TERADYNEの連結決算:通年の売上推移
年度 | 売上高・収益 | 営業利益 [営業利益率(%)] | 純利益・最終損益 [純利益率(%)] |
---|---|---|---|
1994年 | 7.78億ドル | 1.08億ドル [13.9%] | 0.76億ドル [9.8%] |
1995年 | 11.91億ドル | 2.44億ドル [20.5%] | 1.59億ドル [13.4%] |
1996年 | 11.72億ドル | 1.23億ドル [10.5%] | 0.94億ドル [8.0%] |
1997年 | 12.66億ドル | 1.75億ドル [13.8%] | 1.28億ドル [10.1%] |
1998年 | 14.89億ドル | 1.34億ドル [9.0%] | 1.02億ドル [6.9%] |
1999年 | 17.90億ドル | 2.58億ドル [14.4%] | 1.92億ドル [10.7%] |
2000年 | 30.43億ドル | 7.11億ドル [23.4%] | 4.54億ドル [14.9%] |
2001年 | 14.41億ドル | -3.38億ドル [-23.5%] | -2.02億ドル [-14.0%] |
2002年 | 12.22億ドル | -5.56億ドル [-45.5%] | -7.18億ドル [-58.8%] |
2003年 | 13.53億ドル | -1.53億ドル [-11.3%] | 1.86億ドル [13.7%] |
2004年 | 17.92億ドル | 1.55億ドル [8.6%] | 1.65億ドル [9.2%] |
2005年 | 10.75億ドル | -0.82億ドル [-7.6%] | -0.60億ドル [-5.6%] |
2006年 | 13.77億ドル | 1.97億ドル [14.3%] | 2.03億ドル [14.7%] |
2007年 | 11.02億ドル | 0.41億ドル [3.7%] | 0.78億ドル [7.1%] |
2008年 | 11.07億ドル | -3.80億ドル [-34.3%] | -3.94億ドル [-35.6%] |
2009年 | 8.19億ドル | -1.22億ドル [-14.9%] | -1.33億ドル [-16.2%] |
2010年 | 15.66億ドル | 4.14億ドル [26.4%] | 3.85億ドル [24.6%] |
2011年 | 14.29億ドル | 2.31億ドル [16.2%] | 3.69億ドル [25.8%] |
2012年 | 16.57億ドル | 2.87億ドル [17.3%] | 2.17億ドル [13.1%] |
2013年 | 14.27億ドル | 1.90億ドル [13.3%] | 1.64億ドル [11.5%] |
2014年 | 16.47億ドル | 0.96億ドル [5.8%] | 0.81億ドル [4.9%] |
2015年 | 16.39億ドル | 2.43億ドル [14.8%] | 2.06億ドル [12.6%] |
2016年 | 17.53億ドル | -0.60億ドル [-3.4%] | -0.43億ドル [-2.5%] |
2017年 | 21.36億ドル | 5.30億ドル [24.8%] | 2.58億ドル [12.1%] |
2018年 | 21.01億ドル | 4.73億ドル [22.5%] | 4.52億ドル [21.5%] |
2019年 | 22.94億ドル | 5.53億ドル [24.1%] | 4.67億ドル [20.3%] |
2020年 | 31.21億ドル | 9.28億ドル [29.7%] | 7.84億ドル [25.1%] |
2021年 | 37.02億ドル | 12.01億ドル [32.4%] | 10.15億ドル [27.4%] |
2022年 | 31.55億ドル | 8.32億ドル [26.4%] | 7.16億ドル [22.7%] |
2023年 | 26.76億ドル | 5.01億ドル [18.7%] | 4.48億ドル [16.7%] |
出所:TERADYNE。本決算期は12月末。
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平均利益率
テラダインの1994年から2022年までの営業利益率の平均が8.5%。競合との比較として、アドバンテストの2002年から2022年までの営業利益率の平均が6.6%。
会社の動向
- TERADYNE(テラダイン)は、1960年に米国ボストンで設立。
- 半導体や無線機器のテスト装置、自動ロボットなどを手掛ける。特に半導体試験装置が売上の中核。
- 売上の割合は、製造部門が82.1%、サービス部門が17.9%。(2022年度)
- 赤字の年度について、2001年~2002年はITバブル崩壊の影響、2008年~2009年はリーマンショックの影響で赤字転落。
- 2017年ごろから業績が上がっているのは、中国企業の台頭、EUV露光装置の登場で半導体の微細化と複雑化が進んだ事、メモリ需要の増加などが関係。
- 2022年は、半導体装置業界の市場規模が過去最大となったが、その中でテラダインは売上高を落とす。ライバルであるアドバンテスト(日本)のシェアが高まった事が影響している模様。日本の反撃が始まっているという事。
- 世界の半導体装置メーカーの業績推移
- アプライド・マテリアルズ
- ASML
- ラムリサーチ
- 東京エレクトロン
- SCREEN
- アドバンテスト
- KLAコーポレーション
- DISCO
- サムスン/SEMES
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TERADYNEの財政・経営状況
年度 | 総資産 [現金・手元資金] |
負債総額 [有利子負債] |
自己資本・純資産 [自己資本比率(%)] |
---|---|---|---|
1995年 | 10.97億ドル [2.76億ドル] |
2.55億ドル [0.17億ドル] |
8.42億ドル [76.8%] |
2000年 | 23.56億ドル [3.03億ドル] |
6.49億ドル [0.09億ドル] |
17.07億ドル [72.5%] |
2005年 | 18.60億ドル [6.95億ドル] |
6.17億ドル [3.02億ドル] |
12.43億ドル [66.8%] |
2010年 | 18.10億ドル [8.07億ドル] |
5.88億ドル [1.52億ドル] |
11.22億ドル [62.0%] |
2015年 | 25.49億ドル [7.42億ドル] |
5.83億ドル [なし] |
19.66億ドル [77.1%] |
2020年 | 36.52億ドル [14.36億ドル] |
14.45億ドル [4.10億ドル] |
22.07億ドル [60.4%] |
2021年 | 38.09億ドル [13.66億ドル] |
12.47億ドル [1.08億ドル] |
25.62億ドル [67.3%] |
2022年 | 35.01億ドル [8.94億ドル] |
10.50億ドル [1.33億ドル] |
24.51億ドル [70.0%] |
出所:TERADYNE
- 現金/手元資金、有利子負債額を考慮すると、テラダインの財務問題はなし。
- 中核の半導体検査装置の製造は、一部を除いて外部(EMS:製造受託メーカー)に委託。そのため、資産規模が大きくならない。
- 製造工場の保有規模が小さいため、市況変化によって大きく損失を出すリスクが少ない。
TERADYNEの全社員数とR&Dの推移
年度 | 従業員数(連結) | 設備投資費 | 研究開発費 |
---|---|---|---|
2010年 | 3000人 | – | 1.91億ドル |
2015年 | 4000人 | – | 2.92億ドル |
2020年 | 5500人 | – | 3.74億ドル |
2022年 | 6500人 | – | 4.40億ドル |
出所:TERADYNE
- 2022年のテラダインの総従業員数は6500人。比較として、競合のアドバンテスト(日本)は6544人。
- 2022年の研究開発費は4.40億ドル。競合のアドバンテストは601億円。
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収益構造・セグメント別の成績
部門 | 2010年/売上高 [全体比(%)] |
2015年/売上高 [全体比(%)] |
2022年/売上高 [全体比(%)] |
---|---|---|---|
テスト装置 | 14.13億ドル [90.2%] |
12.01億ドル [73.2%] |
20.80億ドル [65.9%] |
システムテスト装置 | 1.95億ドル [9.8%] |
2.11億ドル [12.9%] |
4.69億ドル [14.9%] |
ロボディクス | – | 0.42億ドル [2.6%] |
4.03億ドル [12.8%] |
ワイヤレステスト | – | 1.84億ドル [11.2%] |
2.01億ドル [6.4%] |
出所:TERADYNE。この数値は調整分を除くデータ。
- 2010年度は、会社のほとんどの売上が半導体検査装置だったが、近年は売上比率が60~70%台へ減少。
- 半導体関連への依存を減らすため、相乗効果をもつ事業ラインナップを増やす意向。しかし売上拡大に苦戦。
シェアと競合を確認
出所:JBpress/湯之上隆。(一部ポジテン編集)
- 半導体業界において、テラダインは半導体検査装置(半導体テスタ)に強みをもつ。業界2位で、1位は日本のアドバンテスト。
- 半導体テスタには、ロジックテスタ、メモリテスタ、アナログテスタなどがある。例えば、インテルのCoreプロセッサはロジックテスタで検査し、マイクロンのDRAMはメモリテスタで検査する。
- 半導体の検査は、前工程と後工程といわれるパッケージング後の検査の2回の試験が行われ、速さと正確さが求められる。
- 検査装置の中でも特にロジックテスタは半導体の複雑化が進んだ事で、テストに時間がかかるようになり、必要台数が増加。装置価格も上昇。その要因でアドバンテストやテラダインは売上拡大へ。
- 半導体検査装置市場において、市場規模が大きいロジックテスタでは、アドバンテスト(日本)、テラダイン(米国)の2強状態。また、メモリテスタでは、東京エレクトロン(日本)やイノテック(日本)も若干のシェアをもつ。
- 半導体テスタ市場は、かつてはキーサイト・テクノロジー(米国)、横河電機(日本)、安藤電気(日本)など競合が多かったが、ほとんどが撤退し、現在の市場は寡占化状態。
- 日本のアドバンテストが最先端分野の試験装置でシェアを拡大しており、テラダインは劣勢に。
地域別/国別の成績
国/地域 | 2005年/売上高 [全体比(%)] |
2013年/売上高 [全体比(%)] |
2022年/売上高 [全体比(%)] |
---|---|---|---|
米国 | 22% | 16% | 15% |
欧州 | 17% | 6% | 9% |
日本 | 9% | 6% | 5% |
台湾 | 12% | 19% | 20% |
中国 | 30% | 23% | 16% |
韓国 | 8% | 17% | |
その他 | 22% | 21% |
出所:TERADYNE
- 米国や欧州、日本への売上比率が減少傾向。これは、先進国が半導体製造における後工程のボリュームが減少しているため。
- 台湾、中国、韓国の売上が多いが、それらの国は前工程向けと後工程向けのビジネスがあるため。
- 「その他」の国には、マレーシア、タイ、フィリピン、シンガポールなどが含まれ、近年は売上ボリュームが多い。
- 半導体製造は、「前工程」と「後工程」に分けられ、パッケージングや最終検査が行われる後工程は労働集約型のビジネス。つまり、後工程は人件費が安い途上国で生産される傾向があるため、テラダインのテスト装置も先進国より途上国への売上が増えている。
- 日本は半導体製造における「後工程」への関心が低い傾向があるが、今後は技術難易度が高い最先端分野でボリュームが出てくるはず。日本企業は後工程関連の製造装置や素材に関しては世界ダントツトップを走る存在。
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半導体装置業界の売上順位
出所:VLSI Research/Tech Insights
- テラダインは半導体装置業界で売上高8位。(2021年)
- 競合のアドバンテストは6位にランクイン。もう一つの競合であるCohuはランク外。
- 今後、売上高でアドバンテストがテラダインをさらに突き放す見込み。やはり日本の反撃は始まっている。
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