Takeda Pharmaceutical Companyの連結決算:通年の売上推移
年度 | 売上高・収益 | 営業利益 [営業利益率(%)] | 純利益・最終損益 [純利益率(%)] |
---|---|---|---|
1998年 | 8446億円 | 1422億円 [16.8%] | 917億円 [10.9%] |
1999年 | 9231億円 | 1714億円 [18.6%] | 1196億円 [13.0%] |
2000年 | 9634億円 | 2261億円 [23.5%] | 1468億円 [15.2%] |
2001年 | 1兆50億円 | 2812億円 [28.0%] | 2356億円 [23.5%] |
2002年 | 1兆461億円 | 3106億円 [29.7%] | 2718億円 [26.0%] |
2003年 | 1兆864億円 | 3716億円 [34.2%] | 2853億円 [26.3%] |
2004年 | 1兆1230億円 | 3853億円 [34.3%] | 2774億円 [24.7%] |
2005年 | 1兆2122億円 | 4028億円 [33.2%] | 3132億円 [25.8%] |
2006年 | 1兆3052億円 | 4585億円 [35.1%] | 3358億円 [25.7%] |
2007年 | 1兆3748億円 | 4232億円 [30.8%] | 3555億円 [25.9%] |
2008年 | 1兆5383億円 | 3065億円 [19.9%] | 2344億円 [15.2%] |
2009年 | 1兆4660億円 | 4202億円 [28.7%] | 2978億円 [20.3%] |
2010年 | 1兆4194億円 | 3671億円 [25.9%] | 2479億円 [17.5%] |
2011年 | 1兆5089億円 | 2650億円 [17.6%] | 1242億円 [8.2%] |
2012年 | 1兆5573億円 | 1225億円 [7.9%] | 1312億円 [8.4%] |
2013年 | 1兆6917億円 | 1393億円 [8.2%] | 1067億円 [6.3%] |
2014年 | 1兆7778億円 | -1293億円 [-7.3%] | -1458億円 [-8.2%] |
2015年 | 1兆8074億円 | 1308億円 [7.2%] | 802億円 [4.4%] |
2016年 | 1兆7321億円 | 1559億円 [9.0%] | 1149億円 [6.6%] |
2017年 | 1兆7705億円 | 2418億円 [13.7%] | 1869億円 [10.6%] |
2018年 | 2兆972億円 (5月 シャイアー買収を発表) (12月 NY証券取引所上場) | 2050億円 [9.8%] | 1091億円 [5.2%] |
2019年 | 3兆2912億円 | 1004億円 [3.1%] | 442億円 [1.3%] |
2020年 | 3兆1978億円 | 5093億円 [15.9%] | 3760億円 [11.8%] |
2021年 | 3兆5690億円 | 4608億円 [12.9%] | 2301億円 [6.4%] |
2022年 | 4兆275億円 (12月 米国ニンバス・ラクシュミの買収を発表) | 4905億円 [12.2%] | 3170億円 [7.9%] |
2023年 | 4兆2637億円 | 2140億円 [5.0%] | 1440億円 [3.4%] |
出所:武田薬品工業。本決算期は3月末。
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平均利益率
武田薬品工業の1998年から2022年までの営業利益率の平均が18.8%。
比較として、アステラス製薬の2005年から2022年までの営業利益率の平均が16.8%。第一三共の2005年から2022年までの営業利益率の平均が11.1%。
比較として、アステラス製薬の2005年から2022年までの営業利益率の平均が16.8%。第一三共の2005年から2022年までの営業利益率の平均が11.1%。
会社の動向
- 武田薬品工業は1925年に設立。売上高で日本トップの製薬メーカー。世界では11位のメガファーマ。(2022年度)
- ファイザー(アメリカ)やロシュ(スイス)などと同じように、M&Aによって規模拡大。業界は多額の研究開発費が必要なため、M&Aが活発。
- 2018年、アイルランドのシャイアーを6.2兆円で買収。希少疾患薬に強みをもつシャイアー買収により、製品ラインナップの拡大と研究開発における相乗効果がもたらされた。
- 2021年、アリナミンシリーズやハイシーBメイトなどを手掛ける大衆薬事業を米国ブラックストーンに売却。
- 2022年、アメリカのスタートアップ企業、ニンバス・ラクシュミを40億ドルで買収。
- タケダは消化器系疾患、中枢神経系疾患、オンコロジー(がん)などの薬品開発に強み。今後も企業買収を成功させて全方位で戦えるポートフォリオ確保を急ぐ。
- ジェネリック医薬品は、2016年にイスラエルのテバ社(後発薬世界最大手)との合弁会社「武田テバ」を設立し、利益をシェアする形となる。
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Takedaの財政・経営状況
年度 | 総資産 [現金・手元資金] |
負債総額 [有利子負債] |
自己資本・純資産 [自己資本比率(%)] |
---|---|---|---|
2005年 | 3兆423億円 [1兆6262億円] |
6939億円 [54億円] |
2兆3484億円 [77.2%] |
2010年 | 2兆7864億円 [8727億円] |
6497億円 [165億円] |
2兆1367億円 [75.1%] |
2015年 | 3兆8241億円 [4514億円] |
1兆8129億円 [7682億円] |
2兆112億円 [52.6%] |
2020年 | 12兆9123億円 [9662億円] |
7兆7351億円 [4兆6354億円] |
5兆1772億円 [40.1%] |
2021年 | 13兆1780億円 [8497億円] |
7兆4945億円 [4兆3454億円] |
5兆6835億円 [43.1%] |
2022年 | 13兆9578億円 [5335億円] |
7兆6031億円 [4兆3823億円] |
6兆3547億円 [45.5%] |
出所:武田薬品工業
- 2018年、アイルランドのシャイアーを6.2兆円で買収した事により財務が悪化。3兆円規模の「のれん代」が痛かった。
- シャイアー買収以降も企業買収を進めた事で有利子負債が高止まりしている状況。
- 極端な経営難になる事はないはずだが、財務的にしばらくは超大型買収は難しい。
- 2024年5月時点の武田薬品の株式時価総額は約6兆5800億円。
連結社員数と研究開発投資について
年度 | 従業員数(連結) | 平均年収 | 設備投資費 | 研究開発費 |
---|---|---|---|---|
2005年 | 15069人 | 1030万円 | 326億円 | 1696億円 |
2010年 | 18498人 | 925万円 | 1318億円 | 2889億円 |
2015年 | 31168人 | 960万円 | 940億円 | 3459億円 |
2020年 | 47099人 | 1077万円 | 2137億円 | 4558億円 |
2022年 | 49095人 | 1097万円 | 1852億円 | 6333億円 |
出所:武田薬品工業。平均年収は有価証券報告書提出会社の数値。
- 2022年度のタケダの平均年収は1097万円。日本企業全体で言えば平均収入は高いが、創薬メーカーの中で言えば大差ないレベル。
- 2022年度の研究開発費が6333億円。国内メーカーの中でダントツトップであり、世界と比較しても見劣りしないレベル。
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収益構造:セグメント別の成績
部門 | 2019年/売上高 [売上比率(%)] |
2022年/売上高 [売上比率(%)] |
---|---|---|
消化器系疾患 | 6979億円 [21.2%] |
1兆945億円 [27.2%] |
希少疾患 | 6349億円 [19.3%] |
7234億円 [18.0%] |
血漿分画製剤 (免疫疾患) |
3942億円 [12.0%] |
6784億円 [16.8%] |
オンコロジー (がん治療剤等) |
4210億円 [12.8%] |
4387億円 [10.9%] |
ニューロサイエンス (神経精神疾患) |
4385億円 [13.3%] |
6377億円 [15.8%] |
その他 | 7047億円 [21.4%] |
4546億円 [11.3%] |
出所:武田薬品工業
- 消化器系疾患……潰瘍性大腸炎・クローン病治療剤「ENTYVIO(エンタイビオ)」の売上が7027億円で武田の売上トップ製品(2022年度)。そのほか、ピロリ菌治療/逆流性食道炎治療薬「タケキャプ」なども1087億円と売上が多い。
- 希少疾患……血友病治療薬「アディノベイト」「ファイバ」、遺伝性血管性浮腫治療剤「タクザイロ」など。
- 血漿分画製剤……原発性免疫不全症や多巣性運動ニューロパチー向けへの静注製剤の売上が多い。
- オンコロジー(がん)……多発性骨髄腫治療剤「ベルケイド」、悪性リンパ腫治療剤「アドセトリス」、白血病治療薬「アイクルシグ」、非小細胞肺がん治療剤「アルンブリグ」、卵巣がん治療剤「ゼジューラ」、子宮内膜症・子宮筋腫・閉経前乳がん・前立腺がん等の治療に用いられる特許満了製品「リュープリン」などが売上の中心。
- ニューロサイエンス……注意欠陥/多動性障害(ADHD)治療薬「ビバンセ」、うつ病治療薬「トリンテリックス」などの売り上げが多い。
国内と外国への収益割合
国/地域 | 2018年/売上高 [全体比(%)] |
2020年/売上高 [全体比(%)] |
2022年/売上高 [全体比(%)] |
---|---|---|---|
日本 | 5710億円 [27.2%] |
5597億円 [17.5%] |
5120億円 [12.7%] |
米国 | 8290億円 [39.5%] |
1兆5679億円 [49.0%] |
2兆1038億円 [52.2%] |
欧州/カナダ | 4056億円 [19.3%] |
6662億円 [20.8%] |
8427億円 [20.9%] |
アジア | 1054億円 [5.0%] |
1562億円 [4.9%] |
2250億円 [5.6%] |
南米/中南米 | 881億円 [4.2%] |
1216億円 [3.6%] |
1604億円 [4.0%] |
ロシア | 597億円 [2.7%] |
576億円 [1.8%] |
884億円 [2.2%] |
その他 | 383億円 [1.8%] |
685億円 [2.1%] |
952億円 [2.4%] |
出所:武田薬品工業
- 日本国内は、タケダの売上高は停滞傾向。政府による医療費削減により、薬価の引き下げやジェネリック医薬品への移行が進んだ事が背景。
- 日本では2021年から薬価改定が毎年行われるようになった事により、国内の収益アップは困難。
- アメリカと欧州/カナダの売上比率が高い。アメリカ人はお国柄で、よく薬を飲む。肥満率が高い事も関係アリ。
- アジアは、各国の社会保障が未熟であるため、人口のわりに売上高が低いが、これからが期待。
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世界の医薬品メーカーの研究開発費
企業 | 2010年/研究開発費 [総売上に対する比率(%)] |
2015年/研究開発費 [総売上に対する比率(%)] |
2022年/研究開発費 [総売上に対する比率(%)] |
---|---|---|---|
武田薬品 | 2889億円 [20.4%] |
3459億円 [19.1%] |
6333億円 [15.7%] |
第一三共 | 1943億円 [20.1%] |
2087億円 [21.2%] |
3416億円 [26.7%] |
アステラス | 2173億円 [22.8%] |
2257億円 [16.4%] |
2761億円 [18.2%] |
大塚HD | 1645億円 [15.1%] |
2010億円 [14.1%] |
2752億円 [15.8%] |
エーザイ | 1450億円 [18.9%] |
1223億円 [22.3%] |
1729億円 [23.2%] |
中外製薬 | 547億円 [14.4%] |
819億円 [16.4%] |
1437億円 [11.4%] |
塩野義 | 509億円 [18.0%] |
497億円 [16.0%] |
1023億円 [24.0%] |
ファイザー (アメリカ) |
94.13億ドル [13.9%] |
76.90億ドル [15.7%] |
114.30億ドル [11.4%] |
ロシュ (スイス) |
90.50億スイスフラン [19.1%] |
93.32億スイスフラン [19.4%] |
140.53億スイスフラン [22.2%] |
メルク (アメリカ) |
111.11億ドル [24.2%] |
67.04億ドル [17.0%] |
135.48億ドル [22.9%] |
ノバルティス (スイス) |
90.70億ドル [17.6%] |
89.35億ドル [18.1%] |
99.96億ドル [19.8%] |
アッヴィ (アメリカ) |
24.95億ドル [16.0%] |
42.85億ドル [18.7%] |
65.10億ドル [11.2%] |
イーライリリー (アメリカ) |
48.84億ドル [21.2%] |
47.96億ドル [24.0%] |
71.90億ドル [25.2%] |
出所:各メーカーの決算報告。
- 新薬開発は年々難しくなっており、成功確率は3万分の1ほど。新薬誕生まで10年以上の年月と約1000億円前後のコストが必要。数百から数千の失敗を一つの新薬開発で挽回するような世界。
- タケダの研究開発費は、日本の第一三共やアステラスの2倍レベル。しかし、製薬グローバルトップのファイザーやロシュなどと比較すると少ない。
平均年収を国内企業と比較
企業 | 2010年 | 2015年 | 2020年 | 2022年 |
---|---|---|---|---|
武田薬品 | 925万円 | 960万円 | 1077万円 | 1097万円 |
第一三共 | 975万円 | 1092万円 | 1117万円 | 1119万円 |
アステラス | 1001万円 | 1069万円 | 1051万円 | 1061万円 |
エーザイ | 1094万円 | 1093万円 | 1042万円 | 1050万円 |
中外製薬 | 931万円 | 935万円 | 1100万円 | 1214万円 |
大塚HD | 1197万円 | 1116万円 | 992万円 | 1040万円 |
塩野義製薬 | 801万円 | 890万円 | 903万円 | 910万円 |
出所:各企業の有価証券報告書より。
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有名な大衆薬ブランド商品を手放す
以前の武田薬品は、ビタミンや滋養強壮剤の「アリナミンシリーズ」、ニキビや肌荒れ、口内炎向けの「ハイシーBメイト」、美白向けの「ハイシーホワイト」など、大衆薬としての有名ブランドを保有していた。
しかし、これからは創薬に注力するとして、大衆薬事業を2020年に米国ブラックストーンに2400億円で売却。その会社は「アリナミン製薬」としてスタート。もともと売上高規模もそれほど大きくなかったため、売却後も武田の売上高において大きな変動はなかった。
日本の製薬メーカーはわりと強い
グローバル製薬会社の売上規模:世界上位40社の国(2020年)
アメリカ(15社)、日本(7社)、ドイツ(4社)、スイス(2社)、イギリス(2社)、フランス(2社)、アイルランド(2社)、イタリア(1社)、イスラエル(1社)、カナダ(1社)、ベルギー(1社)、デンマーク(1社)、オーストラリア(1社)
- 規模が大きい製薬メーカーはアメリカが突出して多い。投資マネーが豊富なアメリカでは、高い株価のもとで企業買収が実現しやすい。ベンチャーへの投資も活発。
- 日本の代表的製薬会社は、タケダ、アステラス、第一三共、大塚、中外製薬(ロシュ傘下)、エーザイ、田辺三菱、住友ファーマ、塩野義、小野薬品、協和キリンなど、世界的には中堅レベルが多い。再編が進んでいないところがある。
- スイスはロシュとノバルティスが代表的。870万人の少ない人口のわりに、とてつもない規模のメーカーを保有。
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