SHIONOGIの連結決算:通年の売上推移
年度 | 売上高・収益 | 営業利益 [営業利益率(%)] | 純利益・最終損益 [純利益率(%)] |
---|---|---|---|
1998年 | 3721億円 | 229億円 [6.2%] | 98億円 [2.6%] |
1999年 | 4002億円 | 254億円 [6.3%] | 128億円 [3.2%] |
2000年 | 4126億円 | 239億円 [5.8%] | 126億円 [3.1%] |
2001年 | 4201億円 | 161億円 [3.8%] | 85億円 [2.0%] |
2002年 | 2852億円 | 192億円 [6.7%] | 59億円 [2.1%] |
2003年 | 2005億円 | 203億円 [10.1%] | 22億円 [1.1%] |
2004年 | 1994億円 | 287億円 [14.4%] | 189億円 [9.5%] |
2005年 | 1964億円 | 292億円 [14.9%] | 227億円 [11.6%] |
2006年 | 1998億円 | 289億円 [14.5%] | 186億円 [9.3%] |
2007年 | 2143億円 | 404億円 [18.9%] | 251億円 [11.7%] |
2008年 | 2275億円 | 320億円 [14.1%] | 157億円 [6.9%] |
2009年 | 2785億円 | 524億円 [18.8%] | 386億円 [13.9%] |
2010年 | 2824億円 | 469億円 [16.6%] | 200億円 [7.1%] |
2011年 | 2673億円 | 470億円 [17.6%] | 271億円 [10.1%] |
2012年 | 2829億円 | 588億円 [20.8%] | 667億円 [23.6%] |
2013年 | 2897億円 | 619億円 [21.4%] | 406億円 [14.0%] |
2014年 | 2740億円 | 504億円 [18.4%] | 441億円 [16.1%] |
2015年 | 3100億円 | 914億円 [29.5%] | 667億円 [21.5%] |
2016年 | 3389億円 | 1082億円 [31.9%] | 839億円 [24.8%] |
2017年 | 3447億円 | 1152億円 [33.4%] | 1089億円 [31.6%] |
2018年 | 3637億円 | 1385億円 [38.1%] | 1328億円 [36.5%] |
2019年 | 3334億円 | 1306億円 [39.2%] | 1222億円 [36.7%] |
2020年 | 2972億円 | 1174億円 [39.5%] | 1119億円 [37.7%] |
2021年 | 3351億円 | 1103億円 [32.9%] | 1142億円 [34.1%] |
2022年 | 4267億円 | 1490億円 [34.9%] | 1850億円 [43.4%] |
2023年 | 4350億円 | 1533億円 [35.2%] | 1620億円 [37.2%] |
出所:塩野義製薬
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平均利益率
塩野義製薬の1998年から2022年までの営業利益率の平均が20.3%。
会社の動向
- 1878年に和漢薬問屋「塩野義三郎商店」として大阪で創業したのがシオノギのルーツ。
- 1980年代までは細菌感染症における抗生物質(抗菌薬)の開発と販売に注力。
- 1990年代からは、1991年にシオノギ創薬の高コレステロール血症治療薬「クレストール(一般成分名:ロスバスタチン) 」が会社の屋台骨へ。
- クレストールの特許期間が世界で満了する前に抗HIV薬「ドルテグラビル」の創薬に成功。世界中で販売が急伸。
- 2012年、シオノギの抗HIV薬「ドルテグラビル」の権利を英GSKと米ファイザーの合弁会社「ヴィーブ・ヘルスケア」に移転し、ヴィーブの株式10%を取得。世界大手と協業のもとで、長時間作用型抗HIV薬「カボテグラビル」をリリース。
- 2022年時点は、インテグラーゼ阻害剤(抗HIV薬/抗エイズ薬)のロイヤルティが利益の中核的存在。
- 2022年度は、塩野義開発のコロナウイルス治療薬「ゾコーバ」を日本政府が200万人分購入した事で、売上高が急増。
- 塩野義製薬の強みは感染症関連。主にHIV治療薬、インフルエンザ治療薬など。コロナ治療薬も開発。
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SHIONOGIの財政・経営状況
年度 | 総資産 [現金・手元資金] |
負債総額 [有利子負債] |
自己資本・純資産 [自己資本比率(%)] |
---|---|---|---|
2005年 | 4277億円 [761億円] |
905億円 [なし] |
3372億円 [78.8%] |
2010年 | 5232億円 [1107億円] |
1951億円 [1070億円] |
3281億円 [62.7%] |
2015年 | 6396億円 [1277億円] |
1257億円 [301億円] |
5139億円 [79.6%] |
2020年 | 9990億円 [2762億円] |
1529億円 [80億円] |
8461億円 [84.7%] |
2021年 | 1兆1506億円 [2544億円] |
1573億円 [67億円] |
9933億円 [86.3%] |
2022年 | 1兆3118億円 [3092億円] |
1899億円 [94億円] |
1兆1219億円 [85.5%] |
出所:塩野義製薬
- 有利子負債が極めて少なく、現金/現金同等物も豊富。安定的な経営状況。
- 2023年11月時点の塩野義製薬の株式時価総額は約2兆1800億円。比較として、武田薬品は約6兆6700億円、第一三共が約7兆7600億円、アステラスが約3兆2200億円、エーザイが2兆3100億円。
連結社員数と研究開発投資について
年度 | 従業員数(連結) | 平均年収 | 設備投資費 | 研究開発費 |
---|---|---|---|---|
2005年 | 4997人 | 854万円 | 111億円 | 323億円 |
2010年 | 5277人 | 801万円 | 179億円 | 509億円 |
2015年 | 5896人 | 890万円 | 99億円 | 497億円 |
2020年 | 5485人 | 903万円 | 274億円 | 542億円 |
2022年 | 5680人 | 910万円 | 125億円 | 1023億円 |
出所:塩野義製薬
- 創薬メーカーにしては、従業員数や研究開発費が少ない。忍耐強くコツコツやる社風のシオノギには、人の数やお金の話しは関係なさそう。
- 歴史的にシオノギは営業に力を入れていたが、ひと昔前に比べて近年は営業の人員は減っている模様。
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国内/海外収益の割合
年度 | 日本 | 欧州 | 北米 | その他 |
---|---|---|---|---|
2005年 | 90%以上 | 10%未満 | ||
2010年 | 63.0% | 23.3% | 12.1% | 1.5% |
2015年 | 56.6% | 33.0% | 6.8% | 3.5% |
2020年 | 39.9% | 52.0% | 3.0% | 5.1% |
2023年 | 37.9% | 53.4% | 4.4% | 4.3% |
出所:塩野義製薬(有価証券報告書)
- 欧州への依存度が高い。その欧州のほとんどがイギリスで、英国への売上依存度は2023年度で49.1%。イギリス「ヴィーブヘルスケア社」にライセンス供与さる抗HIV薬「ドルテグラビル」のロイヤリティ収入によるものがあまりにも大きい。
- 最大市場であるアメリカや向けへの存在感がない事、収益性に偏りがある事が悩ましい。
収益構造:セグメント別の成績
事業 | 2014年/売上高 [売上比率(%)] |
2018年/売上高 [売上比率(%)] |
2022年/売上高 [売上比率(%)] |
---|---|---|---|
国内医薬品 | 1614億円 [58.9%] |
1287億円 [35.4%] |
750億円 [17.6%] |
輸出& 海外子会社売上 |
287億円 [10.5%] |
294億円 [8.1%] |
425億円 [10.0%] |
製造受託 | 156億円 [5.7%] |
148億円 [4.1%] |
153億円 [3.6%] |
一般用医薬品 | 46億円 [1.7%] |
81億円 [2.2%] |
131億円 [3.1%] |
ロイヤリティ収入 | 607億円 [22.2%] |
1803億円 [49.6%] |
1747億円 [40.9%] |
その他 | 31億円 [1.1%] |
25億円 [0.7%] |
13億円 [0.3%] |
コロナ関連 | – | – | 1047億円 [24.5%] |
出所:塩野義製薬
- 国内医薬品……2022年度は、多動性障害治療剤「インチュニブ」が国内で最も売上が多かった医薬品(192億円)。抗インフルエンザウイルス薬「ゾフルーザ」も74億円の売上。
- 医薬品製造受託……大きな売上高ではないが、小さな収益も拾っていく立派な経営哲学。
- 一般医薬品……イソジン(うがい薬)、リンデロンVs(ステロイド外用薬)、シナール(ビタミンC剤)、メジコン(咳止め)などの販売高。
- ロイヤルティー収入……主にインテグラーゼ阻害剤(抗HIV薬)から得られる特許収入。
- コロナ関連……2022年度は、塩野義製薬開発のコロナウイルス経口治療薬「エンシトレルビル(商品名:ゾコーバ)」を日本政府が200万人分購入した事で1047億円の収益。
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国内医薬品の主要売上製品
製品 | 売上高 | 分類 |
---|---|---|
インチュニブ | 192億円 | 多動性障害治療剤 |
ビバンセ | 14億円 | 中枢神経刺激剤 |
感染症薬 | 74億円 | ゾフルーザやラピアクタなどの抗インフルエンザ薬 |
サインバルタ | 54億円 | 抗うつ剤/セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤 |
オキシコンチン類 | 44億円 | 持続性疼痛治療剤 |
スインプロイク | 34億円 | 下剤/経口末梢性μオピオイド受容体拮抗薬 |
アシテア | 5億円 | 減感作療法薬(アレルゲン免疫療法薬) |
ムルプレタ | 1億円 | 経口血小板産生促進剤/トロンボポエチン受容体作動薬 |
ピレスパ | 25億円 | 抗線維化剤/特発性肺線維症の治療薬 |
クレストール | 41億円 | 高脂血症用剤 |
その他 | 306億円 |
出所:塩野義製薬
- 日本は薬価の引き下げやジェネリックへの移行などもあり、国内メーカーの売上高は停滞ぎみ。シオノギも同様。
- 日本市場が縮小しても、シオノギ1社スポンサー「ミュージックフェア」は永久的に不滅。
塩野義と国内創薬メーカーの研究開発費を比較
企業 | 2010年/研究開発費 [売上比率(%)] |
2015年/研究開発費 [売上比率(%)] |
2022年/研究開発費 [売上比率(%)] |
---|---|---|---|
塩野義製薬 | 509億円 [18.0%] |
497億円 [16.1%] |
1023億円 [24.0%] |
武田薬品 | 2889億円 [20.4%] |
3459億円 [19.2%] |
6333億円 [15.7%] |
第一三共 | 1943億円 [20.1%] |
2087億円 [21.3%] |
3416億円 [26.7%] |
アステラス | 2173億円 [22.8%] |
2257億円 [16.5%] |
2761億円 [18.2%] |
大塚HD | 1645億円 [15.1%] |
2010億円 [14.2%] |
2752億円 [15.8%] |
エーザイ | 1450億円 [18.8%] |
1223億円 [22.4%] |
1729億円 [23.2%] |
中外製薬 | 547億円 [14.4%] |
819億円 [16.4%] |
1437億円 [11.4%] |
出所:各メーカーの決算報告、有価証券報告書。
- シオノギの研究開発費用は、国内7位~8位クラス。金額に対する創薬の質が高い。
- 国内トップは2018年にシャイアーを大型買収した武田薬品。
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