] |
エンタープライズ (企業向け) |
5498億円 [521億円/9.5%] |
5031億円 [482億円/9.6%] |
5747億円 [574億円/10.0%] |
ネットワークサービス (通信・基地局) |
4827億円 [306億円/6.3%] |
5388億円 [412億円/7.6%] |
5115億円 [354億円/6.9%] |
グローバル | 4931億円 [-32億円/-0.6%] |
4500億円 [75億円/1.7%] |
4856億円 [263億円/5.4%] |
その他 | 4126億円 [244億円/5.9%] |
3842億円 [77億円/2.0%] |
3912億円 [133億円/3.4%] |
調整額 | -565億円 | -251億円 | -567億円 |
出所:NEC
- NECの強みは、5G関連、ネットワーク関連、金融や流通向けシステム、企業の電子決済システムなど。官公庁関連からの安定収入も魅力。
- ライバルの富士通が、情報通信事業で利益率10%を目指しているため、NECも同じ目標に向かうと予想。
- 2020年にスイスの金融ソフト大手アバロクを買収し、欧州を中心として海外の金融システムの需要を取り込む見込み。
- 2017年にアマゾンのクラウド事業「Amazon AWS」の最上位パートナーとなり、win-winの関係を築く戦略。なお、ライバルの富士通はマイクロソフト(AZURE)とパートナー戦略。
国別や地域別の売上高
国/地域 | 2010年/売上高 [全体比(%)] |
2015年/売上高 [全体比(%)] |
2021年/売上高 [全体比(%)] |
---|---|---|---|
日本 | 2兆6360億円 [84.6%] |
2兆2180億円 [78.6%] |
2兆2595億円 [75.0%] |
北米・中南米 | 2110億円 [6.8%] |
2005億円 [7.1%] |
1213億円 [4.0%] |
欧州・アフリカ | 1097億円 [3.5%] |
1384億円 [4.9%] |
2946億円 [9.8%] |
アジア | 1584億円 [5.1%] |
2641億円 [9.4%] |
3386億円 [11.2%] |
出所:NEC
- 日本国内向けの売上比率が減少傾向。
- 海外売上は増加傾向。特にアジア向けの売上成長率が高い。
- 情報技術関連サービスの収益性は安定性が見込めるため、早い段階で新興国の需要を取り込みたい。
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M&Aの実績
ICTサービス強化として、近年は海外企業の買収を活性化。
2008年アメリカのIT企業「Netcraker」を3億ドル(約360億円)で買収。
2017年イギリスのIT企業「Nothgate Public Services」を4億7500万ポンド(約760億円)で買収。
2019年デンマークのIT大手「KMDホールディングス」を80億デンマーク・クローネ(約1400億円)で買収。
2020年スイスの金融ソフト会社「アバロク」を20.5億スイスフラン(約2360億円)で買収。
2017年イギリスのIT企業「Nothgate Public Services」を4億7500万ポンド(約760億円)で買収。
2019年デンマークのIT大手「KMDホールディングス」を80億デンマーク・クローネ(約1400億円)で買収。
2020年スイスの金融ソフト会社「アバロク」を20.5億スイスフラン(約2360億円)で買収。
製造関連の代表的な再編・リストラ
NECの製造関連について、半導体、ディスプレイ、パソコン、ケイタイの4分野の再編や撤退について。
- 半導体……1999年から2001年にかけて、NECと日立のDRAM事業の統合によるエルピーダメモリの誕生により、NECはDRAM事業から撤退。NECエレクトロニクスも手放し、最終的に2010年ルネサス誕生。
- ディスプレイ……韓国サムスンと2000年から有機ELディスプレイ(OLED)の開発・製造で合弁関係だったが、2004年にNECが撤退。特許はサムスンに譲渡。また、2010年代に液晶ディスプレイ関連の特許も売却。2020年には、NECディスプレイソリューションズの株式66%をシャープに売却。
- パソコン……2011年に、個人向けパソコン事業を本体から切り離し、中国レノボとの合弁会社に移す。合弁の出資比率はレノボ66.6%、NEC33.4%。「LAVIE(ラヴィ)」ブランドのパソコンは、レノボ主導で日本展開。
- 携帯電話……2014年にスマホやガラケーなどの携帯電話端末事業から完全に撤退。
多くの製造部門を縮小か撤退しているため、工場の所有数が減少。市況の変化によって大赤字を出しにくい体質へと変化。ソニーと同様。
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NECウンチクいろいろ
現在のNECは、昔と比べて一般消費者向けのビジネスがかなり縮小している。そのため、若い世代にはNECがどういった企業なのかがわからないという。そんな人達に「NECスゴい話し」をいろいろ。
- 1987年、NECは日本初の携帯電話を発売。パナソニックと共同開発。
- 1985年から1991年までのNECは、世界の半導体メーカー中で売上世界トップだった。1985年にDRAM(メモリ)から撤退した米国インテルよりも売上が多い時期があった。
- 1980年代から1990年代は、世界のコンピューター業界の中心的な存在だった。
- スマホが登場する前の携帯電話(ガラケー)は、NECの機種が売れ筋だった。「折りたたみ式携帯電話」の元祖であり、コンパクトで大画面を実現できるため人気機種となり、その後は他社が次々と「折りたたみ型」をマネする事態に。
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